津村記久子のレビュー一覧

  • つまらない住宅地のすべての家

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    面白かったー。この手の小説は引力が弱いと、すぐ読むのを放棄したくなっちゃうから。
    結局は、津村さんの視線が良いのだと思う。神様目線で、誰のことも裁かない。それぞれに言い分があるよね、というスタンスである。

    構成的には、少しだけ作り込みすぎかな、という気もした。路地を囲む家のどこかに一軒くらい、のんきな、健やかな家庭があっても良かった。ま、タイトルが「すべての家」だもんね……。

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    2025年01月02日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    読んでばっかりよりは書いたほうがいいし、書いてばっかりよりは読んだほうがいいです。読んでばっかりだと、単なる読書家になってしまうというのはおわかりだと思いますが、(でも読書家でいるのは本当にすばらしいことですよ)、書いてばっかりでも、自分の慣れた文章の書き方、ものの考え方、内容の展開のさせ方にこり固まってしまって、あまり良くないように思います。
     また、書いてばかりで他の人の文章を読まないと、自分だけがものすごくいいことを言っていて、自分だけが上手だという気分になりやすいという罠があるようにも思います。そのぐらい、文章を書くということは、書いてくれる人に対して優しい、誰にでも開かれた趣味だと私は考えています。
    (P.91)

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    2024年12月20日
  • サキの忘れ物(新潮文庫)

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    津村記久子さん初見。短編集。
    恥ずかしながらこれまで存じ上げず、世界観も作風も何もわからないのであくまでこの本だけの感想をと思いましたが
    うーん…言語化しにくいです…
    わざと誇張されているわけではないはずなのに、人間社会で拭いきれないグロテスク、狡さ、隠した本音(秘密)、憶測による歪曲、自己中心性、流されやすさ…不意にザラリとしたところに触れて、驚きと嫌な気分が少しずつ少しずつ混ざるような もやもやした感覚が、読んでいる間ずっと傍にいた感じがします。文庫うしろの紹介文やカバー絵が爽やかなだけに「あれ?」と言う気持ちで頁をめくっていました。
    そんな作品群のなかで、人との出逢いによって何かに気づき、自分の足で立とうとする「サキの忘れ物」「隣のビル」が好きだったかな。偶然居合わせた人からのひとことで心が軽くなったり、急に腑に落ちたりした自分の経験をなぞっているのかもしれない。

    ところでゲームブック形式のもの、ものすごく久しぶりに触れました。そうそう、楽しかったなこういうの。指を挟みながらページを行き来するこれはアナログの醍醐味かもしれません。

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    2024年12月11日
  • サキの忘れ物(新潮文庫)

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    サキの忘れ物、隣のビルが特に良かったです。
    私もサキの短編集読んでみたくなりました。
    行列のあれは結局なんだったんだろうか、、、笑
    どれも一癖?ある不思議な作品でした。

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    2024年11月14日
  • とにかくうちに帰ります

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    こういう人いるいる〜!
    と共感しながら読みました。
    なんといってもこのタイトルが好き。
    仕事行くととにかく帰りたくなる。笑

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    2024年10月19日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    作文なる学生時代の苦難を、気軽に吹き飛ばしてくれる一冊。
    そっか、もっと気楽なものでいいんだー!
    書くと同時に読むことも大事、とはこれまた納得。

    津村さんの、うまい具合に肩の力が抜けた柔らかい文体が好きなので、ここに真髄をみた気がしました。

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    2024年10月13日
  • 子どもお悩み相談会 作家7人の迷回答

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    小説家や歌人などによる子どものお悩み相談会。
    子どものお悩みというのが、子供側の事情を詳しく書いたものではなく「謙虚になるにはどうしたらいいですか?」「遅刻グセがなおりません」といった一行のみ。
    だから、お悩みに対するアドバイスというより、それをテーマにしたエッセイのようなものだった。参考になるかどうかは、微妙だった笑。
    作家さんたちの多くは、自分の経験について語っているのが、大人として読む側はおもしろかったな。
    子どもと大人、どっちが読めば共感できたり面白く感じたりするんだろう。

