羽田詩津子のレビュー一覧
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ネタバレ『木曜殺人クラブ』シリーズ第3作。
あるテレビキャスターの死とエリザベスの誘拐。2つのプロットが同時に進み、ひとつになっていく展開は、ありがちながら、本書のようにうまく構成されているとやはりこの上なく面白い。
老いによる喪失は、本シリーズを特徴づけているテーマのひとつだけれど、本書でも、チェスを忘れてしまったスティーヴンの姿や、そしてラストのエリザベスからジョイスへの(そしてすべての美しいものへの)祈りによってそれが謳われている。
「泳ぐには寒すぎる。しかしジョイスは耳を貸そうとしなかった。エリザベスはジョイスに馬鹿な真似はよして、夏になってもまだプールはあるのよ、と言った。
『そうね、 -
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ネタバレ『木曜殺人クラブ』シリーズ第2作。今回は木曜殺人クラブ、警察、MI5、マフィアといった面々による、消えたダイヤモンドの捜索劇が話の縦糸になっている。
今作もやはり、(高齢者施設が舞台であるがゆえの)死が常に隣に立っていることがもたらす諦めや虚しさ、そしてその中で生きていくための強かなユーモアが感じられる。
それにしてもジョイスの「当然、すべてが死に関係しているなら、何ひとつ死に関係していないってことよね?」という台詞には胸を突かれた。
前作同様、今作も幾つかのロマンスが描かれたけれど、クリスからパトリスへの告白は情けないながら劇的で、思わず応援してしまう。
前作から続くエリザベスとスティー -
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ネタバレこんなに人間味溢れる探偵っていたかしら!大好きなアガサ・レーズンシリーズは今回も期待を裏切らない面白さ。若い子への嫉妬、手術を勧められているのを無視し続けている股関節の痛みにも耐え、幸せな結婚を夢見ては夢破れるけど、読者はほっとする。愛すべき探偵を支える友人や仕事仲間たち。このシリーズはジントニックを飲みながら、イギリス料理を食べながら読みたくなります。
でも今回は探偵の自信を失くすアガサが出てきます。若いトニに主役を奪われるけど、やはりトニにはまだ圧倒的に経験が足りていないし、トニにはトニの良さがあるように、アガサにはアガサの良さがあるのに、自分のこととなるとアガサは冷静さがゼロになってしま -
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シリーズ第三弾。変わらず素敵な面々の活躍が楽しく読めます。彼らが今回挑むのは、犯罪を突き止めたらしいキャスターのべサニー・ウェイツが殺された十年前の事件。しかしそのさなか、エリザベスは謎の人物に拉致され、かつての同僚である旧友を殺すように脅迫される。ユーモラスさは健在ながらもハラハラドキドキが止まらない作品です。
エリザベスは危機に陥り(でもきっと彼女は大丈夫と安心していました)、ロンは恋に落ち、イブラヒムはある人物に接触、そしてジョイスはいつも通りにいろんなことにわくわくしていて、本当に楽しいです。だけれどある人物の老いが進んでいくところは切なかったりも……老人たちがひたすら元気で前向きに思 -
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ネタバレ初めてのミス・マープルシリーズ。
ドラマで見たことはあったのでストーリーは大まかに覚えていたけど、やはり活字を目で追いながら情景を想像するのはとても楽しい。
個人的に一番好きなのはジュリア(エマ)。淡々としていて、可愛らしいところもあって、素性がバレても狼狽えず堂々と振る舞う。素直で無垢な子供のようだけどしっかりと自分の意思や考えを伝えることができる強く優しいバンチも好き。そしておっとりとしてロッキングチェアが似合いそうな老嬢ミス・マープルのラストの掃除道具入れ?の中に隠れてドーラの声を真似るという行動力と度胸は老嬢故の人生経験から得たものなのか、はたまた彼女の生まれ持った素質なのか。ミス・マ -
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ネタバレあーあ、面白いミステリが読みたいなーーと思って助けてクリスティー!と読んだら…最&高!笑
もー面白すぎる!これだよこれなんだよ〜〜!大満足。
犯人わかった時本を取り落とすかと思った。
この鮮やかな謎解きを待ってた。
変にグロくもなく特殊な設定とか余計なものナシ、静かな村で起きたひとつの殺人を追うだけでノンストップで読み切らせる物語の上手さにひれ伏しちゃう。余計なものがないんだよねー!
登場人物も多いから、読みながら推理するのも楽しいし、暇を持て余した老嬢(この単語すごい)たちの無益なおしゃべりも退屈すぎて笑える。
さすがに時代が違いすぎて、物語の中で当たり前に過ぎてくこまかな描写が -
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愛すべきミス・マープルシリーズの長編一作目に当たる訳だが、マープルのお披露目には最適な作品である。
マープルシリーズは短編からスタートしており、後々「火曜クラブ」が発売されるが、本当の意味でマープルの驚異的な推理力を知らしめられるのは「火曜クラブ」であり、長編としての面白さ、彼女がどの様な人物であるかを読み解くのであれば、今作「牧師館の殺人」が最適である。
田舎の村、セント・メアリー・ミードで起きた殺人事件。長閑な場所で、十五年以上殺人等が起きていないこの土地で、一人の老紳士が牧師の家の書斎で頭を撃ち抜かれて殺害されている。若い画家が殺害を自供し、事件は解決されたかと思いきや、様々なトラ -
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いやぁこれは!久々に「面白かった!」と声に出てしまいました。
先に読んだ『火曜クラブ』にそこまでハマれず、ううむ私はミス・マープルよりポワロ派かも、と思いかけていましたが、こうして他の本にも手を出してよかったです。やっぱり長編の方が好きだなぁ。
「殺人をお知らせします。……」
開幕数ページで鮮やかに告知される"殺人"。小さな村の人々は、特に関心なんてありませんよという顔をして続々とミス・ブラックロックの屋敷であるリトル・パドックスに集います。
私は基本的に、ミステリーを読む時に推理をしないタイプ。
ただ純粋に、ああこれからどうなるんだろう、この人もあの人も怪しいな――と -
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母校が開催した公開講座「オースティンの世界」で紹介された本。
原題[Death Comes to Pemberley(死がペンバリー館にやって来る)]よりも断然良い邦題だと思います。
多少原作とは登場人物達の雰囲気が違うような気もしましたが、それは作者が違うからなのか、あれから六年経って彼らが成長したからなのか。
まあ、些細な違和です。
そしてミステリとしては…やられました。
とりあえず「こいつが怪しい」と目をつけていた人物がいたのですが、違いました。
貴族としての面子を保たなければならなかったり、家族を守らなければならなかったり、自分の都合を押し通したかったりといろいろな思惑が絡み合い