【感想・ネタバレ】基軸通貨ドルの落日 トランプ・ショックの本質を読み解くのレビュー

あらすじ

トランプ関税の本当の狙いを徹底解明

世界を揺るがせた「トランプ・ショック」。
この唐突な関税措置に対して、こう考えている人は少なくないだろう。

<自由貿易というリベラルな国際経済秩序は、アメリカを含む世界各国に利益をもたらしており、堅持すべきだ>
<トランプは「取引」によって、短期的な利益を上げることしか考えていない>
<リベラルな国際経済秩序に反するトランプ政権の行動は、ドルの急落を招く。経済指標が悪化すれば、アメリカは翻意するかもしれない>

本書で示されているのは、これらとはまったく違う認識である。
まず言えるのは、既存の国際経済システムには致命的な欠陥があるということだ――

「通貨」という視点から、世界経済の歴史的な構造変化を徹底分析。
本書を読むことで、世界経済についての解像度が上がる!

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Posted by ブクログ

相変わらずキレッキレ
たぶんそうだろうな~って感じてたことがしっかり分析されて言語化されてる。ワイの直感も的外れではないって確認できて嬉しい。

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2025年11月14日

Posted by ブクログ

●トランプ・ショックの本質は、関税ではなく貨幣にあると喝破した本。
●基軸通貨ドルが果たした役割や今後の経済システムの展望を考察する。→信用貨幣論というい新しい知見を学ぶことができた。
●本書は、第二次トランプ政権がもたらす激震を、表面的な「関税交渉」や「自国第一主義」のレベルではなく、「国際通貨体制の根本的再編」というマクロな視点から解読する一冊。本書の核心は、トランプ政権の経済ブレーンであるミラン氏の論文に基づき、「基軸通貨であることは、もはやアメリカにとって利益よりも重荷(製造業の衰退と経常赤字の固定化)になっている」と判断している点にある。この「トリフィンのディレンマ」を強引に解消し、ドルを切り下げて製造業を復活させようとする試みが、ニクソン・ショック以来の国際経済秩序を根底から覆そうとしている。著者は、主流派経済学が信奉する「商品貨幣論(貨幣=有価物)」を厳しく批判し、「信用貨幣論(貨幣=負債の記録)」のレンズを用いることで、世界経済の歪みを鮮やかに描き出している。「自国通貨を発行できる政府が財政破綻することはない」というMMT(現代貨幣理論)的視点をベースに、なぜ新自由主義的な変動為替相場制がグローバル・インバランス(構造的不均衡)を是正できなかったのかを論証していく過程は、これまでの貨幣論・経済論にはない新しさと説得力を感じた。主流派の貨幣論とは異なる信用貨幣論のレンズで世界経済を見るという新しい視座を与えてくれた。

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2026年04月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

マールアラーゴ合意の内容
基軸通貨であるドル債を通貨準備として保有する動機が常にあるため、金利が下がる。
関税の引き上げは輸入インフレの可能性があるが自国通貨高が相殺する。輸入は減らず関税収入が入る。
各国のドル債を売らせてドル安を演出、同時に超長期債と交換して金利の上昇を抑制する。そのために、関税と安全保障の傘を使う。
関税と安全保障の傘の脅し、国際緊急経済権限法で、 ドル安を狙う。

商品貨幣論=貨幣は商品交換の手段としてそもそも価値があるものが貨幣となった、とする説。
信用貨幣論=価値が時間を超えて移転することに貨幣の価値を置く。借用証としての貨幣。

貸し出しの源泉は貯蓄か、信用創造か。
貨幣は国家の負債。納税の手段として法定しているから流通する。通貨が流通するのは国家の役割。通貨の価値を支えているのは徴税権。
機能的財政=国家財政は国民経済に与える影響を基準にする。国債は金利を操作するための手段であり、金利が上昇しないのなら、上限はない。

イギリスのトラスショックとは。
財政出動に対して年金基金が保有国債を投げ売りをしたためにおこった。すでにインフレ気味のところに財政出動をしようとした。財政運営と金融政策の協調の必要性を提示した事例。