    一番最初に「夏休みの宿題ぎりぎり派はだめ?」というテーマについての角田光代さんの回答で、小学生の時絵が好きで美術部に入っていたが、夏休みの絵画の宿題ができずぎりぎりになってくまのぬいぐるみ(茶色)を書いたら絵が黒と茶色になってしまい、教師から「きったねー絵だな」と言われ、それから絵を描いていないという話が心に刺さった。
    私の小学生の時も、美術の男性教師がとても個性的な人で、児童の絵について笑いながらバカにしてた。それも他の児童に同意を求めるように言うから同級生からもからかわれるんだ。私もやられて、恥ずかしくて鉛筆で必死に絵を消して描き直したっけな。・・・まさか同じ教師じゃないよね?
    私は大人だから、大人の一言がが子どもにどんな影響を与えるのかということについて、自分の苦い思い出とともに、痛感した。
    あと、津村記久子さんの同級生が、教師になったから自分の学生時代のことがよくわかるようになったというのも、なるほど。そうだよね。教師は、自分の学生時代のことを思い出して「あのときのことって・・・」と答え合わせができることもありそうだ。

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    2024年08月23日
  • この世にたやすい仕事はない

    いろんな仕事、いろんな世界があって、前向きな気持ちになれる話だった。
    どの仕事においても主人公は誠実に自分がやれることをしっかり全うしてて、ある程度はどの環境でも順応できるシゴデキの人なんだろう。

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    2024年08月10日
  • うどん陣営の受難

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    そもそも何の会社なのか分からないし、なんで会社の代表を決めるのに選挙なのかも分からないけど、なんだか無さそうなありそうな世界の中での、ありそうな人間関係を淡々と描いていて、津村記久子先生らしさを感じました

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    2024年08月07日
  • やりたいことは二度寝だけ

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    脱力系エッセイ。
    ひとつひとつの話が短く、読みやすい。
    大きな盛り上がりがあるわけではないが、ちょっとした時間に読むのに向く。
    ユーモラスな思考と表現力は著者ならでは。
    ほっと心が落ち着くような、そんな一冊。

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    2024年06月08日
  • やりたいことは二度寝だけ

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    ネタバレ

    【平和で気楽に読みたいときにぜひ】
    芥川賞受賞されてから出された初のエッセイ。
    大阪のかたとのことで、関西圏が出てきて。
    作品のもとになったショッピングモールや奈良での体験も書かれていて、
    まだ読んでいないのでまた読みたいと思う。そんな津村さんを引っ張っているYちゃんの存在も少し気になった。
    どっちでもないことばかり考えている人がいる、ということが伝われば、というノリで、

    気楽さがなにより。二度寝についてはほぼ書かれていません。

    予感への楽しみ。いいよね。

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    2024年05月21日
  • うどん陣営の受難

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    社内の中心派閥を決める、四年に一度の選挙。

    既に決選投票から外れた緑陣営にいる主人公の元に、あの手この手で、票を得ようとする藍色、黄色陣営。

    なんとも不思議な小説なのだけど、人の弱みにつけ込んで、政治に利用せんとする者を、寓話的な形で読むから、まだ気楽なのかもしれない。

    しかして、どちらにせよ、旧体制の人たちの多い緑陣営が勝たないことには、主人公たちの安寧の未来はない、、、って、もはやそれは仕事の範疇?

    会社の人間関係ほど、面倒なものはない。
    一緒にうどんすするくらいがちょーどいい、のかも。

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    2024年05月12日
  • うどん陣営の受難

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    とある会社の代表選挙をめぐる短編。
    落選が決まった候補の支持派閥(主人公・小林はここに属する)を翻弄するような出来事の数々にギリギリと締め付けられる…ような気もしつつ、どこかとぼけたような津村さんらしい展開に和みます。

    社食のメニューがよさげなのと、嫌われポジションな下田課長がかわいく見えてくるのがいいです。
    読んでいると、とりあえず、うどんを天ぷらトッピングで食べたくなります。
    あと、U-NEXTから出ている本は初めて読みました。

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    2024年03月24日
  • ウエストウイング

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    津村さんの作品は、これまで楽しく読んできた。
    長編はこれが初めてかもしれない。

    解体が噂される古びた雑居ビル「椿ビル」が舞台。

    そこに入っている会社の事務員ネゴロ。
    給料が安く、嫌みな上司や困った後輩に翻弄される以外は不服もないが、そのぬるさに不安も感じている。

    そこに入っている学習塾に通う小学六年生のヒロシ。
    去年いじめにあったせいで、母は母子家庭で大変なのにヒロシの中学受験を望んでいる。
    ヒロシは絵を描くことに才能があり、勉強には全く身が入らない。
    母親の心配をうっとうしがりながらも、母親の意思を理解し、それに合わせていこうとする大人な面を持っている。

