あらすじ
新しく赴任した滝昇の指導のもと、めきめきと力をつけ関西大会への出場を決めた北宇治高校吹奏楽部。全国大会を目指し、日々練習に励む部員のもとへ突然、部を辞めた希美が復帰したいとやってくる。しかし副部長のあすかは頑なにその申し出を拒む。昨年、大量の部員が辞めた際にいったい何があったのか……。“吹部”ならではの悩みと喜びをリアリティたっぷりに描く傑作吹部小説シリーズ第2弾。
※この物語はフィクションです。もし同一の名称があった場合も、実在する人物、団体とは一切関係ありません。
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関西大会に向けて、猛練習する北宇治高校。弱小だった今までとは何もかも違う中で、学校生活も恋愛も、部活も楽しむ久美子たちに青春っていう言葉がぴったりで、キラキラしていた。アニメで展開がわかっていたのに、またドキドキできるなんてすごい! 今回はリズと青い鳥でも詳しく描かれているみぞれと希美の話も出てくるが、この複雑な関係性を文章で書き上げているのは本当にすごい。物語に入り込めるくらい前のめりで読めた。 話にも出てくるみんなの「特別」ってそれぞれ違くて、その人の性格がよく出ていたように思う。
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あなたは、『コンクール』を目指したことがあるでしょうか?
高校時代、何かしらの部活動をされていらした方は多いと思います。そして、そんな中には試合というものはつきものです。運動部であればもちろんのこと文化部であっても誰かと競うという場面は存在します。文化部の中にあっても実は運動部に近い『吹奏楽部』ではそれは顕著だと思います。それこそが、『コンクール』というものの存在です。その代表的なものが『全国吹奏楽コンクール』です。本日のレビューはそれがどんなものかをまず概観してみましょう。
● 『全国吹奏楽コンクール』って何?
・国内最大規模の伝統ある音楽コンクール
・参加する団体は十二分という制限時間内に課題曲と自由曲の二曲を演奏し、審査により金賞、銀賞、銅賞のいずれかの評価が与えられる
・地区大会ののち、都道府県大会で代表に選ばれると、支部大会へと進むことができる
・支部大会でも高い評価を受け代表に選出されると、全国大会に出場することができる
まさしく『コンクール』というイメージそのものだと思います。では、現役の『吹奏楽部』の部員に『コンクール』をどう思うか聞いてみましょう。
『コンクールは苦しい。こんなの、なくなってしまえばいいのに』
厳しい練習に苦しむ部員の姿が浮かび上がってもきます。そんなに苦しいなら部を辞めてしまえばいいのに。そんな突き放した見方もできてしまいます。では、もう一人他の部員に聞いてみましょう。
『もしもコンクールがなかったら、関西大会行きが決まったときの、あの気持ちは味わえなかった。コンクール前のあのドキドキも、演奏中のワクワクも、全部体験できなかった。それってきっと、とてもつまらないと思う』。
『コンクール』というものがあるからこその感情がそこに浮かび上がります。
さてここに、そんな『コンクール』を目指して日々練習に明け暮れる高校生たちを描く物語があります。”青春物語”どっぷりに描かれていくこの作品。読後、『吹奏楽』の世界の魅力に取り憑かれていること必至のこの作品。そしてそれは、”いちばん熱い夏”に繰り広げられる高校生たちの熱い思いに酔う他ない情熱溢れる物語です。