固定相場制で経常赤字の国は、外貨の制約のため、輸入量を減らす必要があり、政府支出は制限される。変動相場制では、その制限がない。輸出産業がないと、通貨安でも輸出が増えない。
ドルが国際通貨である以上、国債決済にアメリカの銀行システムを使うことになる=預金封鎖が脅威になる。これがアメリカだけが享受できる法外な特権というべき。
基軸通貨であれば、対外債務が持続不可能になることはない。対外債務による破綻=基軸通貨から外れる、こと。しかし、ドルに変わる通貨は今のところない。

低金利によって新興国に資本が流出すると、自国通貨高になった新興国は、自国通貨を発行して外貨準備として蓄積した。
信用創造の歯止めはないので、実態がない需要でもバブルは起きる。貨幣の供給について弾力性が高い。

トリフィンのジレンマ=世界がドル通貨準備を必要とするために、アメリカの経常赤字は解消できない。そのためドルの信認が低下するというジレンマ。
信用貨幣論から言えば、これは存在しない。
記事苦痛過酷だから経常収支は赤字、ということはない。1880年から1913年まで、ポンドが基軸通貨だったがイギリスの経常収支は黒字だった。1960年代のアメリカも赤字ではなかった。アメリカの経常収支が赤字だったのは、アメリカが経済運営に失敗したから。それを隠すためのものがニクソンショック。

中国がアメリカ国債を売っても、FRBが購入すればいいだけ。中国のアメリカ国債売却は、ドル資産の凍結を恐れるため。
ドルの準備資金としての需要がなくなれば、基軸通貨から外れる。

変動為替相場制は、貿易収支を調整できるはず。これは新自由主義の想定。しかし、価格弾力性が低いものは、交易条件が悪化しても価格は下がらず、輸入額は上がる。
相手国は自国通貨高からデフレ圧力がかかる。その結果輸入量が減る。この結果、貿易収支は改善できない。
変動為替相場制では、輸出主導経済では、自国通貨高になるが、国内のインフレ圧力は下がる。その結果、インフレを輸出できる。
経済の金融化によって、株主資本に報いるため賃金上昇は抑制され、消費需要は低迷する。グローバリゼーションも労働コストの上昇を抑える方向に働く。
輸出主導の国も、グローバル競争を勝つために賃金抑制に動く。内需が低迷するので、ますます外需に頼る結果、外貨が蓄積する。
債務主導の国は、所得が伸びなくても資金が還元するので債務拡大による消費拡大が可能となった。
このレジームの源泉は、債務主導の国のバブル。常にバブルは弾けて、再び起こる。
グローバル・インバランス=過剰貯蓄論が問題になるが、この原因は輸出主導と債務主導のバランスの問題。これは新自由主義が引き起こした。

中国の台頭の契機は、WTOの加盟。中国は貯蓄率が高い。内需主導が難しいので輸出に頼らざるを得ない。
グローバル・インバランスを是正するために関税政策を取るのは無意味。

アメリカは2010年政治資金の上限規制を撤廃した。この結果、テック業界の資金が流れ込んだ。人材も回転ドアという仕組みで、太いパイプがつながった。
テクノリバタリアンとは、新自由主義より先の自由放任主義。
トランプ政権のベッセントとバイデン政権のサリバンの経済哲学の違いがある。
新自由主義は、政府の規制を嫌うが、その自由を守るために、政府の強権を必要とする。自由市場は自然にできるのではなく、制度として人為的に作る必要がある。

暗号通貨は希少性故に価値があるが、貨幣は流動性がなければ貨幣とはならない。暗号通貨というより暗号資産というべきもの。資産の裏付けはない。

アメリカが基軸通貨国特権を武器にできるのは、SWIFTがあるから。それに対抗してオフショア市場に資産を移すだけでなく、別のシステムを作ろうとしている。ロシアのSPFSに中国、インド、イラン、トルコも参加できるようにした。中国はCIPSを立ち上げた。EUは、INSTEXを立ち上げた。
基軸通貨特権によるドル依存を武器にしようとすると、基軸通貨制の崩壊につながる。

