川野靖子のレビュー一覧
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最終巻が一番おもしろかった。
ライオール教授が好きだからかな?
ナダスディ伯爵夫人に呼び出され、エジプトからの招待状を受けて船旅に出ることになった我らがアレクシア女史。
暴れ盛りの愛娘プルーデンスと、人狼アルファの夫マコン卿、不可思議な帽子が欠かせない親友アイヴィ、そして思惑の見えないマダム・ルフォーら一行が揃えばゆっくりもできない道中である。
そんなドタバタのエジプト紀行と、ロンドンにて調査を進める優秀なベータ・ライオールと新米人狼ビフィの間に起こる意外な展開が同時進行する怒涛の巻。
前巻にて凄惨な過去を明かされたライオール教授ですが、今巻では現在と未来の展望が希望的でほっとしました。チャニング少佐(私は彼も好きです!)はビフィを認めるのに時間がかかるかもしれないけれど、ライオールに新しい支えを、と望んでいたからそのことについては歓迎なのではないでしょうか。
伏線は前々からありましたし、互いの精神状態の安定と傷の回復のためにも、おさまる所におさまったという感じです。
30年後とか、アルファになったビフィに仕えるようになったライオールの様子も含めてスピンオフを書いてほしい!というかライオール教授メインで……どうか……ロマンス入れたら間違いなくBLになるけど(笑)。
また、今巻では、今までの気丈で現実主義者なアレクシアを大いに動揺させる出来事が起きる。投げやりになってしまったアレクシアの姿はあまりに痛々しい。
いつか晩年を穏やかに迎える日まで、夫妻には仲良く喧嘩していてほしいです。
命にかぎりある人間も不死者にも、あらゆる意味で『死』というものを考える時が来る。
愛する人達の死をたくさん眺めて、眺め続けて生きること、それは必ずしも最大の幸せでないかもしれない。不死者はいつ死を迎えるかを自分で決めなければならない。死を不意に与えられることと、自分で決めること、それはどちらがいいかなんて分からない。
マタカラ女王の話を聞いてみたかったな。なんだか大事なところが中途半端だった気がして、それが残念でした。
プルーデンスを主役に据えた、何年後かの話の構想があるそうで、刊行されたらぜひに日本語訳していただいて、またこの世界を見てみたいです。
今年出会った小説の中では上位につけたい、お気に入りのシリーズになりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ英国パラソル奇譚、最終話。
予約していたのでさっそく購入しました。浮気疑惑も晴れて再びらぶらぶ夫婦に戻ったアレクシアとマコン卿、アンンド二人の娘プルーデンス。
以下、感想。
前作から2年後のお話で、生まれたばかりだったプルーデンスが元気いっぱいの2歳児になっていて笑えました。
反異界族と人狼との子ということで警戒心を持っている吸血鬼たちの気持ちを和らげるために、表向きは知り合いで影の議会の宰相でありアレクシアの大親友のアケルダマ卿の養女として育つことになるのですが、実は彼の巨大なクローゼットの奥を改造して夫婦で隠れ住んでいるという(笑)
本当のおうちは前回の騒動で手に入れた隣の屋敷なのですが、こっそり娘と同居してるんです。
ママ、ダダ、と甘えるプルーデンスが可愛い。
アレクシア自身が反異界族というせいなのか、あんまり子供のころから母に好意を持っていなさそうだったし、彼女の母も娘への愛情が見られなかったのに、プルーデンスはママ大好きなのが判って微笑ましい限り。
