船戸与一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
18世紀末に起こったアイヌ民族最後の蜂起『国後・目梨の乱』の顛末を、世界的視点を交えて描いた歴史大作。
蝦夷と呼ばれた極寒の土地。
そこで平和に過ごしてきたアイヌ民族。
松前藩が統治するようになり、徐々に厳しい条件を突きつけていく。
人を人とも思わない扱いをする我らが先祖。
なんとも情けない…
上中下の三巻に渡る超大作でもありましたが、言葉が難しくてなかなか読み進めることが出来なかった。(フリガナを打ってくれているので、余計にそれに引っ張られてしまった)
色々と考えさせられたが、最後関係者がほとんど死んでしまうのが、少し残念。ハッピーエンドがある史実ではないので已む無しとも思いますが… -
Posted by ブクログ
「なんのために」ということを
失ったとき人間はどうするのか?
目覚めていく過程;人間であること
→そして人間を喪うこと
隠岐浩蔵(グリスリー) VS 香坂正次
「1級の人間」→「感情を抑制した人間」
;緻密で計画的であること
ポルサリオ解放戦線
何かが、力を与えてくれる。
→最後は、「生きなければならない。」ということ孤独
判断は、動物的「感」にある。
シャヒーナという女性の生き方が、
なんともいえないものがある。
「革命」に身を投じながら、
次代の流れの中で、
その意志を変えざるをえない。
革命から残されたものは、
「愛」というものであるが、
追放という厳しいものがある。 -
Posted by ブクログ
記憶が定かではないが、蝦夷地別件からの久しぶりの本邦歴史ものではあるが、蝦夷地別件の様な、いつもの虐げられた民族や人々のレジスタンスとしての蜂起と、その哀れなまでの末路をカタルシスを持って描く、いつもの船戸節を期待したものの、やはり幕府や会津の様な武士では座りが悪い。武士から一般民が武器を手に取るというあたりと、その武器を取り人を動かすという一種の権力に目覚めた農民を描く部分に、多少の片鱗は見られるものの、主役ではないので、今のところ物語の主軸とはなっていない。主人公と思しきものは、長州の密偵と長岡の元博徒、会津の武士。彼らがニアミスを犯しながら物語の収斂に向けてどう動いていくのかが今後の展開
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Posted by ブクログ
今週は飲みが続いたので、読むのに時間がかかってしまいましたが、久々の船戸与一の未読作です。
もうほとんど全て読んでしまっており、未読は多分『満州国演義』しかないかな?っていう状態です。でも久々の船戸節を堪能したい!ってコトで、チェック未であった『蝶舞う館』を見つけることが出来てラッキーでした。
これは東南アジア5部作のなかの一つです。
南米3部作のほうが衝撃的で良かったなぁとは思うのですが、東南アジア5部作のほうが円熟しておりますね。相変わらず尖がっておりますが…。
この作品の舞台はベトナムで、中央高原に住む少数民族の武力闘争とベトナムの公安、更に日本のTV局のロケ隊が絡み合って進んでいく