中野剛志のレビュー一覧
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著者の主張している内容は、間違ったことはないとは思うが、すべて鵜呑みにするのは危険ではないか。
基本路線はアメリカの言いなりにならず、独立国家としての道をすすむべきだとの内容。
大手企業のグローバル化が進んでいるが、日本から多くのグローバル企業が出たからといって、日本の国益になるとは限らない。やはり平和ボケしている日本人の多くはアメリカは優しいと思っているのかもしれない。
この著者は多少過激な論調だが、やはり、日本の国益を真剣に考えるとこのような考え方になるのだろうか。北野さんあたりと同じような警告を発しているところは興味深いところもある。 -
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ネタバレ・欧州では長年,中東やアフリカからやってくる大量の移民を受け入れすぎた結果,負の側面が見えてきた.
・これはうちうちには懸念されていたことだが,移民の排斥は人種差別主義者や不寛容さの現れであると評される空気がば長く続き,真正面から向き合うことを避けてきた.そういう人はひどいレッテルを貼られ大きなバッシングを受けた.
・これが移民受け入れのさらなる緩和と対策検討の遅延を招いた.
・移民により社会の高齢化の抑止,労働力供給,多様性の実現など様々なメリットをもたらすという主張が絶えないが著者はいずれも否定している.
・その結果,欧州のアイデンティティ,文明が失われつつある.為政者含め欧州の人 -
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書き出しからして衝撃だ。
「欧州は自死を遂げつつある。少なくとも欧州の指導者たちは、自死することを決意した」
日本は、移民に対して閉ざされた国であると考えられてきた。しかし、OECD加盟国35カ国の外国人移住者統計(2015)によれば、日本は2015年に約39万人の移民を受け入れており、すでに世界第4位の地位を得ているのである。さらに、2018年6月、日本政府は、一定の業種で外国人の単純労働者を受け入れることを決定し2025年までに50万人超を想定しているという。そして、新たな在留資格を創設する出入国管理法改正案が閣議決定された。
ついに日本政府は、本格的な移民の受け入れへと舵をきった。はなは -
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欧州で右派が台頭する状況の背景がこの本を読むとわかった。少なくとも欧州で極右政党が一定の支持を集めるのを一部の経済的に恵まれず、情報が限られた人たちが煽られた反動だと感じていたことが、それほど単純ではないことがわかった。この本が欧州を含めて世界中でも比較的売れていて、トンデモ本のような扱いではないことから、ここに書かれた数字や発生した事件などの事実についてはおおよそ正しいことが書かれているのだろう。おそらくは著者も強くそして感情的でもある反論にさらされる可能性を強く感じていたからであろうか、事実については非常によく調査をされているし、現地にも足を運び実情を捉えようとしている。日本を含む海外にも
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日本でも徐々に移民受入の議論が本格化する中、人道的立場から移民を受け入れてきた欧州で何が起こりつつあるのかを生々しく描き出した論考。
本書の内容は「西洋の自死」というタイトルが、恐ろしいほど端的に示している。その多くがイスラム教徒である移民を欧州が受け入れることにより、欧州が自明視していた価値観とは、決して普遍的なものではないことに欧州は気づき始める。そして、次第に問題はメタフィジカルな領域からフィジカルな領域へと移行する。例えば、それは欧州で移民を受け入れた地域で小児犯罪やレイプ等の犯罪率が顕著に増加したことに示されている。そして本書で看破されるのは、左翼的イデオロギーに染まった既存メディ -
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自由貿易というドグマは、なぜかくも強い影響力をもつのか。なぜ、それを疑うことすら許されないのか。
この謎を解く鍵となるのが、ドイツの政治経済学者フリードリヒ・リストである。
本書の目的は、このリストという人物の理論と実践を、彼の生涯とともに解釈することによって、我々が自由貿易というドグマから自由になることができない根本的な原因を明らかにすることである。
自由貿易を正当化する「リカードの定理」の、現実とかけはなれた条件について、特に、収穫逓増を捨象した主流派経済学を批判した。ポール・ローマーが先鞭をつけた「新成長理論」についても、各産業部門間の分業と結合が引き起こす収穫逓増という一般的な現象を -
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フリードリヒ・リスト。ドイツの経済学者。フランス革命の1789年にドイツで生まれ、1846年に自ら命を絶つことになる。
理論よりも、実践と実証に重きをおき、マキャベリの政治観に感銘を受ける。当時、主流であった近代合流主義の一派から拒絶されることになる。ヨーロッパに、資本主義的な考え方が広まっていく時代。合理主義の元に拡張を続ける世界。リストは国家が闇雲に拡張するよりも、基礎的な体力を付けることが大事だと訴えてきた。そこに現代の行きすぎた自由貿易への処方箋があるのではとも思う。
今も昔も既得権益の壁を越えることは容易ではないのですね。見方が変われば、それぞれに正義はあるのだろうけど。
国家 -
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「真説・企業論」中野剛志
1980年代以降の米国はベンチャー開業率が下がり続け、2009年以降では1997年の半分しかない。
アメリカの若者が起業する比率は下がり続け、2013年には1989年の三分の一に。
2015年の「Top100グローバルイノベーター」は日本企業は世界最多の40社。2年連続で米国を上回った。
米国の高卒以上比率は先進国中11位。25-34歳までの高卒以上率が55-64歳までのそれより低い唯一の国。
15歳を対象にした国際学力テストPISAでは、2012年の米国の順位は、読解力が24位、科学が28位、数学が36位。日本は、読解力が4位、科学が4位、数学が7位。
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エマニュエル・ドット氏と日韓の論客がグローバル資本主義のの行方を語ります。バブルとその崩壊を繰り返し、大企業によるの寡占化、短期利益を求めての目先のパイの奪い合い、株主はクリックひとつでやめられるが従業員はそうはいかない、国家という枠内でのガバナンスの欠如などの問題を洗い出し、それでもネオリベラリズムを支持するのはエリートが内向きな小さなグループに閉じこもって統治を放棄していると糾弾。
一般人もそれで良しとしてしまうのは、子供の頃貧しかった高齢者が今を豊かだと感じていることに加えて、ハンナ・アーレントの「全体主義の起源」を挙げて論じている。
2014年6月発売の本書ですが、ドット氏の「新自由主 -
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★論理に破たんがあるようには思えず★いまさらながらTPPが成立したので読んでみた。TPPで意味のある貿易相手は米国だけであり、この連携は米国の輸出拡大策でしかないと指摘。盲目的な米国追従の外交を批判する。確かにその通りでTPPの利点はいくら聞いても実際よく分からない。賛成派は「自由」という反論を許さない表現で押し切ろうとするが、勉強不足か本書にきちんと応える理屈を見たことがない。どうなるんだろうこの後。
ところで著者が京大准教授に出向したときの親分である藤井教授は、アベノミクスでの公共工事拡大の理論的支柱になった人だったはず(著者も同意見)。それがTPPでは全く反対というのは改めて面白いもん