『では、トランペットと同じ動きをしているパートだけでもう一度』と『顧問である滝の言葉に』、『はい!』と『元気よく返事する』『部員たち』。『指揮棒をつかむ彼の細い指が、軽やかに上下に揺れている』という中、『目の前の楽譜を凝視』するのは主人公の黄前久美子(おうまえ くみこ)。そんな時、『失礼、電話です』と『滝はそう言って演奏を制止し』ます。『今年から北宇治高校にやってきた音楽教師』である滝は『その爽やかなルックスのおかげか女子生徒からの人気は高い』ものの、その『指導に関して』は、『かなりスパルタ』です。『Bの子たちの結果が出たんやろうね』と『隣に座っている あすかが微かに目を細める』中、『松本先生からの電話でした』と滝は説明を始めます。『吹奏楽部の副顧問』で『その言動から軍曹先生と呼ばれてい』る松本美智恵からの電話を受け『無事、金賞だったようです』と語る滝の言葉に『部員たちはわっと歓声を上げ』ます。『帰ってきたら褒めてやらんとね』と言う あすかの『眼差しの柔らかさに』『一瞬息を呑』む久美子。そんな久美子は手に持つ楽器のことを思います。『ギリシャ語のeuphonos「いい響き」に由来する』という『ユーフォニアム』を担当する久美子は、『小学四年生のころ』に初めてこの楽器に触れました。『最初のころは、地味だし重いし嫌だなー、なんてことを考えていたが、何年も吹き続けたいまでは愛着も湧いている』という久美子。そんなところに『加藤葉月、ただいま戻りました!』と『チューバを担当している』葉月が入ってきました。久美子と同じ『ユーフォニアム』を担当している夏紀も戻ってきた中、『とりあえず、本番お疲れさん』と あすかに言われ『あ、ありがとうございます』と返す夏紀。そんな中、『京都大会はとりあえずこれでひと区切りやねえ』と『チューバ担当の』『梨子がしみじみとつぶや』きます。『まっさか、うちのガッコーが関西に行くとはねー』と続ける梨子に『去年のこと考えると、ほんま信じられへんよ。滝先生サマサマやねえ』と目を細める夏紀。そんな会話を聞いて『久美子は自身の頬が緩んでいることに気がつ』きます。『国内最大規模の伝統ある音楽コンクールである』『全日本吹奏楽コンクール』は『地区大会ののち、都道府県大会で代表に選ばれると、支部大会へと進むことができ』ます。『関西大会。その言葉を聞くだけで、なんだか胸がムズムズする』という久美子。『この調子なら全国も夢じゃないですよね!うー、わくわくします』と『コントラバスを担当する』緑輝(さふぁいあ)が身体を震わせると、『いや、そう簡単に行けるほど全国は甘ないよ』と『ばっさり切り捨て』る あすかは『よく聞いてな』と言うとチョークを手に取り、『関西地方の地図を』黒板に描きはじめました。『大阪代表はトータルで九校』、『兵庫は五校、京都は三校、そのほかの県はたった二校しか』出場できないという『関西大会』を説明する あすかは大阪から選出されてくる『「三強」と呼ばれている三校』について語ります。『全国大会でも金賞を取るレベルの超強豪校』という『三校』の話を聞いて教室には『重々しい沈黙』が生まれます。そんな中、緑輝が『でもでも!今年はチャンスですよ!』と勢いよく立ち上がります。『三校』のひとつ、『明工の顧問が引退したんです!やから、明工は今年から顧問が代わってるんです!…強豪校が弱くなる理由って顧問の交代がいちばん多いんですよね』と続ける緑輝に、『緑ちゃんの言うとおり明工が弱くなってれば、北宇治にも望みはあるかもしれんな』と返す あすか。そして、『さ、休憩はこのへんにして練習始めようか。とりあえずさっき滝さんに指摘されたとこをもういっぺん合わせるで』と、『パートリーダーである あすかの指示に、部員たちはすぐに従』います。『床に立てていたユーフォニアムを膝に乗せ』、『楽譜を指でなぞ』る久美子。そんな久美子が『関西大会』本番を目指して練習に明け暮れていく日々が描かれていきます。
“新しく赴任した滝昇の指導のもと、めきめきと力をつけ関西大会への出場を決めた北宇治高校吹奏楽部。全国大会を目指し、日々練習に励む部員のもとへ突然、部を辞めた希美が復帰したいとやってくる。しかし副部長のあすかは頑なにその申し出を拒む。昨年、大量の部員が辞めた際にいったい何があったのか…”と内容紹介にうたわれるこの作品。武田綾乃さんの代表作であり、漫画化、アニメ化もされてもいる「響け!ユーフォニアム」シリーズの2作目となる作品です。
