【感想・ネタバレ】高慢と偏見、そして殺人のレビュー

あらすじ

紆余曲折の末にエリザベスとダーシーが結婚してから六年。二人が住むペンバリー館では平和な日々が続いていた。だが嵐の夜、一台の馬車が森から屋敷へ向けて暴走してきた。馬車に乗っていたエリザベスの妹リディアは、半狂乱で助けを求める。家人が森へ駆けつけるとそこには無惨な死体と、そのかたわらで放心状態のリディアの夫ウィッカムが……殺人容疑で逮捕されるウィッカム。そして、事件は一族の人々を巻き込んで法廷へ! ミステリの巨匠がジェーン・オースティンの古典に挑む話題作!

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Posted by ブクログ

母校が開催した公開講座「オースティンの世界」で紹介された本。
原題[Death Comes to Pemberley(死がペンバリー館にやって来る)]よりも断然良い邦題だと思います。

多少原作とは登場人物達の雰囲気が違うような気もしましたが、それは作者が違うからなのか、あれから六年経って彼らが成長したからなのか。
まあ、些細な違和です。

そしてミステリとしては…やられました。
とりあえず「こいつが怪しい」と目をつけていた人物がいたのですが、違いました。

貴族としての面子を保たなければならなかったり、家族を守らなければならなかったり、自分の都合を押し通したかったりといろいろな思惑が絡み合い、結果、全く想像していなかったところに着地しました。

エリザベスが本当にいい奥様になっていて、安心しました。←誰目線?
ジェーンについては心配してなかったけどね。

数十年ぶりに『高慢と偏見』再読したくなりました。

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2023年07月01日

Posted by ブクログ

「高慢と偏見、そして殺人」は、Jオースティンの「高慢と偏見(Pride and Prejudice)」のその後を描いた作品。私は原作の「高慢と偏見」が大好き、「高慢と偏見」に出てくるキャラクターも大好き。「高慢と偏見」のファンにはとても楽しめる作品。「高慢と偏見」関連の作品といえば、「高慢と偏見とゾンビ」も楽しかったけれど、「高慢と偏見、そして殺人」はまた違った楽しさがあります。「高慢と偏見とゾンビ」は映画化されてヒットしたけれど、「高慢と偏見、そして殺人」も映像化・ドラマ化されているみたいで、そちらも見てみたい。

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2017年11月23日

Posted by ブクログ

いいですね。ミステリーの王道。毎回読むのはつらいけど、たまには、楽しい。イギリスの上流階級のしがらみと殺人事件。アガサの王道だ。PDジェイムズバアさん。バンザイ。

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2022年04月09日

Posted by ブクログ

原作の雰囲気ぶち壊しだったらどうしようと恐る恐る読み始めたのだが、さすがP・D・ジェイムズ。読み応えのあるミステリーになっていた。

翻訳の力もあると思うが、18世紀から19世紀にかけてのジェントリ階級という『高慢と偏見』の世界にスッと入り込める。

これは、原作から六年後、エリザベスは今や二人の男子の母となり、ダーシー夫人としての地位を確立している。

そんな幸せなダーシー夫妻の生活に影を落とすのは、やっぱりウィッカム、リディア夫妻である。
相変わらず人のお金を当てにするような生活を続け、挙げ句の果てに、自分が殺人事件の容疑者にまでなってしまう。

事件が起こってからは、法廷もの的な流れにもなってしまうのだが、背後に隠されていた複雑な人間関係にムムムとうなってしまった。

しかし、六年もたって、いまだに昔の自分の態度を反省してるとか、ジョージアナとわだかまりがあるとか、ミスター・ダーシー、どれだけ引きずってるのよ!とおかしくなってしまった。

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2013年07月02日

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英国ミステリの大家P・D・ジェイムズによる「高慢と偏見」の続編。
みんなオースティンが好きなのね~。
実力派なのでしっかり書き込まれ、19世紀初頭の捜査や裁判もありありと。

「高慢と偏見」のあらすじが最初にまとめられていて、その辛らつさがとてもオースティンぽい。
5人の娘を持つベネット夫人が4人までを結婚させられたのは幸運だったと思われていると。
美しく優しい長女ジェーンの幸運な結婚は祝福されたが、次女エリザベスの不釣合いな結婚は驚きとやっかみを招いたと。
ダーシーとエリザベスは当初反発し合っていたことを狭い世界の誰もが知っていたし、ダーシーは名門で格が違いすぎ、エリザベスが女主人となるペンバリー館はその地方随一の広壮な館だったから。
さて、二人はその後どうなったのでしょうか?

