あらすじ
日本では毎年2万人、世界では80万人近くが自殺する。死因としては戦争や殺人より多く、WHOが警告する世界的公衆衛生問題だ。安楽死を選択できる国が増える一方で、自殺者の約85~95%には精神疾患があるとも言われ、自ら死を選ぶことの意味が改めて問われている――。〈自殺ゼロ〉政策を掲げるスウェーデンで、自殺研究の第一人者として知られる精神科医が、文化、宗教、歴史など多方面から徹底探求する〈生の価値〉。
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Posted by ブクログ
■死ぬというエンディングの方が例外で実は抜け出す道は数多くある。死にたいという願望自体が時間の経過とともに変化するものなので、願望が消えるまでとにかく生きていようとすればたいていは助かる。
Posted by ブクログ
スウェーデンで最も影響力のある文学賞アウグスト賞を受賞した一冊。受賞したことがスウェーデンでこのテーマへの関心が大きいことを示していると訳者は言っています。
原著タイトル「生きるに値する人生」だそうで、こちらの方が内容的には合っていると思います。でも原タイトルだと日本人は確かにあまり手に取らないかも。本書邦題タイトルはより印象も引きも強い感があり、あえてそのタイトルにしたのでしょう。
キリスト教などでは自殺を禁じていて、それは知っていましたがなぜなのかということは知りませんでした。本書第3章を読んで納得しました。
神があなたを創造したのだから、創造物(あなた)の命を絶つことは神への侮辱に当たると(p50)
無宗教である自分のような日本人にはその厳しさを実感としてはあまり感じられませんが宗教戒律の厳格さを感じる理由です。日本の切腹についても触れられていて、それがある種象徴として文化的に認められてきたことが自殺が他国に比べて日本で受け入れられているのてはないかと書かれています(p59)なるほど一理あるかもしれない。
やはり宗教や習俗を抜きに自殺という行動を一律には語れないとわかります。
安楽死と尊厳死の違いについても他の本で読んだことはありますが、主にヨーロッパで安楽死を認められている国でのその実例が紹介されており、単なる良し悪しでは測れない複雑さを感じます(それはそうですよね。取り返しもできないしやり直しも効かないし)
随分と若い年齢の人も基準に従って条件が満たされれば安楽死させられ、そういう人が実際にいたことが日本人である自分にはかなりショッキングに感じられました。
夫のいる女性で結局死ぬのをやめた人の話が出てきますが(p117〜)
本人よりも残されるはずだった夫さんの気持ちを思うと、夫さんのほうがむしろ死にたくなるほど辛くなってしまったのではとその気持ちは想像を絶します。
死にたくなる人はもう残していく人のことなど考えられなくなってしまうのだろうか、そのくらいでないと(?)死ねないよな…などと思ってしまいました。
死にたいと生きたいはほんの小さな振り幅で大きく揺らいてしまうものなのだと第8章を読んで震撼する思いでした。
第11章の、哲学者の奥さんとその不随になってしまった夫さんの話もショッキング。予言のように寄せられたコメントの通り最後はなったということにやりきれなさを感じます。
愛ゆえに…想像できないけれどなんて悲しいことなんだろうと現実の残酷さがしみました。
WHOは有名人が亡くなった場合は具体的な自殺方法を報道しないことを推奨している(p216)そうです。報道があると追うかのように自殺者が増えるのは日本だけではないようです。
本書巻末にも編集部付記で、著名人の自殺報道があった際によくニュースの最後に載っている自殺対策機関の連絡先が掲載されています。
こういう本を手に取る人は、何らかの形で自殺という行動に関心があるのでしょうけど(自分も含めて)学術的に関心を持って広く読まれるべき一冊だと思います。
Posted by ブクログ
「自殺は心の病気である」というスタンスを終始保っている。特に若い人の自由意志による自殺には否定的。自殺は取り返しのつかない行為であり精神の治療により自殺衝動を乗り越えられれば以後生きていられる。
自殺を防ぐには人生に意味が必要だという。これを人生に対する行為論という。人生の目的の消失や意味の崩壊から人生を終わらせるのが自殺。人生の意味は非常に難しい問題だが生きているだけでも価値がある。結果ではなく生きているという過程に意味がある、という。
だいぶあっさりとした内容でさらっと読めてしまう。
安楽死が合法化されている国なので自殺が身近な題材だと思われる。本書でも触れているが日本は切腹などの自殺によって責任を取る、人生を終わらせることにある種の美学がある。そのため自殺が根本的に悪であった他の国の文化とは異なるものだと思われる。日本における自殺の意味が知りたいなら、他の本を読む必要があるだろう。
Posted by ブクログ