「響け!ユーフォニアム」は小説の他に漫画化、アニメ化までされた”吹部”小説の傑作中の傑作とも言える作品であり、シリーズ累計で200万部以上も売り上げているお化け作品でもあります。デビュー2作目でこのような作品を生み出された武田さんの類まれなる才能とニーズにあった作品を生み出された感覚にはただただ頭が下がるばかりです。そして、この作品はとにかく”熱い!”のが特徴です。紛れもない”青春物語”がこの作品の土台を支えてもいます。では、そんな作品を三つの側面からみていきましょう。まず一つ目は、武田さんならではの表現で魅せるところです。
『トランペットの華やかな音色が狭い空間に充満する。高い音。低い音。さまざまな音が混じり合い、ぐちゃぐちゃに絡まって、夏の暑さのなかに溶けていく』。
まずは部の練習風景を切り取った一節です。『顧問である滝』の指揮の下に『トランペットと同じ動きをしているパート』の楽器の音が流れ出します。そんな中に『目の前の楽譜を凝視』する久美子。そんな音が『夏の暑さの中に溶けていく』とはなんだか作品冒頭から絵になっています。
『長い黒髪を耳にかけ、麗奈は無表情のまま空を見上げた。彼女の夜色をしたローファーが、力強くアスファルトを蹴る』。
こちらは美少女キャラでもある麗奈と久美子の一場面を描いたものです。近づいてきた『花火大会』に麗奈からまさかの誘いを受けた久美子という場面です。麗奈が見せる一瞬を切り取っていますがこちらもとても絵になる一節です。そして、そんな場面はこんな文章へと繋がっていきます。
『視界の少し先で、電車が勢いよく通り過ぎていくのが見えた。車体に几帳面に並ぶ四角の窓からは、温かみのある光がこぼれ落ちている』。
目の前を通り過ぎていく電車の様子が唐突に描写されます。『車体に几帳面に並ぶ四角の窓』と丁寧な描き方の先に『温かみのある光がこぼれ落ちている』と続く文章は場違いな印象も受けます。しかし、次に続く一文がそんな違和感を吹き飛ばします。
『誘ってくれてうれしい。一緒に行こうよ』。
なんと、『温かみのある光がこぼれ落ちている』という柔らかみのある感覚が、久美子の内面を暗喩していたことが分かります。この作品はこのように細かい部分まで練りに練られて書き上げられています。このあたりの総合力が読者の胸を打つのだと思いました。
次に二つ目は”青春物語”の側面です。この作品の舞台は『かつては吹奏楽の強豪校だった』『京都府立北宇治高校』です。表紙に描かれたイラストからも分かりますが、そこに登場する生徒たちの大半は女子生徒です。クラスではなくあくまで『吹奏楽部』という集団を描く物語では、1年生から3年生までそれぞれの学年の違いによる微妙な人間関係が描かれていきます。このレビューを読んでくださっている方の大半は高校時代の青春を過去に見る大人な方ばかりだと思いますが、そんな大人な目から見ると高校時代というのは、学年が一つ異なることがとんでもなく大きな差に感じられた時代だと思います。『先輩』、『後輩』という超えられない一線は高校時代ならではです。一方で、新しく就任した顧問の滝はあくまで『実力主義』で部を統率していきます。ここに複雑に絡み合う人間関係が生じます。また、そんな中に悩みを深める少女たちの姿が描かれてもいくのです。そう、気づいたら作品世界にすっかりのめり込んでいた、そんな読書を生み出す武田さんの上手さには驚かされます。そして、”青春物語”らしく、淡い、とても淡い恋の感情が匂わされるのもたまりません。主人公の久美子は幼馴染で『トロンボーンを担当』する秀一に何かしら思いを抱いています。
『久美子は自身の手をスカートにこすりつける。手のひらには皺をなぞるように、うっすらと汗がにじんでいた。京都府大会が終わってから、秀一を見るとなぜだかちょっぴり息苦しくなる。顔にうっすらと集まる熱を、冷静さを装うことでなんとかごまかした』。
