東野さやかのレビュー一覧

  • ウェイワード―背反者たち―

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    ネタバレ

    ウェイワード・パインズはどこにでもある田舎町とはちがう。フェンスの反対側には想像と絶する悪夢の世界が広がっている。ウェイワード・パインズで保安官に任命されたイーサン・バーグ。
    ピルチャーのもとで働いていた女性アリッサが殺された。背反者たちが彼女を拷問して殺したとの情報が入る。
    パインズの町での”祭り”以外の殺人は初めてだった。
    過去に背反者だったイーサンが逆に背反者を取り締まることになる。かつての同僚であり愛人でもあったケイトに接触して調べるように命じられる。
    そしてケイトとその夫が次の”祭り”の犠牲者となるのか。
    ピルチャーは言う「ぜひとも楽しんでくれたまえ、私自身”祭り”は苦手だが、あれに

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    2019年09月07日
  • パインズ ―美しい地獄―

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    行方不明になっていたシークレットサービス捜査官のエヴァンズとケイトを捜していた特別捜査官のイーサンバークは交通事故に遭い、負傷したが、命からがら事故現場から逃げ出す。
    偶然とどまった、ウェイワード・パインズの町の屋敷で、行方不明になっていたエヴァンズの死体をみつける。
    外部と連絡を取ろうとするが、意識を失い、ウェイワード・パインズの病院に入れられて、そこから出してもらえなくなってしまう。
    イーサンは外部の人間と全く接触できなくなってしまう。インターネットも電話も通じない。
    町の保安官に車を借りることすらできない。
    「おかしいのはこの町のほうだ」
    ケイトが知らない家の主婦となっていて、イーサンの

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    2019年08月29日
  • 川は静かに流れ

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    ネタバレ

    さすがジョン・ハート。期待通りの人間小説、家族小説だった。この作品もやっぱりブルース・スプリングスティーンがBGMにぴったりくる。アメリカ白人文化の根底に澱む灰汁のようなものを、少し甘く切なさと苦さ多めに味付けした傑作。

    【すごいネタばらしです注意】
    主人公目線で物語が進むので、感情移入は主人公にしてしまうのだが、俺らの歳になると気になるのが、主人公の父親。腕っぷしが強くて、経営者としてそれなりに辣腕で、家族と友情を大切にするガンコ者…。でもなぁ、この男とてつもなく駄目なおっさんなんよなぁ。ミステリーとしての犯人は違うのだが、ようはこのおっさんが、もうちょっとシャンとしてたら、すべての事件は

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    2019年08月05日
  • ラスト・タウン―神の怒り―

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    ブラヴォー!!!ブラヴォー!!!ブラヴォーーーーー!!!
    もう10分間スタンディングオベーションです。拍手を止められません。

    この『ウェイワード・パインズ』三部作。最高です。
    なぜ、評価が☆5までしかないのでしょうか。はっきり言って☆8~☆9くらい付けたいです。

    この三部作全体についての感想ですが、冒険小説として全ての要素が入っています。
      神を目指した男の狂気
      信念を曲げない男の悲哀
      二人の男に愛された女の迷い
      愛する女の為に極限の地獄から生き残ろうとする男の執念
      そして、そんな人間達の努力などチリのように簡単に吹き飛ばし、強烈な絶望感しか生まない極限の環境

    本当にこ

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    2019年08月05日
  • ウェイワード―背反者たち―

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    ねえ、ちょっと、待って。これ面白すぎるよ。
    この作者のストーリーテリングのテクニック凄すぎ。

    本書は『パインズ』の続編で「ウェイワード・パインズ」三部作の2作目なんだけどさ。
    ふつう、三部作の2作目ってだれるし「なんかなぁ」って思っちゃうの多いけど、この『ウェイワード』はマジでヤバイね。面白すぎる。
    『三部作の2作目が面白い本コンテスト』を開催したら間違いなく上位に食い込みます(笑)。

    本書はあの1作目『パインズ』の衝撃のラストの2週間後から始まるんだけど、町の秘密を知った主人公のイーサンの行動がまた読者に迫ってくるものがあるんだよね。

    この町の存在意義も分かるし、絶望的な状況であること

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    2019年07月28日
  • ラスト・チャイルド 下

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    (上巻より)

