櫻井祐子のレビュー一覧
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クリステンセンは、「イノベーションのジレンマ」を読んで、面白かったものの、その後の本は読んでいなかったところ、先日、たまたま「ジョブ理論」を読んで刺激を受けたので、こちらも読んで見た。
「ジョブ理論」については、わたしは面白いと思ったのだが、「新しみがない」という評価も多そう。ということから類推すると、「ジョブ理論」は、「イノベーションへの解」の焼き直しなのかな?と想像していたのだが、そうでもないかな?
「イノベーションのジレンマ」が問題提起編だとすると、こちらは「対応編」。
とは言え、ものすごく新しいことが書いてあるような感じでもないな。
色々な他の研究で言われているようなことをうまくまとめているみたいな印象。
ある意味、ドラッカーのイノベーション論をアップデートした感じ、というと言い過ぎかな?
破壊的イノベーションは、天才のアイディアではなくて、計画的に生み出せるもの。
とは言っても、それを本当にやるためには、通常のマネジメントとは大きく違う思考、判断、プロセスを採用する必要があるので、それを徹底するのは、やはり難しそう。
イノベーションに関して色々な方向から整理されていているのだが、個人的には、一点突破な「ジョブ理論」の方が、好きだな。 -
Posted by ブクログ
工業製品が花盛りだったインターネット以前、市場投入が許されるのは完成品だけで不備や欠陥は瑕疵と直結する時代だった。それがインターネット以後はソフトウェア的な発想が根付き「バグはあるもの」でありアップデートで改修や機能追加や当たり前となった。その考え方がビジネスへも拡がり、完成度よりむしろスピードが重視される時代となった。
本書で紹介される「スプリント」はグーグルの手法であり、ITスタートアップで一般的なワークスタイルである。「ハッカソン」とも呼ばれる。初日に課題設定、2日目に解決策検討、3日目で意思決定、4日目にプロトタイプ開発、5日目にユーザーテストし、超高速で有用性を量る。(議論と調整に時間を浪費するどこかの国の政治家たちにも聞かせたいが)某世界的経営者が「数分考えて意思決定できない案件は何日かけても無駄だ」と話していたのだが、まさに体現した仕事術といえよう。
内容はいちいち過大広告気味な感は否めないが、書かれていることはシンプルで実行しやすくルールや手順も相当詳述されている。「キーノートでプロトタイプを作る」や「インタビューは5人で精度85%」などはスプリント流の最たる提案といえよう。まずは実践して体感するのが良いだろう。 -
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■感想
スプリントが出来たらいいとは思うが、関係者を5日間拘束することができない
一人スプリントと称して使えるエッセンスを実践するのが現実的だと感じた
■要約
5日間、関係者(7人以内)の時間を確保して企画からプロトタイプ作成、FBまで実施する
ブレストには効果がない。成功したアイデアは一人で考えた時に思い浮かんでいる
テストは5人まででいい。それ以上はROIが薄れる
話を聞く5幕構成
親しみを込めた歓迎
顧客の背景を理解するための質問
プロトタイプを紹介
タスクと促し
簡単なデブリーフィング
みんなで言い回しを練らない
■行動
このウロジェクトは、半年・一年・五年後にどうなっているか?
話合いは30秒から30分で済ませる
どうすればいいか、という観点からメモをする -
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ラスコー遺跡の壁画に動物が描かれていることはよく知られている。一方で、平行線や点などの幾何学模様(記号)も描かれていることはあまり知られていないのではないだろうか。私も知らなかった。岩絵は何度も見たことがあるから、記号の存在に気がつかなかったのだろう。著者は、研究されていない古代の記号をデータベース化し、文字の起源であると思われるものを研究している。記号のデータを集めるだけでも大変な苦労がある。研究は始まったばかりであり、本当の成果は数年先でないと出てこないだろう。本書は、古代ファンを惹き付ける研究分野があることを知ることを目的に読んだ方がいい。著者が慎重なのか、推定でしかない事を断定することはない。そのため、結論を知らされない読者はもやもやするが、数年後には新たな発見がありそうな期待感で胸を膨らますことができる。
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参加者が個性を持たないコモディティ市場では、価格のみが取引の成否を左右する。一方、参加者の個性こそが重要であるマッチング市場では、その効率性は市場デザインのディテールの巧拙で決まってくる。本書はスピード、混雑、コスト等の切り口から市場デザインの重要性を説き、マッチングの一般理論を分かりやすく解説するもの。
著者は情報経済学の分野でノーベル賞を受賞したマーケットデザインの権威。と聞くと象牙の塔に籠った衒学的な内容を予想しがちだが、本書では実際に著者を始めとする研究者グループが腎移植や研修医リクルーティングの実地でトライアルアンドエラーを繰り返し、実践と理論のフィードバックを試みる様が描かれており、意外にスリリングな内容。より理論的な内容を望む向きには数学の一般向け啓蒙書で簡単な解説があるものが複数出ている。 -
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マーケットプレイスは市場の厚みが必要。
決まった時間に取引するのは、市場の厚みをつけるため。
ただし、混雑をどうやって避けるか。
コモディティ市場によって厚みを実現できる。
クレジットカードのポイントは、最終的には消費者が払っていることに注意。
腎臓交換。金銭を媒介にしないマーケットを機能させるには?
