感情タグBEST3
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肌を焼くような灼熱の大地と、間断なく汗が吹き出る暑く乾いた灼熱のブラジルが舞台というだけで気分を高ぶらせる。 町を分断する因縁を持つ2家の駆け落ち劇に端を発し、雇われた1人の男の出現で両家の戦いが町を巻き込んで死体の山を築いていく。 緻密な計算とグイグイと周りを引き釣りこむ主人公の強い個性に魅了され読む手が止まらない。 再読本に入れる。(^_^)v
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扉を開けるともう後戻りはできません。
読み始めると止まらないタイプの小説です。
ブラジルの荒野
カイピリンガというお酒
砂漠にバッタの大群!?
ここではないどこかへ
連れて行ってくれる本。
夢枕獏さんがどこかで絶賛していて
知ることができました。
ありがとうございました。
Posted by ブクログ
安定の面白さ。
異国を舞台に、
タフな日本人が、
野蛮な外国人をバッタバッタとのしていく。
この設定がもう面白い。船戸与一の真骨頂。
海外で日本人って舐められるからスカッとする。
またコロナ禍で海外旅行できないストレスもあってか
異国情緒あふれる情景に魅了される。
そしてとにかく渋い登場人物。
これぞハードボイルド…
それを実現する文章力。
ありがたや。
Posted by ブクログ
著者は早稲田大学探検部出身で、冒険小説の第一人者だという。?初版発行は1984年。少し苦手意識のある一人称形式だが、比較的読みやすいのは、主人公の語り口が落ち着いているからか。
ー裏表紙からー
舞台は、ブラジル東北部の町エクルウ。アンドラーデ家とピーステルフェルト家が、互いに反目し合い、抗争が繰り返される血なまぐさい町に、山猫(オスロット)と呼ばれる一人の日本人・弓削一徳が現れる。ピーステルフェルト家から、ある依頼を受けた山猫。その依頼とは、敵対するアンドラーデ家の息子・フェルナンと駆け落ちした娘・カロリーナを捜し出し、生娘のまま連れ戻してほしいというものだった。ブラジル版ロミオとジュリエットに端を発した血塗られた追跡劇。両家の抗争の裏で動く莫大な金と大きな野望、捜索の中で出会う旧知の男と山猫との因縁の対決、そして最後に明かされる山猫の思惑と正体・・・手に汗握る怒濤の展開、読み出したら止まらない究極のエンターテイメント小説。
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Posted by ブクログ
とにかく夢中になって読みました。
舞台はブラジル東北部の架空の街、エクルウ。そこに住む日本人の「おれ」の一人称で進む物語。
エクルウでは『ロミオとジュリエット』さながらに2つの大きな家が、いがみ合っています。両家以外にもエクルウに駐屯している軍の司令官やら警察署長やら神父やら娼館の女主人やら一癖も二癖もある面子が沢山。
そこにフラッと現れるのがタイトルにも出てくる謎の日本人「山猫」。クソ暑くて蝿が飛び交っているような田舎町にあって、タキシードをパリっと着こなし、ひび割れた声で話す、まだらの頬髭の偉丈夫ですが、いきなり腕っぷしの強いところを見せつけてくれます。
その後、「山猫」と「おれ」が道中を共にすることになるのですが、「おれ」の目を通して残酷で、どこか痛快な物語を、ひりつくようなブラジルの大地が発する熱気、漂うタバコの紫煙、いかにも美味そうなコーヒーなど、あたかも自分もその場にいるかのような感覚で読み進んでいきます。
途中からも印象的なキャラクターが出てきますし、主人公は語り手の「おれ」なのかもですが、なんといっても強烈な印象を残すのが「山猫」。豪放磊落にして、冷静沈着、人情の機微に通じていて、ニッと笑ったり、時にはゲラゲラと笑ったりとなんとも人懐っこい笑顔が目に浮かびます。
そして行間から漂い続ける熱気の中、一陣の涼風が吹き通っていくようなラストが見事でした。
ここまででもうお腹いっぱいの大満足でしたが、解説を書かれているのが高野秀行さん。これまた作者の船戸与一氏の人物像を独自の視点で描かれていて面白かったです。
Posted by ブクログ
友達から借りた時に、本の厚さにちょっと躊躇したけど、読み始めるとページを繰る手が止まらないくらい面白かった!
エクルウは架空の街だろうけど、街の雰囲気が有体にまざまざ浮かぶのって、相当描写が素晴らしいんだと思う。
そしてみんな死んでいくし…。山猫は生きて夢を達成してほしかった…。
Posted by ブクログ
30年ほど前に船戸与一に出会ったのがこの作品。文庫本で復刊されたので懐かしく再読した。そうそう、カイピリンガを砂糖を入れずにレモンを絞って・・・とか紫煙とか酒精とか、最後には登場人物がほぼ全員死ぬというお決まりのパターンで独特の船戸ワールドが蘇ってくる。この本でハマり、「猛き箱舟」「砂のクロニクル」「伝説なき地」など読みまくった。「蝦夷地別件」も少し違ったタッチだが非常に面白かった。最新作の「満州国演義」もまだ完結していないし、今なお船戸ファン継続中!
Posted by ブクログ
俺は「おれ」を嗤う気にはなれない。「おれ」にとって山猫と過ごした夏は忘れられないはずだ。山猫は深謀遠慮で、強い。そんな男が存在したなんて信じられないかもしれない。でも本当にいたのだ。もちろん、作者の純然たる妄想である。熱暑の中の白日夢に過ぎない。ただ、信じられないくらいのリアリティをもって迫ってくる。面白かった。