中野剛志のレビュー一覧

  • 変異する資本主義

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    バイデン政権の経済ナショナリズムへの政策転換を丁寧に説明しつつ、中国の(経済・軍事などの)ハイブリッド軍国主義の台頭から、今後の世界は新自由主義・小さな政府から、社会主義(生産過程の運営を何らかの公的機関に委ねる制度。あくまで経済学的な定義)・大きな政府に向かうであろう。
    というのが本書の趣旨。

    経済を軸に、地政学、外交、軍事などの要素も考察しながら論じられており、何度か繰り返して読まないとこの結論に至る理由が完全には理解できませんが、「本書で定義する社会主義」に向かうであろう。とする予測は、本書が出版された2021年11月以降、ロシアのウクライナへの侵攻によって、ますます強まっているように

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    2022年06月13日
  • 楽しく読むだけでアタマがキレッキレになる 奇跡の経済教室【大論争編】

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    奇跡の経済教室三部作の三つ目。矢野財務事務次官の「論文」を題材に、経済政策のあり方を考える本。
    インフレには2種類ある。コストプッシュインフレとデマンドプルインフレ。この2つの違いとコントロールの仕方を丁寧に解説していて、よく理解できた。

    しかし、どうやったら日本はプライマリーバランス黒字化至上主義から脱せるのだろうか…?

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    2022年05月19日
  • 西洋の自死―移民・アイデンティティ・イスラム

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    西洋の移民政策の現実を書いた本。
    この本の論点
    ①移民の受け入れは悪くないが受け入れすぎることによって、西洋的な価値観や文化の破壊に繋がる

    ②移民受け入れは人口の減少の歯止めになるが、出生率を上げるなどの対策をまずやるべき

    ③移民政策への提言は全て人種差別と捉えられてしまうため、適切な議論ができない。

    ④寛容な多文化主義を容認した結果、宗教原理主義に敗北してしまう。
    (その人たちの声は大きく、批判すると殺されかねない)

    ⑤欧州は植民地政策の過去を原罪と捉えており、メディアや政治家によって、今でもその罪を背負わされている

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    2022年04月17日
  • 全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】

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    今までは「今は、国債のほとんどを国内貯蓄で消化しているから金利は低いが、外国人が国債を買うようになったら金利が上昇する」と自分も思っていた。
    しかし、赤字財政支出は、それと同額の民間貯蓄を生むのであって、民間貯蓄が財政赤字をファイナンスしているわけではないみたい。
    これはやはり目からウロコ。

    サミュエル・ハンチントンなどの保守派の知識人たちは、1970年のインフレは民主主義が過剰になったせいだとした。
    ほんとは(ベトナム戦争による軍備費のかくちょう、石油危機による原油高、変動相場制によるドル安など)

    新自由主義「グローバル化」は良くない。
    移民により労働者の実質賃金の下落、雇用数の減少。

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    2022年03月27日
  • 目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】

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    日本の低成長の原因はデフレ
    デフレ脱却に失敗している政府のせい
    グローバル化は供給力を強化するインフレ対策
    日本政府がデフレ化におけるインフレ対策を続けてきたから
    貨幣は物々交換や市場における取引ではなく、信用/負債の関係を起源としてる
    銀行は貸し出しによって預金という貨幣を創造している「信用貨幣論」
    「通貨は、納税の手段となることで、その価値を担保している」現代貨幣理論
    貨幣供給量が増えるとマネタリーベースが増えるのであって、その逆ではない
    銀行が国債を買い、政府が支出することで、その支出と同じだけ民間の預金が増える
    銀行が手元の資金を貸し出しているわけではない
    量的緩和政策では、貨幣供給量

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    2022年03月25日
  • 目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】

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    本書は第一部と第二部にわかれています。
    第一部はインフレ/デフレの仕組みと経済対策についてかかれており、初心者向けだと思います。

