東野さやかのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ワシントン・ポーのシリーズ、3作目。
英国カンブリア州の荒涼たる自然を背景に、国家犯罪対策庁の重罪分析課の面々が活躍します。
切断された人間の指が、思いがけないところで次々に発見される事件が起きた。
動機も推測しがたいが、猟奇的な事件とは予想されます。
ポーは人里離れた土地に家を持ち、性格は丸くないが、現場で培った勘と粘り強さを持ち、重要な事件を解決に導く凄腕。
地道な捜査でじりじりと事件の様相を確かめていきますが‥
予想を超える背景が浮かび上がる。
上司のフリン警部は、体調のため休職するが、事件となれば出張って来ずにはいられない。
分析官の若い女性ティリー・ブラッドショーがポーの大事な相 -
Posted by ブクログ
ワシントン・ポーシリーズの最新作の下巻。
ボタニストによる完全密室下で行われる毒殺。
その凶行を止める術もなく、ポーたちは追い詰められていく。
そして、父親殺害の容疑をかけられたエステル・ドイルの事件。
こちらもドイルの無実を証明する術がなく、時間だけが過ぎていく。
二つの事件がポーたちをどんどんと追い詰めていくが、
思いもかけない展開が待っていた。そう、点が線になっていくかのように。
今回も至高の犯罪であったことは確か。
ボタニストの手口が判明した時は口があんぐり開いたまま塞がらなかった。
そして今回、第一作から追っていたファンには喜ばしい展開も待っていた。
終わり方が今まで一番素敵であ -
Posted by ブクログ
日常色々曇り空な状況の中、微妙な距離感のある実家に帰省しなければならなくなった主人公が、鬱々しながら実家に向かう道中で事件に巻き込まれる…のだけれど、もし彼女のメンタルが安定していたら(なおかつお金があったら)トラブルを避けられたのではないかと思ってしまう。
事件に巻き込まれたのはあくまでも不幸な偶然なのだけれど、私って不幸!って思いながら生きてると、本当に不幸になっちゃう言霊的なものってあるような気がするので、不運を呼びやすいっていうか、トラブルに見舞われやすいような。
まぁトラブル回避してたらそもそも事件が起きないのですが。
暴力沙汰には無縁で生きてきたであろう女子大生が血なまぐさい争い -
Posted by ブクログ
30年前に息子を亡くした水族館の清掃員・トーヴァ、脱走癖のある天才ミズダコマーセラス、親に捨てられたダメ男・キャメロン、の心温まるお話。
途中までは、まあまあかなと思っていたら半分読んだあたりからやめられなくなりました。2日かけて読むつもりが、8時間で一気読みです。
マーセラスの脱走シーンが手に取るように想像できます。特にマーセラスVSキャメロンの格闘のところではププッと笑いました。
キャメロンのダメっぷりには中二病か、と突っ込みたくなるけど、憎めないキャラクター。2人+1匹の愛情ある距離感が素敵です。
読んでいて、おおっ!と嬉しくなったり、気を付けて!と言いたくなったり、イーサンのTシャツ -
Posted by ブクログ
アメリカの作家「ジョン・ハート」の長篇ミステリ作品『ラスト・チャイルド〈上〉〈下〉(原題:The Last Child)』を読みました。
『川は静かに流れ』に続き、「ジョン・ハート」の作品です。
-----story-------------
早川書房創立65周年&ハヤカワ文庫40周年記念作品。
アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞&英国推理作家協会賞最優秀賞スリラー賞受賞。
〈上〉
少年「ジョニー」の人生はある事件を境に一変した。
優しい両親と瓜二つのふたごの妹「アリッサ」と平穏に暮らす幸福の日々が、妹の誘拐によって突如失われたのだ。
その後まもなく父が謎の失踪を遂げ、母 -
Posted by ブクログ
アメリカの作家「ジョン・ハート」の長篇ミステリ作品『ラスト・チャイルド〈上〉〈下〉(原題:The Last Child)』を読みました。
『川は静かに流れ』に続き、「ジョン・ハート」の作品です。
-----story-------------
早川書房創立65周年&ハヤカワ文庫40周年記念作品。
アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞&英国推理作家協会賞最優秀賞スリラー賞受賞。
〈上〉
少年「ジョニー」の人生はある事件を境に一変した。
優しい両親と瓜二つのふたごの妹「アリッサ」と平穏に暮らす幸福の日々が、妹の誘拐によって突如失われたのだ。
その後まもなく父が謎の失踪を遂げ、母 -
Posted by ブクログ
ネタバレ地道な捜査で少しずつ謎が解けていくのを実は逆手にとっていた犯人というか、実行犯のやり方で先が全く読めないのがいい。凧を飛ばすのを見ながらの事情聴取は、ちょっと緩すぎな気もしたけど、そこからグイグイ引っ張ってく展開で最高。
