小林エリコのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
5年ぶりの再読。
生活保護廃止決定!のシーンは何度読んでも胸が震える。
著者の努力で打ち破った保護下の生活。
精神障害者は就労率が低く、犯罪予備軍という偏見がある。
精神を病み役所へ生活保護申請をしようものなら厄介者扱いされ、冷たくあしらわれる。
困窮生活時代に万引きしたことを時効にせず、後に謝罪するところは立派だ。
自身の労働で生活出来るようになっても、過去の罪と向き合う。
それは昔の自分を捨て去ることではなく、受け入れようとすることなのだ。
しかしこの本の中で、役所の人間の生活保護者に対する接し方が惨いのには驚いた。
それほどろくでもない当事者が多いのだろうか。
パチンコ、酒、ギャンブルに溺れる者は一定数いるとしても、彼女のように真面目に保護廃止を目指して就労努力する者もいるではないか。
それに生活保護者を減らせば、その分の税金も他に使えるのだから、単に申請を受理するだけでなく、なぜ生活保護申請に来るようになったのか、その経緯や廃止に向けての支援に目を向けて欲しいと思った。
著者もその視点には書中で述べている。
メモ
P27 「生活保護を受けて分かったのは、この先に明るい未来など何も無いということ。」
→自分の周りのものを次々失っていき、地の底に落ちた先にあるものが生活保護だとしたら、落とし穴が見上げる地上は、とてつもなく遠く暗いことだろう。
P47「生活保護を受けながら生きていると、否応なく自分がまともではないと思い知らされる。仕事をしていないのにお金をもらうのは、尋常ではないことだ。」
→無職なのに金銭を受給することに罪悪感を感じることは、まだ人間として勤労の意識を失っていない証拠だ。
P49 「いざ(生活)保護下での生活が始まると、毎月振り込まれる生活保護費は私からお金を稼ぐという行為の意味を忘れさせた。伸びきったゴムのような(無刺激でメリハリもない)この生活に馴染んでしまいそうになる自分が怖くなる。生活保護を恥ずかしいと思わないと私はここから出ることができない。その気持ちが無くなったら社会復帰できないのではないか。その時とはつまり、未来の可能性全てを失うことを意味する。」
→とても胸に響いてきた言葉。
働かなくても得られるお金(これを悪銭と例えるならば)に慣れてしまい、それで生き長らえることを当たり前と思ってしまったら、浸かったぬるま湯から出られなくなる。
働かざる者食うべからず、その言葉が他人事になるということは、とても危険な事だと思う。
P77 精神科クリニックのデイケア職員が、19歳の患者にかけた言葉。
「20歳になったら生活保護が受けられるから頑張るのよ!」
何のために頑張れというのか。
この19歳の患者が、病を克服し社会復帰することを目指しているなら、酷いエールである。
まるで生活保護のカモになり、自分のクリニックから離れられないように癒着させる文句にも聞こえてしまう。
P136
「普通に働いて、普通に生きたかった。ただ、その日をつつましく生きたいと願っていた。その願いは、この世で最も高価な願いだった。」
職場で精神を病み、自殺未遂を繰り返し家族から見放された著者が、デイケアやボランティア、そして再び漫画編集者として金銭を得て働くようになるプロセスは、一筋縄では到底いかず、困難続きだった。
つつましくいきたい、何も大金を得たい訳ではないのに。
ただ普通に働きたい、その普通が現在ではとても希少でハードルの高いものになっている。
自分の力で願いを叶えた彼女を、心から賞賛したい。 -
Posted by ブクログ
女性である著者が、あらゆる場面で虐げられて生きてきたか、が赤裸々に記されていた。
学校内のヒエラルキー。
社会に出てからの男性優勢の会社、社会構造。
電車内での痴漢、不審者からのストーカー、恋人からのモラハラ、DV。
正しくないことは正しくない!と
声を上げたいのに、女性だからそれが難しい。
個人的な問題だけど、それは社会の問題とも言える。