    第二部は今、日本の政治の経済対策への著者の意見になっており、少し深いと感じました。

    初心者にとっては、第一部が勉強になります。
    第二部は応用になりますが、全体的には初心者向けになっています。
    投資もなにもしたことがない(興味がない)家族が読んでましたが、
    「簡単な文章で書かれていて、わかりやすかった!」と言っていましたので、
    普段から経済ニュースなど見てない人でも読めます。

    本書は二部構成です。
    第一部 経済の基礎知識をマスターしよう
    第二部 経済学者たちはな

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    2022年03月18日
  • 真説・企業論 ビジネススクールが教えない経営学

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    総評: 「アメリカ式経営」偏重に一石は投じるが、「じゃあ、日本はどうする?」は物足りないかと。
    ーーーーー

    読んでいる時は「ふむふむ」と納得しながら読めた。

    (1) アメリカがイノベーションを生み出し繁栄したのは軍事産業のおかげ

    (2)日本の「終身雇用」的な人事制度はイノベーションに必要な

    「長期の濃密な人間関係」

    を築く上では有効であり、必ずしも時代遅れで廃止しないといけないというようなものではない。

    (3)アメリカは株主利益を偏重するがゆえに四半期(超短期)業績主義によってイノベーションの力はむしろ落ちている。

    (4)日本の停滞の原因は金融政策の失敗と、(3)のアメリカ型ガバ

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    2022年01月11日
  • 全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】

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    先日の「基礎知識編」に続いてこちら「戦略編」も読んでみました。なかなか興味深い。
    内容は「経済教室」というより、経済政策のベースとなっている「思想(イデオロギー)」と「政治」、具体的には「グローバリズム」と「民主政治」の関係と、その日本および米・欧における現在の状況の解説なのですが、とても端的に分かりやすくまとめてくれていると思います。分かりやす過ぎて危険かもしれませんが、個人的には著者の整理の仕方に大筋違和感ありません。かなり頭の整理になりました。

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    2022年01月05日
  • 変異する資本主義

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    経済って、壮大な社会実験のようなものなんだなと。

    日本のように自国通貨を発行できる国では、どれだけ国債を発行しても財政は破綻しない。赤字財政の拡大によって民間貯蓄は増える。
    これがMMTってやつですか?…と思ってググったら、著書中野剛志氏のダイヤモンドの記事が出てきたのでやはりそういうことらしい。
    なんだか狐につままれたような感覚だが説得力はある。

    中国のハイブリッド軍国主義という地政学的な脅威が、金融階級の政治的支配の打破による金融化の是正、そして長期停滞からの脱出の足掛かりとなる「経済政策の静かなる革命」を可能にした。
    新自由主義に対する民主主義の勝利は、民主的プロセスやエリートの侃侃

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    2021年12月08日
  • 目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】

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    今更ながらなのですが、MMT論者の人たちの主張を分かりやすく解説した本は無いかと思い買ってあったもの。
    買ったのは少し前で、しばらく積ん読になっていたのですが、読んでみたらこれが何とも分かりやすい。いや、おかげでよく理解でき、続編の『戦略編』も読んでみたくなりました。

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    2021年12月06日
  • 小林秀雄の政治学

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    一見、関係のないように思われるところを、全体的な観点で捉え直し、特に丸山眞男との比較がとても興味深い考察だった。

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    2021年12月01日
  • 目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】

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    現代貨幣論MMTについての理屈をおおよそ理解できた。誰それは間違えている。。という論調なしで書かれてたらもっとよかったのに。。と感じる。

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    2021年11月30日
  • 日本の没落

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    ネタバレ

    本作は、官僚・評論家である中野剛志氏による、ドイツの歴史家シュペングラー『西洋の没落』の解釈本というのが端的な説明になると思います。

    曰く、100年前に書かれたシュペングラーの著作には、現代社会の諸相(経済成長の鈍化、グローバリゼーション、地方の衰退、少子化、ポピュリズム、環境破壊、非西洋諸国の台頭、機械による人間の支配等々)を見事に言い当てており、その没落への過程は西洋文化ドップリの日本にとって参照に値するのではないかというもの。

