船戸与一のレビュー一覧

  • 事変の夜―満州国演義二―(新潮文庫)

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    2作/9作。

    満州事変、上海事変。
    中学校社会科教科書じゃあ、ほんの2~3行の記述に過ぎない歴史が、重厚に語られる。

    「歴史は小説の玩具ではない」と謳った筆者の執筆姿勢に依るならば、ここで語られる歴史は概ね史実に準じてるのだろう・・・と考えると、なんともやりきれないものが残る。

    あの時、あれが無かったら……
    あの時、ああされていたなら……と後付けで語るのも虚しい程に、様々な立場、信条からなる大きな流れに抗いようもなく日本は、歴史が刻んだ悲劇の刻へ向かって突き進んでいる・・・。

    ★3つ、7ポイント半。
    2016.12.20.新。

    ※兵卒たちが血で血を洗う激戦を繰り広げている最中、将兵たちは昼の戦闘が終れば旅館に帰り膳飯を食して酒を飲み、政治を語らう……

    当然のように営業を続ける宿泊施設や飲食店。。。

    戦時の“獣性”を正当化するかのように市街地の婦女子を襲う……

    部下が銃撃を交わしている真横で煙草を吸い…“陣中見舞”とばかりに箱ごと置き去る・・・。

    非日常の極みたる“戦争”のすぐ隣に描かれる一部の人々の“日常”が、当時の悲惨を逆にリアルに浮き上がらせているのが、印象に残る。

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    2016年12月20日
  • 南冥の雫―満州国演義八―(新潮文庫)

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    舞台は満州から東南アジア。兵站を無視した作戦に、末端兵士が翻弄される。馬賊の二郎はインパール作戦で死亡。

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    2016年09月01日
  • 夜来香海峡

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    たくさんどうしようもない人が出てきて、それぞれ背景が語られて、みんな幸せになってほしいけど、、って話。船戸作品にしては温めの温泉に浸かってる感じ。でも途中で投げ出せる箇所がなくてイッキ読みした。タイトルからアジア圏の話だとは思ったけど、まさか東北と北海道からでられないとは、思っても見なくて、閉じ込められてる感じが強い。

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    2016年08月20日
  • 虹の谷の五月 上

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    セブ島ガルソボンガ地区に祖父と暮らし闘鶏用の軍鶏を育てる13歳のジャッピーノ(日本人とフィリピン人のハーフ)=トシオ・マナハンが成長していく2年間の話
    ガルソボンガ地区にある虹の谷では、雨季に丸い虹が見られるという。
    虹の谷の洞窟に住み、新人民軍を追われた後もたった1人で闘い続けるゲリラ/ホセ・マンガハスとの関わりの中で暗殺、誘拐に巻き込まれてゆく。

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    2016年07月12日
  • 蝦夷地別件 上

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    ネタバレ

    蝦夷地を松前藩に任せてはおけない。ロシアは北から日本を狙っている。松前藩にロシアを迎え撃つ力は無い。そう考えた幕府は、蝦夷地を幕府直轄地としてとりあげようと画策する。
    それには理由が必要だ。そんなことから、本小説は書かれている。幕府を中心として、蝦夷地から琉球まで日本人がひとつになって紅毛人のなだれ込みを防がなくてはならない。と。
    この波に蝦夷が巻き込まれ、脇長人ツキノエとその孫ハルナフリが苦悩していく。
    全3巻

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    2016年04月10日
  • 山猫の夏

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    砂のクロニクルを読んだあとで期待したためか?
    つまらなく感じた。
    舞台となる町の設定、山猫のかっこよさ、そもそもありえない。

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    2016年02月11日
  • 猛き箱舟 下

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    スピード感はあるのだが、読後感は『一体何だったのだ?』。十数年前に砂のクロニクルを読んだ後は、読んだな〜と浸ることができましたが。

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    2015年05月15日
  • 非合法員

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    船戸さんが亡くなったのとゴルゴ原作者という要素が重なったことが読むきっかけとなった。最後死なずに敵を殲滅すればゴルゴ。空気感は相当ゴルゴに近い。

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    2015年05月12日
  • 山猫の夏

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    山猫(オセロット)と呼ばれる一人の日系移民が現れたところから始まるブラジル東北部の町エクルウで起きる惨劇。
    かなりハード。暑さを感じさせる。暑いと行動がはっきりするのね。
    ブラジルの歴史には、これまであまり興味がなかったが、この本で興味を持った。

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    2014年08月31日
  • 虹の谷の五月 下

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    このミス、ベスト10、2001年版6位。直木賞受賞作。この人の本はいつも同じ感じ。これと言って盛り上がるわけでもないけど、まあ、安心して読める。ちょっと退屈さが勝ったかも。

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    2014年06月12日
  • 夜のオデッセイア

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    初の船戸作品。

    ん?

