船戸与一のレビュー一覧

  • 猛き箱舟 上

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    日本を代表する冒険小説家、船戸与一氏の油の乗り切った頃の一冊。
    ちょっととっぴょうしのない描写もあるが、最初から最後まで手に汗握らせる展開はさすが!日本のエンターティメント小説の中で10指には入ると思う。

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    2009年10月04日
  • 山猫の夏 【新装版】

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    俺の船戸遍歴スタート地点。
    「辞書並みに分厚い」と揶揄されるページ数は読者からすれば大歓迎。
    何回も読み返した。

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    2009年10月04日
  • 山猫の夏 【新装版】

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    1982年ブラジルの片田舎を舞台に通称山猫といわれている、弓削一徳とともに、ロミオとジュリエットのような、反目する2家の恋人同士を救うため敵と戦う日本人男性の話。
    ブラジルの歴史を研究し、しっかりした裏付けがあり、ほとんどドキュメンタリーのように感じられる壮大な物語で読み応えがあり、引き込まれました。

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    2009年10月04日
  • 猛き箱舟 上

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    熱量、情念量、流血量、どれをとっても船戸最高作。厚い、暑い、熱い、篤い!上下巻1200ページ、寝床で読み始め、止まらずに12時間かけて一気読みしたけど、興奮の余りそれから12時間寝られなかった。国益のために自衛隊が派兵されている今、下巻のラスト前の灰色熊の独白は、我々日本人にとってとてつもなく重い。

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    2009年10月04日
  • 群狼の舞―満州国演義三―(新潮文庫)

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    シリーズ3作目。昭和7年/1932年。
    関東軍が暴走し、清の最後の皇帝溥儀を執政にすえて満州国を建国。奉天ではなく新京で首都建築が始まる。

    日本では恐慌のあとの不景気で、農村から娘が売られる悲劇。国内世論は満州への拡大を支持。5・15事件も。日本は満州事変に対する勧告に反発し国際連盟脱退。

    太郎の息子の明満は巻末で病死。次郎は熱河を放浪。三郎は憲兵隊中尉として北支を転々。四郎はあちこちの都市を流浪するも武装移民村で生活。

    巻末の解説は北方謙三。舩戸与一との歴史解釈の不一致にまつわる口論の思い出。言葉少ないけれど強い追憶。

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    2025年07月20日
  • 事変の夜―満州国演義二―(新潮文庫)

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    本書の舞台は昭和5年(1930年)から翌々年まで。関東軍•帝国陸軍による満蒙領有の声が大きくなるなか、軍部の暴走する形で満州事変が発生、さらには関東軍は上海事変で国民政府と衝突する。この当時は「中国」ではなく、大陸の呼称は「支那」。清朝が倒れたあとの統一政府はなく、国民政府とは別にソ連の支援を受けた毛沢東が共産党政府を立ち上げたころ。

    この時代の多くの支那人たちにとっては、民族意識はまだ育っていない。本作中の登場人物である新聞記者の香月信彦の言葉では「支那の未来は支那人の民族意識を国民党と共産党のどっちが吸収するかに懸かっている」のであり、約100年前に現在の中国情勢の緊張の原因があり、中国

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    2025年06月21日
  • 午後の行商人

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    ネタバレ

    メキシコを旅する話だったが、その中で主人公が自身を見つめ直す物語。
    惰性で特に生きる目的もなく留学している主人公があるきっかけを機に少しずつ変わっていく、その変化は置かれた環境によって今までとは価値観が一変し最後に残ったものは自分という身一つのみ。
    最後のパスポートを燃やす時とカメラを壊す時がとても印象に残りました。
    自分が何かに囚われている状態であり、海外という全く知らない土地に行ったからこそ少しずつとらわれているものを実感し解放されていく物語。

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    2024年05月29日
  • 山猫の夏

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    扉を開けるともう後戻りはできません。
    読み始めると止まらないタイプの小説です。

    ブラジルの荒野
    カイピリンガというお酒
    砂漠にバッタの大群!?

    ここではないどこかへ
    連れて行ってくれる本。

    夢枕獏さんがどこかで絶賛していて
    知ることができました。
    ありがとうございました。

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    2024年02月10日
  • 猛き箱舟 下

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    上巻に続き下巻も一気読み。
    文句なく面白い。
    日本のハードボイルドもなかなかであります。
    ぜひ読んでほしい一品。

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    2023年11月10日
  • 猛き箱舟 上

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    こんな分厚いのに、あっという間に読破。
    表現がクドいのと感じられる部分があるが、
    話のテンポが良く、ハラハラドキドキして
    面白いこと間違いなし。

    頑張れ香坂。

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    2023年11月10日
  • 南冥の雫―満州国演義八―(新潮文庫)

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     船戸与一の畢生の大作「満州国演義」シリーズを初めて手にしたのはたしか7、8年前。新潮文庫版の刊行が始まった頃だ。書店の平棚に積まれた「満州国演義一 風の払暁」の表紙と帯の文面に心を動かされ、ペラペラとページを繰ったのがきっかけ。文庫本刊行に合わせて第四巻「炎の回廊」の途中まで読み進めたものの、雑事に紛れそこで中断。その後の展開はどうなるのかな?時々脳裏によぎるものの時間だけが過ぎていった。

     昨春、本の整理をし始めた時に再会した。本の整理は家人から言われ続けていることだが、自由時間が増えたことだし、のんびりやろうと覚悟を固めて、第一巻から再読し始めた次第。そして先日、「満州国演義八 南冥の

