船戸与一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
シリーズ第3作目。
タイトル通り“狼”達が、大陸各地で本格的に獲物を漁り始めた・・・といった様相か?
・・・肩で風を切って街を練り歩き、わざと相手にぶつかっておきながら「痛ぇじゃねえか、この野郎っ!」と因縁つけて喧嘩に持ち込む……、
まるで昭和の漫画・ドラマ・映画で描かれるヤクザやチンピラ、不良少年たちのような、関東軍の所業の数々…、気が滅入ってきそう(苦笑)。こんなもんがまかり通ってしまうあたり、やはり狂気の時代だったのだろう。
謎の工作員、間垣徳蔵の背景がチラりと見えかけたのが、史実と創作のハーモニーによって織り成されるこの物語の、フィクションパートの重要ポイントか?
★4つ、8ポイント半。
2017.01.22.古。 -
Posted by ブクログ
最初の方、あまり話に入り込めなかったし途中で少し中だるみしてしまったものの、全体を通して言えば面白かった。
物語の軸となる敷島四兄弟。
順番にそれぞれの物語が進んでいくが、ごちゃごちゃになることもなく読みやすい。
この兄弟達を通して、当時の日本の情勢がよくわかる。
そしてこの四兄弟の前に順番に現れる謎の男、間垣 徳蔵。
この男の存在が不気味で、物語を面白くさせている。
今後、この男と四兄弟がどう関わっていくのか、楽しみだ。
そして、本文の途中に、印象的な一行がある。
"日本人は理論というものから遠ざかろうとしている。一時的な感情のみが行動の基盤になりつつある。"と。
これ、今も同じ。
現在だって自分たちの目的の為に理論や手段を選ばずに行動し、声を大にしてそれを主張する。
つまり、この昭和三年当時(物語の中では、そうなっている)と変わってない。もしくは一周回って、戻ってきてしまったのか。だとしたら。。。 -
Posted by ブクログ
コロンビアとベネズエラの国境地帯にある土地の争奪戦。
その土地にレアアースが埋蔵金されていることがわかったため全ての利権を手に入れようと親族も含め全ての邪魔者を排除しようとする土地の所有者側の視点と、神のお告げによりその土地で独自の共同体を設立しようとする新興宗教もどきのコロンビアからの難民たちの視点と交互に語られる。
難民側が正義のように見えるが、個人的には他人の土地で勝手に生活して立ち退かないというのはどう考えても不法占拠。所有者側の情け容赦のない排除ぶりもアレだが、自己責任でやっていることなので彼らの方が理にかなっている。
という若干腹落ちしないところも気にならないぐらい、登場人物の活かし方がうまいし、綿密な取材によって書かれているので、1000ページという大作ながらも中だるみせずに一気に読める。 -
Posted by ブクログ
もうお腹いっぱいです。
文庫上・下巻で合わせて1210ページの大部。
本書は1991年に毎日新聞社から単行本として刊行されました。
25年も前の作品ですから、割と古い作品といえましょう。
ただ、決して色あせないのは、本書の内容と同様、今もなお宗教、民族、その他の問題で、世界中でおびただしい量の血が流れているから。
しかも、かつてのような国家間の戦争・紛争というよりは、テロという形で世界中に脅威が拡散しており、より困難な時代に直面しているといえましょう。
さて、本書はイスラム革命後のイランが舞台。
世界中に2500万人という人口がいながら、迫害されてきたクルド人が、聖地マハバードで独立国家樹立を目指して武器の調達を目論みます。
そのクルド人ゲリラの指揮官が、清廉潔白なハッサン・ヘルムートという男。
武器調達を請け負ったのは、目的のためなら殺人もいとわない冷酷な日本人武器密輸商人で、「ハジ」と呼ばれる駒井克人です。
イスラム革命後に腐敗した革命防衛隊を正すため、実力行使に打って出るのが、若き革命防衛隊小隊主任のサミル・セイフ。
そして、かつては非スターリン主義的マルクス主義組織フェダイン・ハルクに所属し、ある事情によって隻脚となった、これもまた「ハジ」と呼ばれる日本人の男。
物語はこれらの登場人物の視点で多元的に展開し、マハバードであいまみえて壮絶なラストを迎えます。
読み終えた後は、歴史に翻弄された者たちの哀しみがひしひしと胸に迫ってくるでしょう。
余計な感傷を極力排し、乾いた筆致で感動を呼び起こす作者の力量にも感服する次第。
日本人にとっては複雑な中東情勢の一端を理解するための一助にもなりましょう。
おススメです。 -
Posted by ブクログ
もうお腹いっぱいです。
文庫上・下巻で合わせて1210ページの大部。
本書は1991年に毎日新聞社から単行本として刊行されました。
25年も前の作品ですから、割と古い作品といえましょう。
ただ、決して色あせないのは、本書の内容と同様、今もなお宗教、民族、その他の問題で、世界中でおびただしい量の血が流れているから。
しかも、かつてのような国家間の戦争・紛争というよりは、テロという形で世界中に脅威が拡散しており、より困難な時代に直面しているといえましょう。
さて、本書はイスラム革命後のイランが舞台。
世界中に2500万人という人口がいながら、迫害されてきたクルド人が、聖地マハバードで独立国家樹立を目指して武器の調達を目論みます。
そのクルド人ゲリラの指揮官が、清廉潔白なハッサン・ヘルムートという男。
武器調達を請け負ったのは、目的のためなら殺人もいとわない冷酷な日本人武器密輸商人で、「ハジ」と呼ばれる駒井克人です。
イスラム革命後に腐敗した革命防衛隊を正すため、実力行使に打って出るのが、若き革命防衛隊小隊主任のサミル・セイフ。
そして、かつては非スターリン主義的マルクス主義組織フェダイン・ハルクに所属し、ある事情によって隻脚となった、これもまた「ハジ」と呼ばれる日本人の男。
物語はこれらの登場人物の視点で多元的に展開し、マハバードであいまみえて壮絶なラストを迎えます。
読み終えた後は、歴史に翻弄された者たちの哀しみがひしひしと胸に迫ってくるでしょう。
余計な感傷を極力排し、乾いた筆致で感動を呼び起こす作者の力量にも感服する次第。
日本人にとっては複雑な中東情勢の一端を理解するための一助にもなりましょう。
おススメです。