    ハードボイルドのような展開になるのかと思いきや、
    暴力も拳銃もマフィアもCIAも出てくる割には軽い印象。
    ちょっと物足りないというか、消化不良な感じ。
    ラストは、ちょっとしたホラーの終わり方みたいでなんか消化不良。

    でも、期待値とずいぶん差があったので、
    まだ期待も込めて、他の作品も読んでみたい。

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    2013年10月09日
  • 山猫の夏 【新装版】

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    船戸与一にしては読みやすいエンタメよりの一冊。ロミオとジュリエットみたいなさ。舞台はブラジルで、お酒が美味しそうで、やたら強い日系人が登場して、たくさん人が死ぬ。そんな大好きな冒険小説。

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    2013年09月15日
  • 新・雨月 上 戊辰戦役朧夜話

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    ネタバレ

    <上>2013.9.3~17 <中>2013.9.17~25 <下>2013.9.25~10.7
    「正史」に対して「叛史」という視点で幕末の奥羽越戦争が描かれている。密偵、間諜を使った情報戦や北方政権構想、幕府御金蔵、略奪・凌辱の描写が”当然、あっただろう”と思わせて新しい。特に北方政権構想が実現していれば日本の南北戦争になったはずで、歴史が変わっていたのは確実と思われる。しかし奥羽越には西郷・大久保・岩倉がいなかった・・・

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    2014年09月04日
  • 蝦夷地別件 上

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    18世紀末に起こったアイヌ民族最後の蜂起『国後・目梨の乱』の顛末を、世界的視点を交えて描いた歴史大作。

    蝦夷と呼ばれた極寒の土地。
    そこで平和に過ごしてきたアイヌ民族。
    松前藩が統治するようになり、徐々に厳しい条件を突きつけていく。

    人を人とも思わない扱いをする我らが先祖。
    なんとも情けない…

    上中下の三巻に渡る超大作でもありましたが、言葉が難しくてなかなか読み進めることが出来なかった。(フリガナを打ってくれているので、余計にそれに引っ張られてしまった)

    色々と考えさせられたが、最後関係者がほとんど死んでしまうのが、少し残念。ハッピーエンドがある史実ではないので已む無しとも思いますが…

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    2013年08月03日
  • 新宿・夏の死

    購入済み

    くくりが

    新宿というだけだったか。一つに繋がるようなものを想像していた。

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    2013年06月28日
  • 虹の谷の五月 上

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    123回 2000年(平成12)上直木賞受賞作。社会派小説。セブ島で祖父と2人で暮らすフィリピン人と日本人のハーフ(通称ジャピーナ)の少年が主人公。闘鶏での賞金かせぎ、不正選挙、テロなどを経験して大人の世界へ足を踏み入れていく。フィリピンが舞台なので、日本ではありえない世界観がおもしろい。おすすめ。読み進めるうちに主人公の行動が不道理に思える場面がある。一人称長編作品の欠点かな。

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    2013年05月06日
  • 山猫の夏 【新装版】

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    暴力がまかり通る状況の世界で、
    活躍、暗躍する「日本人」

    2・26事件にかかわった、父親。

    ブラジルへの移民;そして日系人のトラブル。

    インディオの抗争ー独立

    ブラジル型、「ロミオ」と「ジュリエット」

    ロミオは、危機になれば、簡単にジュリエットを裏切る。

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    2013年03月10日
  • 猛き箱舟 下

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    「なんのために」ということを
    失ったとき人間はどうするのか?

    目覚めていく過程;人間であること 
    →そして人間を喪うこと

    隠岐浩蔵(グリスリー) VS 香坂正次

    「1級の人間」→「感情を抑制した人間」
    ;緻密で計画的であること

    ポルサリオ解放戦線
    何かが、力を与えてくれる。
    →最後は、「生きなければならない。」ということ孤独

    判断は、動物的「感」にある。
    シャヒーナという女性の生き方が、
    なんともいえないものがある。

    「革命」に身を投じながら、
    次代の流れの中で、
    その意志を変えざるをえない。

    革命から残されたものは、
    「愛」というものであるが、
    追放という厳しいものがある。

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    2013年03月10日
  • 新・雨月 中 戊辰戦役朧夜話

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    勉強不足で、戊辰戦役がここまで当方区各地で激しい戦いであったという知識はなく、白虎隊の悲劇ぐらいしか知識が無かった。話としては中間であるが故に未だ先が読めないが、主要な登場人物たちが雨の中、月がでているという幻覚を見るということが共通事項としてあり、それが故のタイトルになっていることが分かった。また、史実通りの結末である以上、全体の話としての結末と先行きが見えてはいるものの、主人公たち、三人の行き着く先は未だ見えていない、ただし、作者のことである以上、全てにおいて悲劇が待っていることだけは良く分かる。

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    2013年03月03日
  • 新・雨月 上 戊辰戦役朧夜話

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    記憶が定かではないが、蝦夷地別件からの久しぶりの本邦歴史ものではあるが、蝦夷地別件の様な、いつもの虐げられた民族や人々のレジスタンスとしての蜂起と、その哀れなまでの末路をカタルシスを持って描く、いつもの船戸節を期待したものの、やはり幕府や会津の様な武士では座りが悪い。武士から一般民が武器を手に取るというあたりと、その武器を取り人を動かすという一種の権力に目覚めた農民を描く部分に、多少の片鱗は見られるものの、主役ではないので、今のところ物語の主軸とはなっていない。主人公と思しきものは、長州の密偵と長岡の元博徒、会津の武士。彼らがニアミスを犯しながら物語の収斂に向けてどう動いていくのかが今後の展開で語られるのだろう。いつものパターンでは、武士ではない博徒が生き残る様に思われるが、どうだろうか。

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    2013年02月23日