船戸与一のレビュー一覧

  • 風の払暁―満州国演義一―(新潮文庫)

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    昭和三年の張作霖爆殺事件前後の満州を中心に描かれる。

    不況下、満州が唯一の不況脱出の望みとなる。
    当時の人々は、満州に明治維新時の日本を重ねて見ていた様に思える。そんな雰囲気の中での陸軍の暴走。

    集められた?敷島4兄弟それぞれの道はどう重なり、どのような運命をたどることになるのか?この先、興味津々。

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    2015年09月13日
  • 非合法員

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    冒険小説の雄、船戸与一のデビュー作。
    こういうのを読んでしまうと、うまい人はやっぱり最初から面白いもの書くんだなあとしみじみ痛感してしまう。
    まあそれはともかく。

    現代の国際政治の裏側を舞台とし、そこに生きる人々を描き続けている船戸与一。必然的に登場人物は一癖も二癖もある人物ばかり。また、他ではなかなか描かれない、中南米や中央アジア、東南アジアなどの国の人を登場人物としてみることができるのが、船戸作品の特徴か。
    それは、現代政治がそれら辺境地域を欧米諸国(時には日本も)しいたげ、搾取し、代理戦争を行うことで否応無しに進んできたからであろう。

    だからなのか、作者の目は常に虐げられてきた人た

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    2015年07月25日
  • 神話の果て 【新装版】

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    これが書かれたのは1985年。冷戦真っ只中の、中南米が舞台。登場人物は破壊工作員。潜入先はとある民族革命運動のゲリラ組織。依頼内容は、その革命運動のリーダーを殺害すること。

    船戸与一の得意ジャンルであるだけあって、中南米の暑苦しさ、虐げられているインディオたちのむごい実態、その上に君臨する白人たちの優越感、山岳地帯の息苦しさとある種の清涼感、それら全てが生き生きと描かれている。

    破壊工作員である登場人物たちが、何故破壊工作員になったのか。彼らの中にある破壊衝動や殺人衝動はどこからくるのか。そんなものが数人の登場人物を通して語られる。

    いつも読む船戸与一と少し違う印象があったのは、革命運動

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    2015年07月25日
  • 山猫の夏 【新装版】

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    2015/07/08-2015/07/16
    ブラジル東北部の町エクルウは、アンドラーデ家とビーステルフェルト家に支配されている。両家はことごとに対立反目し、殺し合いが絶えない。そんな怨念の町に「山猫」こと弓削一徳がふらりと現れた。山猫の動く所、たちまち血しぶきがあがる。謎の山猫の恐るべき正体はいつ明かされる。南米三部作第一弾。

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    2015年07月18日
  • 虹の谷の五月 下

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    ジャピーノと呼ばれたトシオ・マナハンの成長の記録。
    フィリピンの実情が鮮明に描かれ、色彩のある作品であった。

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    2015年05月15日
  • 伝説なき地 【新装版】

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    昨日は風がうるさかったりで寝付けなかったんで、半分くらい読んでた船戸与一の「伝説なき地」読みきっちゃった。

    船戸与一版七人の侍なお話で、こんなに分厚さ(1000ページ超え)必要あるのかってプロットなんだけど、各登場人をしっかり描くことで、運命の衝突地点へと向かう過程が非常にスリリングで引きこまれましたわ。
    まぁ肝心の戦闘シーンがなんか微妙なのと、結果はわかってはいたものの閉じ方がちょっと雑じゃないのという気はしますが、勢いはある作品でございました。

    南米三部作の三作目になるそうな。
    続き物じゃないので、どれから読んでもいいんだけど、最初はやはり「山猫の夏」がええで~~
    カイピリンガ(カイピ

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    2014年10月15日
  • 山猫の夏

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    30年ほど前に船戸与一に出会ったのがこの作品。文庫本で復刊されたので懐かしく再読した。そうそう、カイピリンガを砂糖を入れずにレモンを絞って・・・とか紫煙とか酒精とか、最後には登場人物がほぼ全員死ぬというお決まりのパターンで独特の船戸ワールドが蘇ってくる。この本でハマり、「猛き箱舟」「砂のクロニクル」「伝説なき地」など読みまくった。「蝦夷地別件」も少し違ったタッチだが非常に面白かった。最新作の「満州国演義」もまだ完結していないし、今なお船戸ファン継続中!

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    2014年09月02日
  • 猛き箱舟 下

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    この小説の根底にある怒りの描写に多くのページを割いて、極限の怒りを活写している。この小説ほど殆どの登場人物にカタを付けたものはないのではないか。ディスパリュノベルとでも分類するか。。

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    2014年07月31日
  • 猛き箱舟 上

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    船戸氏の描く物語の舞台は、異国が多い。しかも、濃密で凝縮しており、映画のような臨場感で迫ってくる。本作でもその筆致は健在であり、読者を西サハラの灼熱の太陽の下に誘ってくれる。
    時代は、約30年くらい遡り日本の企業が資源を求めて旺盛に海外に進出している頃の話である。
    海外事業所で発生したクライシスを秘密裏に武力解決する伝説の日本人とそれに憧れる若者との邂逅からストーリーは始まり、アフリカ西端の地で傭兵として武力衝突を経験するくだりまでが上巻である。主人公のキャラクターがどんどん変わっていく過程も面白い。