可愛い幼児の仕草に飽きるほど長く生きてきたアケルダマ卿と彼の取り巻きたち、そして人狼パパのマコン卿と他の人狼はメロメロ。みんな可愛く仕方ないよう。
そんな楽しくも騒々しいながらも平和に過ごしていたアレクシアに届いたエジプトの最高齢の吸血鬼女王から招待状。
娘とともにエジプトに来られたし、という命令に近いそれに、謎を残したまま亡くなった父の足跡を辿る意味も込めて夫と親友その他を引き連れてエジプトに向かう・・・というのが今回のストーリー。
楽しかったです(笑)
いや、毎回毎回マコン卿とアレクシアの仲良さが凄くて(笑) 結婚して2年経過するというのに変わらないいちゃいちゃぶり(笑) 周りも慣れたのか放ってますね。ま、アレクシアが傍にいればアルファであるマコン卿は機嫌良いので、団員にとっても都合は良いんだろうけど。
それでも少しずつ謎が解けて、前回発覚した衝撃の事実がマコン卿にばれて、再び夫婦の危機!となるのですが、いろいろあって落ち着いてらぶらぶに戻るの笑っちゃいました。アレクシアも可愛くなったなあ。マコン卿に嫌われるってわんわん泣きますしね。彼が死んだと思った時にはなにも考えられずに後を追うことを考えてしまうほどマコン卿が大好きなようで(笑)
そしてどんなに怒っても、マコン卿もアレクシアが好きなんだなと。
すべてが終わって、彼が決断した将来の展望が素敵でした。反異界族という特殊な種族であっても寿命は人間と同じアレクシアとこの先どう過ごすのか。
最強の人狼である彼がやがて自分に訪れるだろう事態への対処に選択した内容が良くて、この続きを読んでみたいです(笑)
アレクシアの話はこれで終わりですが、プルーデンスを主人公にしたお話があるそうなのでそれが見たいかな。彼女が大きくなってる頃には両親はきっとエジプトにいるんだと思うから、その時の二人の様子など。
お勧めの一品。
ご興味がありましたら、お試しあれ。 -
Posted by ブクログ
シリーズ4作目です。
1作目からどんどんスピード感が増して、
読みやすく作品世界に入り込みやすくなりました。
出産間近のアレクシアですがまだまだ奮闘しています。
前作ではお腹の子が原因で吸血鬼たちに命を狙われていましたが、
この件に関しては冒頭でひとまず休戦の策が講じられます。
これでほっと一息つくかと思われましたが、
あのアレクシアの周りがそんなに穏やかな訳ありません。
これぞ吸血鬼や人狼、ゴーストの入り乱れる世界ならでは!
アレクシアに対する感情が好意・悪意にかかわらず、
その生態だか事情だかによっててんでばらばらに問題が起こります。
反異界族特有の実用主義で収拾しようと、
アレクシアが大きなお腹でよたつき、
ときには人狼やクラヴィジャー(世話人)たちに抱えられて、
陣痛で悪態や悲鳴をあげながら駆け回っています。
世の貴婦人の規格からはずいぶん外れる女主人に呼びつけられ、
無様な格好を見せられる羽目になっても、
温かい目で(見て見ぬ振りをしつつ)働く有能な使用人たち。
微笑ましいやら笑えるやらで本当に楽しいです。
最後の数ページでようやく新しい家族が生まれ出るに至り、
安堵する間もあればこそ。
これが驚きの(いや予想通りか)性質であることが発覚して、
次作で台風の目になること必至です。
全5部作のシリーズらしいので次作が最終巻ですね。
どんな結末が待っているのか楽しみです。
訳者あとがきに気になることが書かれていたし・・・。 -
Posted by ブクログ
アレクシア女史の英国パラソル奇譚第四作。次で最終巻だそうです。
臨月を迎えたアレクシア、ゴーストの不穏な忠告を受け、チビ迷惑を抱えて走る走る落ちる(!?)運ばれる走る!!