    ・・・
    先ずもって賞賛したい点は、ドイツ語文献をよくぞここまで読み込んだなあということ。学生時代の私の僅かな原書購読体験では、実にドイツ語の思想系文献は長った

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    2021年11月24日
  • 思想の免疫力

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    ネタバレ

    藤井先生のコロナ解説。あれは正しいのか?ネットの対談記事を見つける。この二人が否定している。思わず読み込む。直観はあたっていた。わからないものはとりあえず怖がるでいい。書籍を読む。全編を貫く「小林秀雄論」。「政治とは技術である。その時々の政治状況に臨機応変に対応できる知恵が大事」「人間は環境の制約の内にあり、それと格闘することに自由がある」「人は暗黙知の一部しか汲み出せない。だから言葉には限界がある」・・コロナ楽観論の否定だけではない。「考えるヒント」が散りばめられている。直観があたるという意味も知る。

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    2021年10月25日
  • 真説・企業論 ビジネススクールが教えない経営学

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    経産省で長らく勤務してきた作者が、日本経済にまつわる、ふわっとした著名人の提言を、バッサバッサと切り倒していく本作。

    元マッキンゼーの赤羽氏、元BCGの冨山氏などのコメントに対し切り込んでいく。

    近年の日本経済は、アメリカ(特にシリコンバレー)礼賛主義を強め、とにかく起業、テクノロジー、オープンイノベーションなどの推進を強く主張している。

    しかし、実はアメリカの起業率はそれほど高くなく、軍事技術と密接に絡んだ一部IT企業は成功しているものの、経済の短期利益獲得競争により、経済としては疲弊、つまり成功とはいえない状態である。

    そうしたものを盲信するのではなく、改めて日本型の経済を考える必

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    2021年09月29日
  • 真説・企業論 ビジネススクールが教えない経営学

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    失われた平成の30年が、どれだけ間違った方向へ進められていたのか・・・中野先生の視点は「鋭い!」と感じさせられます。
    失われた30年を取り戻す「令和」に時代を作れるのか?
    早々に世代交代を望みたいと思います。

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    2021年06月25日
  • マンガでわかる 日本経済入門

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    【こういう手がありますね】
    奇跡の経済教室の漫画版です。
    活字を読まない人でも漫画であればとっつきやすいですね。

    家計や企業の決算であればわかりやすいのですが、マクロ経済では規模が大きくだれも正解がわかっていないのも事実です。

    ただ、デフレ対策が間違っていてうまくいっていないのはよくわかります。

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    2021年03月17日
  • 真説・企業論 ビジネススクールが教えない経営学

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    ■メインテーマ
    アメリカのベンチャー企業やいのへに関する恐るべき実態と根の深い問題とは?

    ■著者の主張
    共同体的な組織や長期的な人間関係からイノベーションが生まれるのだが、ベンチャー企業などの短期的で流動化した市場環境を推奨する動きが日本にはある。

    ■学び
    何百年も生き残っている老舗企業のサバイバル力に目を向けるべきだが、日本企業は地味で保守的な印象を生む。だから多くの人は、突然現れた勢いがあるベンチャー企業に目がいってしまいそのイメージにより、イノベーションは日本では生まれにくいとなったのだろう。

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    2021年03月03日
  • 全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】

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    基礎編よりやや熱が(笑)
    政治的なイデオロギーとインフレ・デフレの話はとても面白かった。幹になる考え方を物凄くシンプルに伝える本。

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    2021年02月22日
  • 全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】

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    ここまでデフレが続くなか、エリート達が考えを改めない理由に納得した。
    経済的な話だけでなく、そういった精神面からのアプローチで今の現状を分析しているあたり非常に参考になった。

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    2021年02月01日