船戸与一のレビュー一覧

  • 虹の谷の五月 下

    Posted by ブクログ

    2003/08/16前半に関しては弛緩した印象を受けた。語り部たるフィリピンの辺境の農村の少年が幸せとは言えずとも凄く不幸とも言えないので、船戸与一の初期の南米3部作や「猛き箱舟」のような一種厭世的なピリピリした描写が感じられず牧歌的な印象を持った為だと思う。相変わらずの少年の成長譚であり、脇を彩る登場人物も、これまでの作品のキャラクターを踏襲したものばかりだ。しかし、そう思って読み続けていてもクライマックスの一連の展開と帰結には本当に参ってしまった。まるでサム・ペキンパーの映画のクライマックスで得られるカタルシスと詠嘆に等価なのである。やはり当代随一のアクション作家だと思った。

    0
    2009年10月04日
  • 虹の谷の五月 上

    Posted by ブクログ

    フィリピン セブ島のジャピーノ(フィリピン人と日本人のハーフ)の子が主人公なのよねぇ。
    miti、フィリピンへ行ったこと無いけれども、すーごく描写が丁寧なので、情景が目に
    浮かんだですよ。貧乏と志と世間、それと情勢のせめぎ合い。うなってしまうねぇ。

    0
    2009年10月04日
  • 虹の谷の五月 下

    Posted by ブクログ

    じっとしているだけで汗が滲み出てくるフィリピンの密林や孤高のゲリラの設定がハードボイルド感を盛り上げてくれる。 虹の谷などでの戦闘や密林の中での息が詰まる緊迫感がたまらない。 今回も船戸ワールドを楽しませていただいた。(o^^o)v

    0
    2023年04月29日
  • 虹の谷の五月 下

    Posted by ブクログ

    締め方がちょっと雑では?これで正解?
    物足りなく感じたのは、それだけ面白く読み進めたからなのかもしれない。

    0
    2022年08月13日
  • 南冥の雫―満州国演義八―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    昭和18~19年くらいが舞台になっている。今巻の最後で次郎が死んだ。南洋の森の中で赤痢にかかり蛆に蝕まれるように死んでいった。四兄弟のなかで一番生き抜く力がありそうに思えたのに一番先に去っていった。生き抜く技術をもっていても生き抜く甲斐をもう失っていたのかもしれない。
    第1巻では日本人ながらに馬賊を率いてさっそうとしていたのに、いつの頃からか違う姿になり果ててしまった。いや、いつの頃からかではなく、馬賊をやめたときからだろう。次郎は最後に馬賊として駆けていた満州の大地を思い出した様子。

    0
    2022年04月16日
  • 炎の回廊―満州国演義四―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    大河小説ようやく4冊目。満州国ができ226事件が起き、世のなかがどんどんキナくさくなっていく。それに翻弄されて四兄弟の人生も足踏み状態のような、よくない方向に向かいかけているような……。
    解説で髙山文彦が「現代の視点から見れば大日本帝国は明らかに超カルト国家であり、どこまでも生身の人間であったヒトラーを信奉したドイツ国民にくらべても極めて異常な国民、国家であった。」(p.652)というのに同感。

    0
    2022年04月03日
  • 雷の波濤―満州国演義七―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    大長編も7巻目となった。時代はとうとう1941年12月8日に至り終わりも近い。描かれるのは戦いの場面が多くなり、男女が入り乱れたりするシーンも減っていまいち面白くない。
    解説(高野秀行)の船戸作品分析がなかなか秀逸。「(作者の船戸さんは)舞台をどこに定めても大枠の「現実」を勝手にいじらない。架空の政治家や政党、反政府ゲリラなどは一切登場させない。~中略~ 半面、実在の人物は直接書かない。それがイランのホメイニ師であれ、幕末の榎本武揚であれ、登場人物の会話や地の文にこそ垣間見えるが、彼らの内面が描かれることはない。内面どころか見た目の描写さえない。おそらく、見た目を描写すると内面も透けて見えてし

    0
    2022年01月27日
  • 大地の牙―満州国演義六―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ノモンハン事件あたりまで時間が下ってきた。過ぎた時代を描くからではあるだろうけど、日本軍というか関東軍というかの横暴と無計画さにげんなり。最近読んだ本で立て続けにこういう日本の愚かさを見せつけられている気がする。
    敷島四兄弟をだいぶ変わった。カッコよかった人ほどずるくなったり汚れたり、堅物に思えた人がなかなか立派に思えてきたり。

    0
    2021年10月07日
  • 砂のクロニクル 下

    Posted by ブクログ

    結局、何だったのだろう。クルド人の武装蜂起とイラン革命防衛隊の蹶起が時を同じくしてマハバードで発生してしまい、ハッサンもサミルも希望が潰えた。それだけじゃない。駒井もゴラガシビリもおれ(わたし)もシーリーンも命を落とした。虚無感に襲われた。

    0
    2021年09月06日
  • 砂のクロニクル 上

    Posted by ブクログ

    上巻を読み終えての感想は、誰かが主人公という簡単な物語ではないということ。イスラム革命後の大きなうねりの中で登場人物たちが翻弄されていく。一体どうなっていくのか?

