羽田詩津子のレビュー一覧

  • 秘密の花園【電子特典付き】

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    最高……
    行商人の両親を亡くしてインドからイギリスの辺鄙な場所にある叔父の豪邸に来たメアリ・レノックス
    荒野が広がり、ヒースの花が春には咲くヨークシャーで育った生き物好きの少年ディコン
    生まれたと同時に母親を亡くし、精神を壊した父親に隠されて生活していたコリン
    メアリはかつて叔父夫婦が過ごしていた花園を見つけ、ディコン、あとからコリンと一緒にその庭を復活させていく
    貧乏でありながら温かい家族に恵まれ、物知りなディコンに、孤独で生意気で卑屈な少女メアリと、狭い世界で王様のように過ごしていた癇癪持ちのコリンは変わっていく

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    2024年04月25日
  • 木曜殺人クラブ 逸れた銃弾

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    『木曜殺人クラブ』シリーズ第3作。

    あるテレビキャスターの死とエリザベスの誘拐。2つのプロットが同時に進み、ひとつになっていく展開は、ありがちながら、本書のようにうまく構成されているとやはりこの上なく面白い。

    老いによる喪失は、本シリーズを特徴づけているテーマのひとつだけれど、本書でも、チェスを忘れてしまったスティーヴンの姿や、そしてラストのエリザベスからジョイスへの(そしてすべての美しいものへの)祈りによってそれが謳われている。

    「泳ぐには寒すぎる。しかしジョイスは耳を貸そうとしなかった。エリザベスはジョイスに馬鹿な真似はよして、夏になってもまだプールはあるのよ、と言った。
    『そうね、

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    2024年04月19日
  • アガサ・レーズンと告げ口男の死

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    あー、今回も面白かった〜!
    事件はもちろん、チャールズとのこと、トニとサイモンのこと。どちらもワクワクしました。ここにきて、ジェームズがさらに登場。いつまでジェームズは出てくるのかな。もうアガサ・レーズンを傷つけて欲しくないなぁ。
    いつものことだけど、読むとすぐに次号が楽しみになります。来年の1月、刊行予定とのこと。ちょっと長いなぁ。

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    2024年04月12日
  • 木曜殺人クラブ 二度死んだ男

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    『木曜殺人クラブ』シリーズ第2作。今回は木曜殺人クラブ、警察、MI5、マフィアといった面々による、消えたダイヤモンドの捜索劇が話の縦糸になっている。

    今作もやはり、(高齢者施設が舞台であるがゆえの)死が常に隣に立っていることがもたらす諦めや虚しさ、そしてその中で生きていくための強かなユーモアが感じられる。
    それにしてもジョイスの「当然、すべてが死に関係しているなら、何ひとつ死に関係していないってことよね?」という台詞には胸を突かれた。

    前作同様、今作も幾つかのロマンスが描かれたけれど、クリスからパトリスへの告白は情けないながら劇的で、思わず応援してしまう。
    前作から続くエリザベスとスティー

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    2024年04月10日
  • 牧師館の殺人

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    どこかで聞いたことがあるトリックではあったけれど、それはむしろ逆で、この作品からありとあらゆるミステリーにオマージュされていったのだなと感じた。
    疑いの晴れた人間は確かに誰も疑わない、その心理をついてトリックに用いたのはさすがアガサクリスティだなと思わせられるし、いい意味での裏切りが好きなので、謎の婦人が被害者の一人娘の母親というオチに「あ、そういうことか〜」と思わせられた。古典的じゃなくてここから始まっていったんだと思いながら読むと本当に感慨深いし、こんな奇抜な筋書きを次々思いつくアガサクリスティは本当にすごいと思う。

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    2024年03月16日
  • 牧師館の殺人

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    初めてのアガサ・クリスティー作品でしたが、これほど有名で永く愛されている理由が一冊でわかる事に、まず感動しました!

    小さな村で起こった殺人事件をベースに村社会あるあるや人々の特徴などが、現代とあまり変わらない様子なので読んでいて古さを感じませんでした!
    警察以外の推理好きが紐解いていく様は名探偵コナンを連想してしまい、余計読みやすかったです!