この日本の国家構造に蔓延ってきた男尊女卑のシステムによって、女性は古よりずっと不利な立場に置かれてきた。
今でこそSNS等で被害者が声を上げたり、女性の権利向上を目指してデモが巻き起こり、アドボカシー団体が組織されるなど社会は着実に変わりつつある。
フェミニズムの実現は男性にとっても看過できない課題だ。
しかしまぁ、著者が自己主張できない性格なのと、生活保護&無職という立場を逆手に取り、前に現れてくる男たちのなんと傲慢なこと。
彼氏、と書中で彼女は記しているが、モラハラDVをする時点で彼らは最早恋人ではない。
明らかに女性である著者を見下し、自分の支配下に置こうと目論む男たちの卑しい魂胆。反吐が出る。
男たちがなぜ自分より学歴が低く、若い女と結婚したがるのか。
AVのジャンルになぜ幼女や女子高生など若さを売りにしたものが多いのか。
性風俗産業がなぜここまで日本中に広がり、盛んになっているのか。
全ては男性中心の価値観の基、社会がお膳立てしているからだ。
男性が優位な立場に君臨し続けられるように。
男性が精神的、身体的に気持ちよくなれるように。
体力的に女性に勝る男に金棒を持たせるような、意図的な社会のシステムが現在でも継承されている國、日本。
だからこそ女性天皇は今でも存在せず、女性の生涯収入は男性の約半分なのも皮肉だが納得がいく。
著者は我慢しすぎだと思った。
学校や塾の教師から、故意的に胸を触られても嫌だと言えず、 モラハラDV彼氏からあからさまに人権侵害な妄言を吐かれても反論できず、ズルズルと相手の言いなりになってしまう。
渦中の2人が共依存である故の結果かもしれないが、あまりに何も言えなさすぎる。
読んでいて不甲斐なく思えたし、逆に言うと精神を病むということは奴隷的な心理状態になってしまうのだと、怖くなった。
P77 「私のようなみっともない人間が誰かを愛するなんて、してはいけないことで、恋心は大きな恥だった。」
→自分も学生時代、存在感の薄い陰キャラだったから、激しく共鳴した。いじめられっ子に人権は無いに等しい。
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Posted by ブクログ
著者は俺と同い年。
うつ病、自殺未遂、生活保護から立ち直るまでの物語。
クリニックや役所の対応がにわかには信じられないほどひどくて呆れた。製薬会社との癒着や文書偽造。犯罪じゃないのか?
著者は生活保護は権利なのだから困窮する人は受けてほしいと実体験から語る一方で、そこから抜け出し自活できるようになった自分を誇っている。矛盾した記述に当事者のリアルな心境を見る思いがした。
生活保護を現物支給したとしても受給者の抱える孤独の問題は解決されないとの指摘は説得力がある。労働は金を稼ぐためだけのものじゃなく人と関わる機会でもあり自尊心を得られる場でもある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「死にたくなった」人の特効薬になる本を探して購入。
ワーキングプアから、精神疾患をきたし、生活保護になる至った作者の体験がつづられている。
私は、本書を「死にたい」気持ちを解決するためではなく、「死にたくなった」人の気持ちを知るために購入したのだったが、メンタル系の書籍の中で最も心に響いたのは本書である。
そもそも、本を書く人なんて優秀ではないか。「死にたい」を理性と賢明さで克服した人間からのアドバイス。有能であるが故に心に変調をきたし、結果として有能な活動を行っている人間。ルサンチマンと呼んでもらって構わないけれど、どうしても自分や大多数の人に比べて境遇に隔たりを感じてしまう。
対して、著者は確かに本を書いているが、経緯は親近感を感じる。短大を出て就職した先が、ブラック企業だったのだ。そして、生活保護というセーフティネットに引っかかるところまでなるべくして落ち込んでしまった不条理とも言える境遇である。