結婚後6年、子にも恵まれた二人はむつまじく暮らしていた。
エリザベスは召使達を思いやることで心をつかみ、女主人役も何とかこなしている。
姉のジェーン夫婦は近くに住み、今もよき理解者。
ダーシーの妹には、縁談が持ち上がる。

大規模なパーティーの前夜。
末の妹リディアが突然馬車で乗り付けて、泣き叫ぶ。
夫のウィッカムが殺されたかもしれないと‥
男達は森を捜しに行き、倒れている男性を前に「僕のせいだ」と嘆くウィッカムを見つけることに。

ジョージ・ウィッカムは、ダーシーとは幼馴染。
ダーシーの遊び相手だったために甘やかされて思い違いをして育ってしまい、大きくなってから身分の違いを思い知り、ダーシーに反目するようになっていた。
16歳のリディアと駆け落ちし、リディアの一生を台無しにするところを、ダーシーが金を出して説得し、正式に結婚させたという。
無実を主張するウィッカムだが、裁判の状況は不利な展開に。
エリザベスのためにもと悩むダーシーは、事件を解決に導けるか‥?

ウィッカムの存在をほとんど忘れてましたね~。
不愉快な人間だから(苦笑)
でも確かにこういう結婚で義理の兄弟だと、後の人生に絡んでくる可能性はありましたね。
そのへんの目の付け所はさすが。けっこう面白い人物になっています。

エリザベスが才気煥発なところを見せるのがほとんどないのが、不満。
それがもっとあれば、ぐっと印象が変わったでしょうに。
ダーシーの育ち方や置かれた立場、そのためにエリザベスとの結婚が難しかったこと、深い愛情で今はどれほど幸福かといったあたりはしっかり描かれています。
事件のための忙しさでろくに一緒にいられない夫婦が、最後にしっとり語り合うのが、幸福な余韻を残します。

作者は1920年生まれ。
ミステリ作家として巨匠賞など多数の受賞歴があります。

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2013年03月30日

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エリザベス、ダーシーらの人物造形を、きちんとオースティンの作品から受け継いでいるのが小気味よく、前作を楽しんだ感情をそのまま持ちながら読めたのは満足。
ただ、途中からなんとなく怪しいと感じた人たちが、予想通り結末にからんできて、そして最後の大団円的な終わり方は、以前のジェイムズっぽくないような。
あ、他人のキャラクターだから、暗鬱とは終わらせられなかったと思うけど。

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2013年02月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

P・D・ジェイムズって勿論名前は知っているけど、読んだことあったっけな。
ないような気がする。。
『高慢と偏見』の舞台、登場人物をそのままに、あれから6年後に起きた殺人事件を描くパスティーシュ。

直近で原典を読んでいて良かった。
最初にちゃんと原典の振り返りをしてくれてはいるけど、読んでいるのといないのとで感じ方がだいぶ変わるのではと思った。
振り返りでは、あー、確かに筋だけ言うとそんな感じだけど、この文字面だけではない夢中にさせるドラマがあったんだよなーと、逆に原典の凄さを思い起こさせられた。

6年後の本作では、ペンバリー(主役カップルのエリザベスとダーシーの住む館)での恒例の舞踏会前日にダニー大尉が殺される事件が発生。
現場には酔い潰れ、「ぼくは彼を殺してしまった!ぼくが殺したんだ!」と泣き叫ぶ血にまみれたウィッカム。
ウィッカムが容疑者として拘留されてしまうのは当然の成り行き。。。

そう、『高慢と偏見』を読んでいる方ならお馴染みあのウィッカムに焦点が当たる物語。
全体を通して考えると著者はここに決着を着けたかったのかなと思える。

舞台こそ同じだけれど、「殺人」という味付けを施すことによってキャッチーさを上げることを狙っているのかなと思いきや、いやいやむしろ時代背景の堅苦しさばかりが強調されて、「真犯人は誰?」とか「捜査陣の苦悩」といったエンターテイメント性は薄い。

ベネットもベネット夫人もコリンズさんも殆ど出てこず、ユーモア性不足は否めないし、エリザベスがその地位を得てしまったことにより、以前の大きなものにもたじろがない清々しさの輝きが鈍くなっている点も、これは別物感を感じざるを得ない。

が、終盤いろいろ回収してくるところのミステリ作家らしさとか、身内に対するひいきとそれはそれこれはこれの拒絶感のないまぜたるもの、見えていなかった想像以上のスキャンダラスな事情など、最終的には与えられた舞台を巧みに使ったえぐいドラマがあったと感じた。

とはいえ、やっぱりこれは原典読んでいないとキツい気がする。。。
せっかくなので『『高慢と偏見』殺人事件』も読んでおくか。こちらは22年後設定。

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2025年09月13日

Posted by ブクログ

かの名作「高慢と偏見」の続編を読んだとき、解説文に別の続編で「高慢と偏見、そして殺人」「高慢と偏見とゾンビ」があると書いてあったことに衝撃を受け、まずは本作を読んでみた。
面白いねー、そして、みんなジェーン・オースティンが好きなんだねー。私は英文科だったので当然のように読まされましたが、ほかのみなさんはなぜこのような、めんどい本を読むの?世界が狭くて女社会のめんどうさ、かしましい噂好きと余計なお世話と発展途上の正義感や自立心に、閉じ込められたいのか革新していきたいのか行ったり来たりの家庭の天使神話。でも、そこにやはり普遍的な夢と悩みが投影されていて、皆がわかるわー、という立ち位置なんでしょうね。その面倒さと、面倒だけど家族の断ち切れない愛情や思いやりを巧みに描いたオースティンの登場人物たちというのは、やはりまたなんらかの形で会いたい対象となり、別人が何年もあとに続編を書くことになるんですね。この本でも、キャラクターや文の流れはオースティンにそっくり。違和感無し!殺人事件というので、もう少し面白おかしくひねったパロディかと思ったら、たいへん真面目な感じです。ラストのエピローグでダーシーとエリザベスが語り合いますがここは作者の原作へのリスペクト&愛があふれていて、やや長過ぎるかも!でも、皆が「高慢と偏見」が好きなんだなーと思い返すことになる作品です。次は、ゾンビの出てくるパロディを読むか!

