【感想・ネタバレ】国家と犯罪のレビュー

あらすじ

冒険小説の雄が世界の辺境を歩いた傑作ルポ

「わたしは比較的辺境を旅することが多いが、ときどき眩暈を覚えるような光景に出くわすことがある。そこでは人間があまりにも簡単に殺されるのだ……。
国家に対する犯罪。
国家による犯罪。
本書はその二つの相関についてのささやかな旅の報告である(「序にかえて」より)
キューバ、メキシコ、中国、クルディスタン、イタリア…世界の辺境では、いま何が起きているか?
『山猫の夏』『砂のクロニクル』など傑作冒険小説を描き続ける作家が世に問うた巨弾ルポルタージュ。

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Posted by ブクログ

いまさら説明の必要もない、今をときめく冒険小説の旗手、というか今や大御所と言っていい存在の船戸与一。

すでに2000年に『虹の谷の五月』で直木三十五賞も得ている我が愛しの四天王のうちのひとりですが、デビュー作は1979年の『非合法員』でした。(私の四天王と名づけて、溺愛して全著作を読み込んでいる小説家は、逢坂剛・佐々木譲・高橋克彦、それにこの船戸与一の4人です)

それに先立つこと4年前に、別名の豊浦志朗名義で『硬派と宿命・・はぐれ狼たちの伝説』、そして2年前に『叛アメリカ史』という2冊の渾身のルポルタージュを上梓していることは、彼のファンなら今さら目新しい情報でも何でもない周知の事実ですが、ところが問題の本書は、すでに20冊を超える著書を出して押しも押されぬ作家としての地位を確立しているさなかの20年後の1997年に、まさに船戸与一名義で出されたものなのです。

何故そんなふうに、


・・・・・書きかけ・・・・・

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2011年09月14日

Posted by ブクログ

 国家とは何か、合法の暴力装置である。合法なるゆえにその罪を問われる者はいない。戦争に負ければその責任は問われるのだが、それも責任のなすり合いで責任者の顔は見えない。勝ち続ければ英雄なのだから、国家に異を唱える人々の屍が累々と大地に横たわることになる。ヒトラーのホロコーストしかり、ポルポトの自国民大量虐殺しかり。同じ誤りをくりかえし反省する気配すらない。更なる暗闇が大きく口をあけて待ち構えている。竹島、尖閣、北方四島など、国境線問題の解決に武力行使は確かに分かり易い。だが、そうやって悪魔は正義の衣を着てやってくるのだ。

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2012年08月23日

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