クリアリングハウスを通じて望ましい交換の連鎖を見つける。
閉じたサイクルの腎臓交換は同時に行われないと提供を受けられないリスクがある。
提供だけをするドナーが存在すれば、連鎖が切れるリスクを避けられる。
マッチングの容易な患者を出し惜しみする=仲介業者の常套手段。
抜け駆けの問題=ロースクールの卒業生の青田買い。
時限付きのオファーを出す。
参加者の自制心頼みでは無理。
クリアリングハウスによって解決できる。
電子式注文台帳は先着順。
1秒ごとに板寄せで取引すれば、高速回線争いをする必要がない。
優れたマーケットデザインが採用されるとは限らない。
公務員試験の日に招集するのは時限付きオファーと同じ。
オークション方式でもスピードが大事。
AIRBNB、UBERもスピードがあるから成功した。
公立学校の制度。
留保付きで入学者を順に決める=受け入れ保留アルコリズム。
真の選好を表すことが最善であるようにデザインする。
結婚の鉄則=夫は妻より、妻は夫より幸せになってはいけない。
早期入学許可制度=早期に応募することは協力なシグナルになる。
恋愛でのシグナリング=2本しかないバラを添えてオファーする。=孔雀の羽根。
長い行列はレストランが美味しいというシグナリング。わざと行列を作らせる。
第二価格オークション=真の自分の選好価格を入れることが一番いい。
第二価格+αで購入できるオークション。
競り下げ方式オークション。切り花の卸売。早く決まる。=ダッチオークション(オランダの切り花市場で使われている)
金銭を介した取引に不快感を感じる場合=夕食に招待された場合のお礼。臓器売買。
臓器を売った者は英雄になれるか。合法化されたときに、不快感が解消されるか。
自由市場は注意深く作りこまれなければならない。レッセフェールの原則では解決しない。 -
Posted by ブクログ
地政学。
こういう大きい視点で見ると小さい争いにあくせくするのがバカバカしくなる。カウフマンが言っていたような歴史上の出来事に関する法則を探す学問、プリゴジンの言っていた意思決定の理論化の話、コンフリクトの原因が時間の感覚の違いであることなどを思い出す..
アメリカが地政学的有利にも関わらず憂鬱な心理状況である理由。
1 この乖離がアメリカの力がまだ発達しきっていないことを示している。
2 これがアメリカの途轍もない強さを露わにする。アメリカは不安を感じていたからこそ冷戦に途轍もない労力とエネルギーを傾けた。
政治指導者から技術者、軍人、インテリジェンスの幹部に至るまでアメリカ人の冷戦との戦い方は決して気軽でもなければ自信にも満ちていない。だからこそ冷戦に勝って驚いた。(恐るべき謙虚w)
アメリカは心理的に自信過剰と不安が奇妙に入り混じった状態、青年期の虚勢と絶望。アメリカはまだ16世紀ヨーロッパのような未開状態にある。文化はまだ形を形成しておらず意志力は強い。そして感情によって相矛盾する方向に突き動かされがち。
文化の三つの状態
未開:未開人は自分の村の慣行が自然法であり、異なる生活習慣を持つ人たちは取るに足らない状態で、救済するか破壊するかしかないと思っている。
退廃:この世に絶対的なものはないと皮肉っぽく考える。彼らが蔑むのは何かを信じる人。彼らには戦う価値のあるものなどない。
文明は文化の最も稀な状態。
文明人は頭の中で矛盾する二つの思想のバランスをとることができる。真実は確かに存在し、自分たちの文化がその真実に近いと信じている。だが同時に自分たちが誤っている可能性を留保している。確信と懐疑の組み合わせは本質的に不安定である。
文化は未開状態から文明状態を経たのち懐疑によって自己革新が揺らぐと退廃状態に陥る。文明人は相手を選ぶが効果的に戦う。
ヨーロッパはすでに退廃に入っておりアメリカは未だ未開。あらゆる未開文化がそうであるようにアメリカ人は自分たちだけに通用する道理のために戦う。
(発展経路は果たして一つだろうか)
アメリカの戦略目標および基本戦略は恐怖心。ローマ帝国も世界制覇を目指していたわけではなく、国の防衛を目指してその目標に取り組むうちに帝国になった。