しかし、先に賢人たちを強者だと罵ったあとに、著者の弱者としての立場に哀れみを感じて、それがまた、自分に快楽として作用しかかるのを感じた。著者は私よりも、ずっと強く、ずっと立派な人間である。この立場の境目は動的で連続的であることを忘れてはならないと肝に銘じた。
本書で気づかされたこと、
私たちは、仕事をしたくない、したくないと日々口にするが、仕事をすること、つまり社会を回している感覚というのは自分の存在意義に直結する。そして、そうできない、やむにやまれぬ理由で普通でいられず苦しんでいる人が、多くいるということを認識しなければならない。
また、私は、生活保護を受ける人達を恥ずかしいと思ってきた。しかし、本書で追い込まれた人達の立場を知り、責めるべき理由なんてないことが分かった。生活保護は不運な人を救う日本人の良心ではないだろうか。
最後に、これこそが「死にたくなった」人に必要な考え方ではないかと感じた著者の言葉を引用したい。
“だけどまだ、人生の途中だ。これから先も失敗したり、絶望したりするかもしれない。けれど、それはすべて必要なことなのだ。私はこのままでいいのだと思った。”
過去と未来の悲しみと苦しみをひっくるめて人生を全肯定すること。これが、「諦める」でもなく、「前を向かせる」でもない、過酷な境遇から復活を果たした著者が語る至言である。 -
Posted by ブクログ
著者の人生の中で、負の部分を中心に綴った自伝集。
学校でいじめにあい、家庭では暴力、兄からは性虐待、成人してからは痴漢にうつ病、自殺未遂。
辛い経験を経て、再び社会復帰した彼女の言葉は、鼓動を伴って胸に響いていく。
精神科のデイケア、特に運動会の描写は明るく楽しそうで、暗い精神科のイメージを変えてくれた。
人付き合いって面倒だな、そう思っている自分でも、そんなに体に力を入れずに、まぁ深く考えずにフラフラと生きてみてもいちのではないか?と思える処方箋のような本だった。
この人の大人になってからの行動力、そして魅力的な人を引き寄せる人柄。
それらは天性のセンスだと思う。
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Posted by ブクログ
一人で生きていくにはどうしたらいいのか、いつもそればかり考えていた。しかし、答えは見つからなかった。
自分の中に閉じ込められていた言葉が解放されていく。私はたくさん話し、語ることによって自分の形を取り戻していった。
死ぬということは自分の命を失う以外にも、新しい人との出会いや、未来の可能性を捨てる行為だ。
人間が自分の寿命を決めるのは良くないよ。
強さだけを求めて生きる生き方は、どこかで絶対に転げ落ちる。
何も生産せず、ただ遊んでいたあの時代を無駄だったとは思えない私がいる。
これから先の人生も絶望や裏切りが待ち構えているだろう。けれど、その横に何か素敵な贈り物がそっと置かれている。
存在するのが辛い場所からは早く逃げるのがいい。それが無理だとしたら、少し我慢して時間が経つのを待つといい。そのうちに周りの環境が変わり、いつの間にか違う場所に立っているというのはよくあることだ。
私たちの人生も進んでいないように思えても、実際は次々と姿を変えて進んでいる。そして、足元の世界はどんどん広がっている。生き続けることで、新しい人と出会うことができ、新しい喜びが生まれる。そして、気が合う人との出会いはそれだけで生きる勇気になる。
自分がどんな人間かというのは、人と対話し、関わり合うことで見えてくるもので、一人だけでは自分が何者なのか、どうやっても見えてこない。見えたとしても、大きく見えすぎたり、小さく見えすぎたりして、正確な形にならない。他者と語り、価値観を分かち合い、世の中の出来事を共有し合うことで、私たちは社会的な人間になることができる。
未来というのは誰にも中身がわからない。未来の箱を開けても丸めたティッシュや食べ終わったお菓子の袋くらいしか入ってない可能性もある。しかし、よく探せば輝くような何かが入っているかもしれない。
ゆっくりと一歩、また一歩と歩き出す。この世界には、まだ光り輝く何かが眠っているのかもしれない。