武田綾乃のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレすごくきれいな青春。高校生だからこそ持つ不安や焦り、葛藤。すごく小さいことで漠然と「しにたい」と考えてしまう感情の整理がうまくできないあの感覚。
彼女たちにとって、大人になっても大切だと思う数日間を切り取ったような美しさがあった。
武田綾乃さんは、高校生の感情の動きを言語化するのがお上手なのだろうな。
正直、思っていたほどの青春は浴びられなかったけど、自分の高校生活はとてもキラキラした日々だったことを再確認させられるどころか、より宝物になったように感じた。
こう本書を振り返っている時にじわじわと温かい気持ちになるのが不思議。アニメ『花は咲く、修羅の如く』の原作を担当していたようで…!出会えたことに感謝。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ色々と衝撃的な後編だった。
まず、吹奏楽コンクールがダメ金という結果に終わってしまったこと。どんなに納得のいく演奏をしても、それ以上に他校が上手かったらしょうがない。それは分かってる。物語の主人公がいつも勝てる訳ではないが、ここまでリアルなのか…。ダメ金だって銀賞、銅賞に比べたら凄いんだけど、でもやっぱり全国まで行けなかったという悔しさの方が大きい。これはますます久美子たちの最後の年に全国で金を取るという期待を高めてきているが、3年生にはもう後がないんだよね…。
次に、久美子が新部長に抜擢され、部長としての職を全うするために秀一との別れを決心したこと。
真面目すぎるんだよ久美子は…。久美子のことをよく知っていてサポートしてくれる秀一は、何にも代えられない存在なのに。そんな久美子の気持ちを分かっていて別れを受け入れた秀一、頼むからちゃんと1年、久美子のことを待っててくれ!と思う。
「波乱の第二楽章」は、本当に大変なことばかり起きた。2年生って普通はもっと中弛みする時期なんじゃないのか?久美子たちに至っては全くそんな様子ないけど。
みぞれと希美の問題が一段落したことが、この巻唯一の安心剤だった。知らないうちに相手のことを少し下に見ていたのに、気づいたら相手の方が自分より上手くなっている…という展開は自分の学生時代のときと重なり胸が苦しくなった。相手が仲の良い友達だったらなおさら苦しい。音楽の場合は、どんなに努力しても"才能"という壁があるのは分かるが、それでも努力していれば何とかなったのではないかと思えてならない。 -
Posted by ブクログ
ユーフォロスの流れで。夏紀先輩が主人公のスピンオフ小説。
愛おしくてたまらない思春期感と優子との関係の尊さ。
本編では他者からの眼差しである「いい人」たる彼女を見ることが多かったけどその内面が描かれることで他の一人ひとりにも同じように個々の想いや物語があるのだろうなと思わされ、よりシリーズ全体に奥行きや息づかいが感じられるようになる。あのシーンで本当はこんなことを考えていたんだろうあんとか想像が膨らむ。
卒業式前後の心情を見事に切り取っていて読んだ人はきっと自分の当時のことも思い出してしまうはず。
矛盾を抱えた不器用さや自分のことをいい人じゃないと思いながら悪者にはなれないピュアさを持っている夏紀が心から愛おしい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ久美子たちもとうとう2年生か。頼りにしていたあすかが卒業し、1年生が入ってきて、久美子にも可愛い後輩(奏)ができる。久美子、大丈夫かなと思いきや意外にしっかり周りを観察していて、人間関係のいざこざにもしっかり対処できていた。え…ぼんやりしている様に見えて優秀やん…。
奏ちゃんはなかなかに曲者で、演奏者として腕は良いし、人当たりも良いんだけれど、苦手な先輩には冷たい態度だったり、同学年の求が嫌がることを本人にわざと言ってしまったりする。こんな後輩いたら非常に扱いづらい…
で、奏より演奏技術の低い夏紀と奏の仲もお世辞にも良いとは言えなくて、コンクールの選抜オーディションで一悶着起こる。
これ、奏も夏紀も互いのことを思いやっているからこそ起きた揉め事なんだよね。学生時代、自分を最優先してた私は、奏にも夏紀にも頭が上がらない。
精一杯やって、久美子含めユーフォ全員でA部門出場という結果が出たことを嬉しく思う。
本シリーズって、予定調和という言葉がなく、コンクールに出場できるかできないかも発表まで本当に分からない。なので、久美子たちと一緒に毎回、結果を聞く(読む)ときはドキドキする。
いよいよ下巻では吹奏楽コンクールが始まるが、これも無事金賞が取れるかは分からない。(そこが面白いんだけど。)
人間関係のわだかまりも完全に消えた訳ではなさそうだし、下巻もまだまだ波乱の予感がしている。 -
Posted by ブクログ
私は誰かに愛されること(恋愛)で自分の存在を確かなものだと思うことができた。よって思春期から24歳の今まで恋人がいなかった時期はほとんどない。
友達なんて私のことを好きかは分からない。とりあえず今求めていることを得られるから一緒にいるだけかも。他人なんてもっと不信。
恋人は私のことを愛している限り、横にいてくれる。分かりやすい関係だから、私は私であっていいんだと安心させてくれる。
自分が弱く、でも強がりたい、負けず嫌いであることは重々承知。強くなりたくて、勇気を出して好きではなくなった彼氏とは別れ、1人で生きるぞ!と毎度心に決める。しかし私はやはり弱く、すぐに私を好いてくれる人の腕にすっぽり収まってしまう。
本書は「愛されなくても、自分が愛することができれば、孤独でない」と語っている。私の憧れる強さを宮田と江永は持っていた。
本書を読んで、強くなりたいと本気で志すことを期待していたが、やはりどこか他人事で「かっこいいなあ」しか出てこない。
結局、寄生しながら生きていくのが私のスタイルだと開き直った。(笑)