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インハイ出場を決めた希衣と恵梨香の新ペア。カヌー部女子四人は休む間もなく練習を重ね、結束を深める。次の関東大会では、絶対的な強さの“孤高の女王”こと利根蘭子をはじめ、千葉からは繊細なパドル捌きで魅せる双子の大森姉妹、山梨からはパワーが武器の神田と堀ペアなど個性的なライバルらが集結。ながとろ高校の勝利の行方は!? 揺れる想いと熱い闘志がきらめく青春部活小説。
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Posted by ブクログ
本格的に試合が始まり、ますます面白くなってきた。それぞれの登場人物についての過去なども掘り下げられてきて、それぞれの葛藤や悩みも分かり、ますます好きになった。 自分も何か頑張ろうという気になった。 熱い思いに泣きそうになった。 続きも早く読みたいし、響け!ユーフォニアムも読みたい!
ながとろ高校4人の心の動き(特に、希衣に対する千帆の気持ちを舞奈に話す場面)がキラキラしてて瑞々しくてイイね。武田さんの真骨頂。「響け!ユーフォニアム」シリーズに比べてメインとなる登場人物が少ないため、関係がシンプルでスッキリしているけれど、若干物足りなさも感じる。他の高校の上級生を「〇〇先輩」と呼...続きを読むんで親しげにしているのは、競技人口の少ないカヌーならではの心理的距離の近さのためか?(自分だったら、さん付けで呼んで「先輩」とは呼ばないなと思ったもので)
> 君と、そしてみんなと、漕ぎたい。 p137のこの件で、あぁ「君と漕ぎたい」という想いの物語なんだよなぁ、と遅まきながら合点がいった。
あなたには『ライバル』がいるでしょうか? 私たちの人生は常に誰かしらと競う中にあるものだと思います。学校時代に思いを馳せると誰にだってその時々を競う『ライバル』の存在があったのではないでしょうか?勝利を掴むために死にものぐるいの努力をしたにも関わらず、手にするはずだった栄光を奪い去っていく『ライバ...続きを読むル』たち。もちろん、逆の立場で見ればそんな風に思われていたのはあなたということになるのだと思います。 『ライバル』がいなければ辿り着けた栄光を思うと、そんな『ライバル』の存在自体が憎らしくもなってきます。しかし、『ライバル』がいないなかに、軽々と容易に手にできた栄光の価値をあなたはどう感じるでしょうか?死にものぐるいで、『ライバル』に打ち勝ったからこその栄光、そういう側面は間違いなくあるのだと思います。 さてここに、複数の『ライバル』が登場する物語があります。高校生の『カヌー競技』が描かれていくこの作品。そんな中に『ライバル』の存在を見据える主人公たちの心の内を見るこの作品。そしてそれは、さまざまに揺れ動く想いの先に勝利に向かって『カヌー』を漕ぐことに青春を掛ける高校生たちを見る物語です。 『それでは、ながとろ高校カヌー部の活躍を祝いまして、乾杯』、『カンパーイ!』と貸し切った『喫茶「せせらぎ」』で『ながとろ高校カヌー部の打ち上げが行われて』います。『私、カヌーの大会を見たのはあれが初めてだったんですけど、皆さんとってもかっこよかったです。私も早く大会に出たいなって』と言うのは『両親の離婚をきっかけに父の実家である長瀞へ引っ越して来』て、『今年の四月から』『カヌーを始めた』ばかりという黒部舞奈(くろべ まいな)。『舞奈ちゃんは初心者だからね。競技用カヌーを上手く乗りこなせるようになるにはもう少し時間が掛かるかも』と二年生の天神千帆(てんじん ちほ)に言われ、『ですよねぇ』と『舞奈はしょんぼりと肩を落とし』ます。『新人戦はインターハイの後だから、私も舞奈ちゃんの手伝いが出来るかな』とフォローする千帆。そんなところに『喫茶「せせらぎ」の店主であ』り、『元オリンピック選手でもある』芦田康隆(あしだ やすたか)『が顔を覗かせ』ます。そんな芦田を見て『芦田さんのご飯って美味しいから、いくらでも入りますよぉ』と『機嫌良くワインの入ったグラスを傾けているのは、我らがカヌー部顧問、檜原恵美(ひのはら えみ)』。