久山葉子のレビュー一覧
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私たち人類は、歴史上かつてないほどに豊かで快適に暮らせるようになった。それなのに、なぜ精神的な不調を抱えている人がこんなにも多いのか。その答えを探るのが本書の目的。
人類の脳はとてつもなく賢いはずだ。なのに、なぜ持ち主の気分を常に良い状態に保つことができないのか。また、なぜいつも感情面で持ち主の足を引っ張ろうとするのか。
これらの謎を解く鍵は、自分たちが「今どこにいるか」ではなく、「過去にどこにいたのか」に目を向けること。
まず言えることは、私たちは死亡率が異常に高かった古代人たちの生き残りの子孫だということ。祖先のうちの誰一人として、子どもをもうける前にライオンに食われたり、崖から落ちた -
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結論としては『運動脳』と一緒で、運動がうつやストレスに効果的であるということ。
狩猟採集民族や発展途上国よりも近代化社会の方が同じ時代に生きていてもストレス度合いが高いことがわかっている。私たちのライフスタイルは、「運動」と「仲間と一緒に過ごすこと」が欠けているのではないかと本著では考察している。コロナ禍にzoom飲みがあったけれど、やはり対面に勝るものはないんだなあと思う。対面とオンラインではグループに属している、誰かと繋がっているという初回欲求の満たしに大きな差が出ている。もちろん対面がより連帯感を生む。そして、都会より田舎の方が精神状態が良いことがわかっている。加えて、非喫煙、環境汚染も -
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ネタバレ感情=自分、ではない。同解釈するか(どのような感情を持つか)は自分で選べる。
ドーパミン
スロードーパミンとクイックドーパミンがある。クイックばかりを求めない。
ドーパミンを分割する=一気に快楽を感じない。分割して楽しむ。
ビジョンボードを作って眺めれば、少しずつドーパミンを受け取れる。
冷水浴はドーパミンのレベルを上げる。
オキシトシン
親近感、調和、信頼、思いやり、連帯感寛容さなどを受け取れる。
周りの人間に興味を持ち、最高の聞き手になる。
小さなことに感動すると、ちっぽけな自分を自覚できる。=共感力を養いオキシトシンを増やす。
オキシトシンを増やせばプレゼン能力が上がる。
オキシトシ -
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数日前に、同じ著者の『ストレス脳』を読んだのですが、本書は、『ストレス脳』を若者向け(中高生向け)にリライトした本、とのこと。
確かにその通りな印象でした。
「うつ」は脳の正常な反応だし、その背後には、「ヒトは、幸せになるのではなく、生き延びるようプログラムされている」という点があること、そして、「うつ」をはじめとするメンタルのマイナスな状態の予防や改善には運動が効果的、といったあたりは、『ストレス脳』と内容的に同じです。
著者の本を初めて読む場合には、この本はお勧めできますが、すでに他の本を読んでいるならば、この本に時間を使う必要はないと思います。 -
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『ストレス脳』の中高生向け本。難しい言葉は使わずにとても分かりやすく書かれている。
今までにないほど豊かで恵まれた時代に生きているのに、年々先進国ではうつ病により精神を病む人が急増している。
それは、私たちの脳が狩猟採取時代から全く変わっていないのが原因。都市部で暮らす私たちは狩猟採取時代と全く異なる環境に生きている。そのミスマッチが精神を病む主な原因である。
私たちの脳の主な目的は私たちを幸せにすることではなく生き延びさせ、子孫を残させること。
つらい思い出がよみがえるのは、脳が同じような危険から私たちを守ろうとするから。
嫌な記憶もフタをするのではなく何度も取り出すことで変化させること -
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Posted by ブクログ
ネタバレ広大な自然とそこに秘め備えられた資源がもたらす可能性に吸い寄せられる人間の強欲。
その対立に揉まれつつルールの中で正しき方へ進もうとする体制側の人間。
読んでいくうちに思った。
この構図は北欧版ジョー・ピケット(by C・J・ボックス)。
ただ、ジョーほどには惹き寄せ力が薄いのが残念な主人公クレメット。
外から見える姿はサーミの血を誇りに、かつての頼りなさを都会での経験値を積むことで払拭し、サプミの地に凱旋。毅然と職務に邁進する男。
その実内面には女性に対するトラウマとの折り合いつけられなさが溢れかえっていて、よく言えばリアル、悪く言うと幻滅。
ジョーにも似たようなとこはあるけど、一本通った -
Posted by ブクログ
ネタバレ太陽が一切昇らない期間が40日間もある北欧サプミの地。
トナカイ放牧が生業としてあるこの地にて、トナカイ警察として、放牧者たちのいざこざを捌く(やれトナカイの群れが決められた範囲を越えて移動したがためにほかの群れと混じってしまっている、やれトナカイが盗まれたなどなど)クレメットとニーナ。
待ちに待った太陽がまた昇るその日、トナカイ放牧を担う土着民族サーミ人のマッティスが両耳を切り取られた状態で死体で発見される。
また、時をほぼ同じくしてサーミ人のアイデンティティ、差別受難の歴史のアイコンとも言えるサーミの太鼓が何者かに博物館から盗まれる事件も発生。
めったに事件らしい事件の起きないこの地に