中野剛志のレビュー一覧
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『どうする財源』が暴く、日本財政の不合理と財務省の罪
戦後日本の財政運営をめぐる“常識”が、いかにして国の未来を縛り、衰退を招いてきたのか――。中野剛志氏の著書『どうする財源――貨幣論で読み解く税と財政の仕組み』は、その根本原因として、財務省による財政規律信仰と、それを無批判に受け入れてきた日本社会の病理を鋭く告発する一冊である。
著者が最も強調するのは、「貨幣とは負債である」という事実に立脚した、現代貨幣理論(MMT)的視点だ。政府が支出すれば、民間の預金が増える。つまり、財政赤字とは、民間の黒字なのだ。こうした貨幣の本質を無視し、「赤字は悪、黒字は善」とする財務省の均衡財政論は、前近代 -
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Posted by ブクログ
シュンペーターは経済学史において独自の位置を占めており、フリードマンやハイエクに代表される自由市場・新古典派的ないわゆる「右派」と、ケインズやサミュエルソンに代表される政府介入・総需要管理的な「左派」のいずれにも完全には収まらない、ユニークな存在だ。
〝創造的破壊“みたいな厨二病をくすぐる、強いインパクトの言葉が象徴するが、どのアプローチでもいずれ膠着していくはずの経済活動を動的なものにするのが、日々の努力が生むイノベーションである。
本書はそんな基礎的な部分から解説されるが、何だか必要以上に分かりやすく、しかもシュンペーター以上の主張が濁り、それがまた面白いのだが、それは著者が中野剛志だ -
Posted by ブクログ
私はデフレ、インフレもあまり理解できていないような素人ですが、この本の内容には驚きました。
そして、今まで政府がやってきたことが、全然役に立っていない、むしろ逆効果な事ばかりやっているとは。
たしかにデフレの対策とインフレの対策を比べると、インフレ対策の方が一般の人にはウケが良い気がする。
驚いたのは多くの著名な経済学者達もまともな理論を知らないと言う事。
意見をコロコロ変えたり、成果をあげれないことが多いとのこと。
経済学というのは確かな科学的根拠があると思っていたが、そもそも胡散臭い、内輪だけの理論が広まってしまっているのだろうか。
本当に恐ろしいなと思った。
なぜ政治家達がこのような過ち -
Posted by ブクログ
シュペングラーの「西洋の没落」を基に、現代の日本の危機を解説する。「西洋の没落」は、縮刷版を読もうとしたが、和訳が難解で意味不明である。そのため、中野氏の読み解きに頭が下がる。
「西洋の没落」を読むより、まずはこちらを読んだ方が良い。
「経済成長の終焉、グローバルシティ」
一極集中による地方衰退、現存在と覚醒存在、少子化。金融立国とか、カジノとか、観光立国とか、AIとか、既存のものを右から左で、何か人類に貢献したのか?ということ。
本当に人類に貢献できる発明は?足し算以外の発明方法は?仮説立案と自然の観察しかないのではないだろうか。
「ボストトゥルース」
小泉政権時代に日本がどれどけダメになっ -
Posted by ブクログ
昨年の夏(2023.7)に読み終えた本です、日本では長く続いたデフレ経済ですが、いよいよインフレの時代になってきたようです。そのような状況変化を踏まえて、インフレの歴史も解説してくれています。読み終わってから時間が経っているので、読み返して需要なポイントを確認しておきたく思います。
以下は気になったポイントです。
・2022年3月に、資産運用で最大手のブラックロックCEO(ラリー・フィンク)は、ロシアのウクライナ侵攻で、我々が過去30年にわたり経験してきたグローバリゼーションは終わりを迎えた、と記した。ポール・グルーグマンは「我々は、1914年(鉄道・蒸気船・電信ケーブルによる第一次グロー