三浦綾子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ主人公である信夫の生涯を追いながら、この作品は描かれている。幼い頃から信夫やその周りで起こった出来事、信夫が経験した事が全てあのラストに帰結しているように感じられ、読後の胸を打つような感覚はなかなか消えなかった。それほどの結末だったと思う。結末の部分は本編中では僅かなページ数である。しかし、その僅かなページ数に自分が読みながら追ってきた信夫の人生の積み重ねが果たされたということに圧倒されてしまったのだ。
私自身はこの小説を読んで、これほどまでに人を変える信仰とは何なのかという疑問が生まれ、信仰そのものの意味やあり方が問われていたのかと感じたが、あとがきや解説にあるように、著者自身は「犠牲」をテーマとしてこの作品を描かれたそうである。まさしく信夫のラストは自身の命すらも顧みない「犠牲」そのものである。ここに至るまで、そして覚悟ある行動に身を移した信夫の心の純粋さの美しさが私には印象深かった。
ただ私には、信夫をしてそこまでさせた「信仰」というものは一体何なのか、ということが引っかかっている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公である信夫の生涯を追いながら、この作品は描かれている。幼い頃から信夫やその周りで起こった出来事、信夫が経験した事が全てあのラストに帰結しているように感じられ、読後の胸を打つような感覚はなかなか消えなかった。それほどの結末だったと思う。結末の部分は本編中では僅かなページ数である。しかし、その僅かなページ数に自分が読みながら追ってきた信夫の人生の積み重ねが果たされたということに圧倒されてしまったのだ。
私自身はこの小説を読んで、これほどまでに人を変える信仰とは何なのかという疑問が生まれ、信仰そのものの意味やあり方が問われていたのかと感じたが、あとがきや解説にあるように、著者自身は「犠牲」をテーマとしてこの作品を描かれたそうである。まさしく信夫のラストは自身の命すらも顧みない「犠牲」そのものである。ここに至るまで、そして覚悟ある行動に身を移した信夫の心の純粋さの美しさが私には印象深かった。
ただ私には、信夫をしてそこまでさせた「信仰」というものは一体何なのか、ということが引っかかっている。 -
Posted by ブクログ
終戦後の日本がリアルに感じられる…これがジェネレーションギャップ。
旦那に靴下を履かせる!?
タコ部屋!?
見世物小屋!?
慣れないフレーズや文化が新鮮だった。
戦争と聞くと、悲惨な現場がイメージされやすいけど、啓造達のような、社会的な立場が高くて、ある程度裕福な家庭から見る戦後の日本というのが、私的に新しい視点だった。
物語としては、娘の死をきっかけに生じる家族の歪み…と一言で言えばそうなる。
ただ、その娘の死の背景には、夏枝と村井の逢い引き未満のやり取りだったり、殺人犯の男の境遇だったりと、犯罪という点では殺人犯がヒャクパー悪いのだが、結果的に怒ってしまったことへの因果は複雑なものが絡み合っている。
何をしなければ、何をしたら、娘は死なずに済んだのか。
娘が死んだのは、私のせいだ、いや、そもそも…。
娘の死への後悔から憎しみへ。
時間はどうやっても不可逆だが、複数の選択の有り得た未来を想像しては悔いてしまう。
ただ、その娘の死への後悔や復讐心が、紛れもない娘への愛からきているのは間違いない。
夏枝と啓造が、そこで娘への愛を共有して、隠し事をしないでいたら、また別の未来になっていたかもしれない。
人間の一生は、選択の連続であり、どの選択が1番正しいか証明することは不可能。
だからこそ、「かもしれない」の連続になってしまう。
過去の選択の末の「今」を受け入れるしかない。
それは、夏枝や啓造だけじゃなく、読者の私たちにも言えることだと思う。
…でも、親のことで子どもを悲しませるのはダメ絶対!…とりあえず村井が悪いよ、村井が(上巻を読んでの感想です)。