東野さやかのレビュー一覧
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ジョン・ハートの『ラスト・チャイルド』での第一印象は、ずばり、読みやすい、面白いの二点であった。『アイアン・ハウス』を手に取って、読み始めたら止まらないそのページターナーぶりに、改めてそのときの感触を思い出した。三年弱ほどこの作家の本を手にとっていなかったのだということに、改めて気づく。
この物語の主人公は、殺し屋である。しかも引退しようとしている殺し屋である。しかも組織専属の殺し屋。彼を拾ってくれた親父さんの逝去、彼の愛した女性に子供ができたこと、これにてやばい殺し屋稼業から引退。まあ、わからないではない話である。しかし親父さんの実の息子、ひねて、出来の悪い息子である。実の息子以上に親 -
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2003年、『ボストン、沈黙の街』。2007年、『ボストン・シャドウ』。そして2012年、本作。元地区検事補であるランディの本は10年間でたったの3作である。いずれも邦訳され、いずれも好評を期してきた作家であるが、法律家でありながら、そのことを匂わせる作家ではなかったランディのこれまでの二作は、純粋なミステリであり、警察小説であった。と同時に家族の愛情や葛藤を題材にしたヒューマンな小説であったように思う。
本書は、ようやく作家の本来の職業であった法律家の側面を前面に出したリーガル・サスペンスである。しかし携帯やジャンルがどうあれ、この作家が、家族小説、さらに煎じ詰めて言うならば父と息子の -
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下巻に入り展開は早くなった、という感じではないもののしっかりとしたラストまでの流れが出来上がっていて、また刑事の捜査のパートも、妹の行方を追う少年のパートも心理描写もしっかりしていてじっくりと読みこめました。
明らかになる真実は意外であるとともに、思い返すと伏線も張られていて非常によく、ラストもなかなか感動的。暗い感じであった話を見事に締めてくれました。
誘拐事件解決というミステリーとしての面白さの中で、家族のつながりや友情、愛や信仰なども問いかけてくるミステリの枠に収まりきらない小説だと感じました。
アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞
英国推理作家協会賞最優秀スリラー賞
2011年版 -
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双子の妹の誘拐事件を機に家庭が崩壊してしまった兄ジョニーが妹を行方を捜すミステリー。
作品全体に漂う雰囲気や、登場人物たちの様子がどことなく暗くそういう雰囲気の本が好きな自分には、どんどん引き込まれて行きました。
父親が失踪し、母親はろくでなしの男とともに薬に溺れているにもかかわらず、妹を追い続けるジョニーの描写が巧みです。このような状況なのでなんとか強くなろうと頑張っているのですが、まだ13歳なため時折見せる子供っぽい口調や様子が、余計に深く響きます。
この事件の担当の刑事のハントも事件にこだわり続ける様子や、家族との関係について苦悩する様子がしっかりと描かれていてこちらの描写も良かっ -
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ジョン・ハート、3作目にして最高傑作。読み終えて、心底そう思えた。痺れた。
家族とは? 友情とは? 愛とは? 生きていく上で避けて通れない様々な問題について、この作品はずばずばと問いかけてくる。
主人公の双子の妹が行方不明になっている。関与した者、目撃した者、そして真相を突き止めた者、ラストにはそれぞれの胸中を想像しないわけにはいかず、読んでいるだけで息苦しささえ感じた。事件を通して描かれる様々な問題に、リアリティを感じたからかもしれない。
作中に答えはあるのか?
登場人物がそれぞれの答えをみせてはくれる。しかし、それぞれの答えは異なり、読者は彼らと同じ苦悩を味わうことになるかもしれな -
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ジョン・ハートの最新長編。期待に違わず面白かったです。
一年前に双子の妹が誘拐され罪悪感と絶望で父親が失踪、支えを失い残された母は土地の有力者につけこまれて無気力状態。残された最後の子供(The Last Child)のジョニーは13歳の少年ならではの生真面目さで独自に妹の行方を捜し続けていますが、、、。物語は担当刑事ハントとジョニーの2人の視点から交互に語られて進行。前2作同様に設定はやるせなくつらく悲しく作品全体の雰囲気も重いのですが、今回少年が語り手であることもあってか、読後感は意外にも爽やか。読み終わってタイトルの妙に改めてうなりました。