中野剛志のレビュー一覧
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政府は自国通貨を発行できるのに、なぜ課税をしているのか?→通貨の価値を保証するため。
MMTでは、お金の価値は政府が発行する通貨で納税できるからであると説明している。
財政赤字は当然。なぜなら政府支出が先にあり、民間に供給されたお金で税金を払うから。
国債発行→民間銀行の日銀当座預金(日銀が供給)から支払う。
なぜ、政府支出で民間銀行の民間口座に加えて、民間銀行の日銀当座預金が同額増える?それが増えると金利がなぜ下がる?それを防ぐために国債発行している。
分配無くして成長無し!
→消費性向から考えて、高所得者が溜め込んでいるよりも低取得者がお金を手にすることで社会の消費全体が増える。また、教育が不十分な家庭が教育費の支出拡大することで将来の成長につながる。
→インフレはお金の価値が下がること。したがって、格差が是正される方向にいく。
成長戦略による生産性の向上、それによる供給能力の増大は需給ギャップをさらに拡大。デフレ圧力を生んでしまう。あくまで需要の増大が重要。
コストプッシュインフレ(需要増ではなく外的要因でのコストアップ)とデマンドプルインフレの区別が非常に大事。前者には財政出動の減少はNGで、供給力アップのために財政出動する必要がある。
セーの法則では、財政出動を減らしても経済成長は阻害しない前提にたっているが、それがそもそも常識的に間違い
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バイデン政権の経済ナショナリズムへの政策転換を丁寧に説明しつつ、中国の(経済・軍事などの)ハイブリッド軍国主義の台頭から、今後の世界は新自由主義・小さな政府から、社会主義(生産過程の運営を何らかの公的機関に委ねる制度。あくまで経済学的な定義)・大きな政府に向かうであろう。
というのが本書の趣旨。
経済を軸に、地政学、外交、軍事などの要素も考察しながら論じられており、何度か繰り返して読まないとこの結論に至る理由が完全には理解できませんが、「本書で定義する社会主義」に向かうであろう。とする予測は、本書が出版された2021年11月以降、ロシアのウクライナへの侵攻によって、ますます強まっているようにも思います。
また、小さな政府を追求した日本は、骨太な国の政策を議論できる国体ではなくなっているという指摘は、非常に重たいです。
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今までは「今は、国債のほとんどを国内貯蓄で消化しているから金利は低いが、外国人が国債を買うようになったら金利が上昇する」と自分も思っていた。
しかし、赤字財政支出は、それと同額の民間貯蓄を生むのであって、民間貯蓄が財政赤字をファイナンスしているわけではないみたい。
これはやはり目からウロコ。
サミュエル・ハンチントンなどの保守派の知識人たちは、1970年のインフレは民主主義が過剰になったせいだとした。
ほんとは(ベトナム戦争による軍備費のかくちょう、石油危機による原油高、変動相場制によるドル安など)
新自由主義「グローバル化」は良くない。
移民により労働者の実質賃金の下落、雇用数の減少。
大企業だけが潤う
アメリカの民主党は、階級よりも「アイデンティティ」に焦点を当て、その結果「進歩的新自由主義」とかした。 -
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日本の低成長の原因はデフレ
デフレ脱却に失敗している政府のせい
グローバル化は供給力を強化するインフレ対策
日本政府がデフレ化におけるインフレ対策を続けてきたから
貨幣は物々交換や市場における取引ではなく、信用/負債の関係を起源としてる
銀行は貸し出しによって預金という貨幣を創造している「信用貨幣論」
「通貨は、納税の手段となることで、その価値を担保している」現代貨幣理論
貨幣供給量が増えるとマネタリーベースが増えるのであって、その逆ではない
銀行が国債を買い、政府が支出することで、その支出と同じだけ民間の預金が増える
銀行が手元の資金を貸し出しているわけではない
量的緩和政策では、貨幣供給量を増やしてデフレを克服することはできず、財政赤字を拡大して貨幣供給量を増やすしかない
デフレ脱却と経済成長には、財政支出を拡大する財政政策や、供給過剰を是正する産業政策が有効
政府の財政赤字は、民間部門の貯蓄によってファイナンスされているのではない。
したがって、民間部門の貯蓄の量が制約となって、財政赤字が拡大できなくなるということはありえない
政府の返済能力に限界はない。
財政赤字の制約を決めるのは、インフレ率(物価上昇率)ハイパーインフレになるのはだめ
自国通貨建の国債には返済不能に陥らない
外貨建て国債のデフォルトはある
無税国家はなぜいけないのか。
ハイパーインフレになるから。
税金が必要な理由はインフレが行き過ぎるのを防ぐため
税金とは物価調整の手段、財源確保の手段ではない
新自由主義は本来インフレ対策のイデオロギー
デフレ対策のイデオロギーは民主社会主義
感想
MMTについての本は今まで何冊か読んできたがやっと腑に落ちた気がした。
MMTは胡散臭い気がしてたが、ここまで具体的に書かれるとほんとに通用するのではないのかと考えさせられた -
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本書は第一部と第二部にわかれています。
第一部はインフレ/デフレの仕組みと経済対策についてかかれており、初心者向けだと思います。
第二部は今、日本の政治の経済対策への著者の意見になっており、少し深いと感じました。
初心者にとっては、第一部が勉強になります。
第二部は応用になりますが、全体的には初心者向けになっています。
投資もなにもしたことがない(興味がない)家族が読んでましたが、
「簡単な文章で書かれていて、わかりやすかった!」と言っていましたので、
普段から経済ニュースなど見てない人でも読めます。
本書は二部構成です。
第一部 経済の基礎知識をマスターしよう
第二部 経済学者たちはなぜ間違うのか?
