あらすじ
沖縄返還直前、タカ派御用達の英字新聞記者・伊波尚友は、CIAと見られる二人の米国人から反戦運動家たちへのスパイ活動を迫られる。グリーンカードの発給を条件に承諾した彼は、地元コザへと戻るが――。
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Posted by ブクログ
不夜城・鎮魂歌以来の傑作。痛くてヒリヒリと焦燥感をあぶる1969年、返還前の沖縄を舞台に、いつもの馳星周の世界が展開される。
「いつもの馳星周の世界」ではあるんだけど、沖縄の中の差別や戦果アギャーなどの裏面史を背景に彩ることで重層的な世界が広がって、重厚感に昇華されている。
この本を読む前に佐野真一の「誰も書かなかった沖縄」を読んでおくと面白さが増す、というか読んでないと背景世界に浸れないかも。
Posted by ブクログ
変換前の沖縄を舞台に常に外部に支配され続けた琉球人、本土から来た似非革命家、ベトナム戦争の影響でどんどん荒んでいく米軍などの様子を描いた作品。
北海道出身の馳氏が何故このような作品を書いたのか知りませんが、とにかく気合いが充満した内容です。
主人公の尚友は危険なぐらい壊れていて、それに自覚があるものの一方では自分は上手く立ち回っていると思っているところが危うくて仕方がない。最後に勘違いしていたことに気付いて絶望の中で悲惨な結末を迎えそうで心配です。
Posted by ブクログ
なんだか分からないけれど読み進めてしまう、
今回も馳星周らしさを出した破滅的な作品。
沖縄というタブーなエリアに踏み込みつつも、
遠慮することなく破滅的な道を突き進む内容は、単純に凄いと思います。
沖縄人を(勝手な?)定義付けしちゃったりとかw
もう少し削れるでしょ?とか色々と感じることはあるけれど、
同時に作者の沖縄への迸る想いもひしひしと感じました。
パワーは凄かったです。さすが。