ただちょっとティリーとのやり取りが物足りない感じがしたかな、もっとくだらない話を延々としてくれても大丈夫です(笑)
真犯人の動機がちょっと拍子抜けというか、それなら前からフリンの私生活も少し見せてくれていたら、もっと悲劇が盛り上がったのになとないものねだり…
でもごみ箱に赤ん坊が?となるシーンは息が詰まったし、あそこらへんで十分にハラハラしたからお腹はいっぱい。
今作がいまの -
Posted by ブクログ
ネタバレ「夏の霜」ブレイク・クラウチ
人工知能モノ。最初は世界観が飲み込めなかったが、ゲームだとわかり、そこからは新しい人工知能の誕生にワクワクした。主人公が女性でレズビアンなのがイマドキ。でも子育てや夫婦?仲がうまくいかないところは普遍的。
主人公と一緒になってマックスに騙された。ブライアンを殺すところはゲームと一緒だったな。
“喉の奥に金属の味がする。”の絶望感が良かった。
AIに愛された人類はAIのようにされてしまうのか。
「エマージェンシー・スキン」N・K・ジェミシン
宇宙人モノ。はるか昔に分化した地球人類だが。
温度差がシュールで笑ってしまう。一大隠密プロジェクトのはずが、地球の人には筒抜 -
Posted by ブクログ
ネタバレ久々ジョン・ハートの新作がよーやく回ってきた。
質量ともに読み応えバッチリ!軽く読み流す小説ではないけど、それなりに時間をかけてじっくり読む読書は最高の至福、その贅沢な時間を与えてくれる作品って意外と少なく、安定して供給してくれる作家はさらに少ない。
ジョンハートは貴重なその一人だということ。
主人公ギビーが少年から大人に変わる儀式の飛び込みシーンとその兄ジェイソンが刑務所から出所するシーンから物語は始まる。2人の兄ロバートはベトナム戦争で戦死、その影響で母はギビーを異常なまでの過保護に扱い、反抗的なジェイソンは毛嫌いされる。そんな家族にバランスを取ろうと苦心する父。
ギビーの青春譜が描 -
Posted by ブクログ
1972年。舞台はノース・カロライナ。ヴェトナム帰還兵とその一家の物語。作者のジョン・ハートは1965年生まれだから、本書の背景の時代は、実は作家7歳の幼年期ということになる。翻って、読者のぼくはこの年、16歳。反戦のフォークソング、悲劇的で衝撃的なアメリカン・ニュー・シネマのショッキングなエンディングに、もろに曝されて育ったあの多感な時代。
だからこそ、というだけではないにせよ、この物語の時代背景を記憶に蘇らせながら、そこを通り抜けたアメリカの青春群像を生き生きと、現代に読み返し、想い出してゆくという読書行為は、何とも心にうずくものを抱えているような、妙に懐かしくも心の痛む、不安と緊張 -
Posted by ブクログ
ずっと待ってた著者の新作。四年?五年?ぶり。待ってた甲斐があったすごく好みな作品。1972年のヴェトナム戦争時のアメリカ。家族の形が壊れた一家の物語。親と子、兄と弟。犯罪者として刑務所にいる兄と善良な弟。警察官の父。離れていく兄と近づこうとする弟。この二人の関係性とそれぞれを思う感情がいい。孤独、不安、恐怖を感じながらも兄を追うこと。自分の世界から遠ざけようとする兄。そこに隠されているもの、隠されている弟への思い。壊れている家族でもどこかで繋がっているように見えるこういう作品が大好きで本当に面白い。何度も読み返すことになりそうなくらいたくさん感情を揺さぶられた。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ話題の「パエリア」を読んでみた。
いやオモロかったが、ハラハラドキドキしっぱなしで心臓に悪いことこの上なし。そのハラハラ感も、主人公の行動がフラグ立ててるのから、想像の横から攻めてくるのから、そやろけどそこまでやらんでも…から、次々に繰り出してくるもんやから、原題予定だった「NoRest」そのもの。
前半は、腹芸のジワジワで心拍あがって、後半は絶望的な戦いを挑む主人公らにドキドキで心拍あがって、少ない登場人物、狭い行動範囲、短い時間という制約の中で、よーこんだけ詰め込んだなぁ…と感心。
ラストあたりでは、「もうエエて、もうエエ加減助けてあげてよ」と少々食傷気味になるまで、執拗な展開を仕掛け -
Posted by ブクログ
ネタバレ3作目はやっぱり何を書いてもネタバレなので、たいへんうまくまとまっている、本書の前文より抜粋させていただきます。
ラスト・タウンについて
最後の町ウェイワード・パインズへようこそ。
シークレットサービスの捜査官イーサン・バーグは三週間前、アイダホ州ウェイワード・パインズにやってきた。この町の住民は誰と結婚するか、どこに住むか、どこに勤めるかを指示される。
子どもたちは町を創設したデイビッド・ピルチャーは神であると教わる。何人も町から出ることは許されない。質問をするだけで命が危ない。
しかしイーサンは知ってしまった。町の周囲にめぐらされた電気フェンスの外側には驚くべき秘密があり、フェンスは外