船戸与一のレビュー一覧
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著者は早稲田大学探検部出身で、冒険小説の第一人者だという。?初版発行は1984年。少し苦手意識のある一人称形式だが、比較的読みやすいのは、主人公の語り口が落ち着いているからか。
ー裏表紙からー
舞台は、ブラジル東北部の町エクルウ。アンドラーデ家とピーステルフェルト家が、互いに反目し合い、抗争が繰り返される血なまぐさい町に、山猫(オスロット)と呼ばれる一人の日本人・弓削一徳が現れる。ピーステルフェルト家から、ある依頼を受けた山猫。その依頼とは、敵対するアンドラーデ家の息子・フェルナンと駆け落ちした娘・カロリーナを捜し出し、生娘のまま連れ戻してほしいというものだった。ブラジル版ロミオとジュリエットに端を発した血塗られた追跡劇。両家の抗争の裏で動く莫大な金と大きな野望、捜索の中で出会う旧知の男と山猫との因縁の対決、そして最後に明かされる山猫の思惑と正体・・・手に汗握る怒濤の展開、読み出したら止まらない究極のエンターテイメント小説。
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Posted by ブクログ
次郎、南方の山林に散る・・・・・・。
満州国もついに、全9巻中の8巻目まで読んでしまった。あと1冊でこの壮大な船戸ワールドを読み終えてしまうのかと思うと、寂しくてならない。
辻政信
牟田口廉也
東條英機・・・・・・
無能作戦立案、実行、強硬により数万・数十万の死傷者を出した男たち。その屍を尻目に終戦まで生き延びた者たち。
ある者は、戦犯として挙げられつつも裁かれるのを嫌い自決。(なんと卑怯な。死に逃げず、自らの判断が国をどんな運命に導いたのかを見届ける義務のある人間だろうに)
ある者は、平和を取り戻した戦後日本で代議士にまで上り詰める。(そもそも、そんな男になぜ票が集まったのかが疑問)
ある者は、インパール作戦の責任逃れに終始する。
(あげく、部下の無能さが作戦失敗の要因だと吹聴)
・・・・・・・一体なんだったんだろう、そんな一握りの馬鹿たれの出世欲や権勢欲のために生命を散らせていった日本人たちが、浮かばれない。
★4つ、9ポイント半。
2018.10.19.古。
※あと1冊で完結ということで、読むのが勿体なさすぎる「満州国演義」、でも、8巻でこんな引き方をされたら・・・・、続きが気になりすぎる。
すぐにでも9巻目を買いたくなってしまったが、なんとか我慢してもうしばらくは寝かせておこう。 -
Posted by ブクログ
一巻は単行本でも読んだのだが、本作が船戸さんの遺作になってしまったこともあり、もったいなくて途中で読みとどまっていた。よし、読むぞと意気込んで再読。場の情景がありありと浮かび、4兄弟それぞれがその時代の政治に巻き込まれていく序章の一巻。まだ何冊も続きがあるから、まだみんな動いてくれるはず。いろいろな視点で時代の狭間を覗く、しかもその視点は兄弟なので互いに異なる立場でありながらも、気にかけているのがいい。兄弟なので、がないと異なる他者の存在を自分に置き換えづらいのかもしれない。つまり船戸氏の戦略が成功している。完結しているんだということが嬉しくもあり悲しくもあるけれど、自分の中でもようやく完結に向けて動き出した。
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とにかく夢中になって読みました。
舞台はブラジル東北部の架空の街、エクルウ。そこに住む日本人の「おれ」の一人称で進む物語。
エクルウでは『ロミオとジュリエット』さながらに2つの大きな家が、いがみ合っています。両家以外にもエクルウに駐屯している軍の司令官やら警察署長やら神父やら娼館の女主人やら一癖も二癖もある面子が沢山。
そこにフラッと現れるのがタイトルにも出てくる謎の日本人「山猫」。クソ暑くて蝿が飛び交っているような田舎町にあって、タキシードをパリっと着こなし、ひび割れた声で話す、まだらの頬髭の偉丈夫ですが、いきなり腕っぷしの強いところを見せつけてくれます。
その後、「山猫」と「おれ」が道中を共にすることになるのですが、「おれ」の目を通して残酷で、どこか痛快な物語を、ひりつくようなブラジルの大地が発する熱気、漂うタバコの紫煙、いかにも美味そうなコーヒーなど、あたかも自分もその場にいるかのような感覚で読み進んでいきます。
途中からも印象的なキャラクターが出てきますし、主人公は語り手の「おれ」なのかもですが、なんといっても強烈な印象を残すのが「山猫」。豪放磊落にして、冷静沈着、人情の機微に通じていて、ニッと笑ったり、時にはゲラゲラと笑ったりとなんとも人懐っこい笑顔が目に浮かびます。
そして行間から漂い続ける熱気の中、一陣の涼風が吹き通っていくようなラストが見事でした。
ここまででもうお腹いっぱいの大満足でしたが、解説を書かれているのが高野秀行さん。これまた作者の船戸与一氏の人物像を独自の視点で描かれていて面白かったです。
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ネタバレ戦慄の南京事件。
日本軍の鬼畜ぶりに驚愕と嫌悪。
御大層な大義名分と実際にやっていることとの解離が凄まじ過ぎる。
日本史知識は中学校教科書と小学校教科書との中間くらいしか無い身としては、目を背けたくなる描写のオンパレード。
裏の世界から足を洗おうとしてる次兄の前に再び間垣徳蔵が現れ、さらにあちこちから「もう一度仕事をしないか」との声がかけられる・・彼の行く末が気になる一冊。
★4つ、8ポイント。
2017.12.12.新。
※日本史知識は無いわりにここ数年の歴史小説プチマイブームによってその都度wikiってきたところによると、世間では(?)「京事件は無かったとする派」が一定数以上いるとのこと・・・
・・・南京事件を描いた小説家がネットで炎上したり、漫画の南京事件描写編が単行本から削除され、かつ連載中断に追い込まれたりした事例があるのだとか・・・
そんな中でのこの描写とは・・・。
船戸さん、強気だな。
どちらの説が正しいかは知るよしも無いが・・・
今までに見たいくつかのフィクション作品中の描写や、ルポ、無かった派の記事等からの現時点での感想は・・
南京大虐殺30万人、とかはさすがにかの国の誇大主張かもしれないが、数の違いはともかく虐殺自体はあったのかも・・
そして、程度の違いは大小あれども、指揮官の統率から外れた場での虐殺事件は、日中間だけでなく世のあらゆる“戦争”“紛争”“事変”と呼ばれる事象の中ではたくさん行われてきたのだろう、と。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ長かった。思いのほか読むのに時間がかかった(苦笑)。
けれども、物語への引き込まれ感は既読の3冊を上回る。四兄弟の運命の歯車がまた1つシフトチェンジした感じと、狂気へ向かって走り始めた軍部の動向とが、読み手の心を揺さぶり始めた。
★4つ、9ポイント。
2017.04.27.新。
※巻末解説文にある通り、それぞれの「正義」が誤った方向へ進み出て二度とは戻れない時代の荒波へと押し流されていく過程が描かれているというのがよく分かる一冊だった。
※筆者が登場人物に語らせた一言、「正義が何かを解決したことがありますか?むしろ逆に・・・」という台詞が、胸に刺さった。