中野剛志のレビュー一覧
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渋沢栄一、高橋是清、岸信介、下村治を中心に、明治から現代に至るまで経済を支えた人たちの思想を連ねている。プラグマティズム(聞き慣れない言葉)とナショナリズムという共通したところに軸をおきながら。
彼らは、それぞれの生きる時代の難題に、理論を盲信することなく実践の中で得られる洞察を発揮して、柔軟に対処し、日本の活路を見出し、偉業を成し遂げてきた。
経済に限らず、何かの理論や説を信じて突き進むのは楽だし、安寧である。
しかし完璧なものはなく、人は理論と実践を通して現実世界で起きる矛盾を延々と行き来し続けなければならない。(先人達の理論を学ぼうとしない人は、それもまた無政府的な理論を盲信している状 -
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2024/10/01「略奪される企業価値」☆
Predatory Value Extraction 略奪する 価値 抽出
ウィリアム・ラゾニック ヤン・ソプ・シン
株主価値最大化がInnovationを衰退させる
株主還元「高配当」「自社株買い」が株主分配率を引き上げる
賃金と投資は抑制され、成長エネルギーを喪失している
これは私の最近の持論 まさにこの通り
しかも新古典派経済学のインチキさと併せて糞味噌
ただ既成の学問として新古典派経済学は君臨している恐ろしさ
本書は大学院ゼミText並みのレベル ノートを取りながら熟読したい
2024/10/11「略奪される企業価値」☆
Predatory -
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中野剛志
1971年、神奈川県に生まれる。東京大学教養学部(国際関係論)卒業。エディンバラ大学よりPh.D(社会科学)取得。経済産業省産業構造課課長補佐を経て現在京都大学大学院工学研究科准教授。専門は経済ナショナリズム。イギリス民族学会Nations and Nationalism Prize受賞。主な著書に『国力論―経済ナショナリズムの系譜』(以文社)、『 自由貿易の罠―覚醒する保護主義』(青土社)、『TPP亡国論』(集英社新書)などがある。
国力とは何か―経済ナショナリズムの理論と政策 (講談社現代新書)
by 中野剛志
グローバル化の時代には、企業の利益と国民の利益が一致しな -
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新自由主義のようなリベラルな考え方が、実は同じような価値観を押し付ける帝国主義的な考え方ではないか?と言う視点は面白いと思いました。
とは言え、世界で盛り上がりを見せているナショナリズムが単純に正解と言うわけはなさそうですし、それぞれの国の文化や習慣と言った内的なものと、地政学など外的なものを、その国にとってベストな政策を選んでいく必要があると理解しました。
個人レベルの話としては、グローバル化により株価は上がっても、実際に多くの国民は苦しんでおり、一人一人は弱い国民が団結して中間団体を形成し、資本家や国に立ち向かうと言う形が必要なのかもしれませんが、それも今やなかなか難しそうです。
地域や -
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英語の言語としての大味さとか考えると、英語化は愚民化ってワードほんとそうだと思う。日本人に一番必要な能力は第一に国語力。その次に歴史とか数学とか幅広い知識教養が来て最後に英語だと思う。日本語を蔑ろにして、幼少期から英会話スクールとか通わせる親って残念ながら馬鹿しかいない。
中野 剛志(なかの たけし)
1971年、神奈川県生まれ。元・京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治経済思想。1996年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。2001年に同大学院より優等修士号、2005年に博士 -
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自分にとって本書の意義は2つある。
まず、軍事と経済が両輪であることを古今東西の多数の事例とともに再確認できる。
次に、国際関係論と経済学双方のリベラリズムのバーチャル性がよく分かる。そして対案提示される、空間・時間・人間の3つの「間」のリアリティに則した学問群を学べる。主なものは地政学、現代貨幣理論、制度経済学だが、ほかにもリスト、ケインズ、ミンスキー、ポランニーほか、枚挙に暇がないほど知の巨人達の言説を知ることができる。
グローバリゼーション下で忘れ去られた、もしくは忘れたふりをし続けてきた「間」のリアリティ。コロナとウクライナ侵攻で一気に吹き出した今こそ、「間」の再認識を迫る本書は意味を -
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定説とされてきた経済理論や考え方、政治家や経済学者などを鮮やかな理論でバッタバッタと斬り捨てる所はまさに痛快。
一方で、現代貨幣理論(MMT)の確からしさを読みながら感じつつも、現実にはまだ主流とはなっていないのも事実。経済の地動説だ、との話もあるように、一旦世の中に定着してしまった理論を覆すのは、きっとその理論に深く浸かっている人ほど難しいのだな、と感じた。
なんでも鵜呑みにせず、根本の視点から変えて考えて見ることの大切さをあらためて学べた。
自分自身、一読しただけではまだ完全に理解できていないので、アタマを整理しながら再読したい。
続きとなる戦略編にも期待。 -
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警告の書、世界経済という視点からグローバリズムという経済活動を検証する
グローバリズムがもたらしたものは、経済の自立を失い、国家主権さえ失ってしまう状況である。
EUは、グローバル資本主義のもとに完全な自由貿易、経済的国境の撤廃がもっとも進んでいる地域。
圏内で関税をなくし、通貨を統合した。しかし、その結果なにが起きたか。各国は通貨の切り下げなど金融緩和や財政出動もできず、独自の産業政策も不可能になりました。
EUでの勝者は、ドイツだ。ユーロ安でドイツの輸出産業は大いに潤った。経済危機に瀕した国々を低賃金で下請けのように使いユーロ圏がドイツにとって開かれた市場であることをフル活用している。
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ネタバレ昨年12月に刊行されたので、もうすぐ1年というところである。著者の書籍は初めて読んだが、その指摘がその後に起こった変化を含め現状をよくとらえている点に驚いた。
まず冒頭に「グローバリゼーションはリーマンショックで終わっていた」という衝撃的な主張が。確かにリーマンショック後、ロシアのジョージアやクリミア侵攻や中国の南沙諸島や尖閣への介入が強まる。この間、北朝鮮も核実験を加速させていた。一方のアメリカはオバマの下で融和政策を取り続けた。10年以上に渡る前段階があってから、ウクライナ戦争や習近平独裁確立によって現実的な脅威となった。グローバリゼーションが世界を平和にする、という主張は空想的だったこ -
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1990年代初頭の日本のバブル崩壊に始まる失われた30年。第二次安倍政権が声高く叫んだデフレ脱却のための3本の矢も、蓋を開ければ異次元の金融緩和による、金余りから端を発する株価上昇と輸出企業の円安メリット享受くらいだろうか。
冴えない日本経済と言う印象を持つなか、何気に取った本書は、眼から鱗が落ちるものだった。
馴染みのない社会科学と言う標題だが、副題の「組織改革の失敗」「自殺」「戦争」は、どれも現在世界や日本における問題であり、興味のあるテーマ。
中身は、古典比較的最近の経済学者の主張を、現代の問題点と結びつけて解説してくれている。
マックス・ウェーバー
なぜ組織改革は失敗するのか
効率