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Posted by ブクログ
総評: 「アメリカ式経営」偏重に一石は投じるが、「じゃあ、日本はどうする?」は物足りないかと。
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読んでいる時は「ふむふむ」と納得しながら読めた。
(1) アメリカがイノベーションを生み出し繁栄したのは軍事産業のおかげ
(2)日本の「終身雇用」的な人事制度はイノベーションに必要な
「長期の濃密な人間関係」
を築く上では有効であり、必ずしも時代遅れで廃止しないといけないというようなものではない。
(3)アメリカは株主利益を偏重するがゆえに四半期(超短期)業績主義によってイノベーションの力はむしろ落ちている。
(4)日本の停滞の原因は金融政策の失敗と、(3)のアメリカ型ガバナンスを導入したことによってイノベーションが生まれなくなってしまったからだ
(5)日本は長期目線でイノベーションを生み出す「老舗企業」を増やすことを目指すべきだ
このような感じかと。
確かに、
「アメリカ型の超短期業績主義のガバナンス=イノベーションを生んでいる」
と短絡的に結びつけていたのでそれについては目線を変えることができた。
ただ残念なのは、そうは言っても現状、アメリカや中国の企業がどんどん売り上げを伸ばしていて、日本企業が売り上げを伸ばせていないのは事実なので、それに対して日本がどうしていくのかと言うアイデアがあまりなかったのは残念。
あくまでも
「なんでもアメリカの経営を真似したら日本も良くなるよ」
と言うことじゃないと言う目線を与えてくれた本であると思う。 -
Posted by ブクログ
経済って、壮大な社会実験のようなものなんだなと。
日本のように自国通貨を発行できる国では、どれだけ国債を発行しても財政は破綻しない。赤字財政の拡大によって民間貯蓄は増える。
これがMMTってやつですか?…と思ってググったら、著書中野剛志氏のダイヤモンドの記事が出てきたのでやはりそういうことらしい。
なんだか狐につままれたような感覚だが説得力はある。
中国のハイブリッド軍国主義という地政学的な脅威が、金融階級の政治的支配の打破による金融化の是正、そして長期停滞からの脱出の足掛かりとなる「経済政策の静かなる革命」を可能にした。
新自由主義に対する民主主義の勝利は、民主的プロセスやエリートの侃侃諤諤の議論ではなく、権威主義国家の覇権の脅威から生まれるというのはなんとも皮肉。
いずれの経済システムも、純粋な資本主義と純粋な社会主義のどこかにある。
赤字財政の拡大による、「社会をより良くする」(気候変動対策、感染症対策、貧困対策、防災インフラ整備…)ための資金投下。外国人労働者の受入抑制による労働力不足の慢性化がもたらす労働者の交渉力・賃上げ圧力の高まり。
それらが導くありようは「社会主義」化が進んだ資本主義の変異体である。センセーショナルだが納得感があった。 -
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ネタバレ本作は、官僚・評論家である中野剛志氏による、ドイツの歴史家シュペングラー『西洋の没落』の解釈本というのが端的な説明になると思います。
曰く、100年前に書かれたシュペングラーの著作には、現代社会の諸相(経済成長の鈍化、グローバリゼーション、地方の衰退、少子化、ポピュリズム、環境破壊、非西洋諸国の台頭、機械による人間の支配等々)を見事に言い当てており、その没落への過程は西洋文化ドップリの日本にとって参照に値するのではないかというもの。
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先ずもって賞賛したい点は、ドイツ語文献をよくぞここまで読み込んだなあということ。学生時代の私の僅かな原書購読体験では、実にドイツ語の思想系文献は長ったらしく冗長、強気な書きぶりなのに意味不明瞭、イマイチ曖昧で微妙な定式化(たとえば本作でも見られる『アポロン的』と『ファウスト的』、『現存在』と『覚醒存在』などの二元論)で語る、というような場合が多かったのです。私自身は『西洋の没落』は未読ですが、文章の端々から筆者が相当丁寧にドイツ語文献と取っ組み合ったことが感じられました。日本語で読んでいたとしてもその難解さは消えないと思います。
さて、内容的に私が面白いと感じたのは貨幣論の部分。
