ジェフリー・ディーヴァーのレビュー一覧
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ワシントンDCを舞台に起こる連続大量殺人。手がかりは手書きの脅迫状のみ。FBIは 文書鑑定の第一人者であるパーカー・キンケイドに協力を依頼するが、パーカーには捜査に参加できない事情があった。
おもしろかったー!法科学・推理・アクション、家族の危機にほのかなロマンス。いろいろな要素が高密度につまっていて読み応え十分。どんでん返しに次ぐどんでん返しで、最後までみっちり楽しめる。
読んでいて場面がはっきりと浮かぶのも特徴的。作者は絵が描ける人なのではないかという気がする。ストーリーとあいまって、まるで映画を見ているようだった。
ただひとつだけ気になったところが。パーカーのせりふに、文法上のミスがあるのだ(地の文にも同じミスがある)。言語学者という設定で、言語・文書にまつわるうんちくが本書の大きな魅力のひとつなので、そこは気をつけてほしかった(もちろん、著者に責任はない)。
とはいえ満足。他の本も読んでみよう。 -
Posted by ブクログ
カルト集団のリーダーで、一家惨殺事件を起こした男が脱獄した。
追うのは、尋問とキネシクス(ボディランゲージ分析)の専門家、キャサリン・ダンス。
リンカーンライムシリーズからのスピンオフの1作目。
ディーヴァーはすごい。
最初の留置場での尋問から始まって、追い詰めたり逃げたり、そしてどんでん返しと、息をつく間もない展開だった。
最高に、エキサイティングな作品といえるだろう。
と、同時に思った。
テレビドラマ化を考えてるのだろうかと。
非常に資格的なのだ。
ま、それが妨げになっているわけじゃないけど、リンカーンライムシリーズが、彼の安楽椅子探偵的な部分のせいか非視覚的だと感じるから、余計そう感じるのかもしれない。
また、「ボーンコレクター」以降が映画化されないところを思うと、ライムシリーズは映像化したくないけど、その代わり映像化しやすいこのシリーズを作りだしたんじゃないかとさえ思うのである。
と、本編からずれた感想になっているが…。
とにかく、人の弱さと、それにつけいる者の狡猾さを見せつけられる作品だった。
面白かった。 -
Posted by ブクログ
第2次世界大戦前のアメリカ、ニューヨークで殺し屋をしていたポール・シューマンは罠にはめられ拘束されるが、米国海軍情報部から意外な二者択一を迫られる。刑務所に送られるか、それとも国家的任務を果たし罪を帳消しにするか。やむなく引き受けた任務は、ドイツへ赴き、ヒトラーの元で再軍備を指導するラインハルト・エルンスト大佐の暗殺だった。ベルリンで行わるオリンピックに参加する選手団とともにドイツへ渡り潜入するのだが…。どの作品に対しても事前のリサーチが入念なディーヴァーのこと、当時の米国側、ドイツ内に関わる官庁、警察の様子から住民の暮らしぶりに至るまで実に丹念で細かに描写されている。膨大な資料による調査に基づいた史実と、絶妙な話運びで読者を導く虚構の世界とが上手く組み合わされた上質な歴史小説に仕上がっている。【以下ネタバレ含むため未読の方はご注意】登場人物の位置づけやキャラも秀逸。まず主人公のポール・シューマン。ドイツ系アメリカ人で、ロシア人のようながっしりした風貌、戦歴、ボクシング経験もある一見無慈悲なだけの殺し屋と思えるが、頭の切れが良くドイツ語を話し読書を嗜むという知的な一面も持つ、タフで骨太な男だ。そして読み進めて行くうちに彼独自の倫理観、正義感(人殺しに正義もなにもないのだが)に共感を抱くようになってくる。密命を帯びたシューマンの痕跡を追って執拗に食らいついてくるのがドイツ刑事警察(クリポ)のヴィリ・コール警視。なかなかの切れ者で大きな体の割にはフットワークが軽く、直感的な洞察力で手がかりを見逃さず速やかに動く。しかも家族を愛し、人種差別的な不正義は許せない人情派。そして暗殺のターゲット、エルンスト大佐は人物像が掴みにくく初めは良悪区別がつかない。エルンストを狙うシューマンを軸に、シューマンを追うコール警視、エルンスト大佐の視点が加わり、バラバラに思えた事柄が終盤で繋がってくるあたりはさすがに上手い。しかもこれらが全てわずか4日の間の出来事だとは!潜入を手伝った人物の思わぬ裏切り、異国で出会った本物の恋愛、思いがけず熱い友情を交わすことになった友人の協力を経て、紡ぎ出される物語にいつしか夢中になってしまう。警視に追いつかれそうになるスリルにハラハラし、直面した危機への機転の利いた対処には感心した。そして、ヴァルタム大学での究極の選択、米国への帰国のチャンス、友人への義理…シューマンの下した決断はラストを締めくくるにふさわしく、ここまでこじれた事態に陥った割には読後感のよい納得のいくものだった。文句なし!(2010.1.23再読&感想更新)
