中野剛志のレビュー一覧
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世界金融危機以降の経済システムは、金融を成長の原動力として期待する事ができなくなり、低い経済成長率と高い失業率が続くであろうと予測し、このような停滞状況を「ニューノーマル」と名付けた。
19世紀末から20世紀初頭はベルエポック(良き時代)と呼ばれ、欧米諸国が繁栄を謳歌した華やかな時代とされているが、実際には当時の経済成長率は年間1~1.5%程度であり、しかも極端な格差社会であった。
WW1頃から1970年初頭までの60年間は先進諸国において格差が劇的に縮小した。それは富裕層が保有する資本が物理的に破壊されたのと、相続税や累進所得税が導入された為。さらにWW2以降になると労働組合の力が強まり -
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【どんな本?】 「官僚制化」する社会を様々な側面から描写した本。
特に、「官僚が悪い」といって改革を進める人たちこそが、その改革で「官僚制」を強めてしまうという逆説が面白い。「改革派官僚に騙されるな!」という帯タイトルがある。
【著者紹介】 (出典:wiki)
中野 剛志(なかの たけし1971年 - )日本の経産官僚、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構総務企画部主幹、評論家、元京都大学大学院准教授。研究分野は経済ナショナリズム、保守思想。著書「国力論」「TPP亡国論」「日本思想史新論」など
【オススメな点】
・著者は国内外の政治経済の見識が広い(近代の政治経済から現代の政治状況 -
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グローバル化とよく叫ばれる中でグローバル化を分かりやすく批判的のとらえた一冊。
読み進める前には国境が取り払われ、規制緩和が進む現代において、保護主義的な政策の重要性を説くのは一見ナンセンスに感じた。でも違った。決して保護主義政策をとって自国を鎖国状態にするということを主張しているのではなく、グローバル化の負の影響にも目を向ける必要性を訴えているように僕は感じた。なぜグローバル化が発生したのか?どうしてこれほど現代はグローバル化を謳うのか?グローバル化の正・負それぞれの影響は何か?こういった点を理解し、グローバル化の本質にせまる理解をしておくことが現代経済を見つめるためには必要だと感じた。
で -
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自由貿易で世界経済が復活するということに対して警告を発する。世界の経済成長率が、新自由主義が勃興する前後で約3%から1.5%へと落ちている事実など、必ずしも寄与していないという。日本では、小泉政権、そして安部政権でも、これを称賛する動きがあったのも事実。企業が儲かれば、法人税も沢山入り、国も潤うかもしれない。しかし、利益の代償として働く者の給料が減ってしまっては、企業栄えて、国滅ぶにならないだろうか。一部の富裕層のために、それはあるというのは、アメリカ、西欧を見て納得してしまう。自由主義という言葉から連想するのは、解放、個人かもしれないけど、成熟した個人ばかりの社会とは限らない。むしろ、大多数
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・日本はこれまでに12の国と地域とEPA/FTAを締結した。ペルーと基本合意、オーストラリア、GCCと交渉中、韓国とは中断、モンゴルと共同研究中。
・FTA締結国との貿易が総額に占める割合は、日本16%、韓国36%、アメリカ38%、EU30%。
・シンガポールを除くTPP参加国のすべてが一次産品輸出国のため、労働力や農産物の輸入を期待される。
・戦後の日本は、安全保障問題を人質にとられて、通商問題でアメリカに妥協を強いられてきた。1960年代の繊維交渉では、沖縄返還の見返りとして繊維の輸出を自主規制することになった。
・金融グローバリゼーションは、1980年代にアメリカが金融市場の自由化を進め -
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グローバル化=官僚制=大衆社会化=定量化
という定義のもと、議論を単純化して示しているため、
逆にくどさと分かりにくさを与えてしまった印象。
ただし、
成果主義や新自由主義などの定量化できるもののみを重視する態度は、極めて官僚的であり、非人間的、機械的である。それは現実世界を極めて表層的にしか捉えていない
という点については、非常に共感できる。
個別的でナショナルな自由民主政治を、その非効率・非定量・不透明さにもかかわらず、目指す必要があるが、その処方箋はない。
その面倒さに嫌気がさした市民が、独裁を標榜するような政治家が率いる集団に喝采を送ったりしてしまう。
民主主義を尊重する態度を続け -
Posted by ブクログ
グローバリゼーションが国際社会における常識のひとつになっている中、本書はそこに潜む危険性を改めて問い直す一冊である。
第一章の「自由貿易は好ましい」は本当か———では、
自由貿易推進者がその根拠にしている、ヘクシャー=オリーンの定理を例に、その論拠を徹底的に批判しています。
批判の対象となっているのが、ヘクシャー=オリーンの定理における前提条件。
・複数国それぞれが「完全雇用されている状態であること」
・生産要素(資本・労働)は国内の産業間を自由に移動でき、そのための調整費用もかからない。
・生産要素は国と国との国際的な移動もしない。
などなど。
つまり、今日のグローバル経済には全くあ