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    2014年07月31日
  • 砂のクロニクル 上

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    イランという国は、石油関連の事業を中心に意外と日本との関係が深い。しかし、革命後のイランとなると殆ど国の行ききがなくなり情報もアメリカとの軋轢に終始したものになってしまった。それ故に本作品の躍動あるストーリーは、目新しくまた、

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    2014年07月31日
  • 非合法員

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    【選んだ理由】
    好きな作家なので

    【感想】
    一気に読んでしまった。お風呂での読書には最適だが、のぼせてしまうきらいがある。

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    2014年01月19日
  • 山猫の夏 【新装版】

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    壮絶な物語。エグい描写が連発するので、万人向けではないけど、手に汗握る冒険活劇。グイグイ惹きつけられる展開は圧巻。ただあまりの惨さに星を一つ減らしてしまったけれど、それがなければ文句なく星五つ。

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    2014年01月11日
  • 猛き箱舟 上

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    初めて船戸与一さんの作品を読んだ。以前勤めていた会社の女ボスが船戸与一さん大好きと言っていたが、うん、なんだかよくわかる。ハードボイルドすぎる!というか執念深すぎる!倍返しどころじゃない復習劇だわ、これ。

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    2013年12月17日
  • 蝦夷地別件 下

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    下巻は一気に読んじゃいました。

    ハルナフリの変貌っぷり。
    家族を非常にむごたらしい形で殺され、絶叫の上に自分を失ってしまった。
    が、その復讐を果たす為に、一人密かにことを進めていく。

    でも復讐を果たしたとしても、何もハッピーなんてことがない。
    なんとなく物哀しい気持ちになりました。

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    2013年08月03日
  • 午後の行商人

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    ネタバレ

    船戸与一の初読み。
    硬派、ハードボイルド、歴史の弱者……。

    独特の語り口と老人の圧倒的に強い意思とに魅せられて……どう考えても悲劇の結末しか待っていなさそうな長編を、とりつかれたかのように読み進めてしまった。

    大変面白い作品ではあるが……途中から十分に分かってはいたはずだが……やはり結末が“悲劇”であると不満が残ってしまう、コドモな自分(苦笑)。

    というわけで、★4つ、8ポイント。
    2013.04.11.了。


    ……死人のはずの“タランチュラ”と行動を共にしたとは、どういうことか?

    ……エピローグで描かれた行商人が名乗った“タランチュラ”とは?


    …………何を暗喩しての描写か、読み

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    2015年07月06日
  • 神話の果て 【新装版】

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    ネタバレ

    どいつもこいつもあっさりと殺し、殺される。
    怖いけど、ああいう南米の奥地みたいなところ
    一度行ってみたい。

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    2013年03月09日
  • 新・雨月 下 戊辰戦役朧夜話

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    3巻におよぶ長編であるが故と、作者特有の相変わらずの乾いた描写で陰惨な戦争がこれでもかと描かれ、少々、辟易としながら、最後までぐいぐいと引っ張られるように読み終えることができた。また、結末は会津藩の降伏という約束された結末ではあるものの、教科書などでは戊辰戦役も五稜郭も十羽ひとからげに扱われているが故に歴史としての知識もなく、ここまで詳細な降伏に至るまでの状況を知らなかっので、戦国時代とは違う日本最大の内戦としての歴史を知るという意味においての読後感は消して悪くない。3人の主人公たちが見る雨月の幻に関する解釈は一切ないまま、また、あっけないほど歴史の片隅に消えていく様は、これも作者特有の執着の

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    2013年03月05日
  • 山猫の夏 【新装版】

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    ネタバレ

    はじめて船戸与一作品を読んだ。
    山猫がしぶくて格好良かったし、ブラジルの田舎町の
    雰囲気もとても良かった。
    でもちょっと長いというか、いまいちどこがクライマックスなんだろうかって
    言うのがよくわからず、それは最後の闘いのところなんだろうけど。
    この山猫の続編も読みたいと思ったが、それは残念。
    それから、映画化希望。山猫は三船敏郎で。
    今なら、う~ん、やっぱ映画化いらんわ。

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    2013年02月28日
  • 蝦夷地別件 下

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    歴史上の事件をその時代の世界情勢とからめ、歴史上の実在人物に架空の人物を交えて描くことにより、その時の和人と蝦夷の状況と意識・心情をよりリアルに感じられ、面白い。
     新井田孫三郎や葛西政信など登場人物が、己の理想に向かって職務のためだけに生きる人たちの傍若無人ともいえる冷徹さと蝦夷地に売られてきた人たちの蝦夷を下に見る心情、和人の経済に取り込まれんがら、蝦夷らしさを失いたくない蝦夷たち、考えされされることも多い本です。

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    2013年01月27日
  • 蝦夷地別件 上

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    1789年のクナシリ・メナシの戦いを中心に、
    ロシア帝国の極東進出、フランス革命、寛政の改革などを背景にからめ、
    その時代の世界情勢と日本の政治情勢の中の蝦夷地とそこに住む蝦夷と和人の交流と対決を描いている

    感想は下巻に

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    2013年01月27日