船戸与一のレビュー一覧

  • 虹の谷の五月 下
    トシオはメグはどんな大人になっただろう。
    ガルソボンガ地区は今は。
    主人公は私より5歳若いセブ島の山あいの町に住むトシオ。

    1998年から2000年にかけてのフィリピン・セブ島の山間の田舎を舞台に13歳から15歳に成長していくトシオ。日本の当時と比べ物にならないくらい過酷。
    日本人の父に逃げられ、...続きを読む
  • 砂のクロニクル 下
    イスラム支配から独立を目指すクルド族の武装蜂起が主軸の物語。 個人的に、中東と聞くと殺伐とした大地とタリバンやISISに代表されるテロや残虐行為がイメージとして浮かび、それだけで否応なく血生臭さが漂いハードボイルド感が掻き立てられる。 戦争や暴力を好むわけじゃないけれど、骨太のストーリーと目に浮かぶ...続きを読む
  • 山猫の夏
    肌を焼くような灼熱の大地と、間断なく汗が吹き出る暑く乾いた灼熱のブラジルが舞台というだけで気分を高ぶらせる。 町を分断する因縁を持つ2家の駆け落ち劇に端を発し、雇われた1人の男の出現で両家の戦いが町を巻き込んで死体の山を築いていく。 緻密な計算とグイグイと周りを引き釣りこむ主人公の強い個性に魅了され...続きを読む
  • 砂のクロニクル 上
    小説の舞台の全容が見えてきて、登場人物も一箇所に収束してきたみたい・・・。 物語は、いよいよ核心に突入するのだろう。下巻が楽しみ
  • 砂のクロニクル 下
    日本人にとって馴染みにくい中東が舞台。

    複数の登場人物がオムニバス形式で主役をとり、引き寄せられるかのように聖地マハバートに赴いていく。それぞれがそれぞれの理想をかかげ、正義や大義、はたまた欲望のために。多様な生き方の結晶がこの物語には詰まっているのだが、、、

    あまりに悲しい終盤。

    大きな歴史...続きを読む
  • 風の払暁―満州国演義一―(新潮文庫)
    膨大な資料をよくぞここまで調べ上げたと感服しています。
    歴史の本筋を見通す力がすごい、戦後最大の歴史小説だと思います。
  • 新・雨月 上 戊辰戦役朧夜話
    世に明治維新と褒めそやさるが実際にはそんなたいそうなものではなく、
    単なる権力闘争に過ぎないことがこの本でも示されている。
    薩摩、長州の田舎侍が江戸では、否、全国では馬鹿にされるため、
    幼い天皇を担ぎ出し、この錦の御旗をもとに東日本の幕府勢力を潰しにかかった。
    それが証拠には西軍(筆者は官軍とは呼ん...続きを読む
  • 虹の谷の五月 上
    人喰い花、白い女霊、丸い虹。
    フィリピン社会で健気に生きる少年ジャピーノ、締めくくりは最高!!
    だけど、メグはその答えで納得したのか??
    ホセと同じ轍を踏まないのか??
  • 非合法員
    どこで教えられたか忘れたが、船戸与一のデビュー作と知らずに読んだ。この本が、出版時には全然売れなかったというのが信じられない。
    情報組織に関する情報源がなく、フォーサイスの作品から類推するか噂を受け入れるしかなかった、という話に納得する。
  • 残夢の骸―満州国演義九―(新潮文庫)
    ついに帝国は崩壊の日を迎える。敷島四兄弟もまた、歴史に翻弄されながら抗えない運命にその身を窶し、この「満州国演義」から一人、また一人と退場していく。それら全てが夢の跡、朽ち果てた夏のようにただ茫漠と過ぎ去っていくこの寂寥感。間垣徳蔵は最後に矜恃を見せた。歴史の激流に只々圧倒された全9巻。船戸先生、安...続きを読む
  • 南冥の雫―満州国演義八―(新潮文庫)
    かつて満州の大地を蹴り疾駆した浪漫は、遥か南冥の地で覇道の夢の果てに、静かに骸を晒した。
    哀しい。
    いよいよ最終巻が楽しみだ。
  • 蝦夷地別件 上
    アイヌにも目を向けよう、ということで会社の先輩からオススメの一冊…まだまだ序盤でも、ストーリー展開に胸熱です。
  • 砂のクロニクル 上
    想像以上の作品だった。文句なしの星5ツ。

    私がまだ若い頃、パーレビ国王、ホメイニ氏、イランイラク戦争などなどの単語はテレビのニュースでよく耳にしていた。でもそれだけだった。
    中東情勢については全く不勉強だったし、興味もなかった。
    この作品を読んで全てが繋がり全体像が見えた。

    昔から気になっていた...続きを読む
  • 群狼の舞―満州国演義三―(新潮文庫)
     満州国演技3巻目にして、船戸節ついにさく裂。
    満州国建国と敷島4兄弟の運命が複雑にからむ
    おもしろい、4巻目が楽しみ
  • 非合法員
    加瀬邦彦が自死したというのに驚いているところ、船戸与一までもが身罷ったというので、茫然自失というか気が抜けてしまって、朝も昼も食事しないでいたらフラフラになってしまったのです。

    高校生になってすぐ、なにげなく何の予備知識もないまま手にとったこの本の単行本(1979年版)を読んだ時の衝撃は、そう、体...続きを読む
  • ゴルゴ13ノベルズ1 落日の死影

    マンガよりもオススメ!

    直木賞作家の船戸与一先生が「ゴルゴ13」小説化に挑んだ意欲作。ドキュメンタリー、ルポルタージュの世界で執筆されていた船戸先生らしいダイナミックさが、ゴルゴとマッチ!
  • 猛き箱舟 上
    久しぶりにアクション小説に手をつけました。上巻では冒頭の件がハッキリしないまま(何となく察しはつきますが…)です。下巻に向けてまだ一波乱ある事を期待します。
  • 虹の谷の五月 下
    直木賞を受賞した本作。ゲリラの闘争の中に次第に巻き込まれていく主人公の少年の行方が手に汗握る。最後は爽やかな読後感。日本の小説家が描く外国を舞台にした小説は、成功するとその場に居合わせたかのような妙な臨場感がある。素晴らしい小説だった。
  • 午後の行商人
    メキシコの大学に留学している若者があることをきっかけに“タランチュラ”と呼ばれる年老いた行商人の旅について行く物語。
    最後の論告の章で主人公が言う科白「タランチュラとの旅は血腥い旅だった。ぼく自身も人間を殺した。しかしあれほどじぶんが生きているんだという実感を持ったこともなかった。わかりますか?生き...続きを読む
  • 山猫の夏 【新装版】
    南米ブラジルの呪われた町エクルウに現れた「山猫」と名乗る男と、エクルウの酒場で働く日本人「おれ」の真夏の冒険を描いた傑作です。

    山猫がとにかく渋くてかっこいいです。
    舟戸作品の主人公の中でもピカイチではないでしょうか。

    物語自体は正直特筆すべき点はありませんが、ハードボイルド小説にある渋い主人公...続きを読む