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2026年03月12日

Posted by ブクログ

主要各国の金融政策がどのような経済学派の思想に基づいて行動されているか、その視点で見ると、各国の思惑や、必然さが理解できた。ニワトリと卵のように感じるものも、その見方によって結論、是とするものが変わるのだな。
ドルの基軸通貨の時代の終焉が近づいている今、新たな潮流の始まりか。
とても勉強になりました

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2026年03月08日

Posted by ブクログ

ブレトン・ウッズ体制を崩壊させたニクソン・ショック。冷戦の終結。東側諸国も巻き込む自由貿易圏の構築。世界は新自由主義の道を突き進んだ。資源供給国としてのロシア、巨大な消費市場を持つ中国の台頭。相互依存によって紛争を回避しようとする理想は、依存の重要性の偏りという現実の下に崩れた。トランプ政権による関税引き上げも、新自由主義の枠組みの中で踊っているだけである。故に失敗し、基軸通貨としてのドルの弱体は一層進む。米中は力関係が接近し、第二次冷戦が到来する。世界は主流派経済学の過ちに一刻も早く気付かねばならない。

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2025年08月17日

Posted by ブクログ

関税政策なりのトランプ現象を表面的に見るのでなく、ドル覇権国家凋落のシグナルの一つであるという論拠の本です。
関税のみならず、最近のイランなりベネズエラ侵攻に加え、先進国に対する侮辱的な言動で米国離れが起こり、ドル覇権国家として恩恵を受けてきた米国中心の国際金融体制が再設計されるかも、という論点は色々な所で見られるので、そこまで真新しい印象は受けないですね。

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2026年04月10日

Posted by ブクログ

米中の狭間に立って、日本はどうするのか?牽制のため、リスクヘッジのために、露や印と深い交流しておく必要があると感じさせた。

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2025年08月31日

Posted by ブクログ

経済的な視点でのトランプ政権の理解としては学ぶべきことが多い。ただ、トランプ政策を反グローバリゼーションと理解しているように感じられる。トランプの政策は、反グローバリズムであり、似ているが異なる。その視点がない様なので、本質的には違うのではないかという指摘が感じられた。

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2025年08月21日

Posted by ブクログ

数年前なら基軸通貨のドルが危ないと言われても笑って済ましていましたが、再登場したトランプ大統領が今年(2025)4月に全世界に向けて関税を適用する、と言い出してからなんか不安になっていました。

以前読んだ本で、ニクソンショックの時に最初にアメリカが最初に行ったのが「関税の適用」と記憶していましたので、この本にもそのことが記されていました。この本の著者の中野氏は書かれていることが専門的なことが多く私の理解が追いつかない部分もありましたが、最近巷で話題になっている「関税問題」は、近い将来に何かが起きる前触れだという気がしました。

アメリカの夏休み明けの9月から10月にかけて、週の明けた月曜日に何が起きても動じないように覚悟をしておく必要がありそうですね。

以下は気になったポイントです。

・第二次トランプ政権が企てているのは、既存の国際経済秩序、とりわけ国際通貨体制を再編することである、しかしこの企ては必ず失敗する、リベラルな国際経済秩序を復活させるのではなく、その崩壊を決定づける、戦後のドルを基軸通貨とする国際経済秩序が終焉を迎える可能性がある(p15)人々は関税に目を奪われているが、トランプショックの本質は、関税ではなく「通貨」にある、通貨というレンズを通して見れば(ドルを切り下げようとしている、p19)世界で何が起きているか、よりはっきり見えてくるであろう(p16)

・基軸通貨国であるアメリカは、各国に準備通貨ドルを供給し続けなければならないため、経常収支の赤字が続く。アメリカの輸入が多すぎるからではなく、世界に準備通貨を供給する必要があるから経常収支は赤字になっている(p21)

