関岡英之のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
7人の著者によるTPPのデメリット、危険性を説く警告書。舌足らずな部分は見受けられるが、論旨自体はそれぞれ納得がいく。TPPは国家間の交渉ではなく、グローバル企業の利益誘導という漠然とした印象は間違っていなかった。
・アメリカの「年次改革要望書」(勧告書)は国家の主権の領域に及んでいた。
・非関税障壁=規制や制度
・国民皆保険制度の空洞化(公的医療保険の給付範囲の縮小)
・長谷川三千子:翻訳作業とは翻訳される言語と翻訳先の言語との間で綿密な概念の検討が行われ、双方ともに厳しい知的吟味にさらされる過程である。外来の語彙や概念が触媒となり、土着の文化が活性化され、発展し、多様化していく。
・日本 -
Posted by ブクログ
著者は銀行員を勤めた後、独立した方。4年前の民主党政権時代に書かれた本だが、タイトルがわかりにくかったのでTPPがテーマとは気がつかなかった。TPPはもう妥結してしまったが、国民の代表である国会の批准はこれからだから、まだ読む価値はあるだろうと思った。
1989年の宇野・ブッシュ会談で合意されて、日米構造協議が2年間行われた。1993年の宮澤・クリントン会談で日米経済包括協議を合意したのを受けて、年次改革要望書が翌94年から開始された。95年からは保険分野の市場開放を目的とした郵政民営化があげられている。民間保険市場は95年に法律が改正されて開放され、2000年前後には9社の中小生命保険会社 -
Posted by ブクログ
1章 中野剛志
日米同盟と自由貿易について。冷戦終結前後での意味合いの変化。米中関係の変化。
2章 関岡英之
日米構造協議、改革要望書に始まるアメリカによる日本の構造改革。
6章 施光恒
日本語による近代化の意義、明治日本の近代化における英語による近代化か日本語による近代化かの議論。
TPPによって壊される日本の良さとは
7章 柴山桂太
グローバル化の波。20世紀転換期、第一世界大戦、第二次世界大戦等。
グローバル化と国家主権の制限
などが各章のキーワードかな。3、4、5章は知識不足から少し難しかった。他の4人は他の書籍や講演などで背景知識もあり、とても読みやすかった。 -
Posted by ブクログ
最近もニュースで話題になっているTPP問題に鋭く斬り込んだ、関岡英之の著書。
中野剛志の「TPP亡国論」もそうだが、本書を読むとTPP賛成派の意見が怒りを通り越して滑稽にすら思える。
日本の新自由主義者たちの売国ぶりを確認させてもらえるとともに、アメリカという国の国家戦略のすごさにあらためて関心してしまった。
TPP問題で最大の争点になっている農業だが、アメリカは1960年代から自国の余剰穀物・畜産物を日本に消費させるための、エビデンス作り・農水省への圧力・パン食のPR・外圧などを巧みに合わせながら日本の農業を弱めていったことが分かる。
TPP締結後、一説によると日本の自給率は40%(現 -
Posted by ブクログ
7名の方々がTPPについて反対の方向で書いているので、合意に至ってしまった現在、どうなっていくのか非常に気になる。
また、新聞・マスコミが取り上げる内容がいかに偏っているかを改めて認識。一般市民が得られる情報って限られるので、「興味を引くための内容」を掲載するのではなく、「国民が知っておくべき内容」を載せて欲しいものです。
個人的には、
・施 光恒さんの「棲み分け型の多文化共生」という考えが好き。
各国、各地域毎にそれぞれ自前のやり方があり、それらを尊重しながら、各国と交流する。良いところは積極的に学んで自国に合うように翻訳して還元する。
・やはり「日本良さって何だろう?」ともう一度考え直し