そんな檜原を『カヌー部の部長、鶴見希衣(つるみ きえ)』が『檜原ちゃん飲みすぎ』と諌めます。そんなやり取りを見て『私は良い先生だと思うわよ。貴方たちに必要なものを、ちゃんと与えようとしてくれてるじゃない。芦田さんの件もそう』と千帆の叔母である天神久美が語ります。『確かに、芦田さんがいなかったら、こうして今のカヌー部はなかったわけだもんね』と返す千帆は『舞奈ちゃんも、恵梨香ちゃんがカヌーやっててくれて良かったと思うでしょう?』と舞奈に振ります。『はい!それは勿論』と答える舞奈は、『恵梨香がカヌーをやっていなければ、舞奈がカヌー部に入部することだってなかった』と、『入学式当日、荒川でカヌーの練習をしていた恵梨香に舞奈が声を掛けた』時のことを思い出します。『スラリとした長身の後ろ姿』という湧別恵梨香(ゆうべつ えりか)は『一七〇センチを超える身長の持ち主』であり、『舞奈と同じ高校一年生』です。そんな恵梨香が『ねえ芦田さん、デザートもいいけどそろそろアレ見ようよ』と言い出したことからみんなで『今から一週間前に行われた、女子カヤックシングルの決勝レースの映像』を見ることになります。『埼玉県と茨城県の境界にある調整池』である『行幸湖』を会場に行われた大会。『女子ペアの決勝レース』が投影され『恵梨香ちゃんと希衣、すごかったよね』と言う千帆は、『今年からペアを組み、インハイの出場権を獲得した』二人のことを思います。そんな千帆にちらりと目を向け『何かを誤魔化すようにサンドイッチにかぶりついた』希衣。一方で、『二人の間に流れた空気なんぞ全く気にした様子もなく』、『食い入るように自分の参加したレースを凝視している』恵梨香。そんな『ながとろ高校カヌー部』の面々が次の大会に向けて練習の日々を送っていく姿が描かれていきます。 “インハイ出場を決めた希衣と恵梨香の新ペア。カヌー部女子四人は休む間もなく練習を重ね、結束を深める。次の関東大会では、絶対的な強さの“孤高の女王"こと利根蘭子をはじめ、千葉からは繊細なパドル捌きで魅せる双子の大森姉妹、山梨からはパワーが武器の神田と堀ペアなど個性的なライバルらが集結。ながとろ高校の勝利の行方は!?”と興味を掻き立てる内容紹介に思わず手に取りたくなるこの作品。「響け!ユーフォニアム」が代名詞とも言える武田綾乃さんのもう一つの人気シリーズがこの作品「君と漕ぐ」です。このレビュー執筆時点で5巻まで刊行されている物語は、「響け!ユーフォニアム」が文化部の象徴であり煌びやかさが特徴の”吹奏楽部”に光を当てるのに対し、この作品では運動部を取り上げるものの、極めてマイナーとしか言いようのない『カヌー部』に光が当てられていきます。 『カヌー自体がまだまだマイナーなスポーツですから…』 そんな風に本編中でも語られる通り、『カヌー競技』はマイナー競技であることは否定できないと思います。確かにオリンピックの種目ではありますが、そもそも同じくオリンピックの種目である『ボート』との違いをあなたは説明できるでしょうか?まずは『カヌー』とはなんぞやというところを見てみましょう。 ● 『カヌーってボートとは何が違うの?』 ・進行方向と身体の向きが同じなのが『カヌー』、『ボート』は後ろ向きに進む ・カヌーを漕ぐ道具はパドルっていって、長い棒の先端に水搔きがついてるのね。それを一本だけ使って漕ぐの。逆に、ボートは二本のオールを使って漕ぐ。右手に一本、左手に一本って具合にね いかがでしょうか?これだけでも『カヌー』と『ボート』の違いが見えてきました。細長い船に乗って競う以上の差がよく分からなかった身には青天の霹靂に近いものがあります。なお、この違いを忘れないようにするためにこんな分かりやすいひとことが記されています。 『カヌーは前向きなスポーツだ』 あくまで進行方向をひとことで説明するものですが、とても分かりやすいです。でも『ボート』をやられている方がこれを聞いたら、オレたちは後ろ向きなのかよ…とクレームがきそうです(汗)。 