中野剛志のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
グローバリゼーションが国際社会における常識のひとつになっている中、本書はそこに潜む危険性を改めて問い直す一冊である。
第一章の「自由貿易は好ましい」は本当か———では、
自由貿易推進者がその根拠にしている、ヘクシャー=オリーンの定理を例に、その論拠を徹底的に批判しています。
批判の対象となっているのが、ヘクシャー=オリーンの定理における前提条件。
・複数国それぞれが「完全雇用されている状態であること」
・生産要素(資本・労働)は国内の産業間を自由に移動でき、そのための調整費用もかからない。
・生産要素は国と国との国際的な移動もしない。
などなど。
つまり、今日のグローバル経済には全くあ -
Posted by ブクログ
1章 中野剛志
日米同盟と自由貿易について。冷戦終結前後での意味合いの変化。米中関係の変化。
2章 関岡英之
日米構造協議、改革要望書に始まるアメリカによる日本の構造改革。
6章 施光恒
日本語による近代化の意義、明治日本の近代化における英語による近代化か日本語による近代化かの議論。
TPPによって壊される日本の良さとは
7章 柴山桂太
グローバル化の波。20世紀転換期、第一世界大戦、第二次世界大戦等。
グローバル化と国家主権の制限
などが各章のキーワードかな。3、4、5章は知識不足から少し難しかった。他の4人は他の書籍や講演などで背景知識もあり、とても読みやすかった。 -
Posted by ブクログ
TPP亡国論で知って、若者受けしそうな経済学者ということで興味持って読んでみた。「国力」というものをネイション(国民)とステイト(国家)に分けて、ステイトがネイションの利益の為に動いている様を国民国家と呼び、それが国力を構成している、と。ふむ。
そのステイトが自国民の為に動く主義を経済ナショナリズムと言うのだ!とかとにかく煽動的な単語が多かったw新自由主義に基づく「小さな政府」により地方自治体へと権力が分散することでステイトとしての集中的な機能が果たせなくなっているので、大きな政府に戻して公共事業を増やすべきだ!とかw
各国が自律していくことで、結果的にグローバル・インバランスが是正される -
Posted by ブクログ
今更のレビューですが。
題名から察するに著者はTPPに反対だと思っていましたが、完全に反対する立場をとるわけではなく、日本側に受け入れる準備が出来てから考えるという立場だったので感心しました。
しかし、つながりを断つのは国際的に見てよろしくないのではないかという個人的な意見もあります。伊賀恭代さんが「なぜ国際競争力を上げようとしないのか」と『採用基準』の中で書いていましたが、その論も一理あると思っています。
私の勉強不足でまだ見えていない問題があるのかもしれませんが。
TPPやFTAについては何度も出てくる言葉であって、かなり詳しい説明があるので最近のニュースを見ていて分からないという方 -
購入済み
気軽に読めるが奥深い
これまでの日本の政策、これからの解決方法など、楽しく、新鮮に読むことが出来た。テレビやニュースではあたりまえとされている政策論議について、わかりやすく、直感的に開設されており、なるほどと何度も納得させられた。
2人の会話を進めながら書かれているので、とても読みやすい。 -
Posted by ブクログ
この本を読むのは二回目である。安倍政権が発足し、本年になっていよいよTPPの参入締切が近くなってきたことを受けて、改めてTPPについての認識を固めたくて本書を手にとってみた。レビューも過去にアップしたものを再録する。
『本書は、題名のとおりTPPに真っ向から反対した本であるが、読みやすく、わかりやすく説得力があると思った。
「TPPの謎を解く」ではTPP交渉参加10ヶ国のGDPの規模を取り上げ、アメリカ67.2㌫、日本24.1㌫、この2ヶ国だけで90㌫を超えているという。しかもTPPには、アジアの成長センターの中国、インド、韓国は入っていない。これで「アジアの成長を取り込むために」と言う -
Posted by ブクログ
日本型雇用慣行。終身雇用制と年功序列型賃金制度とOJT、これらが相互補完的に働く。
不況下でリストラが進められる中で広がったのが「高給取ってろくに仕事もできないおっさん達は許せない、こういう連中こそ首を切るべきだ」という論調。
そして年功序列型賃金制度から能力主義的賃金制にという流れ。
これはたぶんに外資の論理だ。
OJTが基本となる日本型雇用慣行では若年労働者を育てるのに金がかかる。
これが投資にあたる訳だが外資はこれを許さない。
そもそも外資はOff-JTを基本としていて、人材への投資という意味でのOJTに理解がないのかもしれない。
雇用の流動化どころか、そもそも雇用がこんな状況なのに外資