柳内たくみのレビュー一覧
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ついに日本と帝国の講和条約が
なんだか、門がどうとか騒ぎになっているけれど、この門が今の時間の東京と特地をつなげているけれど、それはとても不安定なもので、いったん閉じてしまうと、ふたたびつなぎ直しても同じ時間軸にはつなげない。となると、どうなっちゃうんだろうね。ちょっとだけなら同じメンバで話しは進むけど時代が変わりすぎると歴史的な話しになるのかな。いやはや壮大な物語だ。
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Posted by ブクログ
ネタバレ「ゲート」シリーズの著者、柳内たくみ氏の著作。ゲートよりも短いので終わりのほうでは読み終えてしまうのが寂しくなるほどであった。それだけ登場人物たちに感情移入していたということ。終わり方もさわやかで、感動もし、笑えて読み終えた。もっと読んでいたかったと思える小説。
内容は第二次大戦直前の、フィンランドとソビエトの「冬戦争」。結果的にフィンランドが負けたのだが、ソビエトに一矢報いて併合することを許さなかった戦い。政治的な内容はほとんどないが、一部終わりのほうで説明があって歴史的な背景を知ることができる。これが日本だったら「さっさと降参していれば戦争の悲劇は防げた」などとマスコミが騒ぎそうな戦い。 -
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無知の知
一部ご紹介します。
・人間は、簡単に物事を知っているとも理解しているとも口にしてはいけない。
どれほどの書物を読み解いても、どれほどの先達から教えを受けても、それですべてを知ったとは言えないからだ。
だから何も知らない者であるという礼儀態度を忘れず、他人の話に耳を傾けるべきである。
そこに何か新しい発見があるかもしれないからだ。
さらに、相手が何を教えてくれるか、物事のどういった側面を強調して語るか、それで相手が信頼できる人物かを測ることができる。
自分にとって都合のいいことしか言わないようない相手ならば、相応に対応するしかない。
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自助論
一部ご紹介します。
・能力に欠けた人間を、相応しくない地位に置くような国家、組織、家は確実に衰退する。それが現実だ。
・環境が違えば、同じだけ努力しても得られる結果は異なる。代々繰り返されることで格差はできていくかもしれない。
けれど、どんなに優秀な教師がついていても、当人にやる気がなければ何も身に付かない。学問や技術に王道はない。これは真理である。
・夢物語のような理想を説いたところで、靡いてくるのは精神の幼い者か、現実がよく見えていない夢想家だけだ。
・共産主義を始めとするグローバリズムの由来は一神教だ。すべては唯一神から恵まれるものとされる教えだ。
それ故、悦びも幸せも神から -
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経済の乗数効果
一部ご紹介します。
・金銭というものは、川のように流れていることが望ましい。
使わずに、その流れを堰き止めてしまうことは罪なのである。
金は使ってこそ生きる。
富豪がメイドを雇えば、メイドとその家族が暮らせる。
豪華な食事を楽しめば、腕の良い料理人とその家族が生きていける。
良質な食材が必要となれば、それに応える力を持つ農家や漁師の暮らし向きが良くなる。
つまり、満ち足りし者が、豪奢な生活をするのは義務なのだ。
そうしなければ失業者が溢れ、社会に歪みを生んでしまう。
実力の範囲でなされる限り、贅沢は大いに奨励されるべきだ。
円滑な金の循環こそが、多くの人間を幸せにし、多くの -
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休暇取得の重要さ
一部ご紹介します。
・人間というものは、目に見えない格差はあまり気にしない。
目に見える、自分視点の格差にこそ不快感を抱く。
例えば、主婦が、自分が忙しく食事の後片付けを頑張っているというのに、その目の前で夫がのんべんだらりと、横になってテレビなんかを見ていれば、夫が昼間忙しく働いて疲れていると分かっていても、腹を立ててしまうものである。
従って、仕事がないのなら休暇を取り、暇そうにしている姿を皆に見せないように過ごすべきだ。
そして戻ってきたら、リフレッシュしたことを示すべく全力で働く。
それこそが大人の休みの取り方で、働き方なのだ。
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人間の在り方
一部ご紹介します。
・長い歴史のある民族、国家というものは、選民意識、自民族優位論(国家的、民族的な中二病期)にとらわれた時期をもつものだ。
成熟した社会を作り上げるためには、そういう恥ずかしい時期を乗り越える必要があるのだ。
無論、成熟した社会といっても、それは理想郷ではない。