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    2023年04月22日
  • 山猫の夏

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    安定の面白さ。

    異国を舞台に、
    タフな日本人が、
    野蛮な外国人をバッタバッタとのしていく。

    この設定がもう面白い。船戸与一の真骨頂。

    海外で日本人って舐められるからスカッとする。
    またコロナ禍で海外旅行できないストレスもあってか
    異国情緒あふれる情景に魅了される。
    そしてとにかく渋い登場人物。
    これぞハードボイルド…

    それを実現する文章力。
    ありがたや。

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    2022年09月16日
  • 神話の果て 【新装版】

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    南米三部作の二作目。
    登場人物の魅力が、他の作品に比べ少なかったような。
    しかし、最後まで飽きずに読めたのは流石。

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    2022年03月04日
  • 風の払暁―満州国演義一―(新潮文庫)

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    船戸与一って読んだことないし、全9巻だし、1巻目にしたってかなりの厚さだしと、何となく読み始められずにいたのに、読み始めてみたら面白くてあっという間に1巻目を読み終えた。
    一郎、次郎、三郎、四郎という手抜きで名付けた……のではなく名前にヘタに意味をもたせたくないという自由主義者でそこそこ高名な建築家の家に生まれた四兄弟の昭和3~4年頃の日々が描かれる。一郎は外交官、次郎は馬賊、三郎は軍人、四郎は早大生というバラエティ豊かで2巻目以降も面白そう。四郎が若さゆえかスキだらけで危なっかしく先が楽しみ。

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    2021年01月10日
  • 虹の谷の五月 上

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    主人公の少年の心の機微が巧く書かれており、わくわくしながら読める。正直で正義感が強く、ハートウォーミングなキャラクター。フィリピンのセブ島の田舎の話。

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    2020年10月26日
  • 虹の谷の五月 下

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    フィリピンのセブ島付近の小さな街の中学生トシオが主人公。とても心が綺麗な少年で、周りを囲む人物も素敵だ。ちょっぴり悲しいストーリーな部分もあるけれど、ハートウォーミングな名作。心が汚れたらまた読みたい

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    2020年10月26日
  • 山猫の夏

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    著者は早稲田大学探検部出身で、冒険小説の第一人者だという。?初版発行は1984年。少し苦手意識のある一人称形式だが、比較的読みやすいのは、主人公の語り口が落ち着いているからか。

    ー裏表紙からー
    舞台は、ブラジル東北部の町エクルウ。アンドラーデ家とピーステルフェルト家が、互いに反目し合い、抗争が繰り返される血なまぐさい町に、山猫(オスロット)と呼ばれる一人の日本人・弓削一徳が現れる。ピーステルフェルト家から、ある依頼を受けた山猫。その依頼とは、敵対するアンドラーデ家の息子・フェルナンと駆け落ちした娘・カロリーナを捜し出し、生娘のまま連れ戻してほしいというものだった。ブラジル版ロミオとジュリエッ

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    2018年12月02日
  • 南冥の雫―満州国演義八―(新潮文庫)

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    次郎、南方の山林に散る・・・・・・。




    満州国もついに、全9巻中の8巻目まで読んでしまった。あと1冊でこの壮大な船戸ワールドを読み終えてしまうのかと思うと、寂しくてならない。


    辻政信
    牟田口廉也
    東條英機・・・・・・


    無能作戦立案、実行、強硬により数万・数十万の死傷者を出した男たち。その屍を尻目に終戦まで生き延びた者たち。

    ある者は、戦犯として挙げられつつも裁かれるのを嫌い自決。(なんと卑怯な。死に逃げず、自らの判断が国をどんな運命に導いたのかを見届ける義務のある人間だろうに)

    ある者は、平和を取り戻した戦後日本で代議士にまで上り詰める。(そもそも、そんな男になぜ票が集まった

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    2018年10月19日
  • 風の払暁―満州国演義一―(新潮文庫)

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    一巻は単行本でも読んだのだが、本作が船戸さんの遺作になってしまったこともあり、もったいなくて途中で読みとどまっていた。よし、読むぞと意気込んで再読。場の情景がありありと浮かび、4兄弟それぞれがその時代の政治に巻き込まれていく序章の一巻。まだ何冊も続きがあるから、まだみんな動いてくれるはず。いろいろな視点で時代の狭間を覗く、しかもその視点は兄弟なので互いに異なる立場でありながらも、気にかけているのがいい。兄弟なので、がないと異なる他者の存在を自分に置き換えづらいのかもしれない。つまり船戸氏の戦略が成功している。完結しているんだということが嬉しくもあり悲しくもあるけれど、自分の中でもようやく完結に

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    2018年08月27日
  • 山猫の夏

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    とにかく夢中になって読みました。
    舞台はブラジル東北部の架空の街、エクルウ。そこに住む日本人の「おれ」の一人称で進む物語。
    エクルウでは『ロミオとジュリエット』さながらに2つの大きな家が、いがみ合っています。両家以外にもエクルウに駐屯している軍の司令官やら警察署長やら神父やら娼館の女主人やら一癖も二癖もある面子が沢山。
    そこにフラッと現れるのがタイトルにも出てくる謎の日本人「山猫」。クソ暑くて蝿が飛び交っているような田舎町にあって、タキシードをパリっと着こなし、ひび割れた声で話す、まだらの頬髭の偉丈夫ですが、いきなり腕っぷしの強いところを見せつけてくれます。
    その後、「山猫」と「おれ」が道中を

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    2018年08月25日