今まで様々なヒロインに
精一杯の優しさや守ってやりたいという熱情を
傾けてきた是光くん。
ここに来てそれが、案外と残酷なのではなかったかと
気付かされます。
きっかけは以前からあった悪質な誹謗中傷のメールが
エスカレートしてきたこと。
夕顔=夕雨ちゃんが帰国し初恋が再燃するのを
感じる是光くんですが、
前の巻で葵ちゃんと帆夏にも告白されていて、
ただ優しいとか守りたいでは済まなくなってきます。
メールの内容に従って、すべてのヒロインに何らかの
具体的な被害が出てくる中
それぞれのヒロインたちは是光くんをめぐって
争い始めて、一見騒然とした感じ。
今まで個々の事件を解決するときの彼の優しさは、
どの女の子もある意味都合よく身を引いたり
自分の中だけで恋心を収めてくれていたから、
男として「守ってやる」と言って、
その時限りの擬似恋愛をして
話にケリがついてきたのだということが
露呈してきます。
もちろんこんなきついことは、
是光くんは考えていませんけれども…。
実際には、友達として守れる範囲と
彼女たちが欲する、本当の愛情から湧き上がる
「護りたい」
という行動は、全く違う深さの
ものだということを
是光くんは知ることになるのです。
真剣に相手を思っての行動は確かに真摯。
だけれど、女の子としての魅力に惹かれながら
その場限りの恋を無意識に紡いでも、
その後にはどうにもならない寂しさや恋しさを残す、
時に残酷なこと…だと思うのです。
救いのあと、が本当に大事なのですものね。
他方、ヒロインたちの清純な愛の対極にある女。
六条。
いろんな妄執の凝ったような、
どす黒い女の闇を纏った人物の正体が
明かされますが…。
夕雨ちゃんへの…というより…
性的な女という存在への、
この人物の憎しみの激烈さは…怖かったです。
ゆがんで壊れてしまった人の狂気を、
是光くんは友情で救おうとしますが、
おそらくあれは無理かな…。
愛されない人間ってああもダメになるものかしら。
そしてまさかの黒幕の存在が出てきていますね。
これは次の巻で全て明かされるでしょう。
ヒカルくんもただふわふわしてはいられません。
このお話を恋物語としてじゃなく友情の物語と見た時
ヒカルくんと是光くん・葵ちゃんと朝ちゃん・
月夜子さんと是光くん、
などの友情は見ててすごく気持ちがいいです。
これが、是光くん・帆夏・みちるになってくると
それこそ女の計算みたいなのも混じって
あまり好きじゃないの。
あのもたれあう感じがどうにも嫌いで…。
当人たちはそんなことないんでしょうね。うん。
個人的にはしーこちゃんが
ビシっとあんたは圏外って
言われてすっきりしました。
あの子が私は大人だの女にしろだの言ってるの
マジでうざかったので…。
それにしても原作の六条御息所は、もっと素敵で
悲しい女性です。確かに重くウザく、女ですが
源氏との訣別の場面は、せつなく美しいので
ぜひその魅力も知っていただきたいですね。