    0
    2021年08月27日
  • 灰塵の暦―満州国演義五―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    時代も混迷、四兄弟も混迷。特に大きな岐路に立ったのが次郎だね。馬を下り、背広と車で次を模索するようになる。太郎はストレスフルな仕事の一方で小娘に手玉にとられ、四郎は相変わらず志は立派な理想家肌なれど気弱。三郎は関東軍がのさばるのを反映するかのように安定している。
    南京大虐殺の模様、読むだけでも悲惨。政治レベルでも現場レベルでもまともな判断や統制がとれなくなってるんじゃないかと思う。これまだ1937年のこと。この頃から日本っておかしくなってたんだなと。

    0
    2021年08月09日
  • 緋色の時代 上

    Posted by ブクログ

    #をつければ、ハードバイオレンス、マフィア、アフガン戦争
    かつて船戸モノを読んだ経験からしてもかなりの展開、日本人が書いたとは思えない作品。

    ロシア人名の長さと酷似から、どうしても覚えきれず、登場人物一覧を見ても、無理で情景、人間関係が描けなく、遅々とした読書だった。
    偶然、見ているアマプラの「ロシア、20世紀、ブルガリア・ルーマニア、そしてコサックが絡むオカルトっぽい怪奇作品」と雰囲気が似ており、像を描くのに大いに助かった。

    ロシアは世界一民族がまじりあっているるつぼ。文中、幾度となく、ロシア・タタール・パシキル・グルジア等々入れ混じる・・そして荒垣自体も日本人であることを秘して朝鮮系と

    0
    2021年05月30日
  • 群狼の舞―満州国演義三―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    シリーズ3作目。二・二六事件が起き満州国ができて関東軍の無手勝流が高まり、どんどん戻れない破滅に向かっていく感じがぷんぷん。しかも日本という国・国民自ら望んでそっちの方向へ向かっていく感じ。戦いの場面も多くなりいまいち興味がもてず流し読み。戦いや軍関係じゃない場面のほうが面白く読める。敷島四兄弟の継母で四郎と危険な仲になっていた真沙子の衝撃の死に方。
    四兄弟のなかで唯一安定かつ堅実で誠実に生きていた感じの敷島太郎も満州国ができた頃を境に、国を興す男の夢らしきものにとらわれだし、その代償であるかのように本巻末で明日の満州への希望を込めて隣人に名づけられた長男・明満が夭折した。

    0
    2021年04月04日
  • 事変の夜―満州国演義二―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    シリーズ2巻目。1巻目の勢いある面白さからちょっとパワーダウンした感じがする。四兄弟それぞれを描く部分が減って、史実に沿った戦いっぽいシーンが多かったからかな。馬賊として颯爽としていた次郎がうらぶれてしまったのを筆頭に、三郎は思考停止で融通が利かないし、四郎も頼りないなりに危なっかしさでいろんな目に遭ってた前巻に比べると締まらない感じ。8巻目までたどり着けるだろうか。

    0
    2021年02月22日
  • 山猫の夏

    Posted by ブクログ

    俺は「おれ」を嗤う気にはなれない。「おれ」にとって山猫と過ごした夏は忘れられないはずだ。山猫は深謀遠慮で、強い。そんな男が存在したなんて信じられないかもしれない。でも本当にいたのだ。もちろん、作者の純然たる妄想である。熱暑の中の白日夢に過ぎない。ただ、信じられないくらいのリアリティをもって迫ってくる。面白かった。

    0
    2020年12月13日
  • 緋色の時代 上

    Posted by ブクログ

    ロシアのことは全然知らなかったが、KGBなどの諜報組織が絡み合った、ロシアンマフィアのお話。前半は著者がロシアという国の世界観を描写する必要があるのだろう、なかなかストーリーが進まず、読むスピードは上がらなかったが、後半からは話が進んでおもしろい。下巻も買います。

    0
    2020年10月26日
  • 緋色の時代 下

    Posted by ブクログ

    ロシアという国の解説のためになかなか話が展開しなかった上巻とは一転、下巻は目まぐるしく話が進みます。ロシアという国は馴染みが無かったが、この本を読んで身近に感じることができるようになりました。

    0
    2020年10月26日
  • 蝦夷地別件 上

    購入済み

    日本の歴史的恥部に身を背けるな

    アイヌは日本の宝だが、歴史的に日本人によって虐げられてきた。この著作はこうした陰の歴史に脚光を浴びせる秀逸な書といえるかもしれないな。

    0
    2020年07月04日
  • 新宿・夏の死

    Posted by ブクログ

    船戸与一の作品は初めて読みます。短編集でとっつきやすいです。ちょうど最後の物語を読んでいるときに、船戸与一さんの訃報が入ってきました。

    0
    2018年10月13日
  • 猛き箱舟 上

    Posted by ブクログ

    ただのチンピラだった主人公が一級の男になることを夢みて危険な戦いに身を投じる。

    普通に生きていれば体験することのない数々の修羅場を経て、最終的にどんなすごい男になるのか期待。

    0
    2020年01月19日