羽田詩津子のレビュー一覧
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ネタバレ高級高齢者施設に暮らす4人の男女が、自身の持つ知識や行動力で、未解決の事件を勝手に推理する「木曜殺人クラブ」。
今回はリーダー格のエリザベスの元夫がそこに入居してきたことから事件が始まった。
それとは別に、マーティン・ロマックスという、ビジネスマンを騙る大悪党。
金になるなら、盗品だろうとなんだろうと取引の対象にする。
彼のもとから2千万ポンド相当のダイヤが盗まれる。
犯人は、エリザベスの元夫・ダグラスと思われる。
そのダイヤがないと、マーティンはアメリカのマフィアに殺されてしまうので、なんとかしてダイヤを取り戻さなくてはならない。
4人の中で一番内省的なイブラヒム。
新しいことをはじめるのが苦手で、今まで外出もあまりしなかったが、意を決して街に出た。
楽しい数時間を過ごし家に帰る途中、自転車に乗った若者たちに襲われスマホを奪われ大けがを負う。
仲間たちは当然犯人に目にモノを見せてやると息巻くのだが。
一度読み始めたら止まらないくらい面白いのだけど、ひとつだけ気になることが。
イブラヒムを襲った犯人のライアンに、木曜殺人クラブのメンバーは報復をするのだけど、自分たちが違法に買ったコカインと、イブラヒムの財布から持ち出したカードをライアンの家のトイレタンクに隠して警察に通報する。
それは、犯罪では?
ホリー・ジャクソンの『卒業生には向かない真実』を読んだ後だから余計気になるのかもしれないけれど、犯人が反省してないなと思ったら、被害者仲間が私的に復讐するのを是とするような共通認識がいまのイギリスにあるのかしら。
だとしたら、それはちょっと怖い。
地味だけど人を見る目に長けているジョイスも、頑固だけどウラオモテのないロンも好きだし、ロンの孫のケンドリックとイブラヒムのやり取りや、エリザベスの夫で認知症のスティーヴンと何でもやってくれる協力者のボグダンのやり取りなどとても好きなのだけど、善人が正義のために行う行為はすべて正しいとする考え方はちょっと…。
今回は事件も大きかったし、悪人だけではなく何の罪もない若い女性も殺されたりしたけれど、それでも読後感がいいのはキャラクターたちのおかげであるのはわかっているのよ。
特に好きなシーンは、ドラッグ・ディーラーを騙しておとりに使った挙句警察に逮捕させたときのこと。
”コニー・ジョンソンはできるだけロンに近づき、歯ぎしりしながら言う。「あたしがシャバに出たら、あんたの命はないよ」
ロンは彼女を振り返る。「ああ、おれは七十五なんだ。で、あんたは三十年ぐらいは食らうだろ。うん、了解だ」”
犯罪とは無縁に、こういう人を食ったような年寄りになりたいと思う。 -
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ネタバレ嫌われ者の老大佐が静かな田舎町の牧師館で殺されるところから始まるミス・マープル初登場の作品。
物語は牧師館の主であるクレメント牧師視点で語られ、村のあらゆる人物たちの人間性と置かれた状況から「だれが大佐を殺したのか」を推理していく。
結局犯人はローレンス青年と大佐の妻アンであったが、最初に自首した二人が実は真犯人であったというのはよくありそうでなさそうな展開だ。犯人が偽の自首をすることで完璧なアリバイを確保し二度と疑われることがないよう好印象に振る舞うのは、実は現実によくあることで、珍しいのは彼らが殺人犯とその恋人であった点だ。
レティスは母と海外で静かに暮らすが、デニスはやはり船乗りになるのだろうか。そして気になるのはグリゼルダが宣言通り良妻賢母となるのか否か。きっと彼女は誰もが慕う牧師様の美しく慈愛に満ちた妻となるのだろう。 -
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ネタバレ木曜殺人クラブ第三弾。
このシリーズが面白いのは、
何と言ってもジョイスのおかげだという気がしてきた。
エリザベスとの息の合った掛け合い漫才のような会話も笑えるし、
(ジョイスは元スパイなの、とエリザベスに無茶ぶりされても、
「言えないのよ」「話せたらいいんだけど」とぼけをかます)
あくまでもミーハーで恋する乙女なのもかわいらしいし、
それでいて、
「毒は入れないって約束する」と言った舌の根も乾かないうちから、
あっさり睡眠薬のお茶を暗殺者に飲ませる手際も素晴らしい。
女性キャスターの殺人を調べるため、
ロンを囮に有名なキャスターを罠にかけた木曜殺人クラブ。
だが、エリザベスは夫とともに誘拐され、
スパイ時代の知人元KGBを殺害するように脅される。
