馳星周のレビュー一覧
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シリーズ三作目完結。
90年代の歌舞伎町の裏社会を舞台にした不夜城シリーズの完結編。
歌舞伎町の闇を治めていた台湾人から、日本人と台湾人の半々へ王位は譲られ、いや、奪われる。
そして、本作で登場する主人公は中国残留孤児二世。
死することが唯一の救い。
シリーズ全てを通して見え隠れするテーマ「救済」
今際の際で懇願する、神や仏への祈りも何も救いにはならない。万人に共通する救いは死ぬことのみだと。
昭和から平成にかけた歌舞伎町の中国人闇社会。
歴史を紐解けば、戦前のある掟から現在に繋がる。
闇の底辺で生きるものの声がリアルさを感じさせる。
シリーズ終わってしまったか。
続けよう -
Posted by ブクログ
おもしろい
不正な官邸にひと泡吹かせてくれて気持ちいい
安倍総理と菅官房長官の時期に書かれた
官邸がらみの内密な殺しの事件簿だ
森友・加計問題を想像させる国会での追及で周辺のキーマンが何人か死んでいる
死因は様々だ
それまでも官邸に都合の悪い者は、総理と官房長官の時期にはすでに何人もいなくなっている
公安で アンタッチャブル ( 誰にも指図されない特別な存在 )を自称する男の部下に捜査一課から転属になった男が目にするのは、驚くことばかり
とにかくこの公安の上司のキャラクターがおもしろい
公安の凄腕で、その父は元外交官のキャリア官僚、田園調布の豪邸に住む、体はデカいのに父をパパと呼び警視総 -
Posted by ブクログ
敦史は冬の北海道の別荘地で、絶世の美少女・有紀と出会う。
有紀には知的なハンディがあるが、敦史と有紀はほどなくして惹かれ合っていく。
しかし、二人が出会う前にそれぞれが送ってきた人生
あまりにも辛く悲しく、二人で生きていく為には逃亡と転落以外の手段しかなくー。
恋愛小説にカテゴライズされるのでしょうか。イマイチ、趣旨が分かりませんでした。
敦史と有紀の境遇や過去が分かってきてからは早く先が読みたいと思い、一気に読むスピードが上がりましたが、読み終えてみるとやや物足りない感じ。
また、風景描写が個人的にはややクドく感じられました。
純粋に人を愛する姿が描かれていますが、それは単に美しい -
Posted by ブクログ
事実は小説より奇なり…かな、と思いながら読み進めました。平成の暗黒史である、オウム事件。ぼくらが“体験した”その恐ろしさ、マスコミの扇動、そして、彼らを“人間”として語ることがタブーだった時代の空気。水面に浮かぶ、そんな表層的な事実の根っこにストーリーを加え、関係する人々の心情を抉り取ろうとした快作だと思う。ノアール小説の巨匠だからこそ、そしてそう言われるからこそ、あの事件の加害者たちの心情をつかもうとするのは、使命にも似たものだったのかもしれない。当事者たちは死刑になり、僕らはあの事件から何も学べなかった。だからこそ、こんな“フィクション”は大きな意味を持っている。
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Posted by ブクログ
長野県警(サツカン)、ハム~北朝鮮、大学時代の山岳仲間、K2遭難死亡の友・・そして北アルプス白馬と来るんだもの、馳さんの手にかかる調理の最高潮は確定的。
作品の3割ほど、かつての盟友若林との回想と幻影に割かれていた。
特のラストの死の影がちらつく日本海へ向けての歩きのシーンはくど過ぎる感有り・・まぁ、限界を超えて100キロの荷物を背負って死の歩みをするには常人を超えないとならないからやむを得ないかな。
同性から見ても素人レベルを超えた若い女性が若林の妹‥で、出来すぎた臭さが有った・・が設定の素材には美味しかったのかも。
10年前、雪倉から親知らずまで歩いた・・4人の仲間と・・2人はバテバテ -
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あらすじ
中国人マフィア同士の大抗争から2年が経過した。歌舞伎町の裏社会は香港マフィアの襲撃の痛手から立ち直った崔虎を中心にした北京マフィアと、トップ二人を同時に失いながらもNo.3の朱宏を中心にまとまった上海マフィアが縄張りを分け合う危ういバランスを保っていた。そんな中、崔虎のもっとも信頼する部下である「四大天王」の一人、張 道明が兇手(殺し屋)の襲撃を受け部下もろとも殺害される。北京マフィアのボスである崔虎は張のアジトは「四大天王」以外には知りえないとして、裏切り者の洗い出しと下手人の捜索を元悪徳警官で現在は崔虎の使い走りをしている滝沢に命じた。滝沢はジャーナリストの遠沢に張り込みと盗聴を