    少年の気持ちや行動に目を奪われがちだが、
    ミステリーの展開も面白い。
    誰もかれもが痛みを負うが、少年は「家族」を取り戻す。

    ただ忠告しておくが、
    少年たちの話だからと言って、
    「スタンド・バイ・ミー」だと思ったら、大間違いだ。

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    2019年07月27日
  • ラスト・チャイルド 上

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    「キングの死」と同じ作者だったので。

    同じ作者の三作品目だが一番面白かった。
    双子の妹が誘拐され、父も失踪し、母は薬物中毒に。
    母には男が通ってきており、暴力をふるう。
    誘拐後一年がたっていたが、少年はあきらめていない。

    ある日、オートバイの事故が起こり、
    「あの子を見つけた」と言い残し男が死ぬ。
    そして別の少女が行方不明になる。
    男の言葉を聞いた少年は、性犯罪の前科者の家に向かう。

    (下巻に続く)

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    2019年07月27日
  • ウェイワード―背反者たち―

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    あの『パインズ ー美しい地獄ー』の続編。三部作の構想の第二作。

    前作の『パインズ』があまりにも衝撃的な展開だったので、続編では、もうこれ以上の展開は期待出来ないのではと思ったのだが、さらなる驚愕の展開が待ち受けていた。このシリーズは普通の海外ミステリー、冒険小説と思って読んだら、大間違い。なかなか面白いシリーズである。兎に角、前作を読んでから、本作を読むことをお勧めしたい。

    山間の小さな町、ウェイワード・パインズの保安官イーサン・バークは女性の全裸殺人事件を捜査するうちに…

    内容にはあまり詳しく触れないが、第三作への伏線と思われる描写もあり、早く、結末が知りたい。第三作が待ち遠しい。

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    2019年06月03日
  • パインズ ―美しい地獄―

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    記憶を無くしたシークレットサービスの特別捜査官が、アメリカの田舎町パインズで目を覚ます。自分の名さえ思い出せない。しかも全身がやけに痛む。病院で少しずつ記憶を回復し、自分が捜査官だと思い出した彼は、町の保安官や住民に助けを求めるも、まったく要領を得ない。自分の身分を証明するものは何も無く、携帯電話もお金も無い。しかも外部と連絡が取れないし、取ろうとしても邪魔が入る。この町で過ごすにつれ、少しずつこの美しい町パインズが何かおかしいと感じてくる。何となくおかしい。何かが狂っている。

    読者は本書を読み進めるにつれ、彼が本当に捜査官なのか、彼が思い出した記憶すら本当のことなのか分からなくなってくる。

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    2019年06月03日
  • キングの死

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    ネタバレ

    遠田潤子を作品を読むと、この人はブルースを奏でるような小説を書くなぁと思う。で、ジョン・ハートだが、彼の作品にはいやブルース・スプリングスティーンを感じてしまうのである。

    本作は彼の初期の作品。さすがにまだこなれていないせいか、「ラスト・チャイルド」「終わりなき道」に比べるとちょっと荒っぽいかな。それでもこの後の作品群に連なる「あがいてもどうにもならない不幸と向き合って生きていく悲しさと美しさ」というテーマは、本作にもしっかり流れている。
    当たり前の話だが、小説家ってのも成長していくんだなと思う。この作品も駄作ではないが、やはり既読の、後に刊行された作品の方が、味わい深い。

    「流暢にスピー

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    2019年04月05日
  • ラスト・チャイルド 下

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    ネタバレ

    病んだ現代アメリカ版の「トム・ソーヤの冒険」的ミステリー。とはいっても微笑ましいのはオオラスだけで、ずっとずっと重くてしんどい文章が続く。誰も彼もどの家族もが心のどこかに傷を負っていて、その傷がずっとふさがらないような、かさぶたが出来かけても湿ってる間に剝かれるような、なんともやるせない物語が続く。

    主人公は1年前に双子の妹を失った少年、父親はその後疾走し、母は情緒不安定から薬物依存となり街の金持ちにDVされつつ愛人となっている。ぶっつぶれた家庭にあって、少年だけは妹を探し続ける。

    もう一人の主人公が妹失踪事件当時、捜査を担っていた刑事。事件解決にのめり込むあまり家庭を崩壊させてしまい、警

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    2018年05月02日
  • アイアン・ハウス (下)

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    ネタバレ

    大好きだったパーカー亡き今、いちばん好きな作家と言えるかもしれません。
    冒頭から勢いよく、しかも丁寧に描かれるストーリー、そして終盤では私は大泣きの心の救済と、ハッピーエンド。
    こんなに早く読み終わりたくなかった…。
    うまく魅力を書けない自分がもどかしいぐらい、本当におススメの作家です!!

