船戸与一のレビュー一覧
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トシオはメグはどんな大人になっただろう。
ガルソボンガ地区は今は。
主人公は私より5歳若いセブ島の山あいの町に住むトシオ。
1998年から2000年にかけてのフィリピン・セブ島の山間の田舎を舞台に13歳から15歳に成長していくトシオ。日本の当時と比べ物にならないくらい過酷。
日本人の父に逃げられ、母はエイズで若くして亡くなり、かつて抗日ゲリラだったガブリエル爺と闘鶏を生業に細々と暮らす。
トシオは丸い虹が架かる谷に住む元反政府ゲリラのホセを尊敬している。
腐敗した自治と警察、共通価値はお金だけ。かろうじて保たれていた均衡がクィーンの帰国を機に崩れていく。彼女は年上の日本人画家と結婚し遺産を相 -
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世に明治維新と褒めそやさるが実際にはそんなたいそうなものではなく、
単なる権力闘争に過ぎないことがこの本でも示されている。
薩摩、長州の田舎侍が江戸では、否、全国では馬鹿にされるため、
幼い天皇を担ぎ出し、この錦の御旗をもとに東日本の幕府勢力を潰しにかかった。
それが証拠には西軍(筆者は官軍とは呼んでいない)が天下をとると、
慌てふためいて政治とはどうすべきものか欧州に勉強に行った。
それまでは政治に対するビジョンなんてものは無く、
ただ自分たちが天下をとることのみ専念した。
しかし、この成功、自信が後に薩長独裁政権へと移行し、
天皇を頂点とした軍事国家が出来上がったのである。
そのあたりを船 -
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船戸与一『おろしや間諜伝説 ゴルゴ13ノベルズ3』小学館文庫 。
船戸与一が作家デビュー前に外浦吾朗の筆名で脚本に携わった作品群から3作をセレクトし、小説に仕立て上げた全3巻のシリーズの最終巻。船戸与一の作品も、これが読み納めとなるのは何とも寂しい限りだ。
ゴルゴ13の出生の秘密に迫る作品の一つ。ストーリーの巧みさには驚かされた。同様の作品に『日本人・東研作』『芹沢家殺人事件』『蒼狼漂う果て』『毛沢東の遺言』『河豚の季節』『すべて人民のもの』『禿鷲伝説』『亜細亜の遺産』があるが、その中でも一番面白いストーリーになっていると思う。
ストーリーの面白さの要因は日本政府がゴルゴ13と専属契約を -
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船戸与一『落日の死影 ゴルゴ13ノベルズ1』小学館文庫。
船戸与一が作家デビュー前に外浦吾朗の筆名で脚本に携わった作品群から3作をセレクトし、小説に仕立て上げた全3巻のシリーズが3ヶ月連続でついに文庫化。船戸与一の作品で読んでいないのは、このシリーズだけなので文庫化を非常に楽しみにしていた。
面白い。非常に面白い。ゴルゴ13をビジュアルで理解しているだけに、描かれている文章が全て映像に変わるのだ。そして、読んでみるば、やはり船戸節なのだということを実感する。
米国大統領がオバマに代わったことを契機に、一計を案じた一部の上院議員たちが米ソの冷戦時代に共同開発していた負の遺産である毒物兵器を -
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船戸与一が自らの死期を覚りながらも、残された命を削りながら最後に遺した長編歴史冒険小説の最終巻。
全巻を通じて唯一ホッとする、本西照夫が祖父と再開する最終章は、船戸与一が現代の日本人に残した希望とメッセージなのかも知れない。
敗戦の道を一気に突き進む日本。特攻隊に象徴される軍部の迷走と混乱が始まり、満州国と敷島四兄弟にも破滅の時が迫る。この破滅の構図は巻を重ねる度に明確になり、まるで船戸与一の自らの身に迫る最期の刻を暗示しているかのようにも感じられる。
物語の主人公であり、日本人のステロタイプのように描かれる敷島四兄弟。満州国の崩壊と敗戦という事実に兄弟たちがは狂乱の渦の中で、次第にその -
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船戸与一の遺作となった歴史冒険小説の第八巻。自らの死期を知りながらも、命を削りながら綴った圧巻の大作。船戸与一が歴史冒険小説を書いたというより、船戸与一が自ら歴史を創ったと言っても良いくらいの濃厚な作品である。
まるで間垣徳蔵に誘われるかのように、敗戦濃厚な戦争の渦に巻き込まれていく、敷島四兄弟。船戸作品に薔薇色の結末を期待してはいけないのだが、この巻で敷島四兄弟が破滅への道を突き進む姿がより明確になった。
役人の太郎は自らが撒いた種で危機を迎え、大陸浪人の次郎は期せずして囚人部隊を率いてインパール作戦に加わる。陸軍少佐の三郎にもソ連の脅威が迫り、四郎までもが関東軍に召集される。
残すは