物語では、そんな『カヌー』で競技に挑んでいく部員たちの姿が描かれていきますが、『競技』の条件は以下の説明からよくわかります。 『一人乗りはシングル、二人乗りはペア、四人乗りはフォアって呼ばれてる。この前の埼玉県予選で各種目一位の子がインハイに出場できるの』 昨年できたばかりの『ながとろ高校カヌー部』は部員四人という構成ですが、それはこの人数感も見た設定ではあるのだと思います。そして、この第2作の立ち位置は、ペアを組んだ希衣と恵梨香がインターハイ出場資格を得たという状況の中で、『ながとろ高校カヌー部と強敵たち』と、サブタイトルにある通り、そんな二人の『ライバル』の存在が描かれていきます。そして、これら『ライバル』たちがあまりに個性豊かなことに驚かされます。人によってはえっ?と思わせられるような強烈な個性をもった『ライバル』たち。では、そんな他校の面々を見てみましょう。 ・利根蘭子(二年): 東京・蛇崩学園、『孤高の女王』。 → 『小学生の頃は凡百の選手だったが中学に入ってからはメキメキと頭角を現し、今では高校生ながらもはや国内では敵無しの選手となった』。 → 『強化選手』に選ばれている ・大森姉妹(二年): 千葉・小見山高校、『双子』 → 『前髪の分け目が右、イメージカラーがグリーンなのが姉の楓』、『前髪の分け目が左、イメージカラーがピンクなのが妹の桜』、『そして、今ここにいない二つ上のお姉ちゃんが大森椿。三人揃って大森姉妹!』という決め台詞。 ・神田優紀・堀奈々香(三年): 山梨・富士曙高校、『パワー系コンビ』 → 『ヤンキー?不良?まあ、そんな感じ。金髪だから会場に着いたら一発で分かる』。 三組のライバルをご紹介しましたが、前作から引き続き登場する利根蘭子は『孤高の女王』という異名を取ることもあり、今後間違いなく恵梨香の強力な『ライバル』として勝負を繰り広げることになるのはわかります。一方で新たに登場した他の二組の描かれ方は強烈です。決め台詞で登場する大森姉妹はお笑いの定番キャラ的位置付けですが、物語の中でただただ浮いています。この姉妹の登場で路線変更をされるつもりなのですか?武田さん?と思うくらいですが、基本線の物語は同じなので余計に中途半端に浮いている感じがしてしまいます。一方の神田&堀は、単に怖そー!という印象です。街中では関わりを持ってはいけないタイプ、そんな印象を受けます。物語では、『この前の県予選で代表に確定した二組』ということで、『ライバル』として四人が認識していく場面が描かれてもいますが、『ライバル』というよりは作品の面白さを演出するために出てきた印象を受けます。こんな面々に恵梨香は負けない、あくまで『ライバル』は利根蘭子、そんな印象を改めて受けました。もちろん、『ライバル』が利根蘭子一人だけではストーリーが単調になってしまいますので、これはこれでありだとは思います。 一方でそんな第2作目の物語は、第1作目ほどの凝縮感はなく、どこか弛緩した雰囲気の中に物語が描かれていきます。もちろん試合の場面はこの作品には欠かせません。 『「Ready set go!」スタートの合図と共に、右腕に力を込める。恵梨香の操るパドルが、水面の先をキャッチする。腕を起点に、舟を寄せる。起こる水流がカヌーを大きく前進させた…』。 そんな風に描かれていく『カヌー競技』のシーンは、実際に見てみたい!という思いを掻き立ててくれます。 『先輩、上げていきましょう!』 『カヌー競技』ならではの二人の競技中のかけ声も『ペア競技』ならではの臨場感を盛り上げてくれます。しかし、それ以上にこの第2作では、『ながとろ高校カヌー部』の四人の細やかな心の動き、競技中でないからこそ見ることのできる平時の心の内を見れるのが魅力です。『カヌー』をはじめたばかりで試合に出ることもできずマネージャー的に洗濯などの役目を担いつつ、『カヌー』の世界に日々色濃く染まっていく舞奈。他人と交わることなく生きてきた一方で、『孤高の女王』利根蘭子が『ライバル』視する存在へと急成長していく恵梨香。