自殺について現代までの歴史が述べられている。多くの場合、自殺は精神病に起因するので、医療が発達すれば自殺は減少するのかなと思う。一方で、医療が発達することで精神病が発覚しやすくなり、自覚することで行きづらくなる人が増加するのかも。難しい問題。
Posted by ブクログ
スウェーデンで自殺研究をする精神科医の新書。自殺と安楽死についての現状と歴史が述べられている。選択した安楽死はまた別の論点として、全ては脳の為せるものであり、希死願望は精神の一瞬の揺らぎでもある。仕組みとして自殺しづらくするだけで自殺者数が減ること、事故で首の骨を折り完全介護が必要になった男性への論評で「彼は死を選ぶだろう、何故なら妻を愛してるから」という言葉が重い
Posted by ブクログ
重くデリケートなテーマの本ですが、翻訳もこなれていて読みやすかったです。
「自殺は誰にも予測できない」「なぜ人間だけが自殺するのか」「自殺予防には意味がある」など、改めて考えさせられる内容でした。
また、最近よくフーコー関連の本を読んでいたので、安楽死と福祉国家の関係についても思うところがありました。
ちなみに、書名の一部が「自分を殺す」となっていますが、これは自殺、自害、安楽死、尊厳死など色々なケースを考察しているためです。
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もともと自殺大国ですし、日本でも安楽死を望む声が高まっていると感じられます。
自殺を望む人が罪悪感をもって絶望死するより、その気持ちを汲んであげる方が結果として自殺も減るだろうと思うので、(逆説的ですが)自殺防止のための安楽死制度に僕も共感します…もちろん前提として、生権力分析や政治的他殺には敏感であるべきですが。
この本にあるとおり、自殺を止める行為は確かにパターナリズム(父権的温情主義)だと批判できます。
また、自死の善悪判断も原理的に不可能だと思います(実はウィトゲンシュタインも、自殺は罪であるといった直後にそう自問自答しています)。
だから、産む産まないが自由であるなら、自死するしないもまた認められるべきだと個人的には感じてしまいます。
(しかしその一方で、フーコーを思い出しながら、この考え方を越える思想はどうしたら可能か? とも夢想してしまいますが…)
Posted by ブクログ
自殺要因と、自殺予防についての本。スウェーデンの作者なのでスウェーデンの話がメインだがたまに日本が出てくる(切腹と長い時間をかけて何かやると言う例)
スイスの埋葬期間が25年と決まっている(お墓も壊してしまうような記述がある)のに驚いた。狭いからかな。
Posted by ブクログ
〈自殺ゼロ〉政策を掲げるスウェーデンでベストセラー&アウグスト賞受賞。ノーベル生理学・医学賞の選定機関である名門カロリンスカ研究所で長らく精神科教授を務め、自殺研究の第一人者として知られる著者が、最新研究を基に自殺の実相と対処法を徹底探求した一冊。自殺者の約85~95%には精神疾患があるとも言われる一方、一種の自殺と言える「積極的安楽死」(本人の意志で医師に致死薬を注射してもらうなどする)や医師に薬をもらうなどして自ら死を選ぶ「自殺幇助」、延命措置を受けないなどの消極的安楽死「尊厳死」など、「安楽死」を選択できる国も増えている。
「自分を殺す」ことについて事例を挙げ、専門家の話も聞いて幅広く検討している。著者は、様々な事例を引きながら、自殺については、予防対策を強化することにより減らすことができると述べている。そして著者の最も主張したいことは「生きているだけで意味がある」ということだと感じた。
【原題】
ETT LIV VART ATT LEVA
(生きるに値する人生)
【目次】
第1章 自殺とはなんだろう?
第2章 自殺に予兆はあるのか?
第3章 なぜ自殺は禁じられているのか?
第4章 自殺する人は精神疾患なのか?
第5章 自殺に進化上のメリットはあるのか?
第6章 なぜ安楽死する人がいるのか?
第7章 1人の死が及ぼす影響とは?
第8章 自殺予防対策は可能だろうか?
第9章 意味のある人生とはなんだろう?
第10章 どうすれば自殺を止められるのか?
第11章 自殺をどう受け止めればいいのか?
第12章 いかに難問だとしても
訳者あとがき
Posted by ブクログ
安楽死が決まってから精神が持ち直した人や、自殺をして命が助かったことで経験談を語るなど一度は心の底から自死を願った人が、前向きに生きている様をこういった内容の本で読むのは初めてでとても良かった。
こういう話をもっと聞きたい。
当初思っていたのと内容は違っていたけれど、読んでみて良かった。
生きる側に立ちたい、という純粋な命を救う医者としての立場をシンプルに追求する様が好ましいなと思いました。小難しく考えれば色々あるとは思うけれど、医者ってシンプルに本当はそうだよな、と。