船戸与一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【ネタばれあり】
いや~おもしろかったですね。船戸与一初読でしたが、先入観としては重たい話を書く人かなと勝手に思ってたのですが、なんのなんの、リズミカルな冒険小説であり、主人公「オレ」の成長記でありと、700ページの分量をサラっと読ませてくれて、とても楽しませてもらいました。
特に良かったのが、ダーティヒーロー?である山猫の存在。「オレ」が山猫に惹かれ、成長していく様がとても爽快であり、みずみずしさを与えてくれました。
残念ながら、無敵のヒーロー山猫が死んでしまうところはびっくりしましたが、あれは、彼の育ての親である駒場忠介がそうであったように、良い死に場所、相手を得たからだと思いました。
読書中に船戸作品を10作品ほど入手しました。
これから、船戸ワールドに浸りたいと思います。
船戸与一:初読
読書期間:2009.3.11~.3.31 -
Posted by ブクログ
復讐を心に、5年の刑期を終え出所した藤堂は、落とし前をつけに伊豆下田にやって来た。しかし、1人の女との出会いが藤堂の運命を狂わせる。主人公・藤堂が破滅へと向かう姿には、唖然とした。自己破壊欲のあらわれかとも考えたが、女の情念に徐々に蝕まれていったようにも思える。いずれにしても理性では理解し難い世界。船戸さんの描く人間たちはしばしば常軌を逸した行動をとる。本人の理性も野望も、運命の波あるいは時代の波に飲み込まれていく。読者がそこに何を見るか、というのがポイントなのかもしれない。私も考えてみたが、脳味噌が痒くなるばかり。本書は船戸作品の中でもちょっと異色なものだと思う。
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Posted by ブクログ
(昔書いた感想を引っ張ってこようシリーズ)
ハードボイルドってジャンルはさっぱり読まないんで、これは読んだ唯一無二に近いような。これそれなりにおもしろかったんで、その後もまた読もーと思って、結局さっぱりと手を出してません。うーん。
そんなわけで、最初の方では主人公が「一人前の男になるんだ!そして、そうなったあかつきには車も今みたいなホンダ・アコードごときじゃなくアルファ・ロメオかポルシェ、ベンツだな…フフフ。そして、やっぱり女も超一級品じゃなくってはな…」とか言ってるのに、こ、こ、これがハードボイルドと言うものなのか!!と超ビックリしました。こんないじましい世界だったのね(笑)
でも主人公はその後順調に成長を遂げ、その後はこういったみみちい(失敬)ことは口にしなくなりました。やれやれ。
ラブストーリーも盛り込まれてますけど、相手のシャヒーナちゃんがカッコ良かったなあ!ドキドキした!
ラストに向けての怒涛のような流れ、カッコ良かったなー。(なんかちょっと話のテンポが高村思い出すなーとか思ったんだが) -
Posted by ブクログ
2003/08/16前半に関しては弛緩した印象を受けた。語り部たるフィリピンの辺境の農村の少年が幸せとは言えずとも凄く不幸とも言えないので、船戸与一の初期の南米3部作や「猛き箱舟」のような一種厭世的なピリピリした描写が感じられず牧歌的な印象を持った為だと思う。相変わらずの少年の成長譚であり、脇を彩る登場人物も、これまでの作品のキャラクターを踏襲したものばかりだ。しかし、そう思って読み続けていてもクライマックスの一連の展開と帰結には本当に参ってしまった。まるでサム・ペキンパーの映画のクライマックスで得られるカタルシスと詠嘆に等価なのである。やはり当代随一のアクション作家だと思った。
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Posted by ブクログ
大長編も7巻目となった。時代はとうとう1941年12月8日に至り終わりも近い。描かれるのは戦いの場面が多くなり、男女が入り乱れたりするシーンも減っていまいち面白くない。
解説(高野秀行)の船戸作品分析がなかなか秀逸。「(作者の船戸さんは)舞台をどこに定めても大枠の「現実」を勝手にいじらない。架空の政治家や政党、反政府ゲリラなどは一切登場させない。~中略~ 半面、実在の人物は直接書かない。それがイランのホメイニ師であれ、幕末の榎本武揚であれ、登場人物の会話や地の文にこそ垣間見えるが、彼らの内面が描かれることはない。内面どころか見た目の描写さえない。おそらく、見た目を描写すると内面も透けて見えてしまうからだろう。」(p.684)とか、各巻の解説を読んできたので敷島4兄弟(それにしても太郎、次郎、三郎、四郎という名づけ方は何という短絡さ。フィクション感を醸すためだろうか)の末路もそこはことなく知っているんだけど、本巻の解説の「船戸作品の登場人物が最後にはほとんど死んでしまうのも、彼独特のニヒリズムだけが理由ではなかろう。「自分が創ったものは自分で始末しなければいけない」――それもまた船戸さんの流儀の一部なのだと思う。芝居が終わったあと、舞台は前の状態に戻さねばならないということだ。」(p.684)を読んで何だか納得。次巻以降を楽しむ視点がひとつ増えたような感じ。