そして『カヌー部』設立の立役者であり幼い頃から二人で『カヌー』をしてきた希衣と千帆ですが、希衣が『ペア』の相手を恵梨香に変更することになったことでの二人それぞれが心の奥底に込める内面感情もこの作品の奥行きを醸し出していきます。そんな四人が見せる高校生の日常を見る物語。そこには、この先過酷を極めていくであろう『カヌー競技』に青春を掛けていく、少女たちの素顔に隠された内面を見る物語が描かれていました。 『君と、そしてみんなと、漕ぎたい。その願いは、自分には不相応だろうか』。 そんな思いの先に『カヌー競技』に魅せられていく高校生たちの姿が描かれるこの作品。そこには、『カヌー』を知らない読者が取り残されることなくあくまで分かりやすく綴られていく物語の姿がありました。高校生の思いを具に見るこの作品。そんな彼女たちにとっての『カヌー』の存在の大きさを思うこの作品。 彼女たちが『カヌー』に抱く思いの先に続く未来を是非見てみたい、続編もとても楽しみになる、そんな作品でした。
主人公たちの物語の中にライバル校の有力選手が次々登場。みんな個性強い。インハイはどうなるのか楽しみです。
響け!ユーフォニアムシリーズでお馴染みの武田綾乃が2019年からスタートした「君と漕ぐシリーズ」の第2弾。本作では、ながとろ高校カヌー部を舞台に、高校一年生の舞奈、恵梨香、高校二年生の希衣と千帆の4人の活躍と成長を描く部活小説です。本巻は、関東高等学校カヌー大会兼関東高等学校カヌー選手権大会でのお話...続きを読むです。大会を通じて、4人の心境にも変化が見えます。ちょっとした仕草や情景を用いた心理描写が非常にうまいです。他校の選手も登場し、面白いキャラが増えました。カヌー対決も手に汗握る展開で熱いです。蘭子の発言の真意は。
めっちゃ良い、これぞスポーツの青春って感じがする ペアを変えての大会 それぞれの感情が伺える 過去にすがりついたり、諦めと理想の狭間にいたり、人間関係不器用だったり 悩みながらただただ不器用に前に漕ぐだけ ライバル達に言われる『何故ペアを変えたのか』というのは、1番本人たちが悩んでるに決まってる ...続きを読む他人がとやかく言うことじゃないよー!って思いながら読んでしまった笑 何年も共にやってきて、悩まない訳がないよ 別の子と組む選択、彼女自身を受け入れた選択 まだココロの中では思うことがあるとは思うけれど、先輩の強さが私は凄く好ましいなって思う 恵梨香ちゃんの人間関係不器用な様子も、少しずつ他者と関わり感情が増えてきてる姿が応援したくなってくる 悩んで悔しんで青春だ
前巻でインターハイ出場を決めた希衣と恵梨香の新ペア。 舞台は富士五湖のひとつ精進湖の、カヌー競技場での関東大会が中心。 シングルに賭ける「孤高の女王」こと利根蘭子をはじめ、繊細なパドル捌きで魅せる双子の大森姉妹、山梨からはパワーが武器の神田と堀ペアなど個性的なライバルらが集結。これらの間で繰り広げる...続きを読む、言葉のやりとりと人間関係がなかなか面白い。 レースの結果はというと・・・。「悔しいです。先輩、私、やっぱり悔しい」(p.297)。 エピローグでは、利根蘭子の発言が新たな展開を予感させる。その展開も楽しみだが、選手としてではなく大会の後方支援を任されている黒部舞奈の「君と、そしてみんなと、漕ぎたい。その願いは、自分には不相応だろうか」(p.137)。この切ない思いは実現するのだろうか?そして、カヌーに興味を持ってから性格が変わってきた、天神千帆の姪、海美の成長は? 次巻に向けて、興味は尽きない。
インハイを別なペアで決めた希衣と前のペアの千帆。圧倒的オーラの蘭子を目の当たりにして、自分の力量を過信していた事に気づいた恵梨香。それぞれの想いが交錯した大会でした。そして、蘭子が恵梨香に一目を置いたのが、又次の繋がりで気になります。
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君と漕ぐ2―ながとろ高校カヌー部と強敵たち―(新潮文庫nex)
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