中野剛志のレビュー一覧
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ネタバレ現在の行き過ぎた(と個人的には思っている)グローバリズム、自由主義経済については懸念を感じている。という意味では自分は保守なんだと思う。一方で、本書にも書かれている通り、本来反対すべきグローバリズムを今の保守派が進めているのは、やっぱり謎。
言葉の響きで単純に「よいもの」と思い込んでいるわけではないだろうし、必ずしも個人(および企業)が自己の利益のためのみに利用しているだけだもなさそうな。そんな謎に対する1つの考えも述べられています。
個人主義、民主主義の行き過ぎ、識字率、劣化(本書ではエリート・指導層の劣化とあったが、国民全体の劣化ともいえるのではないか?)といったいろんな要素を絡めて考えて -
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近代的な思想、価値観を揺らがされること請け合いの一冊。対談者の思想の根底にあるのは近代への懐疑であり、基本的には保守的な立場から議論が展開される。西部邁や中野剛志の書籍に慣れ親しんだ者にとっては、議論の出発点だけをみれば既知の内容も多々ある。しかし、対談形式で話が脱線するが故に、思わぬ内容に触れることもできるはずだ。中野信子からの視点は、議論に広がりと深みをもたらすのに大きく貢献している。
・人種・日本人
<性差・人種差は存在する>
「男女の脳に差はない」「人種間の能力に差はない」このような近代的な価値観は科学によって否定されつつある。男女の知能指数を統計的に比較すれば、女性は中央に多く分 -
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経済音痴の私にとって衝撃的。確かに今の世界は何かがおかしいとはぼんやりと感じていた。本書は、現代の格差の拡大や危機の恒常化の原因がグローバリズムにあり、それが社会を破壊していることを、5人の筆者が座談を通じてわかりやすく説いている。新自由主義(ネオリベラリズム)が制約のない自由として席捲し、隣国同士の経済戦争につながっていることは、EUに見られる。われわれは真の民主主義を守るために、各国がネーションごとにまとまり、独自に規制を定め、グローバリズムから脱却することが必要。しかし世界のエリートの大半はグローバリズムを正しい方向に導く道だと信じているとのこと。…ところで情報のグローバル化は避けられな
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ネタバレグローバリズム、新自由主義を否定的に捉えた一冊。
普段からグローバル至上主義とも言える風潮に浸っているため非常に新鮮な内容であった。
本書を通じて、グローバリズムの弊害を以下のように捉えた。
・格差拡大
国境を越えて経済活動がされるため、資本を持つ大企業が残り中小企業は潰れる。
さらに大企業の中でも資本家と労働者の格差が広がる。
(さらに生産量が増え供給力が上がることでデフレに繋がる)
また、同様に大国が富み、小国は貧しくなる。(搾取される)
本書では、「経済戦争」というワードが使われていたのが印象的。捉えようによっては経済を武器にした帝国主義なのではないか。
・伝統や人間関係の崩壊
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7人の著者によるTPPのデメリット、危険性を説く警告書。舌足らずな部分は見受けられるが、論旨自体はそれぞれ納得がいく。TPPは国家間の交渉ではなく、グローバル企業の利益誘導という漠然とした印象は間違っていなかった。
・アメリカの「年次改革要望書」(勧告書)は国家の主権の領域に及んでいた。
・非関税障壁=規制や制度
・国民皆保険制度の空洞化(公的医療保険の給付範囲の縮小)
・長谷川三千子:翻訳作業とは翻訳される言語と翻訳先の言語との間で綿密な概念の検討が行われ、双方ともに厳しい知的吟味にさらされる過程である。外来の語彙や概念が触媒となり、土着の文化が活性化され、発展し、多様化していく。
・日本 -
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資本主義制度で最悪の状態デフレの症状が説明され、その状態から脱却させる処方箋が書かれている。
インフレ経済から脱却する手法としてのデフレ・スキームをサッチャーなどが採用してきた過去の経験はあった。
インフレ退治するスキームであるデフレ・スキームをあろうことにデフレに悩む日本で数十年に渡って採用してきたと著者は指摘する。
ミンスキー、マリナー・S・エクルズ等の主張を参考に恐慌を突破する逆転の発想としてのレジーム・チェンジを先人の知恵を紹介しながら書かれたすぐれた著作である。
トックビルの言説を紹介し、自らこの本を出版したとしている。
とにかく、逆転の発想を紹介すべく、所謂、主流派経済学 -
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筆者は、冒頭、外圧を使い、TPPへの参加をヌケヌケという元外務省官僚を批難する。
そして、そのことは、新自由主義、グローバル化が霞が関官僚の官僚、政治家、経済界も含め、現代社会を大衆化させてしまった弊害だと論じているのである。
論説の、根拠は、スペインの哲学者オルテガ・イ・ガセットとマックス・ウェーバーの主張である。
引用されたウェーバーの一節を紹介。
官僚制が「非人間化」されればされるほど、それだけより完全に、官僚制は、資本主義に好都合なその独特な特質を発展させることになる。
ここで、より完全にというのは、官僚制が、愛や憎しみ、およびいっさいの純個人的な、総じて非合理的な、計算でき -
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デフレ脱却のための方法が書かれている。金融政策単独でのインフレターゲットの達成に懐疑的であることがわかる。実際に金融政策単独でのインフレターゲットの達成はむずかしいだろう。歴史的にもデフレからインフレへと金融政策単独でチェンジしたことはない。
そもそもインフレターゲットとは、インフレ下の国々で生まれ、インフレを退治するために利用されてきたものだからだ。岩田規久男やポール・クルーグマンがインタゲでインフレ期待を人々に抱かせて、デフレから脱却することを提案しているが、マネタリーベースの増加で銀行、借り手の期待を刺激するの難しいかもしれない。