シュペングラーはゲーテ『ファウスト』を下敷きにして貨幣による支配を予言していたそうです。中野氏はこれは金融業界の拡大であると解釈しています。確かに、GDPに占める金融業の拡大は引用しているデータの通りでしょうが、更に1980年代からのインフレ抑制方向の金融政策が「ウォール街・財務省複合体」のもと実施され「アメリカも日本も、独裁的貨幣経済と化している」としています。
10年程前、格差拡大を背景に、支配的地位に君臨する金融家・政治家にモノ申す「ウォール街を占拠せよ」という抗議活動がありました。リーマンショック後の不景気にもかかわらず救済されたはずの金融機関の地歩がゆるぎなかったのは何故なのか。
私は中野氏がいう『世界中で広まったインフレ抑制政策』に陰謀論的なにおいを嗅ぎ取ってしまいました。ウォール街や金融機関は当然のことながらインフレになるとお金の価値(つまり貸し出しているローンの価値)が減ります。だからインフレを抑えようとするのでは?逆にデフレになるとローンの借り手は負担が増えますが、銀行の保有しているお金の価値は更に増します(物の価値が落ち、お金の価値が増える)。
また、信用創造に関する話も興味深いものでした。一般に過度な国の借金はよろしくないものですが、国とは無制限の貨幣創造の権利があるので、貨幣を国内で循環させる限りは問題がないとするものです(大分はしょっています)。もちろんインフレが起きればお金持ち(金融機関も)は損をするのですが、ある意味不況+借金漬けからの脱出にインフレというのは手なのかもしれません(もちろんうれしくないですが)。対照的な事例はユーロです。貨幣創造に手枷をしてしまったユーロは健全化のルールのもと借金もできず貨幣も刷れない(財政出動しづらい)形でどんどんデフレになり(今やマイナス金利)まさに貨幣に縛られた状態と言えるかもしれません。
こういう内容を読んでいると日本の借金漬けはひょっとして大丈夫なのか?とも思ってしまいます。。。
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他方、もし消化不良感を感じるとすれば、それは結論部分でしょうか。
『われわれは、この時代にうまれたのであり、そしてわれわれに定められているこの終局への道を勇敢に歩まなければならない。これ以外に道はない。希望がなくても、救いがなくても、絶望的な持ち場で頑張りとおすのが義務なのだ』(位置No.4060)
大分すっ飛ばして書きましたが、どうやらシュペングラーの主張は、文化も季節のごとく春→夏→秋→冬と栄枯盛衰的に推移するとしているようであります。しかもそれが不可避であり運命づけられているそうです(ニーチェの影響を受けただけはありますね)。ただ、これで終わると何というか、救いがないですよねえ。
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ということで、私は思想好きということもあり、全体面白く読みました。
哲学的歴史書を読み解き、その論旨を日本に当てはめて考えるというのはなかなかに困難な仕事であると思いますが、面白く読ませて頂きました。
没落を決めつけている点が(中野氏ではなくシュペングラーに対し)納得が行かない点ではあるものの、他方で栄枯盛衰・盛者必衰は、感覚的によくわかります。
私たちはいずれ死んでしまうわけですが、どうせいつか死んでしまうからと今努力を止めてしまう事はないと思います。皆さん必死で毎日を生きていると思います。類比的に考えれば、文明・文化・あるいは国が亡ぶ運命にあったとしても、現実に対峙して出来るだけよりよい方向へと形作るのは正しい姿なのかな、と感じました。その点では以下の文句はなかなか素敵です。
『没落の時代においては、真の哲学は、実際生活における実践経験の中にある』(位置No.3627) -
Posted by ブクログ
経産省で長らく勤務してきた作者が、日本経済にまつわる、ふわっとした著名人の提言を、バッサバッサと切り倒していく本作。
元マッキンゼーの赤羽氏、元BCGの冨山氏などのコメントに対し切り込んでいく。
近年の日本経済は、アメリカ(特にシリコンバレー)礼賛主義を強め、とにかく起業、テクノロジー、オープンイノベーションなどの推進を強く主張している。
しかし、実はアメリカの起業率はそれほど高くなく、軍事技術と密接に絡んだ一部IT企業は成功しているものの、経済の短期利益獲得競争により、経済としては疲弊、つまり成功とはいえない状態である。
そうしたものを盲信するのではなく、改めて日本型の経済を考える必要があるというのが筆者の主張。惜しむらくは、ではその日本型のあるべきは?というところに、もう少し意見が欲しかった。