【感想・ネタバレ】TOUCH/タッチのレビュー

あらすじ

50年前に失踪した恋人を思い、アイスランドから日本を旅するロマンス映画『TOUCH/タッチ』原作小説。
2020年、アイスランド。75歳のクリストファーは「終わり」を意識していた。妻は7年前に亡くなり、娘はとうに独立している。20年間営んだレストランは、パンデミックの影響もあり閉店した。最近は記憶力の衰えを感じずにはいられない。
そんな彼に一通のメッセージが届いた。差出人は、50年前に留学先のロンドンで出会い、恋に落ちた日本人女性ミコ。恋人として幸せな日々を送るなか、彼女は突然姿を消した。
あの日、彼女はなぜ自分のもとを去ったのか。消えない想いと悲恋の傷を抱え、薄れゆく記憶にすがりながらクリストファーはアイスランドからロンドン、日本へと旅をする。
アイスランド文学賞、O・ヘンリー賞受賞のオラフ・オラフソンによる傑作恋愛小説。

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Posted by ブクログ

心に沁みた。
50年。お互いを思い続けるにはとても長い時間だと思う。
あのとき過ごしたかった時間を、人生の後半になって取り戻した主人公は素敵だ。

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2025年03月09日

Posted by ブクログ

パンデミックのさなか、50年前にとつぜん姿を消した恋人から1通のメールが届き、老境に差し掛かった「わたし」はアイスランドから日本へ向かう。過去と現在、ロマンスとミステリーが入り混じる旅の果てに真実が明かされるまで一気読みだった。
語り口は控えめながら凛としたところがあり、重いテーマに向き合った作者の真摯な態度が感じられる。と同時に恋愛小説の楽しさと謎解きのハラハラ感も味わえました。
アイスランド文学研究者、朱位昌併氏による巻末の解説がまたすばらしく、感動してしまった。同タイトルの映画に関するこぼれ話なども書かれていておススメです。

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2025年02月19日

Posted by ブクログ

久々に★★★★★
奇跡のように美しい小説。
若い頃の二人の様子もイイけど、老いた現在やっと謎が解けたところの二人の距離感の表現が素晴らしい。
映画化されてると巻末解説で知り、調べたら今日から公開だわ。観たい。

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2025年01月24日

Posted by ブクログ

アイスランドの作家。ロンドンと東京を舞台に。
30年以上前にロンドンの日本食レストランで知り合ったミコを探しに日本に。
そして驚愕の事実に向き合うことに。
ストーリー自体はよくありそうなものではある。驚愕の事実もさもありなん、と感じた。
しかしその背景に広島被爆者であるオーナーのタカハシさんの娘のミコ(ただし胎児での被曝)とタカハシさんの苦悩があった。そして二人が下した結論に切なさを感じる。
二人は主人公がアイスランドに一時帰っている数日間にそれを実行し姿を消した。
主人公は30年以上経った今、日本に渡航してミコを探す旅に出る。
この小説が世界中で読まれていることを期待する。原爆で多くの人が亡くなったことは数字として知っているだろうが、生き残った被爆者の苦悩まではあまり知られていないだろう。この切なさは伝わって欲しい。

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2025年04月21日

Posted by ブクログ

アイスランドを代表する作家による傑作恋愛小説です。

アイスランド人の主人公クリストファーは、今から50年前、留学先のロンドンで日本人女性ミコと出会い、恋に落ちて幸せな日々を送っていましたが、突然彼女は姿を消してしまいます。あれから50年経った今、コロナ禍で自ら経営していたレストランの閉店を余儀なくされたクリストファーのもとに、彼女から一通のメッセージが届きます。彼女はなぜ突然自分のもとを去ったのか、彼女への想いを抱え、この50年間の記憶をたどりつつ、主人公のクリストファーはアイスランドからロンドン、日本へと向かいます。

さて、感想ですが、まず、2人が付き合い始めた時の2人の会話が印象的でした。ミコの父親が営む日本料理店の入口で、クリストファーとミコは初めて出会うのですが、

「どうしてここで働こうと思ったの?」
「きみと会ったから」
「店の入口で会ったとき?」
「そう」
「父にはあなたを雇わないでと言ったの」
「どうして!」
「そう言えば雇うと思ったから」

まるで映画を見ているような2人の告白シーンです。

そして、ミコが突然クリストファーのもとを去った理由ですが・・・、何とも切ない事情がミコの口から明かされます。

アイスランドの作家が、なぜアイスランド人男性と日本人女性との恋愛小説を描いたのか。それは、歴史上のあの悲惨な出来事を原因とする誤解と差別と偏見を、この作品を通じて語ってくれたように思います。

タイトルの『TOUCH』ですが、コロナ禍における社会の習慣、そしてあの悲惨な出来事による誤解と差別と偏見、そこでは、「触れる」あるいは「接触」という人間同士の直接的な関わりが、回避あるいは否定されたからこそ、大きなテーマとしてタイトルにしたのかとも考えましたが、このタイトルに込めた著者オラフ・オラフソンの本当の想いを知りたいものです。

ちなみに、私は観ていませんが、ミコ役でKokiが、その父親役で本木雅弘が、出演して映画にもなっているようです。

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2025年03月30日

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