恐怖心は和らぐたびに別の弱さと別の恐怖を生み出す。国家は持っているものを失う恐怖によって突き動かされる。恐怖という観点。
現在の国際システムはひどくバランスを崩した状態...アメリカが元来強力になりすぎたため、それ以外の諸国がアメリカの行動を制することができなくなった。国際システムは自ずと均衡に向かう傾向にある。バランスが失われた世界では絶対的な力を持つ大国の脅威にさらされた弱小国が、大国の力に対抗するため同盟を形成することが多い。アメリカがベトナムで敗北後に中国と手を組んだのも当時強力になりすぎていたソ連を制御するため。
だが現在は強力になりすぎたアメリカに対して反米同盟を組織することは難しい。アメリカと折り合いをつける方がずっと楽だ。(巨大アトラクタ的だ!)反米同盟は失敗すればアメリカの容赦ない行動にさらされるだろう。
矛盾:アメリカは一方で深い恨みを買い、恐れられてもいる。しかしその一方でここの国はアメリカとうまく付き合っていく方法を模索している。
この不均衡とアメリカを封じ込めようとする取り組みとが21世紀の世界のトレンド。アメリカ以外の国にとって危険な世紀。
地政学、誤りの許容範囲と呼ばれる重要指標。それぞれの国に誤りを犯す余地がどれほどあるか占う指標。国が直面する危機の種類、国がもつ近いの大きさ。
誤りの許容範囲が非常に小さい国-些細な失策が命取りになるという認識から外交政策の事細かな点までこだわる傾向にある。(イスラエル、パレスチナ)これに対して小国だが周りを敵に囲まれていないアイスランドには誤りを犯す余地がかなりある。アメリカも。
アメリカは世界に対して不用意に力を行使することが多い。愚かだからではなく、注意を払う必要がないから。注意を払っていると効率を落とす。無謀が許されるアメリカはときに他国に苦痛や破壊的被害をもたらす。それでも前進し、繁栄を続ける。
アメリカは常に過剰反応する。ある瞬間とてつもなく壊滅的に思われたことをバネに、果敢に問題を解決する。一般に新興国は過剰反応する。成熟した大国はうまくバランスをとることができる。衰退に向かう大国は一度失ったバランスを回復できない。
アメリカにとってはどの一つの関与も決定的に重要ではないが過剰反応する。だが相手国にとっては国を一変させるほどの力をもつ一大事。相手国はアメリカの行動の前に無気力を感じ、その無気力はどんな状況にあっても怒りをもたらす。怒りの矛先が向かう国、つまりアメリカが無敵でありしかも無関心であることがなおさら怒りを駆り立てる。
21世紀は自らの行動が招く結果に無頓着なアメリカと、そのアメリカに抵抗して怒りを向けるその諸国という構図。
アメリカの対テロ対策が終局に向かうにつれて、イスラム国家そのものがイスラム過激派に対する防御の最前線に。イスラム国家はアルカイダの究極のターゲット。アルカイダがイスラム教や西洋に対してどのような考え方を持っていようともイスラム国家はアルカイダに政治権力を引き渡すつもりは毛頭ない。むしろ国をあげて、つまり諜報、安全保障、軍事面での能力を結集して、アルカイダを潰しにかかるだろう。
アルカイダが破れさえすればアメリカは勝つ。イスラム世界が混迷して結束できなくなればアメリカは戦略目標を達成したことになる。
イスラム世界はかつてないほど分裂しておりそのことがこの時代に終止符をうつ。
トルコはイスラム世界における大国、再び対等しつつある。トルコの台頭はソ連崩壊による混乱ではなく、新しい力学の所産。怒りは歴史をつくらない。歴史を作るのは力。力は怒りによって強められることはあるが、地理、人口動態、科学技術、文化といったより根本に関わる現実的条件を拠り所とする。こうした条件の一つがアメリカの力を規定すると同時にアメリカの力が21世紀を規定する。
まとめ:20年前のソ連崩壊で冷戦時代は動きを抑えられていたイスラム地域が急激に不安定になった。アメリカの基本戦略(イスラム世界を混乱に陥れ、アメリカへの敵意を生み出す)