……怒濤でした。
本屋で四巻の表紙と三巻のあらすじを読んで、シリーズに興味を持ったのですが、そのときは、アレクシア女史というのは潜入捜査をする鉄の女かと……。まさか出産間近でアクションをするような淑女とは思いもよらなかった。
終盤、満月の人狼団がアルファ雌を守るために戦う描写にはとてもわくわくした。ここはぜひ絵で見たい……っ。漫画版が気になるところ。
アレクシアの父親の過去とライオール教授の秘密が暴かれるが、なんといってもライオール教授!そうだったのあなた!先代アルファに何をされていたかも推して知るべしと描写は少ないが、あえて語らないせいで逆に悲惨な想像をしてしまいそうだ。……教授には幸せになってほしい。チャニングがその心配をしているのはなんだか微笑ましい。
ぶっちゃけ、ルフォーを見逃してナダスディとフェリシティが死んだほうがアレクシアにとってはよかったんじゃ、と思った。 -
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戦う!フルーテ!(笑)
日本の漫画で執事といえば戦闘能力があって当たり前なのだが(…)この控えめな老執事もそうだったようだ。
前回、不貞の疑惑をかけられ、身重の体でウールジー城を追い出されたアレクシアは、親友のアケルダマ卿のもとに身を寄せようとするが、当のアケルダマ卿が姿を消し、自分も吸血鬼に狙われている状態を悟る。フルーテとマダム・ルフォーと共に、アレクシアのヨーロッパ縦断逃亡劇がはじまる。
一方、ウールジー団では、腑抜けたマコン卿のかわりにβのライオール教授の受難がはじまる……。
アレクシアとは折り合いが悪いが、チャニング少佐が好き。青い目の白狼で人型の時は長身で金色の長髪なんて絵にしてしまえば最強の外見である…。
そもそもは本書の粗筋を見てアレクシア女史の奇譚を手に取ったのだった。日本のオタクが好きそうな要素がぎゅぎゅっと詰まったシリーズだが、なぜ私はこの存在を知らなかったのだろう…。 -
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人狼と吸血鬼ら異界族が、“人間化”する現象が起き、夫のマコン卿はアレクシアになにも告げずに故郷のスコットランドに発つ。
陰の議会の議長であるアレクシアは、謎を解明するため飛行船でスコットランドに赴く。
アレクシア女史の夫は狼で父親はホモで新しくできた友達は男装家でメイドはレズ……。あらゆる可能性があって非常によいと思う。
マダム・ルフォーはそこはかとなくかっこいいですね。
男も女もマコン卿の裸体をありがたがるのがなんだか笑える。見てみたいじゃないかー。
チャニング少佐が白狼とのことで、これは米国で出版されているマンガ版にめちゃくちゃ興味が湧く。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ19世紀ヴィクトリア朝イギリスも舞台としてはとても魅力的ですが、その舞台を、吸血鬼や人狼、ゴーストといった影の住人が活躍するというのだから、わたしとしては美味しすぎます。
「吸血群」や「BUR」「影の議会」などの組織によってみずからを統率し、文明化によって人類と共存するという設定は、当時の時代背景などに明るくないとなかなか書けないなと思います。
また、作中で豊富なのが衣装の描写。想像していてとても楽しめます。
で、肝心のストーリーですが、ミステリー色がなかなか強いです。ダークミステリーとでも言いましょうか。
アレクシアが不審なはぐれ吸血鬼と遭遇することから始まり、人狼の集団失踪などを探っていくうちに発覚する恐ろしい陰謀。
勇敢さと聡明さを併せ持ったアレクシアが、危険に巻き込まれつつも、好奇心によって次々と危ない橋を渡っては謎に迫っていきます。
ミステリーの女性主人公の典型ですが、それがまた良し。
そしてさらに強いのが恋愛色。女性が主人公なのだから恋愛も当然展開の中に組み込まれているだろうとは思っていましたが、予想をはるかに超えて濃厚でした(笑)
癖の強いキャラクターの多い中で、わたしが一番惚れたのはライオール教授でした。
脳筋上司を小馬鹿にしつつも忠実に補佐する頭脳派。ついでに時折ボケをかますところが素敵すぎやしませんか。
吸血鬼や人狼の力を打ち消す「ソウルレス」について、まだよく分からずにもやもやした感はありますが、産業革命の時代、人類と人外の共存というテーマは、とても想像力を喚起されて楽しく読むことができます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前情報なしに、表紙で選んだ本。
シベリア鉄道がゆく荒地は独自の生態系を持った危険な場所という設定。
どんなふうに危険なのか最初は全然語られず、でも乗客や乗組員が何蚊に警戒しているのは分かる。電車内の人々の過ごし方の描写が多くて、何が起きるのは100ページくらい。
話は面白くてドキドキしたのだけど、
最後の方の荒地の生物に列車が侵食されていく描写(特にメインの登場人物以外の)が欲しかった。楽観的な一号客車の人たちは、荒地の生物によって変わっていく列車を見てどんなふうになっていったのか。
列車に乗り続けている人たちが、荒地の生物を恐れずに共存しようと思った過程が知りたい。
列車の子やエレナは友達みたいだから分かる。マリアやスズキも分かる。他の人たちは??菌にメンタルやられちゃったのかどうかとか。