ジョイスも殺すを脅されて、エリザベスはジョイスと共に、
知人のマンションを訪れて…。
今回は、
ミステリー作家でもある警察本部長が登場し、
警察関係者が多すぎない?と思ったら、
そう来たのかという展開だった。
今までの中で一番ハートウォーミングな作品だったと思う。
元精神科医のイブラヒムが前作の犯罪者に会いに行き、
情報を得ながら彼女を解きほぐしていく様や、
元KGBが墓穴からエリザベスたちを見上げて人生を考える場面、
愛する人を守るためにすべてを捨てて姿を隠したことがわかるシーン、
そして、次のチャンスはないかもしれないとプールで泳ぐジョイスを、
美しい私の友だち、泳ぎ続けてとエリザベスが心の中で呼びかける最後の場面が
素晴らしかった。 -
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ネタバレ木曜殺人クラブ第二弾。
クーパーズ・チェイスに現われたエリザベスの元夫で現役のエージェントは、
無くなったダイヤモンドのためにマフィアとドラッグカルテルから狙われており、
あっという間に殺されかける。
次の隠れ家に逃れたが、
そこでMI5の同僚とともに殺されてしまう。
犯人は誰なのか、ダイヤモンドはどこへいったのか、
そして死体は本物なのか。
もちろん木曜殺人クラブのメンバーが、
調べ推理していくが、
今回は精神科医のイブラヒムが路上強盗に遭い、
引きこもっている。
もちろん、強盗犯人に復讐を誓う他のメンバーたち。
今回はジョイスの閃きがさえわたり面白かった。
ロンが冷や汗をかきながら、マフィアのボス役を演じたのも。
ベテランMI5エージェントが(お笑いコンビなの?)と思ってしまうエリザベスとジョイスの掛け合いには笑って、
人生に持ち合わせていなかった「友人」に夫の認知症のことうまく伝えられないエリザベスには泣きそうになる。
準備を怠らないタイプと成り行きを楽しむタイプを、
気象予報士と天気に例える話も面白かった。
クリス警部は相棒ドナの母親とつきあいはじめたが、
ドナはクラブの荒事を担当してくれている建設業者とつきあうのか? -
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シリーズ第三弾。
老人探偵グループ〈木曜殺人クラブ〉メンバーが今回取り上げたのは、約10年前にとある経済詐欺犯罪を追っていた女性ニュースキャスターが車ごと崖から落とされた未解決事件。
手掛かりを求めて地元テレビ局の有名キャスターと対面するなど捜査を進めますが、そんな中エリザベスとその夫・スティーヴンは謎の男に拉致され、エリザベスの旧知の人物を殺害するように脅されてしまいますが・・。
軽快な筆致にますます磨きがかかり、著者が乗りに乗っているのが伝わってきますね。
“ちょっと(文面が)遊び過ぎやぞ!”と思わんでもないですが、愛すべきご老人たちがお元気そうなのは何よりです。
巻を追うごとに、四人(エリザベス・ロン・イブラヒム・ジョイス)のキャラが確立してきて、それぞれの特性を活かした活躍ぶりを見せてくれるのが良いですね。
いつもメンバーに協力“させられている”、クリスやドナ、ボグダンも相変わらず巻き込まれつつも、“いい恋”していて幸せそうです。
そうそう、“恋”といえばあの硬派なロンもポーリンと“ええ感じ”になっていて、何だかカップルが量産されている印象でした。
展開としては、未解決の女性ニュースキャスター殺人(失踪?)事件と、エリザベスに対する脅迫が並行して進み、そこに大規模なマネーロンダリング犯罪が絡んできたりして、毎度のことながら大変な状況ではあるのですが、レギュラーメンバーをはじめ、関わってくる人(犯罪者であっても!)皆を巻き込んで、わちゃわちゃ楽しそうに進展していくので、読んでいるこちらも一緒に楽しくなっちゃうんですよね~。
個人的にはジョイスが最強だと思っていて、一見ミーハー丸出しで邪魔ばっかりしている印象ですが、どっこい肝心なときにはいい仕事するんですよ。
危険人物をも“無力化”する能力は彼女ならではですね(自覚あるかどうかは不明)ww。
てな感じで、ワイワイお達者なご老人たちですが、その“老い先短い”哀愁もやはりあって、とりわけエリザベスの夫・スティーヴンの症状の進み具合が切ないです(スティーヴン、今回お役立ちだったのですけどね)。
いつまでも達者でいてほしい彼らですが、今回登場した元KGBのヴィクトルは、結局〈木曜殺人クラブ〉の正規メンバーになったという事なのですかね?犬のアランも含め、仲間が増えるのは嬉しいです~。
そして、現在絶賛恋愛中のボグダンが色々万能すぎるので、彼が何者なのか深堀してほしいと思った次第です~。