馳星周のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
舞台は福井県敦賀市。
原電で働く一人の男の物語。
中年の現在から、少年期、青年期、そして中年へ。
若かりし頃、何者かになると信じていたわけでもなく、何者かになることが当たり前だと思っていた。しかし、何者にもなれなかったと思ってしまった中年の回想。
地方都市で生まれ、生きるものの心持ち。
高校時代の友人を事故で失う。残された友人の妻と逢瀬を重ねる。友人の妻が自分のせいで自殺する。
浮気が露呈し、自分の妻に離婚を迫られる。
そして、離婚を迫られ、家を追い出された矢先に、かつての彼女と関係を持つ。
その彼女はかつて、今の妻と付き合うためにふった女であった。
ここだけを切り取るとどうしようもないクズではあるのだが...
馳星周作品はノワールもののイメージが強いが、銃も刃物もヤクザも薬も登場しない実に静謐な一作でした。
10代の頃にこれを読んでも、この哀愁たちこめる良さは理解出来なかっただろう。
人生の苦味を感じました。
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Posted by ブクログ
私の好きな奈良時代、それも初期、藤原四子が主役とあって非常に期待して手にした作品。
感想としては期待未満。ストーリーのテンポは良いが、その分事件の掘り下げが低いように感じる。コロコロと視点が変わる(だいたい10p以内)ため、感情移入がしづらいように感じた。
それでもキャラ付けは分かりやすく、武智麻呂派か、房前派かで議論も白熱しそうな構造。私は房前の自分本位な性格に嫌悪を覚える。確かに武智麻呂は家を守ることしか考えておらず政を疎かにしているかもしれない。ただそれでも時勢を読み柔軟に策を練る努力をしている武智麻呂に好感を覚え、綺麗事だけを突き詰める房前は夢想家で、厳しい目を向けたくなる。武智麻呂派の中では麻呂が良い。何より家族を守ることを信念に持つ麻呂はこの時代において愛すべき人物だと思う。
この後の葛城王(橘諸兄)や仲麻呂の時代を知るからこそ、興味深く読めて、歴史物の良さは十分に体感できた。