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2025年08月31日

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WOWOWで、プライドと偏見の放映記念のプレゼントに当選した1冊。
元ネタ未読の人にも役にたつはずの前置がなかなか読み進まず、10年積んでしまいました…ようやく読めました。

相変わらず元ネタ未読、映画も未見、PDジェイムズも未読…でも、おもしろかったです。
なかなかいくらなんでも…という部分も3つくらいあるんですが、火サスや土曜ワイドなどを楽しんだ世代なら、そんなこと気にしないで読めます(笑)

時代の雰囲気も感じられ、なんだか良かったです。

さて、ダーシーは、私にはコリン・ファースのイメージですが、みなさまはどうでしょうか。

星3つじゃホントは少ない…でも、ちょっと強引な展開に4つじゃ多いかな。3.6ぐらいです。
でも、時代を感じるためにも読んでほしいな、と思う1冊です。



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2023年04月26日

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原作は無知論、ドラマ、映画も見たので結構濃密に記憶にあるダーシーとエリザベスらの情景。
オースティンの雰囲気をしっかり踏襲し、換骨奪胎にもならずジェイムズのテイストは殆ど抑え込んだまま(いい意味で)仕上がっていると思った。
エピソードの展開も恐ろしく「ゆっくり」エリザベス王朝の雰囲気のまま。それもあって良くも悪くも、ミステリーというよりその時代ならではの刑事事件、検察と司直のやり取りが厳かというよりまだるっこく感じられた。分厚い一冊とは言え一族の中でのプライド、思惑、焦燥、苛立ちや不安がエリザベスやダーシーを中心に一族其々描かれているパーツが6割位有った気がする。

解説にもあったがジェイムズ自身がオースティンへ抱いていた敬愛と思慕の念が結晶した感十分・・とはいえ、ダルグリッシュ警部シリーズにひとまず終止符を打ち この年齢で新たな挑戦と成し遂げているのはただただ、感服です。

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2021年12月13日

Posted by ブクログ

高慢と偏見のダーシーとエリザベスのイメージが強すぎて、この作品になかなか慣れなかったが、後半はおもしろく読み進められた。ジェーンオースティンだったら、結婚後のペンバリーをどう書いたかなぁ。

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2017年06月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

オースティンの描くオリジナルに雰囲気がとてもよく似ていて「高慢と偏見」が好きな方、しかもミステリーファン、という方にならお薦め。ただ、時代を感じさせる文章と独特のまどろっこしさがあって、スピーディに事が進まない。
裁判から後の後半は楽しく読み進められましたが。
真相、まるでオースティンが書いているようで、P・D・ジェームズさんというご高齢な作家さんに感服いたしました。

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2014年03月20日

Posted by ブクログ

時代考証がすばらしく、続編にふさわしい出来上がり。
序盤から中盤が長ったらしく、結構あきかけてたけど、
後半部の謎解きや心理描写がとてもすばらしかった。
ジェーン・オースティンが乗り移った感じ。とても面白かった。

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2013年11月17日

Posted by ブクログ

ジェイン・オースティンの「高慢と偏見」のパロディ作品で、原作から6年後のぺンバリー(ダーシーとエリザベスが結婚生活を送っている)で殺人事件が起こり、ウィッカムが容疑者となってしまうというミステリー作品です。


懐かしい彼らのその後の人生を読めるのは楽しいですw

さらにジェイン・オースティンの作品である「説得」や「エマ」の登場人物も少し出てくるので、思わずニヤリとしてしまいます(* ̄ー ̄)

ジェイン・オースティン女史のファンなら必見ですし、楽しめること間違いなしです!!

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2013年09月16日

Posted by ブクログ

200年前に書かれたジェイン・オースティンの「高慢と偏見」の続編として、89歳になるミステリーの女王と言われる作者が2年前に刊行した新作。
ハッピーエンドの6年後、幸せなふたりがある事件に巻き込まれるというストーリー。
キャラクターが原作に忠実で、別の人が書いているとは思えませんでした。
89歳という年齢も信じられない!
ただ原作ファンとしては、続編はミステリーじゃなくてもよかったなぁとも思ってしまいました。

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2013年06月30日

Posted by ブクログ

ご存知ジェイン・オースティンの「高慢と偏見」のその後を描く二次創作。(本編を読まずにそちらばかり)本編を読んでいないので、それなりに満足しました。脳内ダーシーはコリン・ファースなのに、ミスター・ベネットはドナルド・サザーランドになってしまうのはなぜだろう?

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2012年12月06日

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