船戸与一のレビュー一覧

  • 残夢の骸―満州国演義九―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    満州国演義 最終巻

    敷島四兄弟の中、状況に引きずられる官僚の「太郎」と、満州に生き、満州と共に滅びた「次郎」、軍人として死地に向かった「三郎」が亡くなり、一般人の「四郎」だけが戦争の惨禍に巻き込まれた子供をつれて帰国するところは、その時の日本の状況を表わしている様に思える。

    シベリアに連れて行かれ、過酷な環境の中ですこしでも生き延びる可能性を大きくするために行動する日本人捕虜達が、ぎりぎりの環境の中で、保つ「誇り」とは何か?徳蔵や太郎の行動も改めて考えてみたい。
    (以前読んだ 井上ひさしの「一週間」を思い出した)

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    2016年08月21日
  • 南冥の雫―満州国演義八―(新潮文庫)

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    ついに第八巻まで読み終わってしまった。
    満州から始まったこの壮大な歴史小説も、残りわずか。
    満州国の最後を船戸与一がどのように描くのか、とても楽しみです。

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    2016年08月21日
  • 南冥の雫―満州国演義八―(新潮文庫)

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    太平洋戦争、ミッドウェー海戦以降悪化する戦況、そして欠乏する物資、声高に精神論をとなえる政府・軍部、破滅への道をたどる日本が克明に描かれる。

    そして、その状況を映し出す様にこれまで歴史を見る役目をしていた敷島四兄弟も、歴史の波に飲み込まれ、破滅への道を突き進んでいる。

    最終巻は、間垣が敷島四兄弟に深く関わる理由が明らかにされる様だ。敷島四兄弟はどうなっていくのか?どきどきしながら最終巻を待つ。

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    2016年07月17日
  • 雷の波濤―満州国演義七―(新潮文庫)

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    ついに日米開戦
    敷島四兄弟は、流れに引きずられ、立場を微妙に変えながら、歴史を目撃する。

    現在に一番近い歴史であるだけに、
    もしこの時点でこうだったら?こうしていれば?とか、ついつい思いながら読んでしまう。
    ここに出てくる政治家や軍人、実業家などの一部は、現在の政治家や実業家に直接関係していたりする。

    この巻の中に、「社会主義と国家社会主義は同根だ」との言葉があり、確かに一党独裁ということともに、スターリンもヒトラーも同じにおい(力で他を制する)がする。
    そして、現在の日本の1強の政治状況は、その方向に流れていっていないだろうか?

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    2016年06月12日
  • 猛き箱舟 上

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    海外進出日本企業のために非合法活動を行う灰色熊(グリズリー)に憧れる主人公 香坂正次がそのメンバーに加わり、北西アフリカ=マグレブに渡る。
    思いもよらない裏切り、愛、友情、を経験して正次は変貌していく。
    ハラハラドキドキ、一気読みの長編作品。

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    2016年06月05日
  • 大地の牙―満州国演義六―(新潮文庫)

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    なかなか第七巻が発売されず、第六巻をゆっくりじっくり読んでいたのですが、実は数週間前には読み終えてしまってました(^_^;)
    本日、ようやく楽しみにしていた第七巻が発売されましたね。
    日中戦争は完全に泥沼化し、ヨーロッパではドイツとフランス、イギリスの戦争が本格化。日本も次第に反英米へと傾いていく。
    四兄弟の物語もいよいよ佳境に入っていくんだろうなあ。
    先が楽しみだけど、次が出るまで間が持つかな〜(^_^;)

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    2016年05月27日
  • 伝説なき地 【新装版】

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    コロンビアとベネズエラの国境地帯にある土地の争奪戦。
    その土地にレアアースが埋蔵金されていることがわかったため全ての利権を手に入れようと親族も含め全ての邪魔者を排除しようとする土地の所有者側の視点と、神のお告げによりその土地で独自の共同体を設立しようとする新興宗教もどきのコロンビアからの難民たちの視点と交互に語られる。
    難民側が正義のように見えるが、個人的には他人の土地で勝手に生活して立ち退かないというのはどう考えても不法占拠。所有者側の情け容赦のない排除ぶりもアレだが、自己責任でやっていることなので彼らの方が理にかなっている。
    という若干腹落ちしないところも気にならないぐらい、登場人物の活か

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    2016年04月05日
  • 灰塵の暦―満州国演義五―(新潮文庫)

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    満州国演義ももう五巻まで来ました。
    船戸与一のハードボイルドを読みながら歴史の勉強もできる、なんとも贅沢なシリーズです(笑)
    ついつい没頭して読み進めてしまいたくなるところを、じっくりゆっくり楽しんでます。
    満州国建国からわずか5年、日中はついに全面戦争に突入していく。
    時代が動く時のスピード感に驚きを覚えると同時に、現在の日本の情勢にあらためて危機感を強くした。

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    2016年03月27日
  • 大地の牙―満州国演義六―(新潮文庫)

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    暴走が止まらない日本陸軍、政府が軍部を抑制できないだけでなく、軍内部でも大本営を無視した現場の暴走、そして事実の隠蔽。
    過去の成功体験だけを根拠に、改めて分析することなく、突っ走るのは、今でもあるし、大きな失敗や故障を引き起こしている。

    敷島四兄弟は、それぞれが新たな状況、立場へと変わってきている。それは、日本国内、国際環境、中国・満州、関東軍の状況の変化につながっている。
    四兄弟は、これから何を見せられるのだろうか?

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    2016年03月12日
  • 灰塵の暦―満州国演義五―(新潮文庫)

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    関東軍の暴走により、戦火は、上海、南京に広がる。
    歴史を目撃する役目を負った敷島四兄弟は、それぞれに転機を迎えつつある。
    四兄弟の目は、これから満州の歴史に何を見るのだろう?満州を見つめる目がどの様に変わっていくのだろう?

