川野靖子のレビュー一覧
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シリーズ4作目です。
1作目からどんどんスピード感が増して、
読みやすく作品世界に入り込みやすくなりました。
出産間近のアレクシアですがまだまだ奮闘しています。
前作ではお腹の子が原因で吸血鬼たちに命を狙われていましたが、
この件に関しては冒頭でひとまず休戦の策が講じられます。
これでほっと一息つくかと思われましたが、
あのアレクシアの周りがそんなに穏やかな訳ありません。
これぞ吸血鬼や人狼、ゴーストの入り乱れる世界ならでは!
アレクシアに対する感情が好意・悪意にかかわらず、
その生態だか事情だかによっててんでばらばらに問題が起こります。
反異界族特有の実用主義で収拾しようと、
アレクシアが大 -
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アレクシア女史の英国パラソル奇譚第四作。次で最終巻だそうです。
臨月を迎えたアレクシア、ゴーストの不穏な忠告を受け、チビ迷惑を抱えて走る走る落ちる(!?)運ばれる走る!!
……怒濤でした。
本屋で四巻の表紙と三巻のあらすじを読んで、シリーズに興味を持ったのですが、そのときは、アレクシア女史というのは潜入捜査をする鉄の女かと……。まさか出産間近でアクションをするような淑女とは思いもよらなかった。
終盤、満月の人狼団がアルファ雌を守るために戦う描写にはとてもわくわくした。ここはぜひ絵で見たい……っ。漫画版が気になるところ。
アレクシアの父親の過去とライオール教授の秘密が暴かれるが、なんといっても -
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戦う!フルーテ!(笑)
日本の漫画で執事といえば戦闘能力があって当たり前なのだが(…)この控えめな老執事もそうだったようだ。
前回、不貞の疑惑をかけられ、身重の体でウールジー城を追い出されたアレクシアは、親友のアケルダマ卿のもとに身を寄せようとするが、当のアケルダマ卿が姿を消し、自分も吸血鬼に狙われている状態を悟る。フルーテとマダム・ルフォーと共に、アレクシアのヨーロッパ縦断逃亡劇がはじまる。
一方、ウールジー団では、腑抜けたマコン卿のかわりにβのライオール教授の受難がはじまる……。
アレクシアとは折り合いが悪いが、チャニング少佐が好き。青い目の白狼で人型の時は長身で金色の長髪なんて絵にし -
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人狼と吸血鬼ら異界族が、“人間化”する現象が起き、夫のマコン卿はアレクシアになにも告げずに故郷のスコットランドに発つ。
陰の議会の議長であるアレクシアは、謎を解明するため飛行船でスコットランドに赴く。
アレクシア女史の夫は狼で父親はホモで新しくできた友達は男装家でメイドはレズ……。あらゆる可能性があって非常によいと思う。
マダム・ルフォーはそこはかとなくかっこいいですね。
男も女もマコン卿の裸体をありがたがるのがなんだか笑える。見てみたいじゃないかー。
チャニング少佐が白狼とのことで、これは米国で出版されているマンガ版にめちゃくちゃ興味が湧く。 -
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ネタバレ19世紀ヴィクトリア朝イギリスも舞台としてはとても魅力的ですが、その舞台を、吸血鬼や人狼、ゴーストといった影の住人が活躍するというのだから、わたしとしては美味しすぎます。
「吸血群」や「BUR」「影の議会」などの組織によってみずからを統率し、文明化によって人類と共存するという設定は、当時の時代背景などに明るくないとなかなか書けないなと思います。
また、作中で豊富なのが衣装の描写。想像していてとても楽しめます。
で、肝心のストーリーですが、ミステリー色がなかなか強いです。ダークミステリーとでも言いましょうか。
アレクシアが不審なはぐれ吸血鬼と遭遇することから始まり、人狼の集団失踪な -
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アイスランドの作家。ロンドンと東京を舞台に。
30年以上前にロンドンの日本食レストランで知り合ったミコを探しに日本に。
そして驚愕の事実に向き合うことに。
ストーリー自体はよくありそうなものではある。驚愕の事実もさもありなん、と感じた。
しかしその背景に広島被爆者であるオーナーのタカハシさんの娘のミコ(ただし胎児での被曝)とタカハシさんの苦悩があった。そして二人が下した結論に切なさを感じる。
二人は主人公がアイスランドに一時帰っている数日間にそれを実行し姿を消した。
主人公は30年以上経った今、日本に渡航してミコを探す旅に出る。
この小説が世界中で読まれていることを期待する。原爆で多くの人が亡 -
購入済み
氷と炎の歌、その前日譚をとある歴史学者の独り言のような形式で語っている内容です。
これらはあくまであり得たかもしれない内容であって、本当にあった真実とは異なる場合もあると思って読まなければならないです。 -
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アイスランドを代表する作家による傑作恋愛小説です。
アイスランド人の主人公クリストファーは、今から50年前、留学先のロンドンで日本人女性ミコと出会い、恋に落ちて幸せな日々を送っていましたが、突然彼女は姿を消してしまいます。あれから50年経った今、コロナ禍で自ら経営していたレストランの閉店を余儀なくされたクリストファーのもとに、彼女から一通のメッセージが届きます。彼女はなぜ突然自分のもとを去ったのか、彼女への想いを抱え、この50年間の記憶をたどりつつ、主人公のクリストファーはアイスランドからロンドン、日本へと向かいます。
さて、感想ですが、まず、2人が付き合い始めた時の2人の会話が印象的でし -
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23年に公開されたティモシー・シャラメとテイラー・ラッセル主演の同名映画の原作。
タイトルの意味は「骨まで全部」
16歳の少女マレンはイーター(Eater)。即ち、人を食べる衝動を抑えられない。一番最初は彼女がまた幼かった時にベビー・シッターだった。
物心ついた時には既に父は行方不明で、母と二人暮らしの母子家庭だったが、彼女が衝動を抑えきれず友人を食べてしまったりした時には、驚くほどの速さで荷物をまとめ、逃げ出す暮らしに疲れ、母はある朝彼女を残して失踪してしまった。
仕方なく出生証明書に書かれた住所に父を探しに行く旅に出る。
その途中で、死人しか食べないという老人サリヴァンに出会い、初めて自 -
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ディストピア小説的な要素がしんどくなるかもと思ったのですがそんなこともなく。
むしろ蜂のドキュンタリーを読んだような、生態がリアルに感じられて、勉強になりました(笑)
蜂の巣の規律の中で、個ではなく、集団の中の種として生きなくてはならず、ひとつの意識体としても動いているはずなのに。
特殊生はあってはならないことなのに、それを認められて身分不相応な経験を重ねることで、母性や恋愛感情を獲得していく七一七。
最下層の蜂種として、全ての他の種達に命令されても従うしかなかったのに。
様々な出会いを通して多くの経験を積み、充実した人生を歩めたであろう七一七の生き方に共鳴しまくりでした。
それにしても