いかがでしょうか。この作品ではこのようにもどかしくなるような思いが静かに吐露されて描かれていきます。”恋愛物語”がハッキリと描かれるでもなくあくまで恋の芽生えのように描かれていくその描写が間違いなくこの作品の醍醐味です。また、高校を舞台としたからできる、生徒から教師への儚い恋心も暗示されます。いやあ、これはもうど真ん中の”ザ・青春物語”です。青春現在進行形の十代のみなさんだけのものにするのは間違いなく惜しい作品です。そう、”青春時代”を遠い目で見るあなた、そう、そんなあなたに是非おすすめしたいのがこの作品なのです。
そして、最後に三つ目はこの作品の存在意義とも言える『吹奏楽部』の活躍を描く物語です。作品の舞台となる『京都府立北宇治高校』は『かつては吹奏楽の強豪校』と言われたものの『当時の顧問が別の学校に移ったことで吹奏楽部は一気に弱体化し、ここ十年のあいだは大した結果を残せていな』いという現状があります。前作ではそんな『北宇治高校』に進学した主人公の久美子が、成り行きで『吹奏楽部』に入部し、同じタイミングでやってきた『音楽教師で』『吹奏楽部の顧問に就任した』滝によって一気に力を付けていく姿が描かれていました。『京都府吹奏楽コンクールで』『見事関西大会への出場資格を手に入れた』という展開は出来過ぎなところがないわけではないですが、武田さんの説得力あるストーリー展開によって感動的な結末を見るものがありました。この第2作ではそんな『関西大会』本番へ向けて練習の日々に明け暮れる部員たちの姿が描かれていきます。ストーリー的な読みどころとしては『二泊三日の合宿で、得られるものはなんだろうか。ドキドキする気持ちを抑え、久美子はバスへと乗り込んだ』という夏ならではのイベントの様子が描かれていくところがまず挙げられます。合宿所で昼夜を共にする中に描かれていく部員たちのさまざまな葛藤の物語は結末への準備と言えるものです。そんな物語では演奏風景を鮮やかに描き出す武田さんの筆致が何よりもの魅力です。かつてご自身も吹奏楽部に属されていたという武田さんの描写は読者を『吹奏楽』の世界に酔わせること間違いなしの魅力に満ち溢れています。
『滝の腕が上がる。部員たちは一斉に楽器を構える。その指揮棒の先が、わずかに沈む。息を吸う音が、ベルを通して大きく反響した。指揮棒が振り下ろされ、それに呼応するかのようにトランペットのメロディーが静寂を切り裂いた』。
そんな風に開始される演奏風景が、文字の上に浮かび上がってきます。
『音楽は次第に激しさを増し、そのテンポは加速する。勇ましい金管のメロディーと、繊細さを残す木管の対旋律。楽譜の端々でフルートとクラリネットがものすごい速さで連符のなかを駆け抜けていく。その音は次第に静かになり、やがてオーボエのソロへつながる』。
恐らく抜き出しだけではこれらの場面の凄さが伝わることはないと思いますが、一気に読み通していく中には幸せなほどに音楽が頭の中に流れ出します。そして、音を生み出すことに全てをかける生徒たちの熱い真摯な思いがストレートに伝わってもくるのです。
『ホルン、クラリネット、トランペット。テンポよくつながれるメロディーが、軽快さを増していく。そこに混じる、ホイッスルの甲高い鳴き声。音楽はどんどんと加熱していき、そして突如として静寂へと変化する』。
そんな風に描かれていく、熱い、熱い、とっても熱い物語。”吹部”小説の代表作とも言えるこの作品の熱量は半端ではありません。そうでなければ累計200万部という数字が生まれるはずがないのです。『吹奏楽』に縁のあった方もなかった方も、是非ともこの作品世界を一度覗いて見られることを強くおすすめしたいと思います。