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    2024年02月27日
  • 予告殺人〔新訳版〕

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    マープルシリーズも4冊目。犯人は当たる訳がない!でもヒントも出してたんだ~ある朝新聞に殺人予告記事が出される!10月29日18:30にリトル・パドックスで殺人が行われる。そこの住人のレティシアは困惑する。当日、銃声が3発、記事通り若い男性が死んだ。レティシアも耳に軽症を負う。自殺なのか他殺なのか?また、リトル・パドックスに住むレティシアの幼馴染が死んでいる。さらに、犯人に近づいた近所の住人も殺される。レティシアを巡る遺産相続。動機はその遺産だろう。複雑で入り組んだ人間関係で真相は理解できたけど、難しい。⑤

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    2024年02月18日
  • 木曜殺人クラブ 逸れた銃弾

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    木曜殺人クラブ3作め。
    いつものおじいちゃん、おばあちゃんが元気いっぱい活躍。哀愁を漂わせる場面もありますが、前向き力が半端無い。
    読みながらプフっと笑えるおもしろさが溢れてます。
    あまり殺人が無いところもステキ。
    この際筋書きは気にせず、キャラの濃さを味わって。
    のんびり休日の楽しみにしたいです。

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    2024年02月16日
  • アガサ・レーズンとけむたい花嫁

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    こんなに人間味溢れる探偵っていたかしら!大好きなアガサ・レーズンシリーズは今回も期待を裏切らない面白さ。若い子への嫉妬、手術を勧められているのを無視し続けている股関節の痛みにも耐え、幸せな結婚を夢見ては夢破れるけど、読者はほっとする。愛すべき探偵を支える友人や仕事仲間たち。このシリーズはジントニックを飲みながら、イギリス料理を食べながら読みたくなります。
    でも今回は探偵の自信を失くすアガサが出てきます。若いトニに主役を奪われるけど、やはりトニにはまだ圧倒的に経験が足りていないし、トニにはトニの良さがあるように、アガサにはアガサの良さがあるのに、自分のこととなるとアガサは冷静さがゼロになってしま

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    2024年01月17日
  • 秘密の花園【電子特典付き】

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     多くの大人にとっての扱いにくい子どもたちが扱いにくくなくなるまでの話。子どもの精神的成長の話。扱いにくい子どもになるにはそれなりの事情がありました。良い環境とは理解ある人が近くにいるということ。それが大人ならもっと良いね。そして友達も大事よね。という話。子どもに携わる人のためのバイブル的書物とまで思う。何がこの子達を変えたのか。主役は子どもだけど登場人物の大人たちから色々学べる一冊です。

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    2023年12月04日
  • 木曜殺人クラブ 逸れた銃弾

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    シリーズ第三弾。変わらず素敵な面々の活躍が楽しく読めます。彼らが今回挑むのは、犯罪を突き止めたらしいキャスターのべサニー・ウェイツが殺された十年前の事件。しかしそのさなか、エリザベスは謎の人物に拉致され、かつての同僚である旧友を殺すように脅迫される。ユーモラスさは健在ながらもハラハラドキドキが止まらない作品です。
    エリザベスは危機に陥り(でもきっと彼女は大丈夫と安心していました)、ロンは恋に落ち、イブラヒムはある人物に接触、そしてジョイスはいつも通りにいろんなことにわくわくしていて、本当に楽しいです。だけれどある人物の老いが進んでいくところは切なかったりも……老人たちがひたすら元気で前向きに思

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    2023年10月25日
  • 予告殺人〔新訳版〕

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    初めてのミス・マープルシリーズ。
    ドラマで見たことはあったのでストーリーは大まかに覚えていたけど、やはり活字を目で追いながら情景を想像するのはとても楽しい。
    個人的に一番好きなのはジュリア(エマ)。淡々としていて、可愛らしいところもあって、素性がバレても狼狽えず堂々と振る舞う。素直で無垢な子供のようだけどしっかりと自分の意思や考えを伝えることができる強く優しいバンチも好き。そしておっとりとしてロッキングチェアが似合いそうな老嬢ミス・マープルのラストの掃除道具入れ?の中に隠れてドーラの声を真似るという行動力と度胸は老嬢故の人生経験から得たものなのか、はたまた彼女の生まれ持った素質なのか。ミス・マ

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    2023年10月18日
  • 牧師館の殺人

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    ネタバレ

    あーあ、面白いミステリが読みたいなーーと思って助けてクリスティー!と読んだら…最&高!笑
    もー面白すぎる!これだよこれなんだよ〜〜!大満足。
    犯人わかった時本を取り落とすかと思った。
    この鮮やかな謎解きを待ってた。
    変にグロくもなく特殊な設定とか余計なものナシ、静かな村で起きたひとつの殺人を追うだけでノンストップで読み切らせる物語の上手さにひれ伏しちゃう。余計なものがないんだよねー!

