関岡英之の一覧
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ユーザーレビュー
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7人の著者によるTPPのデメリット、危険性を説く警告書。舌足らずな部分は見受けられるが、論旨自体はそれぞれ納得がいく。TPPは国家間の交渉ではなく、グローバル企業の利益誘導という漠然とした印象は間違っていなかった。
・アメリカの「年次改革要望書」(勧告書)は国家の主権の領域に及んでいた。
・非関税
...続きを読む障壁=規制や制度
・国民皆保険制度の空洞化(公的医療保険の給付範囲の縮小)
・長谷川三千子:翻訳作業とは翻訳される言語と翻訳先の言語との間で綿密な概念の検討が行われ、双方ともに厳しい知的吟味にさらされる過程である。外来の語彙や概念が触媒となり、土着の文化が活性化され、発展し、多様化していく。
・日本人の秩序感覚。
・日本人の創造性の高さ。良質な中産階級の存在。日本語文化の肥沃さ。
・日本は貿易依存度が低い内需大国。
・グローバル化と国家主権は両立しがたい。※国家の経済制御権の確保は安全網として重要?
Posted by ブクログ
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TPPってよくわからないけど、グローバル化が世の中の流れだし、交渉参加賛成!という方はぜひ。
コメなどの農業分野のみに矮小化されて報道されることが多いTPPだが、米国の狙う本丸は実は「金融」「投資」「医療」。
これらの分野が開放された場合に私達の生活はどうなるのか?締結された後、知らなかったで済む
...続きを読むことなのか?良くなることって果たして・・・
日本のマスコミには、今後これらの分野に関する具体的でわかりやすい報道を期待してしまう?(=なんで詳しく報道しないのかといぶかってしまう)そんな内容の本です。
Posted by ブクログ
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確かに,巷では「『規制』の裏側で甘い蜜を吸い続ける既得権者が…官僚が…」の類の話が焦点化され過ぎてて,規制を緩和・解除することによって国内にどれだけの影響があり,はたまた某国がどれだけの利益を貪ることができるのかといったような議論はあまり表に出てこないような気がする。これも某国のプロパガンダの一環
...続きを読むなのか。
結局,我が国がどうとか言う前に某国の国際戦略が凄過ぎるのだろう。こんなにしてしまって。。。TPP反対派になってしまった。
Posted by ブクログ
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「拒否できない日本」「奪われる日本」で米国の年次改革要望書の問題を取り上げた作者がTPPを農業、医療を中心に論じた。
小泉「改革」にこりない日本人はまたTPPという「平成の改革」に乗ってしまうのか。作者は「炭鉱のカナリヤ」よろしく危機を訴える。
TPPの問題は米国と中国の思惑の中で日本の制度のみなら
...続きを読むず国土まで切り売りされる危険性をはらんでいるのだ。
東日本震災で疲弊した日本に迫りくる危機を「世界の趨勢」だとか「バスに乗り遅れるな」といったワンフレーズで甘受してはいけない。
Posted by ブクログ
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著者は銀行員を勤めた後、独立した方。4年前の民主党政権時代に書かれた本だが、タイトルがわかりにくかったのでTPPがテーマとは気がつかなかった。TPPはもう妥結してしまったが、国民の代表である国会の批准はこれからだから、まだ読む価値はあるだろうと思った。
1989年の宇野・ブッシュ会談で合意されて、
...続きを読む日米構造協議が2年間行われた。1993年の宮澤・クリントン会談で日米経済包括協議を合意したのを受けて、年次改革要望書が翌94年から開始された。95年からは保険分野の市場開放を目的とした郵政民営化があげられている。民間保険市場は95年に法律が改正されて開放され、2000年前後には9社の中小生命保険会社が経営危機に陥って外資系に買収された。2001年の小泉・ブッシュ会談で「成長のための日米経済パートナーシップ」に変わり、年次改革要望書は2008年の麻生政権まで続いた。
日米経済包括協議の一環として「投資・企業間関係作業部会」(後に日米投資イニシアティブ)が設置され、1998年にアメリカから提示された提言には、M&A、労働、土地の3分野18項目があげられていた。M&Aの分野では、連結納税、株式持ち合いの解消(時価評価制度)、企業統治(社外取締役制度など)、M&A(三角合併)、会計制度(減損会計)、会社倒産手続き(会社更生法の改正、産業再生機構を設立)、労働分野では、労働市場の流動性を高めることを目的とした確定拠出型年金制度、労働者派遣事業の自由化、土地の分野では、賃貸契約の規制緩和(提起借家制度)、不動産証券化(日本版REIT)が小泉政権までに実現した。
民主党政権に代わって、蓮舫大臣が主管する行政刷新会議の下に規制・制度改革分科会が2010年3月に設置されたが、これは後にTPP参加交渉とリンクされた。さらに、2011年2月に日米経済調和対話が開始されて、三位一体として推進されるようになった。
2011年の日米経済調和対話でアメリカ側から示された関心事項からは、攻略目標が農協と医療に移ったことがわかる。農業の小項目には、残留農薬問題、有機農作物、食品添加物、ゼラチンが、医療では医薬品・医療機器があげられている。農協については、金融部門を分離することが掲げられており、郵便公社の4分社化と同じ目的。医療の事後チェックとは、患者が自己責任で治療を選び、被害にあった場合は裁判で解決すること。
アメリカのグローバル化戦略は、1980年代のGATTウルグアイ・ラウンドで、金融・情報・通信などのサービスや、商標・特許などの知的財産権の維持・強化に重点を移し、1990年代のクリントン政権では、資本移動の自由化や国内規制の撤廃を迫るようになった。NAFTAでは投資分野においてアメリカのルールを盛り込むことに成功したが、WTOでは各国の危惧を招いて部分的成功にとどまった。OECDでも多国間投資協定(MAI)の成立を画策したがフランスが離脱し、米州自由貿易地域(FTAA)でもブラジルが反発して、いずれも失敗した。TPPでも、投資条項は当初の参加4カ国の協定には存在せず、アメリカが持ち込んだもの。
ISD条項は、外国資本が相手国政府に損害賠償を請求する手段として用意されたもの。審理は世界銀行傘下の国際投資紛争解決センター(ICSID)で非公開で行われ、強制力を持ち、上訴することもできない。ISD条項はNAFTAで導入されたが、WTO、OECD、FTAAの失敗の原因となったが、米韓EPAで盛り込まれた。NAFTAでISD条項を受諾したカナダは、ガソリン添加物の神経有毒物質を禁止した規制が撤廃に追い込まれたり、水の大量輸出を禁止したBC州が損害賠償を請求されたりしている。
前半の日米構造協議に始まる歴史、小泉政権で次々に実現した政策や民主党政権下の規制・制度改革の実体、郵政民営化と農協改革の目的などは勉強になった。アメリカの要求はアメリカの関連業界の思惑に基づいている。アメリカの要求が日本の国益に資するものであればアドバイスとして参考にすればいいが、日本にプラスになった具体例を著者は思いつかないと書いている。「同盟のコスト」がいかに大きいかを改めて知らされた。
Posted by ブクログ
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