そんなこの作品は、前作以上に少女たちの心の内面が赤裸々に綴られていくところも魅力です。複数の部員が登場するこの作品ですが、あくまで視点は主人公である久美子から動くことはありません。そんな久美子がそれぞれに個性を持った『先輩』、『同級生』たちと心を交わしていく姿は久美子の成長を見る物語でもあります。そして、この第2作最大の読みどころと言えるのが内容紹介にも暗示されている”部を辞めた希美が復帰したいとやってくる。しかし副部長のあすかは頑なにその申し出を拒む”という先に展開する物語です。主人公としてそんな展開に深く関わり合いを持っていく久美子。胸を締め付けられるようなその展開はこの作品の奥深さを改めて感じさせてもくれます。そして、この作品が行き着く物語の結末。そんな結末には第1作同様に熱く、熱く燃えたぎっていく久美子の、そして『北宇治高校吹奏楽部』の面々の思いがとめどなく描かれていきます。そして、次へと、その先へと続いていく物語。これは、途中で止めることなど誰にも出来はしない、そう断言できる感動的な結末がそこには描かれていました。
『誰だって、勝ち進みたいという気持ちはあるに決まっている。だけどその気持ちが報われる人間は、ほんの少ししかいない。関西大会から全国大会へと進める高校は、二十三校中三校だけだ』。
『関西大会』本番を目指して日々の練習に明け暮れていく『北宇治高校吹奏楽部』の面々の姿が描かれていくこの作品。そこには、それぞれの個性がぶつかり合う高校生の青春が描かれていました。彼女たちの繊細な内面の吐露に息を呑むこの作品。鮮やかに描写される演奏風景に、誌面から音楽が流れ出すこの作品。
「響け!ユーフォニアム」シリーズはやっぱり面白い!この作品世界にいつまでも浸っていたいと心から感じる素晴らしい作品でした。
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内容的には、今は落ちぶれて弱小になり、やる気もなく廃れた吹奏楽の元強豪校が、一念発起して全国を目指す王道の内容で、そのサクセスストーリーが単純に分かりやすくて面白い。
目標に向かってる途中で起こる事件や登場人物の心理描写、情景描写が絶妙でストーリーにリアリティがあり、自分が吹奏楽部を追体験している気持ちになって各場面で感動的な気持ちになれた。
ストーリーは表紙のデザインと違って、結構硬派な印象であった。
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高校の時、もっともっと、毎日がくたくたになるまで全力で部活に打ち込めばよかった‥青春の涙と情熱のグラデーションがすごい作品です!個人的に、ハイキュー‼︎を観たあとのような感覚でした!
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とても良かった。
リズと青い鳥から入って、テレビ一期・二期、劇場版を見て、最後に原作を買い揃えた。買ってからしばらく寝かせていたが、最近急に読み始めてサクサク読み進んだ。
アニメももちろんよかったが、小説は心情や状況がよりよく分かるので、世界に没入しやすい。希美とみぞれのとことかたまらんかったし、関西大会の発表は読んでてドキドキしたよ~。
それにしても、原作は関西弁なのが良いな。
また、1年ほど前、宇治に行ったのも、情景を思い浮かべて読めるので、よかった。
以上、アニメも原作も素晴らしくて好きであることを前提にちょっと言うと、希美が部に戻るときのあすかとの対話シーンを描いてほしかった。のぞみとあれこれあって、そのあとすぐ部にいることになってるので、あれいつ戻ったんだ?となる。アニメ見て、おやと思い原作読んだら同じだった。「肝心なところをあえて書かず、その前後のシーンから想像させる」っていう手法はあるにはあるが、これまでさんざんあすかに頼むシーンがあったのだから、受け入れるシーンもあったほうがいいと思った(見たかった)。
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アニメでは何かよくわからない話だったけど、こうして原作を読んで、どういう話なのか、良く分かった! そう考えると、アニメ版はエッセンスだけ摘出という感じで、勿体なかったなあ。のぞみさんもアニメ版だとよくわからなかったけど原作を読んで好きになったよー! あとはアスカ先輩がすごーい大物風に書かれてるのが面白いね><。2巻も面白かった! 3巻も読むの楽しみ!
