武田綾乃のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルに惹かれて購入。帯に書いてあった通り、一気読みしました。
星5つじゃないのは、私の年代よりは、高校生や大学生くらいの若い子向きな小説かなと思ったからです。厳しい家庭環境で育った20歳前後の二人が、大学で出会って、生きる力を得ていくストーリー。
同じような境遇で、進路や家族関係に悩んでいる高校生とかが読んだら、「大学」といういろんな人間が集まる場所に行けば、一人でいても別に大丈夫だし、もしかしたら理解し合える人との出会いがあるかもしれない、と希望が持てると思う。(そういう意味でも読書習慣って本当に大事だと思う。救いのない環境に育って、本を読むことも知らないままだと救われるきっかけが得づら -
Posted by ブクログ
「家族」「友達」「恋人」そういった人々の存在が世間ではもてはやされている。
時にその存在が人生の全てで、そこから逃げ出せないような感じすらしてくる。
でもそうじゃないだろ!!
そう叫び出すみたいな、潔さと勢いのあるお話だった。
「この人のためになら生きてもいい」
そう思えることがとてもかけがえのないことで、時に「愛」よりも救いになる。
宮田と江永は、名前のつけ難い緩やかな関係性の中で、お互いの存在に救われている。
それは世間の言う「愛」とは少し違うのかもしれないけど、確実に生きる力になっている。
人と人との関係って、こうあってもいいんだと思えて、心がなんだか軽くなった気がする。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ久美子たちが2年生のストーリー、後編。
優子と夏紀は本当にいい部長・副部長コンビだったな。
奏者からマネージャーに転校した友恵も、重要な役回りで献身的にやっていて感動した。
今回はコンクール、どこまで進むんだろう・どういう結果にするんだろう、と思いながら読んでいたけど、全国大会に進めない関西大会ダメ金かぁ。。
練習の描写では少しずつの妥協が重なって…となっていて今年はダメなのかなと思ったけど、本番の描写では素晴らしいものになった様だったので期待していたけど。そういうこともあるよね。全国に進めるのが関西で三校と、無理矢理数が決められてしまっている中での音楽のコンクール。演奏は素晴らしいのに、実 -
Posted by ブクログ
ネタバレこれまでのシリーズは久美子たちが1年生の話で、こちらの「波乱の第二楽章」は2年生の時の話。
後輩が入ってきた時の、これまで1年生の登場人物であった久美子や緑、葉月、麗奈たちの対応から、彼女たちの本質や一年間での成長が見られて良い。
久美子は後輩からも先輩からも頼られ相談され、抜けているように見えるのにズバッと核心をついたりアドバイス出来るようになっていて、本当に成長したなと思った。
緑が良き先輩となってコントラバスや低音の重要性について語っているところが好き。
ユーフォ、色々あったけど3人ともAに選ばれて良かった!
奏は読んでいて本当に未熟でハラハラするので、久美子や夏紀や他の先輩に囲まれ -
Posted by ブクログ
立華高校編。
前編は吹奏楽コンクール京都府大会まで。
マーチングバンドが本命の高校とはいえ、夏休みに入ってからコンクールのメンバー決めと練習を開始していることにびっくりした。モデルとなったと思われる京都橘高校の吹奏楽部はどうなんでしょう…それで関西大会へ進めるなんて凄いけど…自分の過去を振り返ると年明けくらいからコンクールの練習始まった気がするから「えぇ〜〜!!」となってしまった。
先輩・後輩・同輩同士の楽器の技量による嫉妬・羨望が混ざったいざこざは吹奏楽あるあるだなと思った。
これは圧倒的女子多数の自意識の高い年齢の集団では起こり得て当然なんだと思うけど、ちょっとリアルで胸がキュッとなっ -
Posted by ブクログ
4篇を収録した短篇集。連作ではないが、どの作品も日常に潜む何気ない怖さを描いている(「重ね着」は除く)。
冒頭に置かれた表題作は、SNSに動画と共に上げたつぶやきがバズったことから、正体不明のアカウントにつきまとわれる女性が主人公。さっさとブロックすればいいのにと思うが、特殊な思考回路の持ち主のようでそのアカウントの書き込みを読み続ける。世相を反映した作品ではあるが、読んでいてげんなりしてくる。
続く「まりこさん」は、住宅街に必ず1人はいる(?)猫おばさんの話だ。怖すぎる。
「重ね着」は、結婚を控えた妹が突然帰省し、姉を伏見稲荷登山に誘う。収録作品の中では、唯一まともな話だった。
書き下ろしの -
Posted by ブクログ
ネタバレ「椿と悠」
女の子同士のありがちな、勝手に勘違いして、勝手に妄想して、勝手に傷つく。大好き。女の不器用な部分がきれいに描かれている。お母さんかよ、のセリフには思わず笑っちゃったね。
「馬鹿者の恋」
若いなぁ。愛は無償じゃない事に気づけなかったんだよね。
「百合である値打ちもない」
隣に歩くのに見合う自分でありたい。好きなのに、それでももっと美しくあってほしい。相手のことが好き、ってそれだけでいいはずなのに。他者の評価が気になってしまう。悲しいね。
「微笑の対価」
タイトルが秀逸。自分の知らない彼女がいる。私に見せてくれない彼女の内面。知りたいけど、知りたくない、気持ちがぐらつく描写が好き。
「