【感想・ネタバレ】北辰の門のレビュー

あらすじ

疫病に荒れた世を建て直す救国の英雄か、
古代社会を破壊する稀代の逆賊か。
謎多き人物の実像に、直木賞作家の筆が迫る。

時は天平。都には天然痘が蔓延し、朝廷にて我が世の春を謳歌していた藤原一族も権勢に陰りを見せていた。その中において、ひとり異彩を放つ男がいた。藤原仲麻呂(恵美押勝)。祖父・不比等や父・武智麻呂の血を色濃く受け継いだこの男は、叔母の光明皇后や次代の天皇である阿倍内親王の寵愛を受け、急激に頭角を現していく。だが仲麻呂は、祖父や父も持ちえなかった、危険な野望を胸に宿していた。北辰の門――この国の皇帝となる道を開こうとした男の、鮮烈なる一生。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

藤原不比等の「比ぶ者なき、」その息子たち4兄弟と長屋王の「四神の旗」からの奈良時代史第三弾!
久々の作品も、何ともノワール感たっぷりで馳星周の世界に浸かることが出来た。満足です。
そういえば、
恵美押勝の乱って教科書に載ってましたっけ?
女帝の孝謙天皇と道鏡の恋物語も必見。

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2024年02月19日

Posted by ブクログ

平安時代に最盛期を迎える藤原一族。彼らの成り上がりを描くシリーズ3作目の主人公は藤原仲麻呂。祖父・不比等譲りの才覚、他人を敵と味方にはっきりと区分する非情さ。徹底した合理主義を持ち、天皇も凌ぐ絶対的な権力を追い求める。

一方、仲麻呂と対照的に描かれるのが阿倍内親王。権力よりも、女としての平穏な人生を夢見る。が、母親の光明皇后と仲麻呂の重圧が彼女を苦しめる。人生をあきらめていた彼女だが、母の死と僧・道鏡との出会いをきっかけに自立し、仲麻呂に正面から立ち向かう存在へと成長する。

最高権力者になったはずの藤原仲麻呂だが、その没落も早く、その最期は実にあっけなく、あっという間だった。結局は人情のなさが招いた自業自得なのだが、当の本人はそれをわからず。今も昔も人間関係は大事なのだ。

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2025年11月06日

Posted by ブクログ

藤原三部作これにて終了!
今作は藤原武智麻呂の息子仲麻呂が主役。
権力の権化というべきか、天皇をも自分の持ち駒の一つとしてしか考えず皇帝を目指す様に著者お得意の暗黒小説のテイストを垣間見た。
中盤で道鏡が出てきた時にはジャブローでシャアが登場するシーンが蘇り、「奴だ。奴が来たんだ」と思わず口走ってしまったよ。
でも間違いなくシャアではない!むしろラスプーチンに近いかな。
まぁ道鏡は仲麻呂にとって邪魔な存在だったというのは間違いないのだろうけど、吉備真備の復活が致命的だったかな。海よりも深い智と思慮を持つものは強い。
最終盤に仲麻呂が天皇と皇室を滅ぼし唯一無二の存在になるべきだったという考えに至った時には少しゾッとした。
そして不比等に帰る。良い締め方だったように思う。

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2024年09月04日

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盛者必衰、驕れるもの久しからずや。
そんな言葉が浮かぶ藤原仲麻呂の物語。
内裏の権力闘争を仲麻呂、阿部内親王の視点で描くが、仲麻呂の跳梁と没落の対比がリアルに面白い。
結局は身内同士の、血の争いでしかない貴族社会を辛辣に描いた歴史小説。

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2024年03月27日

Posted by ブクログ

藤原仲麻呂が人事を操り、天皇すらコントロールする。しかし、孝謙天皇の所に道鏡と吉備真備が来ると

日本史リアル劇画化小説。面白かった。まさに劇画

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2024年03月04日

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日本の天皇は万世一系となっている。続日本書紀にある話なのだろう藤原家も名門の家でこの頃の時代活躍していた話だ。藤原仲麻呂一代の生涯をこの一冊にまとめている。なかなか読み応えのある一冊だった。人の出世欲や権力欲は果てしなくあるものなんだな。

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2024年02月14日

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藤原不比等に始まった藤原家も3代目、いよいよ仲麻呂の物語。歴史をなぞるように、物語は淡々と進む。
「仲麻呂の乱」はどのように起こったのか、孝謙天皇(称徳天皇)と道鏡との関係は・・・。
阿倍内親王が孤独のうちに天皇となり、道鏡との共謀関係によって次第に力を発揮していく物語は読み応えがある。
歴史の教科書もこんなに面白く書かれていれば、もっと頭に入ったかもしれない。
これで藤原家は房前の子孫北家と、宇合の子孫式家が残り、その後の平安時代の歴史を作っていく。
このシリーズはそこまで続くのだろうか。

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2024年01月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

奈良時代の藤原仲麻呂を描く歴史小説。

「比ぶ者なき」「四神の旗」の続編。
前半は橘氏と、後半は上皇&吉備真備との抗争が描かれていて、相応でない野望を持ってしまった悲劇となっていました。
ただ、藤原三代で没落したところで終わっては後の藤原一強時代につながらないので、もうちょっと続編を書いてほしいです

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2024年05月12日

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藤原仲麻呂が主人公。その栄華と1週間ほどで没落する様子は確かに小説の題材に相応しい。歴史から学ぶことは多いと思う。国を納める人間が国のためではなく自分のために行動するとどこかに綻びが生じるわけだ。
今の日本は個人ではないが組織を守るための政治になっていないか?考えさせられる。これ、組織(会社など)でも同じだな。

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2024年05月07日

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かつて、黒岩重吾氏がライフワーク?とした時代。氏の作品は好みだったが,白鳳飛鳥天平の絵巻物は好きでなかった。
古代は文献があるとはいえ、正史の時代。勝者が綴るフィクションは、読みこなす知力もないし、その陰にあった事を推し量る文筆力ってどんなものなんだろうと思ったこともあって、手が伸びなかった。

氏の世界は劇画チック。キングダムとはいかずとも。。

山歩きの帰りよく通る藤原京跡、近江の山の際、立ち寄って散策した紫香楽京、そして無論平城京などの史跡軍は大いにファンタジーをそそる。
その陰にあった、どろどろした感情は楽しめた。孝謙天皇と道鏡の下りは目に浮かべてしまう。

吉備真備が遣唐使の務めから帰国する時ともに苦労を分かった阿倍仲麻呂。
恥ずかしながら彼と作品の仲麻呂をとっちがえていた。
当時の70余とあれば、もはや仙人の域。流石、当で学んできた国造りの才が最後に光ったというわけか。

もっとも日本で定めた万世一系がいいかどうか、藤原氏がその後、権勢をふるってわが世の極みとうたった時間があった事を思うと・・何がいいか悪いか・・士農工商が愚策としても庶民は常にもがな渚後ぐ海人の小舟に載ったわらの民だね・・と思った。

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2024年04月21日

Posted by ブクログ

「比ぶ者なき」「四神の旗」に続くシリーズ三作。主人公は奈良時代、天平の世に生きた藤原仲麻呂(恵美押勝)。祖父の藤原不比等の才を受け継いで頭角を現し栄華を極めるが最後はあっけなかった。敗因は情を軽んじながらもそれを徹底できなかった脇の甘さか吉備真備の叡智か。

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2024年02月25日

Posted by ブクログ

ずいぶんストレートなお話だった。
あまりにもやりすぎた藤原仲麻呂がとてもわかりやすい悪役。
道鏡、意外といい奴ではないですか。
吉備真備かっこ良い。

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2024年02月17日

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