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    2018年04月21日
  • ダーク・マター

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    ブレイク・クラウチ『ダーク・マター』ハヤカワ文庫。

    ブレイク・クラウチの『パインズ ー美しい地獄ー』『ウェイワード ー背反者たちー』『ラスト・タウン ー神の怒りー』の三部作が思い掛けずに面白かったので、本書も手にしてみた。流石はクラウチ、三部作と同じように不思議で奇妙な設定で始まった物語は予測不能の展開を見せる。ミステリーなのか、SFなのか、はたまたホラーなのか…

    物理学会の新星として期待された主人公のジェイソンは家族との暮らしを優先したことから二流大学で量子力学を教える身分に甘んじていた。或る日の晩、友人のパーティーに参加した帰り道に、謎の仮面の男に襲われたジェイソンは思いもよらぬ事態に

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    2018年01月06日
  • アイアン・ハウス (下)

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    面白い。上下セットで100円で買ったが、こんなにコスパのいい買い物はありえない。
    繋がりの薄いようないくつかの要素が終盤に向けて収束していく構成や家族、血をめぐるテーマは他作品と共通するところだが、今作は主人公が凄腕の殺し屋ということで、あまり活字でそういう種類のものを読んだことがなかったので不安もあったのですが序盤はほんと良作アクション映画を観ているようでハラハラしましたし、終盤はミステリーの面白さや家族というテーマの掘り下げに引き込まれと、著者と翻訳者の力量やはり高い。オチの部分で一つ個人的に大嫌いなことやっているのに、まあいっかと思えるほどに別の部分で感動や高揚を味わえました。

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    2017年07月08日
  • ラスト・チャイルド 下

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    何年も前に『川が静かに流れ』を読んで非常に良かったのでこちらも購入したのですが読まずに本棚の肥やしになっておりました。いやはやこんなにおもしろいとは。

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    2017年06月02日
  • ラスト・チャイルド 下

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    上手い!面白い!主人公のジョニーが危うくて健気で切ない。一つの謎が解けてもまた次の謎が見えて来て気が抜けない、グイグイ引っ張られるし、読後感も悪く無い。素晴らしい一冊。

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    2017年02月12日
  • 終わりなき道

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    犯罪者を射殺した容疑で追及され孤立状態となった女性刑事、そこへ刑期を終えた元同僚が出所、事件の真相が浮かび上がると共に新たな悲劇が彼らを襲う。過去と現在の事象が幾層にも重なり複雑に絡みながら、それらは滞ることなくスリリングに結末まで突き進む。「羊たちの沈黙」を思わせる設定だが、ストーリーの構造はより奥深く登場人物の造型も見事だ。

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    2016年10月29日
  • ジェイコブを守るため

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    うーん、これぞイヤミス!全然スッキリしない!ジェイコブも嫌だけど親父が一番嫌だ。守るってこういうことか?ローリーのしたことも人としては許せないけど、親としてはまだ共感できる。ミステリーの面白さは堪能しましたが、後味が悪すぎるー。

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    2016年10月19日
  • キングの死

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    以前に偶然手にして、ものスゴくハマった著書のデビュー作。期待を裏切らず、最初からのめり込むように読んでしまった。
    冒頭からかなりの後半まで、どうにもならない絶望と悲しみ、人の心の弱さなど、私自身も耐え難い苦しさに引きずりこまれてしまって重苦しい気持ちになっても、なお読み進めたいと思ってしまった。
    私自身も救済されたいという気持ちになってしまうほど、引き込まれたということかと思う。
    やっぱりハンパなくおススメの作家。

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    2016年08月28日
  • パインズ ―美しい地獄―

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    テレビドラマを見てから読んだが、ドラマでは省略された説明が明確になった。
    展開もドラマとは異なり、ひたすら痛いシーンが続くが、流れとしては小説のほうが素直に感じた。

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    2015年10月06日