船戸与一のレビュー一覧
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世に明治維新と褒めそやさるが実際にはそんなたいそうなものではなく、
単なる権力闘争に過ぎないことがこの本でも示されている。
薩摩、長州の田舎侍が江戸では、否、全国では馬鹿にされるため、
幼い天皇を担ぎ出し、この錦の御旗をもとに東日本の幕府勢力を潰しにかかった。
それが証拠には西軍(筆者は官軍とは呼ん...続きを読むPosted by ブクログ -
ついに帝国は崩壊の日を迎える。敷島四兄弟もまた、歴史に翻弄されながら抗えない運命にその身を窶し、この「満州国演義」から一人、また一人と退場していく。それら全てが夢の跡、朽ち果てた夏のようにただ茫漠と過ぎ去っていくこの寂寥感。間垣徳蔵は最後に矜恃を見せた。歴史の激流に只々圧倒された全9巻。船戸先生、安...続きを読むPosted by ブクログ
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かつて満州の大地を蹴り疾駆した浪漫は、遥か南冥の地で覇道の夢の果てに、静かに骸を晒した。
哀しい。
いよいよ最終巻が楽しみだ。Posted by ブクログ -
直木賞作家の船戸与一先生が「ゴルゴ13」小説化に挑んだ意欲作。ドキュメンタリー、ルポルタージュの世界で執筆されていた船戸先生らしいダイナミックさが、ゴルゴとマッチ!
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南米ブラジルの呪われた町エクルウに現れた「山猫」と名乗る男と、エクルウの酒場で働く日本人「おれ」の真夏の冒険を描いた傑作です。
山猫がとにかく渋くてかっこいいです。
舟戸作品の主人公の中でもピカイチではないでしょうか。
物語自体は正直特筆すべき点はありませんが、ハードボイルド小説にある渋い主人公...続きを読むPosted by ブクログ