・ニクソンはアメリカの輸入品に対して10%の課徴金を課し、他国に対して自国通貨の切り上げを迫った、トランプも2025年4月2日10%の一律関税を導入したが、ミランは関税を他国に自国通貨を切り上げさせる手段として論じている、ニクソンが課徴金を導入した根拠法は、第一次世界大戦中の戦時立法である「対敵通商法」であった、トランプが追加関税の根拠としたのは、その後継法である「国際緊急経済権限法」である、トランプショックとは、ニクソンショックがそうであったように、既存の国際通貨体制を破壊し、アメリカに有利なものへ作り変えることである、そうだとするならば、トランプショックの本質は、関税にでなく通貨にある(p41)

・トランプはバイデン前政権の外交方針から大きく転換し、ウクライナ戦争の停戦交渉の仲介に乗り出したが、ロシア側を有利にするものと懸念されている、相互関税の対象から、ロシアとベルラーシは除外された、ニクソンがソ連との対決を有利に進めるために中国に接近したように、トランプは中国との対決に備えて、ロシアとの関係を改善しようとしているかもしれない(p42)

・アメリカに基軸通貨国としての特権があるとしたら、アメリカ以外の国は国際決済にアメリカの銀行システムを使わざるを得ない、つまり、海外の政府や企業のドル資産はアメリカ政府の管轄下(ドル資産を凍結可能)にある(p89)

・アメリカ以外の国は、対米経常収支黒字によって得たドルを運用する必要があるから、米国債を購入しているに過ぎない、アメリカ以外の国が米国債を保有しなければならない理由は、アメリカにではなく、むしろ対米経済収支黒字国の方にある(p103)

・ロシアがウクライナに侵攻したことで、アメリカは制裁としてロシアのドル資産を凍結した、中国はアメリカによるドル資産の凍結を恐れて、米国債を売却している(p105)

・アメリカが実施してきた「新自由主義=市場原理主義」とは、自由市場が最適な資源配分を実現するという信念を基本とする、小さな政府・健全財政・自由化・民営化・独立した中央銀行による物価の安定。国際資本移動の自由、これはケインズ主義を攻撃目標とした(p111)

・アメリカの貿易赤字は1985年のプラザ合意によるドル安にも拘らず拡大した、1988年にはドルの価値が半分にまで下がり、原油価格が急落したおかげで貿易赤字は縮小、1991年に大きく縮小したのは、アメリカが不況に陥って輸入が減少したのと、湾岸戦争によって日本、ドイツから巨額の戦費分担金を受け取ったからに過ぎない(p116)

・新自由主義は2つのレジーム(状況)をもたらせた、1)輸出主導レジームで、ドイツ・中国・日本・韓国・東南アジア、輸出の拡大にによって経済成長する、労働者の賃金をできる限り低く抑える、自国通貨の切り下げと同じように輸出競争力を強化した、労働組合は無力化、内需は低迷、2)外需を提供した、債務主導の国々で、アメリカ・イギリス・欧州周辺国である、所得が伸びなくても債務を増やして消費を拡大できた(p123)両者は対照的であるが、共通としては、賃金上昇が抑制で労働者所得は低迷するが、資本家・グローバル企業の利益は拡大し、所得格差が拡大する(p124)

・2014年のロシアに対する制裁、2010年代後半の米中対立の激化、2022年のロシアのSWIFTからの排除、さらに第二次トランプ政権による関税措置は、人民元の国際化を明らかに進展させている(p197)中国はロシアがクリミアを奪取した2014年以降、デジタル人民元の構想を進めている、暗号通貨とは異なり、中央銀行が発行する法定通貨である、この狙いはSWIFTを介さない国際送金を可能にすること(p198)

2025年8月6日読破
2025年8月6日作成

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2025年08月06日

Posted by ブクログ

現在のトランプ政権、また国際社会の問題点を、現代貨幣理論の入門書でお馴染みの中野剛志が解説する。

問題点の指摘とその回答としての理論展開が分かりやすく、とても読みやすい。

トランプ政権が進めるマールアラーゴ合意、グローバル・インバランスの是正を「通貨」の視点で解説してあったり、低賃金、格差の拡大など新自由主義が生み出した問題点を順を追って解説してくれる。

世界経済の動きや米中の対立などもそうだが、ここ最近の日本における右派の躍進、ナショナリズムの台頭など、日本もその世界の流れにのみ込まれているなとも感じる。

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2025年07月31日

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