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コンクールの結果発表の場面でうっかり結果が先に見えないようにページめくるのに気を使ったし心の中で叫んだ。
コンクールって何もかも平等じゃないけど、それぞれの団体のおかれた環境や事情の中でより高い所を目指す特別な場。
部員みんなで胸を張って全国目指してる!って言えるなんて本当に素敵なこと。嬉しいこと。
本番の舞台に立った時に涙が出そうになる感覚わかるなぁ…
みぞれと希美のお話し
オーボエ奏者のみぞれと、1年生の時に退部したのぞみのお話しです。そこに中学生からの同級生の優子と夏紀、ひょんなことから久美子が関わり物語りが進んで行きます。みぞれとそれぞれの人物の関わりによる、みぞれの心の変化が読みどころです。
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終盤の関西大会のシーンは、わたしは吹奏楽の経験なんてないのに泣きそうになりながら読んだ。
感情のうねりがすごい。それってここまでの経緯があってこそのうねりなんやけど、それにしても、
すごいヒューマンドラマやな?
いやいや、べつにええねん。冷静になると
「そこまで?」
って思いたくなる距離感やけど、これこそ十代! これぞ高校生! なのかもしれん。
わたしが所属していたのは運動部やけど、やっぱり当時は家族よりも近いところにいたし、今、冷静に思えばあんなに四六時中よくいっしょにいれたなとか、よく自分のすべてをさらけだせていたよなとか思う。
大人になったらどうしても見栄を張りたくなる直前のころやから、さらけだす自分と見栄が入り混じって、こんなふうにぶつかり合うのかもなあ。
客観的に見てるのは「若いな」ってなるし、くどいけどわたしにも多少似たような経験があるから「ああ…」って思うところもあるけど、いい意味でも悪い意味でももう少し大人な距離感で学生生活を送ってた人から見たら、これは、どうなんやろう。笑
あすか先輩がだんだん末恐ろしくなってきた…(笑)。
次はあすか先輩の話なんかな?
みぞれちゃんの気持ちもわかる。わかる。(二度言う)
みぞれちゃんのようなタイプはなぜか、希美ちゃんのような人に惹かれるねんな。
これを全部女子で描かれるのも、たまらん気持ちになるなー。もちろん男女間の恋愛感情もちょっとだけ書かれているけれど、この距離感は、純粋と打算が入り混じってるよ。
これだけの熱量を表現できるものがあるのは、幸せかもしれない。彼女たちは音楽が。
わたしはいま、文章かなあ。だから、楽しいし、苦しい。笑
次も読みたい! そしてこれは確かに、アニメでみたらもっと「ぶわっ」ときそう。
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久美子やみぞれや部員たち、それぞれに愛着を抱く。
部活や演奏への考え方、あるいは他者への想いは、登場人物それぞれに違う。
それらをすべてひっくるめて、コンクールというクライマックスに突入していく。
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全国大会を目指すっていいなって思った。青春をすごい感じるし、この作者の文章表現がすごい好き。クライマックスはすごい鳥肌が立った。アニメを観たいし、音楽を聴きたい!
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1巻で優子先輩が香織先輩のソロにこだわった理由の詳細が語られる。
香織先輩は実力があっても、当時は3年生優先の編成だったので1、2年時はBクラスだった。
やっと、3年生になってAクラスでソロが吹けると思いきや、1年生の高坂さんにソロを奪われる…。
今まで我慢していたのに、それはないでしょってなるわな…。
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アニメを一気に観てから日は経っているものの、内容はしっかり覚えている。それでも、面白い。北宇治高校2年生の過去と、希美とみぞれの関係性が主な話。部員の一部はギスギス感があるものの、着実に関西大会へのステップも踏んでいっていて、「部活モノ」としても「学園モノ」としても楽しめる小説だ。
みぞれの気持ちはどうしても私には分かり兼ねる。希美が全てを話さずに色々決めてしまったことも良くなかったとは思うが、真意を確かめもせずに自ら離れていった。挙句、希美の姿を見ると気分が悪くなるようになるなんて、そんなことあるのだろうか。他人への想いが強すぎると、本人でも予想できないような感情が巻き起こるのかもしれない。まあ、誤解が解けて2人の仲が元に戻ったのは良かったけれど。
久美子は相変わらず、あまり目立たない主人公ではあるが、誰かが辛いときに、そばに寄り添う人物というポジションになっている気がする。
どちらかというと一歩引いて見ている久美子の感情がこの先、どう変化していくのかも楽しみだ。
それにしても、あすかの言葉の端々が引っかかる。特に、時折見せる部員へのドライな感情とか。今のところ、一番、読めない怖い人物だ。(まあ、一番好きなキャラクターなのだけど。)
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熱い…熱いぜ…!!!
