三浦綾子のレビュー一覧
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⭐︎4.6
泥流地帯だけで完結してしまったら、なんと悲しいものかたりだったろうか。この続編があることで、救われた気がする。わずかな光でも希望が見えて、ものかたりは終わった。
読後感はすこぶる良い。この時代背景のしかも北の大地が舞台のそれなので、明るい未来が想像できようはずがないが、一条の希望の光は差し込んだのだ。
拓一はまさに聖人と言って良い人格の持ち主だろう。耕作は人間臭い、煮え切れない衆生の人の代表と言えるのかもしれない。ふくこは菩薩と思えた。キリスト教文学と言える本作に、菩薩である、多分日本人には受け入れやすいのだろうか、そのために登場させたのかとも思える。
なんにしても、不幸不幸で終わ -
Posted by ブクログ
⭐︎4.3
読み始めて、なんと印象に残る言葉の多いものかたりなのだろうと思っている。
聖書(未だ通読したことはないのだが)を基本に置いたものかたりだと思っている。
北の大地北海道で土とともに生き、土を生業に静かに生きている人々のものかたりだ。
今まで生きてきて、幾つも、いく回も、後悔をしてその端端を時折思い出している。
ふく子・せつ子・耕作・拓一彼等の将来はどうなるのだろう。
楽しみ楽しみ。
などと書いたが、楽しくはなかった。悲しく、寂しく、切ないものかたりだった。
人生の後悔を思い起こさせるものかたりだった。
我が人生に悔いはなしなどと謳った名優がいたが、私の人生は悔いばかりである。ただ -
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余韻を残して終わった『氷点』の続編。
自殺未遂を起こした陽子ちゃんが助かり、特に後遺症もなく暮らしていくなかで、より著者のキリスト教的な視点が強く表現されていく作品でした。
キリスト教における「原罪」と「許し」をティーンエイジャーの陽子ちゃんがどう自分のなかで消化(昇華)していくのかのお話。
陽子ちゃんが我が子を殺した犯人の子ではないと知ってもお母さんは未熟な人間のまま。これは一生変わらなさそう。
医師のお父さんも良い人であろうとし過ぎていくつになっても迷いっぱなし。
そこに暴動機関車のような陽子ちゃんの実の弟などが出てきて、とにかくお話としては飽きさせませんでした。
ただ、陽子ちゃんま -
Posted by ブクログ
余韻を残して終わった『氷点』の続編。
自殺未遂を起こした陽子ちゃんが助かり、特に後遺症もなく暮らしていくなかで、より著者のキリスト教的な視点が強く表現されていく作品でした。
キリスト教における「原罪」と「許し」をティーンエイジャーの陽子ちゃんがどう自分のなかで消化(昇華)していくのかのお話。
陽子ちゃんが我が子を殺した犯人の子ではないと知ってもお母さんは未熟な人間のまま。これは一生変わらなさそう。
医師のお父さんも良い人であろうとし過ぎていくつになっても迷いっぱなし。
そこに暴動機関車のような陽子ちゃんの実の弟などが出てきて、とにかくお話としては飽きさせませんでした。
ただ、陽子ちゃんま -
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悪いのは自分ではない。自分はこんなに不幸な目にあっている。他の人が傷ついても私ほどじゃない。他の人にはわからないんだ。
もしかしたら、主人公の清美はこう思っていたのかもしれない。
私もそんな彼女に共感した。
彼女の背負っているものは重すぎる。復讐しても不思議じゃない。
でも彼女の気持ちは晴れなかった。こころを寄せていた人にも突き放された。
逃げ出すことができなければ、愛するより仕方ない。
でも、そんなことは簡単にはできない。
彼女は思いがけない再会を果たす中で、自分の弱さを直視し、今まで恨んでいた相手にも恥ずかしがっていた存在にも違う想いが湧いてくる。
きっと許しという深い愛に出会えたから -
Posted by ブクログ
ヨブ記を題材とした、正しく生きるとは、善く生きるとは何か(=信じるとは何か)を苦難を通して表現した作品。
ヒューマンドラマの形式で、
信仰心(正しく生きる)とは何かを、寓意的に読者にわかりやすく説明していく。
「善因善果・悪因悪果の否定」という構造で非常に分かりやすく信仰心を理解できる一方で、物語全体が善行善果になってしまっているのも否めない。
本家の「ヨブ記」自体も同じ構造になっているので、本当の意味での信仰の深さや神秘性を、言葉や物語を通して表現する事に限界があるのかなと感じました。
一般大衆向けに書かれていると思うのでしょうがないですが、ニーチェが言うところのルサンチマンに陥って