中野剛志のレビュー一覧
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バイデン政権の経済ナショナリズムへの政策転換を丁寧に説明しつつ、中国の(経済・軍事などの)ハイブリッド軍国主義の台頭から、今後の世界は新自由主義・小さな政府から、社会主義(生産過程の運営を何らかの公的機関に委ねる制度。あくまで経済学的な定義)・大きな政府に向かうであろう。
というのが本書の趣旨。
経済を軸に、地政学、外交、軍事などの要素も考察しながら論じられており、何度か繰り返して読まないとこの結論に至る理由が完全には理解できませんが、「本書で定義する社会主義」に向かうであろう。とする予測は、本書が出版された2021年11月以降、ロシアのウクライナへの侵攻によって、ますます強まっているように -
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今までは「今は、国債のほとんどを国内貯蓄で消化しているから金利は低いが、外国人が国債を買うようになったら金利が上昇する」と自分も思っていた。
しかし、赤字財政支出は、それと同額の民間貯蓄を生むのであって、民間貯蓄が財政赤字をファイナンスしているわけではないみたい。
これはやはり目からウロコ。
サミュエル・ハンチントンなどの保守派の知識人たちは、1970年のインフレは民主主義が過剰になったせいだとした。
ほんとは(ベトナム戦争による軍備費のかくちょう、石油危機による原油高、変動相場制によるドル安など)
新自由主義「グローバル化」は良くない。
移民により労働者の実質賃金の下落、雇用数の減少。
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日本の低成長の原因はデフレ
デフレ脱却に失敗している政府のせい
グローバル化は供給力を強化するインフレ対策
日本政府がデフレ化におけるインフレ対策を続けてきたから
貨幣は物々交換や市場における取引ではなく、信用/負債の関係を起源としてる
銀行は貸し出しによって預金という貨幣を創造している「信用貨幣論」
「通貨は、納税の手段となることで、その価値を担保している」現代貨幣理論
貨幣供給量が増えるとマネタリーベースが増えるのであって、その逆ではない
銀行が国債を買い、政府が支出することで、その支出と同じだけ民間の預金が増える
銀行が手元の資金を貸し出しているわけではない
量的緩和政策では、貨幣供給量 -
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本書は第一部と第二部にわかれています。
第一部はインフレ/デフレの仕組みと経済対策についてかかれており、初心者向けだと思います。
第二部は今、日本の政治の経済対策への著者の意見になっており、少し深いと感じました。
初心者にとっては、第一部が勉強になります。
第二部は応用になりますが、全体的には初心者向けになっています。
投資もなにもしたことがない(興味がない)家族が読んでましたが、
「簡単な文章で書かれていて、わかりやすかった!」と言っていましたので、
普段から経済ニュースなど見てない人でも読めます。
本書は二部構成です。
第一部 経済の基礎知識をマスターしよう
第二部 経済学者たちはな -
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総評: 「アメリカ式経営」偏重に一石は投じるが、「じゃあ、日本はどうする?」は物足りないかと。
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読んでいる時は「ふむふむ」と納得しながら読めた。
(1) アメリカがイノベーションを生み出し繁栄したのは軍事産業のおかげ
(2)日本の「終身雇用」的な人事制度はイノベーションに必要な
「長期の濃密な人間関係」
を築く上では有効であり、必ずしも時代遅れで廃止しないといけないというようなものではない。
(3)アメリカは株主利益を偏重するがゆえに四半期(超短期)業績主義によってイノベーションの力はむしろ落ちている。
(4)日本の停滞の原因は金融政策の失敗と、(3)のアメリカ型ガバ -
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経済って、壮大な社会実験のようなものなんだなと。
日本のように自国通貨を発行できる国では、どれだけ国債を発行しても財政は破綻しない。赤字財政の拡大によって民間貯蓄は増える。
これがMMTってやつですか?…と思ってググったら、著書中野剛志氏のダイヤモンドの記事が出てきたのでやはりそういうことらしい。
なんだか狐につままれたような感覚だが説得力はある。
中国のハイブリッド軍国主義という地政学的な脅威が、金融階級の政治的支配の打破による金融化の是正、そして長期停滞からの脱出の足掛かりとなる「経済政策の静かなる革命」を可能にした。
新自由主義に対する民主主義の勝利は、民主的プロセスやエリートの侃侃 -
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ネタバレ本作は、官僚・評論家である中野剛志氏による、ドイツの歴史家シュペングラー『西洋の没落』の解釈本というのが端的な説明になると思います。
曰く、100年前に書かれたシュペングラーの著作には、現代社会の諸相(経済成長の鈍化、グローバリゼーション、地方の衰退、少子化、ポピュリズム、環境破壊、非西洋諸国の台頭、機械による人間の支配等々)を見事に言い当てており、その没落への過程は西洋文化ドップリの日本にとって参照に値するのではないかというもの。
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先ずもって賞賛したい点は、ドイツ語文献をよくぞここまで読み込んだなあということ。学生時代の私の僅かな原書購読体験では、実にドイツ語の思想系文献は長った -
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経産省で長らく勤務してきた作者が、日本経済にまつわる、ふわっとした著名人の提言を、バッサバッサと切り倒していく本作。
元マッキンゼーの赤羽氏、元BCGの冨山氏などのコメントに対し切り込んでいく。
近年の日本経済は、アメリカ(特にシリコンバレー)礼賛主義を強め、とにかく起業、テクノロジー、オープンイノベーションなどの推進を強く主張している。
しかし、実はアメリカの起業率はそれほど高くなく、軍事技術と密接に絡んだ一部IT企業は成功しているものの、経済の短期利益獲得競争により、経済としては疲弊、つまり成功とはいえない状態である。
そうしたものを盲信するのではなく、改めて日本型の経済を考える必