色々な問題を抱えつつも、相対的に何とかやっていける程度のものだ。
とはいえ、理想を追い掛けるあまり、極端に走ってしまうと、多くの人間が不幸になるのが現実である。
『中二病』が見果てぬ夢であることを理解することで、民族も国家もようやく成熟していけるのである。
・人間の在り方として健全なのは、自分の欠点に気 -
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社会的な地位
一部ご紹介します。
・人間は社会的な地位よりも、中身の方が大切だと言われる。
だが、権力や地位も、所有者の一部というのが現実である。
・人間は誰しもが指摘されることを恐れる、劣等感というものを胸中に秘しているものだ。
そして国家というものが、人間の手で運営されている以上は、人間が自分の中に抱えている心の闇は、そのまま国家の弱みになる。
それ故、為政者は、決して自らの闇を他人に気取られてはならないのである。
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状況の改善
一部ご紹介します。
・自分のおかれた苦しい境遇を他人のせいにして非難したところで、今、状況の改善には役立たない。
自分を支配する者は自分でしかなく、今の自分を創ってきたのは過去の自分。
明日の自分をマシにしようと願うなら、今の自分を行動させるしかない。
・人生は息抜きの合間にやるもの。楽しんだ者の勝ち。気負った方が損をする。気に病むだけ無駄。
・中途半端な平和主義こそが、悲劇の原因となることは少なくない。 -
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愛すること
一部ご紹介します。
・誰かを好きになるのに理由など必要ない。
なぜなら、理由のある想いは、その理由が失せれば、消えてしまうものだから。
強さも美しさも、時とともに色褪せ、知性ですら老いとともに冴えを失ってしまうから。
そうした理由で人を好きになると、必ず幻滅の思いを抱くようになってしまう。
幼いころは誰でも好きという気持ちに、素直に従うことができる。余計なことを考えないからだ。
けれども、それは長じると共に失われてしまう。
本当に大切なことは、相手の魂を見て、何を感じるかなのに、それが分からなくなる。
誰かを好きになるということは、それ自体、奇跡といってもいい。 -
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社会福祉とパターナリズム
一部ご紹介します。
・幸せとは、本来決まった形はなく、それぞれに異なるものだ。そのすべてを同時に満たすような制度や方法は存在しない。
だからこそ、人間はそれぞれが他人の権利を害しないやり方で、自分を満たすように努力するしかないのだ。
それぞれが自己の幸せを追求できる自由を尊び、そのための環境や制度を整える作業を『社会福祉』と呼ぶ。
制度で幸福を実現しようとすると、『幸せとはこういう事である』と決めつけ、人々を無理やりその型に押し込めることになる。
それが魂に対する冒涜でなくして何であるというのか。
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生きるが故の宿業
一部ご紹介します。
・歴史を振り返れば、生き残るのは正しい者ではなく、戦う意思のある者だけだった。
犠牲と罪に手を汚すことを恐れ、戦うことを厭う者は、永遠に奪われ隷従を強いられる。
口を開け、誰かがえさを運んできてくれるのを待つだけの者には、滅びの運命しか残されてはいない。
・敵や味方の血を流すことを恐れる者は、自分の身すら守れはしない。
・誰かが危険に身をさらすことで得られている安全の恩恵に浴している限り、直接手を下していなくても、その手は誰かが流した血によって穢れている。どうあっても、この手は汚れ続け、その汚濁は厚みを増していく。
反省も後悔も、禊には決してならない。
これは -
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現実と理屈
一部ご紹介します。
・常に現実があり、理屈は後からついてくる。
現実を唯一最終的に動かすことができるのは、暴力である。
そして強大な暴力を前に、口先だけの平和は、全く無力となる。 -
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行き過ぎた清潔主義
一部ご紹介します。
・自分に理解できない、合わない、気に入らない、あるいは誰かの権利が害されるなどの理由で、ある種の文化や芸術、表現方法を廃絶する姿勢は、結局差別に行き着く。
『健全』『人間性』といった名目で、文化を健全と退廃に分別することを大義名分にしたとしても、
その一方を抑圧し廃絶することは、線引きの区分が必ず問題となる。
今日、中間で線を引いたつもりでも、一方が廃絶された明日には、それが端になる。
やがて人の魂を抑圧する考えに行き着く。
行き過ぎた清潔主義は必ず極端化して、害悪に転じてしまう。