【感想・ネタバレ】イレナの子供たち 2500人のユダヤ人の子供たちを救った勇気ある女性の物語のレビュー

あらすじ

女性版オスカー・シンドラーと呼ばれる、ポーランド人女性イレナ・センドレル。第二次世界大戦中、ナチス占領下のワルシャワのゲットーから、彼女は2500人ものユダヤ人の子供たちを救い出した。あるときは木箱に入れて、あるときはトラックの積荷に隠して、あるときは下水道をつたって……。連れ出した子供たちは、仲間たちがかくまい、カトリックに改宗させて偽名を与え、ナチスの目を欺いたのだ。子供の命だけは守りたいという親たちの悲痛な願いをかなえるために、彼女たちは自らの命を賭けた。そして、いつか親子が出会えるように、子供たちが自分が誰なのかを知ることができるように、それぞれの本名と出自を記録し、そのリストを必死で守った。ゲシュタポに知られたら、命がないのは火を見るより明らかだったというのに。親衛隊員の気まぐれやお遊びで、ユダヤ人も、ポーランド人も通りすがりに殺されていく世界だった。事実、イレナもゲシュタポに連行され死刑宣告を受けるのだ。生き延びた子供たちは、彼女への感謝を決して忘れることはなかった。この勇敢な女性の活動のすべてを、そして彼女自身の人間らしい生き方のすべてを、見事に描ききった感動的なノンフィクション。

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Posted by ブクログ

冒頭は、現代のポーランドだ。女性版オスカー・シンドラーと呼ばれる、ポーランド人女性イレナ・センドレルの存在は、長らく秘せられてきた。本家本元オスカー・シンドラーは、スピルバーグの映画で、一躍有名となったのに。

 プロローグは、ゲシュタポに捕まったイレナが、あるファイルを必死に隠そうとしている。そのファイルは、彼女と仲間たちが救い出した、子供たちの本名と出自の記録だ。戸籍に乗せようものなら、ナチスドイツの餌食になる。戦争が終わって家族と再会できた時に、自分が自分であることを証明できる、唯一の大切な書類は、シガレットペーパーに書かれていた。

 本編でイレナの出生に戻る。1939年9月1日、ドイツ軍がポーランドに侵攻して、第二次世界大戦が始まる。戦前、ポーランドにはユダヤ人の富裕層が多く住んでいた。ナチス占領下では、彼等が真っ先にターゲットになる。資産を奪われ、職業を奪われ、ユダヤの星をつけて歩くよう命じられる。

当時ポーランド人は、アーリア人種から一段下がった人種のように看做されており、ユダヤ人と同じく、親衛隊員の気まぐれやお遊びで、通りすがりに撃ち殺される対象だった。自らが救われるために、ユダヤ人を差し出す者もいた。一方で、唯々諾々と従ったポーランド国民だけではなかった。イレナは既に結婚していたが、信奉する教授のもとで、ユダヤ人救済にいち早く動く。その事で夫とも疎遠になるが、彼女には恋人がいた。ナチス占領下のワルシャワのゲットーから、彼女は2500人ものユダヤ人の子供たちを救い出した。あるときは木箱に入れて、あるときはトラックの積荷に隠して、あるときは下水道をつたって、連れ出した子供たちは、仲間たちがかくまい、カトリックに改宗させて偽名を与え、ナチスの目を欺いた。子供の命だけは守りたいという親たちの願いをかなえるために、イレナと仲間達は、文字通り自らの命を賭けた。

 いつか親子が出会えるように、子供たちが自分が誰なのかを知ることができるように、それぞれの本名と出自を記録したリストを作った。ゲシュタポに知られたら、命がないのは火を見るより明らかだったというのに。事実、イレナもゲシュタポに連行され死刑宣告を受けるのだ。本当は、親たちは、戦争後の再会を望んでおり、その時のためのリストでもあった。だが“その時”を迎える子供たちは、殆どいなかった。

 イリナは勿論偉人であるが、彼女に関わった人々全てが英雄と言っても過言ではない。多くの子供たちを救い、ユダヤ人の血脈を守った人たちの、知られざる闘いを描いたノンフィクション。

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2025年09月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

イレナとその仲間たちが極限状態の中でなんとしても生きようとする生命力と1人でも多くの命を救おうとする勇敢な姿に終始感銘を受けた。
しかし、イレナ自身は讃えられるべきことではなく当たり前のことをしたまでで、救えなかった命に戦後も苦しめられている姿が印象的だった。
救ったユダヤ人をカトリックに改宗せざるを得なかったことが、命を救ったのにも関わらずユダヤ人の親から責められる結果になったことで罪悪感を抱いていることもかなり考えさせられた。

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2022年01月12日

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