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ネタバレリンカーン・ライムシリーズの4作目。中国からの密航船がニューヨークに近い沖合いで沿岸警備隊に見つかった。国際指名手配の密入国斡旋業者ゴーストを追う合同捜査班が、万策尽きてライムに分析を依頼した結果行方を突き止めたからだ。ゴーストは船を爆薬で沈め、密入国者たちは命からがら脱出。夢の国アメリカでの彼らの運命は?そしてライムたちはゴーストを捕まえられるのか…?「ゴースト合同捜査本部」と化したライムのタウンハウスには、おなじみのFBI捜査官フレッド・デルレイ(漆黒のスーツにカナリア色のシャツ!)、NY市警刑事ロン・セリットー(しわくちゃ〜)、同署中国系米国人刑事エディ・ドン(ロンの今の相棒で二丁拳銃のローランド・ベルは前作の舞台ノースカロライナでルーシー・カーと休暇中)。連邦捜査機関からは移民帰化局のハロルド・ピーボティとアラン・コーのほか捜査関係者が出入りし、さながら賑やかなグランドセントラル駅状態。愛車カマロで現場に急行したサックスはグリッド捜査で鑑識を開始。海辺で瀕死の密航者ジョン・ソンを発見・救出。他の密航者チャンたちはゴーストからも移民局からも見付からない様逃げ隠れしつつ逃走。ああ、もうだめか…という危機に何度も陥りひやひやさせられる。介助士トムも回復し(よかった〜)非公式捜査メンバーとして気の利く働きを見せてくれる。途中で加わる中国の刑事ソニー・リーが今回のキー・パーソン。ゴースト逮捕に執念を燃やすガッツと、ライムを老板(ラオパン/ボスの意味)と呼び親しみやすい愛嬌とを併せ持つ魅力ある人物。つづきは下巻に
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ネタバレ(つづき)ゴーストによる証人殺害は続き、複数個所の捜査現場から採取された証拠物件は増え続け、ホワイトボードの書き込みは最終的に6ページ分に(多すぎ)!!爆破事故に巻き込まれた○○、ライムと希少な友情を育むリー、捜査メンバーに近づくゴースト、そして取り返しのつかない永遠の別れ…。ディーヴァーお得意のどんでん返しやスリリングは佳境に入ってからも用意されているが、それを心から楽しめない哀しみも満ちている。在米中国人の秘密結社「堂」が地方出身地ごとに存在するとか、民族間の文化の違い、中国的な迷信や考え方など、あまり馴染みのない部分もあり、今までとはちょっと趣きの違う作品だ。
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今回の事件は、無差別大量殺人の様相を呈していて、犯人に言い分があるとしても許されない事件だった。
その犯人は、上巻で早々に明かされてはいるものの、納得感は薄い。
根拠は…脅迫状の誤字の多さ。
これ、絶対意味あるよね、って思った。
そして、脅迫状で期限を切っているくせに、前倒しで事件を起こすのもフェアじゃないと思った。
自身に正義があると思っている犯人が、そんなアンフェアなことするだろうか。
で、ついにライムが別の人の名前をあげるのだけど。
私としては、それもまた納得しがたい犯人だった。
リスクを排除するために、より大きなリスクを負うというのは、普通ないのでは?
しかし犯人、もう普通じゃないしなあ。
読んでいてあまり楽しくなかった理由は、このように、ライムの理論に納得がいかなかったから。
そもそも立て続けに起こす大量無差別殺人というのが、いかにもアメリカのミステリっぽくて好きではない。
派手な事件と、有名探偵による屁理屈または第六感あるいは幸運な偶然による解決。
リンカーン・ライムシリーズは、それがないから好きだったのに。
結果として、この先走ったがっかり感は、ライム自身によって覆されるのだが。
ライムが作品中でずっと心身ともに不調であったこと、電気への恐怖によりサックスがいつもに比べて全く颯爽としたところがなかったこと、プラスキーの不安感がいつも以上に顕著だったこと、デルレイまでもがずっと不安にさいなまれていたことなどから、この作品は読んでいてもカタルシスがあまりなくて、楽しくはない。
けれども、このシリーズの転換点になるのかもしれない、とは思った。
最後にひとつ。
デルレイよかったね、と思う一方で、彼のやったことはきちんと罰せられるべきだと思った。
目的のためなら手段を選ばないというのは、いつか暴走するかもしれないのだから。
彼のことを信じてはいるけれど、だからこそ有耶無耶にしてはいけない。
ブレントへの10万ドルはきっちり国庫に取り戻し、通常の範囲の情報料を払うか、35年ローンかなんかでもいいからデルレイが自分でブレントに返していくべき。