    登場人物も多いから、読みながら推理するのも楽しいし、暇を持て余した老嬢(この単語すごい)たちの無益なおしゃべりも退屈すぎて笑える。

    さすがに時代が違いすぎて、物語の中で当たり前に過ぎてくこまかな描写が

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    2023年10月14日
  • 牧師館の殺人

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     愛すべきミス・マープルシリーズの長編一作目に当たる訳だが、マープルのお披露目には最適な作品である。
     マープルシリーズは短編からスタートしており、後々「火曜クラブ」が発売されるが、本当の意味でマープルの驚異的な推理力を知らしめられるのは「火曜クラブ」であり、長編としての面白さ、彼女がどの様な人物であるかを読み解くのであれば、今作「牧師館の殺人」が最適である。
     田舎の村、セント・メアリー・ミードで起きた殺人事件。長閑な場所で、十五年以上殺人等が起きていないこの土地で、一人の老紳士が牧師の家の書斎で頭を撃ち抜かれて殺害されている。若い画家が殺害を自供し、事件は解決されたかと思いきや、様々なトラ

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    2023年09月27日
  • 予告殺人〔新訳版〕

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    いやぁこれは!久々に「面白かった!」と声に出てしまいました。
    先に読んだ『火曜クラブ』にそこまでハマれず、ううむ私はミス・マープルよりポワロ派かも、と思いかけていましたが、こうして他の本にも手を出してよかったです。やっぱり長編の方が好きだなぁ。

    「殺人をお知らせします。……」
    開幕数ページで鮮やかに告知される"殺人"。小さな村の人々は、特に関心なんてありませんよという顔をして続々とミス・ブラックロックの屋敷であるリトル・パドックスに集います。

    私は基本的に、ミステリーを読む時に推理をしないタイプ。
    ただ純粋に、ああこれからどうなるんだろう、この人もあの人も怪しいな――と

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    2023年08月29日
  • 木曜殺人クラブ 二度死んだ男

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    2作目も面白かったし好きだった!
    日本人には馴染みがないジョークばかりで、これ理解したかったな〜と思うところが多かった。
    前作もだったけど、終盤はごちゃっとする。

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    2023年08月23日
  • 木曜殺人クラブ 二度死んだ男

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    シリーズ2作目。大好き!高齢者4人の魅力たっぷりの個性!!マフィア相手での立ち振る舞い!!反面、避けられない老いと、その年になったからこその良い面と諦め。ほんと読むのが楽しみなシリーズ。

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    2023年08月14日
  • アガサ・レーズンと毒入りジャム

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    アガサもずいぶんな人だけど、それ以外にもろくでもない人物ばっかり出てきてコッツウォルズのイメージがだいぶ変わりました。
    ところで最近は文庫本といえども1200円もするのですね!

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    2023年08月07日
  • 木曜殺人クラブ 逸れた銃弾

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    今回もとてもとても楽しい、ピカレスク小説。

    キャラクターの魅力や関係性で充分引き込まれるので、ミステリー要素は物語を動かす仕掛けのような印象。ただ、愉快なシーンにも謎が仕込まれていることに気づきませんでした。

    私の泣き所はスティーブン。今回は出番が多くて嬉しい、けれど悲しい部分もあって、読後もしばらく気持ちが持って行かれていました。

    4作目も早く読みたいな〜!
    でも彼らももう80代、一緒に歳をとっていきたい、でもずっと一緒に楽しんでいる姿を見ていたい。
    続きが気になるけど、どんどん読み進めていくのは躊躇われる気持ちもあります。

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    2023年07月25日
  • 高慢と偏見、そして殺人

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    母校が開催した公開講座「オースティンの世界」で紹介された本。
    原題[Death Comes to Pemberley(死がペンバリー館にやって来る)]よりも断然良い邦題だと思います。

    多少原作とは登場人物達の雰囲気が違うような気もしましたが、それは作者が違うからなのか、あれから六年経って彼らが成長したからなのか。
    まあ、些細な違和です。

    そしてミステリとしては…やられました。
    とりあえず「こいつが怪しい」と目をつけていた人物がいたのですが、違いました。

    貴族としての面子を保たなければならなかったり、家族を守らなければならなかったり、自分の都合を押し通したかったりといろいろな思惑が絡み合い

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    2023年07月01日