中野剛志のレビュー一覧
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日本でも徐々に移民受入の議論が本格化する中、人道的立場から移民を受け入れてきた欧州で何が起こりつつあるのかを生々しく描き出した論考。
本書の内容は「西洋の自死」というタイトルが、恐ろしいほど端的に示している。その多くがイスラム教徒である移民を欧州が受け入れることにより、欧州が自明視していた価値観とは、決して普遍的なものではないことに欧州は気づき始める。そして、次第に問題はメタフィジカルな領域からフィジカルな領域へと移行する。例えば、それは欧州で移民を受け入れた地域で小児犯罪やレイプ等の犯罪率が顕著に増加したことに示されている。そして本書で看破されるのは、左翼的イデオロギーに染まった既存メディ -
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自由貿易というドグマは、なぜかくも強い影響力をもつのか。なぜ、それを疑うことすら許されないのか。
この謎を解く鍵となるのが、ドイツの政治経済学者フリードリヒ・リストである。
本書の目的は、このリストという人物の理論と実践を、彼の生涯とともに解釈することによって、我々が自由貿易というドグマから自由になることができない根本的な原因を明らかにすることである。
自由貿易を正当化する「リカードの定理」の、現実とかけはなれた条件について、特に、収穫逓増を捨象した主流派経済学を批判した。ポール・ローマーが先鞭をつけた「新成長理論」についても、各産業部門間の分業と結合が引き起こす収穫逓増という一般的な現象を -
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フリードリヒ・リスト。ドイツの経済学者。フランス革命の1789年にドイツで生まれ、1846年に自ら命を絶つことになる。
理論よりも、実践と実証に重きをおき、マキャベリの政治観に感銘を受ける。当時、主流であった近代合流主義の一派から拒絶されることになる。ヨーロッパに、資本主義的な考え方が広まっていく時代。合理主義の元に拡張を続ける世界。リストは国家が闇雲に拡張するよりも、基礎的な体力を付けることが大事だと訴えてきた。そこに現代の行きすぎた自由貿易への処方箋があるのではとも思う。
今も昔も既得権益の壁を越えることは容易ではないのですね。見方が変われば、それぞれに正義はあるのだろうけど。
国家 -
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「真説・企業論」中野剛志
1980年代以降の米国はベンチャー開業率が下がり続け、2009年以降では1997年の半分しかない。
アメリカの若者が起業する比率は下がり続け、2013年には1989年の三分の一に。
2015年の「Top100グローバルイノベーター」は日本企業は世界最多の40社。2年連続で米国を上回った。
米国の高卒以上比率は先進国中11位。25-34歳までの高卒以上率が55-64歳までのそれより低い唯一の国。
15歳を対象にした国際学力テストPISAでは、2012年の米国の順位は、読解力が24位、科学が28位、数学が36位。日本は、読解力が4位、科学が4位、数学が7位。
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エマニュエル・ドット氏と日韓の論客がグローバル資本主義のの行方を語ります。バブルとその崩壊を繰り返し、大企業によるの寡占化、短期利益を求めての目先のパイの奪い合い、株主はクリックひとつでやめられるが従業員はそうはいかない、国家という枠内でのガバナンスの欠如などの問題を洗い出し、それでもネオリベラリズムを支持するのはエリートが内向きな小さなグループに閉じこもって統治を放棄していると糾弾。
一般人もそれで良しとしてしまうのは、子供の頃貧しかった高齢者が今を豊かだと感じていることに加えて、ハンナ・アーレントの「全体主義の起源」を挙げて論じている。
2014年6月発売の本書ですが、ドット氏の「新自由主 -
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★論理に破たんがあるようには思えず★いまさらながらTPPが成立したので読んでみた。TPPで意味のある貿易相手は米国だけであり、この連携は米国の輸出拡大策でしかないと指摘。盲目的な米国追従の外交を批判する。確かにその通りでTPPの利点はいくら聞いても実際よく分からない。賛成派は「自由」という反論を許さない表現で押し切ろうとするが、勉強不足か本書にきちんと応える理屈を見たことがない。どうなるんだろうこの後。
ところで著者が京大准教授に出向したときの親分である藤井教授は、アベノミクスでの公共工事拡大の理論的支柱になった人だったはず(著者も同意見)。それがTPPでは全く反対というのは改めて面白いもん -
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世界金融危機以降の経済システムは、金融を成長の原動力として期待する事ができなくなり、低い経済成長率と高い失業率が続くであろうと予測し、このような停滞状況を「ニューノーマル」と名付けた。
19世紀末から20世紀初頭はベルエポック(良き時代)と呼ばれ、欧米諸国が繁栄を謳歌した華やかな時代とされているが、実際には当時の経済成長率は年間1~1.5%程度であり、しかも極端な格差社会であった。
WW1頃から1970年初頭までの60年間は先進諸国において格差が劇的に縮小した。それは富裕層が保有する資本が物理的に破壊されたのと、相続税や累進所得税が導入された為。さらにWW2以降になると労働組合の力が強まり -
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【どんな本?】 「官僚制化」する社会を様々な側面から描写した本。
特に、「官僚が悪い」といって改革を進める人たちこそが、その改革で「官僚制」を強めてしまうという逆説が面白い。「改革派官僚に騙されるな!」という帯タイトルがある。
【著者紹介】 (出典:wiki)
中野 剛志(なかの たけし1971年 - )日本の経産官僚、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構総務企画部主幹、評論家、元京都大学大学院准教授。研究分野は経済ナショナリズム、保守思想。著書「国力論」「TPP亡国論」「日本思想史新論」など
【オススメな点】
・著者は国内外の政治経済の見識が広い(近代の政治経済から現代の政治状況