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    2016年02月13日
  • 炎の回廊―満州国演義四―(新潮文庫)

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    帝政へ移行した満州国。
    五族共和の理想にはほど遠く、阿片にたよる経済。
    そして、二・二六事件が発生。

    満州の歴史を目撃する役目を与えられた敷島兄弟は、これから何を見るのだろう。

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    2016年01月24日
  • 砂のクロニクル 下

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    もうお腹いっぱいです。
    文庫上・下巻で合わせて1210ページの大部。
    本書は1991年に毎日新聞社から単行本として刊行されました。
    25年も前の作品ですから、割と古い作品といえましょう。
    ただ、決して色あせないのは、本書の内容と同様、今もなお宗教、民族、その他の問題で、世界中でおびただしい量の血が流れているから。
    しかも、かつてのような国家間の戦争・紛争というよりは、テロという形で世界中に脅威が拡散しており、より困難な時代に直面しているといえましょう。
    さて、本書はイスラム革命後のイランが舞台。
    世界中に2500万人という人口がいながら、迫害されてきたクルド人が、聖地マハバードで独立国家樹立を

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    2016年01月23日
  • 砂のクロニクル 上

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    もうお腹いっぱいです。
    文庫上・下巻で合わせて1210ページの大部。
    本書は1991年に毎日新聞社から単行本として刊行されました。
    25年も前の作品ですから、割と古い作品といえましょう。
    ただ、決して色あせないのは、本書の内容と同様、今もなお宗教、民族、その他の問題で、世界中でおびただしい量の血が流れているから。
    しかも、かつてのような国家間の戦争・紛争というよりは、テロという形で世界中に脅威が拡散しており、より困難な時代に直面しているといえましょう。
    さて、本書はイスラム革命後のイランが舞台。
    世界中に2500万人という人口がいながら、迫害されてきたクルド人が、聖地マハバードで独立国家樹立を

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    2016年01月23日
  • 炎の回廊―満州国演義四―(新潮文庫)

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     「天皇は日本人が産み出した最高の虚構なんだよ!」
    卓見である。本書は、ここが最大のキーポイント。
    今後の敷島兄弟の運命は、続巻が待ち遠しい。

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    2016年01月11日
  • 風の払暁―満州国演義一―(新潮文庫)

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    船戸与一さんの遺作となってしまった「満州国演義」シリーズ第一作です。
    外交官、満州の馬賊の頭領、関東軍、左翼思想に共鳴する学生、異なる道を歩む敷島四兄弟を主人公に、激動の時代を描ききった全九巻に及ぶ超大作。
    文庫本になるのを待ってました(^^)
    第一作は主な登場人物が出揃い、徐々に戦争へと向かう日本と満州で、その流れに巻き込まれていきます。
    まだほんの入り口という感じですが、これぞ船戸与一作品!という雰囲気なので、次巻以降に期待が膨らみます。
    この作品は2007年に初版が出たんですが、戦争へと大きく一つ舵を切った今の時代にこそ読まれるべき作品だと思います。さすが船戸与一。
    癌との闘病の中で書き

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    2016年01月04日
  • 夢は荒れ地を

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    船戸与一の東南アジア5部作
    舞台は、PKOで初めて自衛隊が派遣された、ポル・ポト後のカンボジア。
    PKOで派遣されたカンボジアにとらわれた自衛官が、カンボジアの状況を変えようとする。
    ここに描かれるカンボジアの現実は、重たい。

    法を絶対と考える欧米の倫理、法も方便と考えるアジアの現実、その狭間で揺れ動く日本人

    現実に直面したとき、何を考え、どう行動するか?が問われている気がする。

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    2015年12月06日
  • 群狼の舞―満州国演義三―(新潮文庫)

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    不況を脱しきれない日本が騒がしくなる。その目を外に向けようと満州国建設に走る軍部と政府。
    しかし先立つものはなく、国民の夢と実相がかけ離れる。

    敷島四兄弟が満州の各地で、それぞれの立場で満州に関わり、その中で満州に住む各民族の感情も明らかになってゆく。

    いろいろな立場の人が混じり合い、せめぎ合う。混乱の満州。これから話はどう展開していくのだろう?

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    2015年10月11日
  • 風の払暁―満州国演義一―(新潮文庫)

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    満州国演技シリーズ第一巻。
    ページから砂塵が舞い熱い風が吹く。
    強烈なインパクト。
    これぞ船戸作品といった冒険小説の幕開け。
    この先続くシリーズが早く読みたいけれど、読み終わりたくない。

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    2015年09月18日
  • 事変の夜―満州国演義二―(新潮文庫)

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    昭和6年の満州事変勃発。そして中国大陸に戦火が広がる。
    謀略と武力で突き進む関東軍。

    中国に集められた敷島4兄弟は、周りの状況に抗しきれず戸惑いながら、それぞれの道を行く。これから、4兄弟はどうなっていくのだろう?

    理念と行動
    満州進出から第二次世界大戦にいたるまでの日本政府、帝国軍にも、理念と行動はあった。
    そして、理念の実現のため、状況を有利にするため、謀略や力業をよしとする当時の雰囲気。
    翻って、現在はどうか?政府・国会、ネット。。。

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    2015年09月13日
  • 山猫の夏

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    ネタバレ

    友達から借りた時に、本の厚さにちょっと躊躇したけど、読み始めるとページを繰る手が止まらないくらい面白かった!
    エクルウは架空の街だろうけど、街の雰囲気が有体にまざまざ浮かぶのって、相当描写が素晴らしいんだと思う。
    そしてみんな死んでいくし…。山猫は生きて夢を達成してほしかった…。

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    2015年09月08日