    そして、そこに入っている検査会社に勤める若手サラリーマンのフカボリ。
    社会人生活も数年目で仕事に大きな不満もないかわりに、特段熱意も感じていない。
    一人暮らしの家をシェルターのように感じている一方、ふと一人で暮らしていることに不安を感じたり、結婚についてもやもや考えたりしている。

    こんな三人が、それぞれの持ち場からビルの倉庫の物置に息抜きにやってくる。
    三人は直接顔を合わせることがないまま、そこにあるものを貸し借りしたりして、お互いの存在を知っていく。

    水害が起こったり、そのせいで給水タンクの水が汚染され検疫の対象になったり、取り壊し工事がはじまりそうになったりと、いろいろな事件が起こる。
    そして最後に、三人はお互いの存在と顔が一致する形で出会うことになる。

    …ということなのだが。

    私が津村さんの作品に惹かれるのは、自然なところ。
    プロットや語りの技術で読者をひきずりまわしたり、ドラマチックなできごとが連続するするような派手派手しいことがないことが好きなのだ。

    自分の読む状況がよくなかったせいかな?
    他の本を読む合間に、切れ切れの時間で読んでいったせいで、あまり集中しきれなかったことがあるのかもしれない。
    けれど、豪雨で屋上の貯水タンクが壊れ、雨水が入ったことでビルに菌が蔓延するという件がどうも腑に落ちない。
    タンクの水が飲み水になっていたというならわかるけど。
    雨水で病原菌が蔓延するなら、普段雨が降るたびに病人が出てしまうことになる。

    これまで読んだ作品に比べ、ちょっと自分の波長には合わなかった気がする。

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    2024年03月24日
  • ダメをみがく “女子”の呪いを解く方法

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    ネタバレ

    p196「そうやって、自分が持っているものを見せて、「これを持っていないのはあんたが悪い」って言いたがる人はいます。」

    p242「だから子育てで悩んでる最中の人もいれば、同じ歳なのに介護で悩んでたり今まさに恋愛で悩んでる人とかどんどんどんどん変わってくるものだから、その背景の細部を見ちゃうとイライラしちゃうんだけど(中略)それぞれに学びの段階とか時期が違ってて。その人は今、自分からしたら終わったような問題で悩んでるけど、反対に自分がまだ入り口にも立っていない物事を理解しているかもしれない、とかありますし、あの人はこの年なのにこうで!みたいに、自分の物差しで全部測ったらダメですよね。」

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    2024年02月08日
  • 君は永遠にそいつらより若い

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    あなたがわたしのことをすっかり諦めて忘れてしまっても、わたしはあなたのことを気にしているんだろうということを、どうやってイノギさんに伝えようかと思った。

    なにもない。何もないことがある。
    小説だから何か起こるけれど、あくまで小説だから。
    この作品の世界は、小説でなかったらおそらく何も起こらなかっただろう。
    それでも私はこの世界を体験してみたいと思う。

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    2024年01月17日
  • 君は永遠にそいつらより若い

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    面白かった。主人公の、ひんやりとした自己分析が、「あーわかるわかる、この気持ちは確かに言葉にしたらこんな感じだよね」というのが何度もあり、小説を読む醍醐味だと思った。

    ただ、一方、私の読解力が低いからなのか、最後の結末(タイトルがそのまま出てくるところ)が、少し唐突に感じたというか、それまでとの文脈と上手く自分の中で繋がらなかった。

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    2023年11月27日
  • 苦手から始める作文教室 ──文章が書けたらいいことはある?

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    文章の中でも「作文の書き方」に
    焦点を当てた本。
    テーマの選び方や作文を書く意味、
    書き出しの方法などサラッと書かれている。
    作家の方ならではの視点が面白く小気味よいが、
    中高生向けのようでやや物足りなさを感じた。

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    2023年08月29日
  • 子どもお悩み相談会 作家7人の迷回答

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    作家さんそれぞれの回答にユーモアがあって、楽しく読めました。
    読んだことのない作家さんもいたので、小説も読んでみたいなと思いました。

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    2023年07月28日
  • 婚礼、葬礼、その他

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    ネタバレ

    冷たい十字路
    「ん?…ってことは!?」の構成。
    登場する全部の関係性やその後が明示されるわけではないので、人々の生活の一部を切り取ってきたような印象の中編。

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    2023年06月01日