結果発表の時本当に心臓の音が聞こえるくらいドキドキした。
武田綾乃さんは、人間を描くのが上手いなぁ。大学生でこれ書けるって恐ろしい。
誤解を恐れずに言えば、女子同士の親友って恋愛でしょ、って思って書いてる気がする。私もそう思う。
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めちゃくちゃ良い。大会に向けて、っていうところが良い。部活に青春を捧げる描写を読んでいて、凄く楽しいです。アニメとはまた違った楽しさがあります。発売されてから買ったのが大分遅いけど、買って良かったと思いました。
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面白かった!!!
アニメでは、北宇治が上手くなったのは「元々上手な人がいて伸びしろがあったから」と滝先生は語っていたけれど、
小説では「滝先生の指導が優秀だから」という久美子達の意見がよく出てきた。
確かに、学生時代の部活は顧問の影響大きいよなと私は思った。
いくらアニメ滝先生が「僕が連れて行くのではなく皆さんの力で全国へ行くのです」と言ってもそれだけじゃ足りないよなと思う。
アニメではさらっと流れた「十回通し」をやる意味も小説では丁寧な説明があったから、ようやくその効果を知ることができた。
強豪校の顧問が変わったから弱体化してないかなと祈る気持ちもよく分かる笑
また、突然のソロ交代で本番吹いた下級生が失敗して会場がざわつき、結果ダメ金になってしまうのもあるあるだよなぁと思いながら読んだ。
アニメでは単純に久美子達の実力が上がったからのように見せていたが、
小説で書かれているような強豪校の失敗なども影響して全国へ行けたという描写の方が読んでいて納得した。
現実では確かにそうなんだろうなぁという気もした。
ただ、小説では地の文で説明がある描写も、アニメでは風景や目の動きから短時間で表現していたのも分かり、改めて京アニすごいなと感じた。
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アニメ3期放送開始!原作も読み進めてなんとか放送中に追いつきたい。
小説だから必要な描写、映像だから省略すべき描写、そういうのあるよね…って思う2巻でした。ユーフォでは2年生(優子や夏紀の代)が一番好きなので読み進めるスピードが上がってる気がする。
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北宇治高校吹奏楽部、関西大会へ向けての練習から本番、全国大会への出場権の発表まで。
女子が圧倒的に多い部員同士の人間関係のもつれや、練習・合宿の様子、本番前後の心情描写が本当にリアルで、自分も一員として参加している気になった。
感情移入しすぎて、全国大会代表校三校目の発表の瞬間、涙してしまった。青春のきらめきが眩しい。
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みぞれと希美の話は、アニメで1番好きなエピソードなので。
アニメよりみぞれの心情が描かれていて、人間性がより分かります!
本もアニメもどちらにもそれぞれの良さがありますね!
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狭い部屋で吹奏楽部の発表を聞く機会があり、演奏の始めに全員が息を吸い込む音が聞こえて、それがなんかもう、色々なものが凝縮された音に聞こえてそれだけで泣きそうになったことがあります。
なんでしょう、部活を扱ったお話はたくさんあるのに、何で吹奏楽部だけ特別に見えるんでしょうね。最後に聴衆に向けて熱い固まりをぶつけてくるからかなぁ。
アニメ見ようかな。
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コンクールに向けての猛練習。
そこへ早朝から誰よりも一番に練習にやってきている2年のみぞれと、突如部活動に戻りたいと申し出た希美、それを許さない3年のあすか。
1年の久美子には事情が掴めないけれど、吹部で何かが起こっている。
シリーズ2冊目の見どころは、それぞれが抱える思いの違いだと思います。
みぞれの思い、希美の思い、優子の思い、夏紀の思い。
それぞれが絶妙にすれ違っていて、この年頃の女子の関係性がもどかしく感じました。
相手に執着したり、実はお互いにお互いを本当に理解はしようとしてなかったり、表面的な仲の良さと、客観的に見たときの関係性のギャップがうまく描かれていたと思います。
関西大会にかける各校の思いも感じ取れて、コンクールって見た目ほど華やかじゃなくて、みんな必死の思いで、たくさんの時間と労力をかけて、勝負をかけているのがよく伝わってきた。
勝ち負けのある世界だから、誰かが涙を飲まなきゃならない、すごく残酷な世界でもある。
負けたとき、勝ったとき、どちらも、かけた思いの分だけ大きい。
一巻の最初の久美子の反応と、二巻後半の久美子の心の動きを比べると成長を感じた。
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アニメも観て思ったこと。優子ちゃんて初めは香織先輩と麗奈のソロに関して突っかかって、性格キツそう…と思ったけど、友達思いのいい子なんだなー、と分かる。
コンクールって、結果を聞くまでのドキドキが半端ないよな…って、懐かしく思った。
Posted by ブクログ
中高8年間吹奏楽に時間を費やしてた過去の自分を思い出しながら読んでたけど、色んな記憶が蘇ってきてこの本読んで良かったって思った。
この本に出て来た楽曲を聴きながら読むのもまた臨場感が出て良かった。高校生の部活魂は本当に凄い。
最後の大会の結果発表は先に読んでしまわないように紙でスライドして隠しながら読み進めました。
Posted by ブクログ
関西大会へ向けた夏合宿やプールやお祭りの日々が終盤までは起伏薄め。強豪校のレベルの低下を当然のように期待したり、失敗を望む様子が、綺麗事かもしれないけれど運頼りみたいで、実際のミスには悲しくなった。でもずっと描かれず本番で満を持した合奏描写に盛り上がり、結果発表にドキドキして、苦しいくらいだった。
Posted by ブクログ
僕は最終楽章と並ぶ傑作だと思います。
物語のまとまりが良く、前巻の重要さと今巻の重要さの比率がちょうど良い。
嫌に美化されない高校生ってこんなもんだよねという人としての未熟さをきちんと描いた青春小説。
Posted by ブクログ
何時もの様にアニメと並行して読んだ
小説=原作だと説明的な言葉やシーンがある
アニメだと印象的な場面で代替するし、なん
なら1話の盛り上がりや分かり易くするため
場面や人を入れ替えたりする
麗奈が京都弁なのが違和感(´・ω・`)
※アニメは結構標準語で違いがある
Posted by ブクログ
関西大会までのお話。
リズと青い鳥のお話も含めながら話は進む。新しい講師、花火大会など久美子たちが成長していく様子が描かれる。
リズと青い鳥を観たときも思ったんだけどこの希美というキャラがあんまり好きになれない。無邪気に引っ掻き回すという役割を与えられているのでかわいそうな気もするけどやっぱりみぞれがちょっと可哀想かなと。
強豪校のトラブルもあって全国出場。というかやっぱりトラブルがないとこのあたりを押しのけて勝ち残るのは難しいという現実。次巻にも期待したい。
Posted by ブクログ
果てしない夢を見るのは、愚か者か。
関西大会に向けて、ますます練習に励む北宇治高校吹奏楽部。そこに現れたのは、部を辞めた二年生の希美。しかし、副部長のあすかはその申し出を拒否した。部員の大量離脱の謎を探る久美子は――。
音楽の才能と努力について。コンクールについて。部活動について。吹奏楽部の経験はないが、多かれ少なかれ部活動においてぶつかる問題が次々に提示されている巻。しかし、麗しい女子の友情に収まるところが、またエンタテインメントか。嫌な奴という印象の優子の意外な一面が見えたり、あすかの底知れない感じが怖かったり。それにしても、吹奏楽部って、本当に練習がきつそうですね。合宿の件は、そんな練習して大丈夫なの、の連続でした。